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グラニト・ジャカへの冷遇にいい加減ざわつき始めたArsenal界隈

新加入のジャカが使ってもらえない

Arsemal 16/17シーズンからチームに加わった超絶高額移籍金選手、スイス人MFグラニト・ジャカのプレイタイムが伸びないことにファンはいらいらを募らせている。

www.fourfourtwo.com

チームへの適応や、とくに難しいといわれるプレミアリーグのスピード感やフィジカルなスタイルへの慣れなど、どんな選手にも慣れる時間は必要だ。リーグ戦もおよそ1/3が終わったここまで、なかなかスターティングイレブンに入れないことに関しては、そういった理由はたしかにあるとしてしぶしぶ納得してきたファンも多いように思う。

そうはいいつつ、リーグ戦でもカップ戦でもなかなかジャカがスタメンで使われないことに対してボスへの不信感が拡がりつつあった頃合い、ここへきて完敗を喫したリーグカップのサウサンプトン戦で、ジャカを押しのけてスターティングイレブンに選ばれたMFエルネニーの珍しい前半途中での交替理由が「そもそも病気だった」と明かされたことから、ファンやメディアからアーセン・ヴェンゲルに対しての不満が一気に表面化している格好である。グーナーのあなたも「なんでやねん!」とノースロンドンの方角に突っ込みを入れたはずである。

怪我があったとはいえ、大金が投じられたFWルーカス・ペレスも同じようにヴェンゲルに冷遇されている新加入選手のひとりだ。

ピアース・モーガンはこのことに対して、このふたりの獲得については単にファンに言い訳するためだけのパニックバイだったと批判的にツイートしている。

それにしても、なぜヴェンゲルはジャカを頑なに使わないのだろうか?

ジャカの短いプレイタイムとペッキングオーダー

WhoScoredによると、12/2現在の出場時間スコアで、EPLではチェフ、アレクシス、コシエルニと主力が上位に続くなか、コクランやカソルラに次ぐチーム11位(598min)と記録されている。CLも同じく11位(209min)。

プレミアリーグ13節を終わって出場10試合、出番のなかった試合こそ3試合しかないが、フル出場(スタメン)も3試合しかない。大きな怪我もなく、クラブ史上第2位(35m£)という超高額で獲得したスター選手の出場記録としては、ほとんど不可思議なものになっている。

ポジションが重なる選手では、コクランが同9位、6位と、ジャカより優先度が高い。またカソルラは同10位、10位とジャカのひとつ上の順位だが、怪我をしてからの期間を考えると、当然のように離脱前はCMFのファーストチョイスだったことが伺える。

エルネニーは序盤こそほとんどベンチウォーマーだったものの、ここへきて出場時間を伸ばしており(順位は同14位、18位)、カソルラ離脱後のCMFのコンビネーションでは、DMはコクランが順当、DMとコンビを組むCMにはカソルラに変わって、ジャカではなくエルネニーが選ばれるというのが、ここ数試合の傾向である。

獲得当初、ジャカがどのようにスコッドに組み込まれるのか、「カソルラとコンビかなあ」「ラムジーとコンビもいいかも」などとワクワクしていたファンの淡い期待はすっかり裏切られている。

ラムジーが復帰した今、2つの席を4人が争うかたちで、セントラルミッドフィールドでのジャカの序列は依然おぼつかない。

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ジャカへの誤解と混乱

ジャカへの冷遇はどこからくるのか。ひとまず、ファンもチームももちろんジャカ本人もこのような事態はまったく想像していなかったに違いない。

とにかく、ヴェンゲルはいまのチーム編成においてジャカが不要、もしくはジャカじゃないほうがベターなチームだと考えていることはまず疑いがない。

そもそもヴェンゲルはジャカをどのような選手として考えているのか。

興味深いのは、時をおいて、ヴェンゲルがジャカについてまったく違う相反する発言をしていることだ。あきらかに矛盾した発言としてすでに多くのメディアでも揚げ足を取られている。

ヴェンゲルはまずジャカを「box to box」タイプの選手として認識していると発言したその後、その発言を覆すかのようにジャカはむしろ「deep(-lying) playmaker」であると発言している。もちろんフォーメーション上は隣同士であっても、このふたつのプレイスタイルには大きな違いがある。

この発言から読み取れることは、ヴェンゲルがジャカという選手のプレイスタイルを「誤解」していた(あるいはいまだにしている)ということである。

あるいは、Arsenalに来たらこうなってほしいとかこうやってほしいといった願望がいつの間にか、既成の事実として認識されているということである。だが、Arsenalという百億人のサポーターがいるフットボールクラブを率いる人間がしていい間違いではない。

つまりここへきて、そもそもヴェンゲルが欲しかったタイプの選手じゃなかった疑惑がもたげるのである。あらためて文字にしてみるとショッキングである。いくら移籍市場での立ち回りが下手とはいえ、日本円で50億円以上を費やして間違っちゃったてへで済む話しではない。移籍市場で大金を使うことをあれだけ渋っておきながらこの体たらく。ファンも激おこである。

実際のところ、Arsenal加入後のジャカのプレイを観るかぎりでは、激しく上下動して攻撃時にボックス内に侵入するというよりは、たしかにディープライイングMFというべきプレイスタイルである。

ぼくは、メンヘングラッドバッハでのプレイをほとんど見たことがなかったので、Arsenalで初めてジャカのプレイを見たときには、CBの前に陣取ってあまり動かず、攻撃にも色気を出さない様子をみて、慎重な「アンカータイプ」だという印象を得た。

ドイツでは若くしてキャプテンを務めたり、ラフなプレーと「カードコレクター」という評判から、もっと周囲に要求していくような勝ち気な気性の持ち主だと想像していたので、たしかにそれはちょっと肩透かしな気はしていた。

そのあたりは新加入であり英語がままならないという事情もあるのかもしれない。

いずれにせよヴェンゲルは、ジャカを「CM/DM」と認識した上で、守備やボール奪取、パスの散らし役として評価しているはずだ。

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事実、スタッツ上では、タックルやインターセプトといったディフェンス・アクションではコクランに軍配が上がり、パス精度ではエルネニーに後塵を拝している。だがいかんせんサンプル量が少ない。重要な判断を下すにはデータが少なすぎる。ジャカには評価のためのプレイ時間が与えられていない。

多くのファンが、EPLボーンマス戦で見せた印象深いプレーなどを見て、安定したプレイタイムを期待している。ジャカ砲もある。35mもの大枚をはたいて買った高級品である。それくらいの活躍はしてもらって当然である。チャンスだけがないのだ。



フォーメーションの換え時

ところで、ここしばらくArsenalの守備的中盤でもっともうまくいっていた組み合わせは、いうまでもなく「パス能力が著しく長けてドリブルもできキープ力のあるCM」であるカソルラと、「守備力とボール奪取力に長けたDM」コクランのコンビである。

カソルラ長期離脱が確実となったいま、もはやDM+CMの2枚というしばらく固定されてきたフォーメーションを変更することも考慮すべきではないだろうか。カソルラの役割を代替できる選手はいないのである。

エジルをどうするか問題が必ずセットでついてくるためか、4-3-3といったフォーメーションはしばらく見ていない気がする。サウサンプトン戦のような戦いはもう見たくない。試すしかないだろう。

ここで青いチームの話しなどしたくはないが、チェルシーでは3バックとはいえ、セントラルMFのエリアにカンテとマティッチという守備マインドの高い選手を並べて成功させているし、マンチェスターの油っぽいほう、マンティではCBの前にフェルナンジーニョひとりで攻守に存在感を放っている。最適解はひとつではないのだ。

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ジャカのプレイスタイルとヴェンゲルの苛立ち

ところで、先日ジャカ本人が「アグレッシブなプレイスタイルは変えるつもりがない」という旨の発言をしたことが話題になった。

metro.co.uk

「アーセナルはぼくとサインする前からぼくのプレイスタイルは知ってるよ。(アグレッシブなプレイスタイルは)ポジティブにもネガティブにもなりうるけど、それがぼくのやり方なんだ」

「ラフなプレイはぼくのスタイルなんだよ。ぼくからそれを取ったらもうグラニト・ジャカじゃないんだ」

もしかするとヴェンゲルはジャカのこのプレイスタイルに納得していないのではないだろうか。

もしかしたらCBの前に陣取るようなプレイではなく、もっと中盤でイニシアチブを取って、box to boxらしくプレイしてもらいたいと思っているのではないだろうか。

要するにヴェンゲルはジャカのプレイそのものについても、不満を持っている可能性がある。

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ディシプリン(規律)のVery Weakに失笑を禁じ得ない

もちろんドイツでもカードコレクターなのは有名でそれを知っていて獲っておいて今さら何をいっているのだという話しではある。

ヴェンゲルのジャカへの感情が垣間見れる象徴的なシーンが先日のCLホームのPSG戦で観られた。11/23ということでまだ記憶に新しい。

イウォビのオウンゴールで同点にされ、このままではアウェイゴール・ルールでグループ2位に転落してしまうという局面。残り13分でそのイウォビに替り投入されたジャカだが、多くのチームメイト同様、大したインパクトを見せることもできずにいたなか、絶好のカウンターチャンスをアレクシスへの雑なロングパスでふいにしてしまう。ここで珍しく大きなジェスチャーで激昂したのがボスである。

たしかに、全グーナーがため息をもらすシーンではあったが、それにしてもボスにしては珍しく怒っていた。そこにヴェンゲルのジャカに対する不満、あるいは好意的に捉えるならば、期待の高さからくる落胆が見えた気がしたのである。

やっぱりボスはジャカに対してなにやら溜めている感情があるみたいだ。

おわり

サンティ・カソルラが足首の手術により今季絶望の噂もあるなかで、CMFの再構築は急務であるが、ヴェンゲルはいまだに答えを見つけ出すことができていない。

「魔法使い」と呼ばれるほど卓越したスキルで、安定的に最後列から前線にボールを供給できる選手を代替できるメンバーは、残念ながらいまのArsenaにはいない。

ボスは今後、このCMF問題についてどのような解決策を見出すのであろうか。そして、ジャカをどう扱っていくのか。目が離せない。

ジャカの今後の活躍に期待である。

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