「ヴェンゲル・アウト!」の大合唱が少しは落ち着いたか。
ここ数年は、幾度も同じ内容で批判を繰り返されてきたヴェンゲル監督だけれど、ミッドウィークのCLバイヤンでの「恥ずかしい敗戦」は過去最大の批判を巻き起こしている。
ファンはもちろんメディアも含め、もはやほとんどボスを擁護する人もいないという状況で、個人的にはまだ数シーズンは続けるのではないかと思っていたけれど、さすがに今回のEPL2連敗から続く一連のチーム状況の悪化は、CLバイヤン戦で極まった感がある。まさに風前の灯。来週のFAカップ、サットンに負けようものならヴェンゲル退任までのストーリーとしては完璧だろう。
アレクシスとエジルという2大スタープレイヤーの去就も不透明ななかで、来季以降のチームについて思いを巡らしてみると、もしヴェンゲル監督が退任すれば、アーセナルにとって、ここ20年で最大の大変革期が訪れることになる。
来季のアーセナルのチーム編成を考えてみたい。
アーセナル17/18シーズンのスコッド展望
ゴールキーパーはチェフ? チェズニー?
ファーストチョイスのチェフはとくに大きな問題もなく、来季以降も在籍し続けるだろう。だが、今季はチームの不調とともにやや調子を落としていて、チェフといえども絶対の存在ではなくなってきていることを感じさせる。
とくにロリス、デヘア、クロトワといった油の乗りきったプレミアリーグのスターGKたちと比べると、安定しているとはいえ、スタジアムがどよめくようなセーブもフィードもなく、すこし淡白な印象は否めない。
ローマで経験を積んでいるヴォイチェフ・チェズニーがアーセナルへの復帰も前向きということで、もし復帰となればそれなりに野心を抱いたものになるだろう。来季チェフの出来によってはファーストチョイスが入れ替わる可能性は十分あるのではないか。
オスピナは移籍する前提。
コシエルニ依存からの脱却 センターバックの補強
※写真はArsenal公式サイトより
まずセンターバック。CLバイヤン戦ではコシエルニが負傷退場した途端に2失点と、相変わらずのコシエルニ依存が露呈しているバックライン。コシエルニの最盛期の終りが見えてきているにも関わらず、オールタイムでセンターバックを任せられるのが今季獲得したばかりのムスタフィしかいないというのが現状である。
先月にはアーセナルと長期間にわたってリンクされているローマのDFコスタス・マノラスがすでに個人条件で合意の報道があった。
もしマノラスのうわさが事実ならば、センターバックはコシエルニ、ムスタフィ、マノラスで回せるし、あるいは来季のボスによっては3バックも見えてくる。いずれにせよ、最低1名の即戦力の獲得は必須である。
ガブリエルはバックアップとしてキープ。
21才のホールディングは、将来のレギュラー候補としてローンで経験を積ませることになるはず。
メルテザッカーはどうなるんだろう?
ライトバックとレフトバックはどちらも補強が必要
ライトバックは、ドビュッシーが退団濃厚なためベレリンとポジションを争う選手の獲得が必要になる。ガブリエルでお茶を濁しているようではいつまでも勝てない。
レフトバックは、ファーストチョイスのモンレアルに衰えが見え始め、控えのギブスが退団濃厚、いまもっとも補強が必要なポジションのひとつである。
現在うわさになっている選手は、Jose Gaya(バレンシア)、Ricardo Rodriguez(ヴォルフスブルク)、Sead Kolasinac(シャルケ)といったところ。
ミッドフィールドのエジル問題
くだんのバイヤン戦でボスの次に批判を浴びているのがエジルだ。代理人がエジルはスケープゴートにされているとコメントしているが、ビッグゲームでまったく活躍していないのは事実なので、批判はやむをえまい。
何度かこのブログでも書いたとおり、エジルは非常に使いにくいプレイヤーだ。よくも悪くも「天才的」と評されるだけありプレイにムラがあって、コンスタントに活躍ができない。また何より問題なのは中盤にエジルがいることで、チームとしてのディフェンス力が一段下がることだ。
彼の要求しているといわれる高給やNo.10ジャージ、その他もろもろは、ほんとうに見合うものなのか。
次のボス次第だが、戦術的柔軟性を求めるならば今のようにエジルを絶対の王様として扱うことはできない。サイドが嫌い、途中交替も嫌い、ベンチも大嫌い、そんなプレイヤーがアーセナルで幸せになれるのか? アーセナルを幸せにできるのか?
総合的に考えると、エジル放出は十分ありえる。
エジル放出となったあかつきには、ジャック・ウィルシャーが戻ってくるかもしれない。本人は試合に出ることを優先したいということで、彼が戻るかどうかは来季のスコッド次第ということになるはずだ。
少し気になることといえば、マンチェスターの油っぽいほうがジャックにせっせと秋波を送っていることか。気持ち悪いのでやめてほしい。
本当に解決したのか? アーセナルのCM/DM問題
セントラル・ミッドフィールドの問題も小さくない。今シーズン開始当初こそ、かつてない層の厚さがあるように見えたが、瞬く間にコマ不足、クオリティ不足に陥っている。
そのなかでもっとも大きい問題は、やはりディフェンシブ・ミッドフィルダーになるだろうか。
フランシス・コクランというセントラル・ミッドフィールドのジレンマ
データが示すようにコクランはDMとして決して悪い選手ではない。だが、カンテやヴィダルといった高性能なDMを観たあとでは、あらためてアップグレードが必要なポジションだと思わされる。
今シーズンが終わってみないとわからないが、今後の試合内容によってはアーセナルのDMの補強プライオリティがかなり高まっている可能性はある。
カソルラは来季使えるのか、ラムジー、チェンボはどのポジションがベストなのか、ジャカはプレイスタイルを改めるのか、エルネニーは……まあいいや。とにかくアーセナルは中盤の構成も課題が山積している。
フォワードのアップグレード?
今日興味深い記事がふたつあった。
前者はチリで催されるという「アレクシスはアーセナルをやめろ!集会」のお知らせ。チリ人もアーセナルに怒っているらしい。「アベ政治を許さない」みたいなやつか。現時点で参加予定者が5000人を超えていて、チリのみんながどれだけアレクの孤軍奮闘に憤懣やるかたない気持ちになっているか想像できるというものだ。
Marcha Nacional para que Alexis Sanchez deje el Arsenal
後者は、ルーカス・ペレスの退団希望というゴルコム記事。真偽はともかく、まあそう思っても当然だなと。活躍するもなにも出番がないんだから。怪我がちなのも悪いと思うけど。いい年だから焦るのも理解できる。
そういうことで、来季はアレクシス・サンチェスとルーカス・ペレスがいないストライカー陣となる。残るは、ジルー、ウォルコット、ウェルベックの3名。
ジルーとウォルコットはおそらく、これまで以上の活躍をすることはないだろう。そうなる理由がない。
ウェルベックはちょっとわからないが、仮にCFで使われたとして得点を量産しそうかといわれれば、ちょっと想像できない。彼はワイドで使われることには抵抗があるというが、CFでチャンスをつかめるかどうかは来季のボス次第となるだろう。
アレクシスの後任はどこにいる
はっきりいって、アレクシスクラスのアタッカーがいないとプレミアリーグで優勝はできない。優勝するチームには、必ずリーグの得点王を争うようなアタッカーがいる。レスター・シティにすらいた。今季トップを独走する青油には、コスタ、アザールがいる。
アーセナルの変わらぬ目標はプレミアリーグの優勝だ。だから、アレクシス・サンチェスが去った後には、彼に匹敵するストライカーを必ず連れてこなければならない。
はたして、獲得可能で、いまのアーセナルに来てくれるような実績十分なストライカーはいるのか? まあいないだろう。
すっかり長くなったので、新しいボスが連れてくる選手や、来季以降ファーストチームに上がってくるであろうヤング・ガンズたちについては、改めよう。もはや彼らだけが希望だ。