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15/16シーズン、レンジャーズでゼラレムになにが起きていたのか

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Gedion Zelalem (Arsenal公式より)

スコットランド2部リーグ、レンジャーズにレンタル中のゲディオン・ゼラレム(ジェディオン・ゼラレム)が、来シーズンはアーセナルのファースト・チームで使われると各メディアで報道があった。レンジャーズが破産降格から4年ぶりに1部昇格が決定したこととのからみでのニュースっぽい。

www.theguardian.com

ゼラレムのレンジャーズでの苦境はほのかに伝えられていたのだけど、スコットランド2部ということもあり日本でもほとんどニュースにならず、実際のところどのようなプレーぶり活躍ぶりだったのかということはあまりわかっていなかった。

今朝のこのニュースでレンジャーズ系ニュースをあたってみようと思ったところ、ゼラレムがチームのなかでどのような存在であったかが察せられる、どんぴしゃでちょうどいい記事を発見した。アメリカのスポーツサイト「SB NATION」(starsandstripesfc.com)から。2016/3/7の記事。



以下抄訳。

レンジャーズでジェディオン・ゼラレムになにが起こっているのか

去年の1月ジェディオン・ゼラレムはアメリカの代表を選んだ(※ゼラレムはドイツ生まれの二重国籍保持者でどちらの代表を選ぶか注目されていた)。それから14ヶ月たち、ゼラレムのキャリアはどれくらい進歩しただろう?

残念なことに、レンジャーズの試合はここアメリカでも大々的に放映されるわけじゃないし、ゼラレムをチェックしつづけることはできなかった。ありがたいことに、われわれのフェローであるSBネイション・レンジャーズFCブログ「Got The Battle Fever On」が、ヨーロッパの古豪であるレンジャーズにレンタル中の19才のMFについて教えてくれた。

ブログのマネージングエディター、カラム・ハミルトンがゼラレムの今シーズンの成長を教えてくれた。

SSFC
ゼラレムのレンジャーズでの出場機会がどんどん減ってるね。ずばり理由はなんだと思う?

ハミルトン:
残念だけど、これ以外の理由は見つからないな。チームに入っていくには彼はまだ十分じゃないってこと。彼はチャンスをものにすることができなかったね。

このチームはひとつの中盤のポジションをのぞいてほぼ完成されていたんだ。ディフェンシブには、まずアンディ・ホーリデイと、より大事な試合にはスパーズのローニーであるドミニク・ボール。アタッキングには、ジェイソン・ホルト。彼はハーツからきた22才でうちらのベスト・プレイヤーのひとりだったね。チームはとても攻撃的なフットボールをしていて、試合の半分の時間はだいたいずっと敵サイドにいる。アーセナルのスタイルにめちゃ似てるよ。点もたくさん取る。ゼラレムにとってはポジションを確保しやすかったはずなんだけど、残念ながらチャンスをものにできなかった。

SSFC
フィールドではゼラレムはプレイヤーとしてはどうだった? 彼が進歩するのに何が必要?

ハミルトン:
最初はなかなかよさげだったよ。でもファンは彼が未完成品だってすぐに気付いたんじゃないかな。彼はアシストをほとんどしなかったし、インサイドにいるときはだいたいフリック、ゴールはまったくできなかった、チャンスはそれなりにつくったけどね。われわれは流動的なシステムで戦っていて、センターバックを除いては、オープンプレイから結構点を取ってた。だけど彼は得点できなかったし、相手ディフェンスを切り裂くようなキラーボールも出せなかったし、バスを停めてチームを助けることもできなかった。うちらと戦う相手がもっとも効果的な戦術だとして使ってたのがそれ(パーク・ザ・バス)だったんだけどね。

基本的には、ゼラレムはみんながハイライトビデオで見て感じるよりももっと安全にプレイするタイプの選手なんだよ。ボールを受けたら受けた方向にすぐ戻し過ぎる。それかスピードアップしなきゃならない状況でボールをキープするために6ヤードのパスを出すか。多くの時間で彼はボールを持ちすぎて、正しいパスを出すチャンスをふいにしてしまう。ボールキープはうまいよ。でも判断力、危機察知、視野、実際のプレイメーカーに要求されるどれも物足りない

SSFC
レンジャーズでのゼラレムの生産性の低さは、彼の個人的なものかな。それともチームのプレイスタイルによるものだと思う?

ハミルトン:
そうだなあ。たぶん、フィットしているときだけど、もしレンジャーズがうまくいかなかったとしたら、ちょっとアーセナルっぽすぎるときなんだな。たくさんの創造性、ショートパスするプレイメーカー、ダイレクトプレイのオプションのなさ。それがどういうわけか最近変わってきているんだ。われわれのメインのストライカーはとても変な選手でね。すごいフィニッシャーなんだけど、カットバックやクロスからは得点しないで、自分で持ち込んだときだけ得点するんだよね。彼が怪我をしてしまって以来、もっとオーソドックスなストライカーを使っている。あととても速くてダイレクトプレイを好むウインガーを買ったね。でも全体的にレンジャーズはショートパッサーがチームにたくさんいるし、ときにはボールを前に運ぶには遅すぎてしまう。

基本的に、彼がチームのなかでメインプレイヤー、プレイメーカーになるには2人の選手との競争がある。バリー・マッケイ(レンジャーズの生え抜きで、すごい下手くそで放出寸前だったところ今シーズン奇跡的に化けた)と前述したジェイソン・ホルト。ホルトはずっとだめだったんだけど違う理由で使われてる。おもに左サイドで使われて長短パスがうまくスルーボールも出せるマッケイ。そして、マッケイがもっとホルトっぽいスタイルでプレイしていたあいだは、ホルトの大胆さや才能には勝てなかった。

アーセナルのファンなら気付くだろうけど、ポゼッションに固執したショートパスのゲームをするとき、ポジショニングに長けた選手、あたまのなかで絵が描けるような選手が必要だ。言い換えれば、ボールを持てばすぐに、あるいは受ける前にすら、彼らはボールを持ったらどこへ行って何をすべきかわかっている。彼らはあたまのなかでこれからどうしようかってことを見ることができている。ホルトはそれができる。そしてゼラレムはそれがほんとうにほんとうにできない。彼がボールを持つ、よしわかった、そしてそこから彼はどうしたいのか考える。そんなことしてたらチャンスはなくなるよね。もしそんなふうなプレイヤーがいたら、プレイが遅くって意外性なく可能性のないものになる。わたしは彼がそんなプレイヤーだと思ってるわけじゃない。劇的進歩を遂げるまでは、もしかしたら左サイドとかもっと深いポジションとか違う役割をやらせてみるのもアリかもしれない。もちろん、彼のローン先であるのはレンジャーズだし、選手個人のためにチーム全体のバランスを崩すようなトライはしないと思うけど。

What’s going on with Gedion Zelalem at Rangers?
http://www.starsandstripesfc.com/2016/3/7/11172742/gedion-zelalem-rangers-usmnt-report

ゼラレムといえば、たぶん日本のグーナーのあいだでも、ちょうどファブレガスのような足元がうまく視野の広い(フィジカル弱い)プレイメーカータイプの選手として認識されていると思われるが、この記事を読むかぎりは現時点でかなり中途半端な選手だと思われている印象だ。なにより結構手厳しい。ほんとうにほんとうにできないといわれると他人事でも凹む。

ここで言及されている判断力や決断力については逆に長所だと思っていたくらいなので、かなり心配だ。彼が今度どのようにそれらを改善していくのか、ヴェンゲル監督が来シーズンどのようにゼラレムを扱うのか、興味は尽きないのである。もしかしたら、期待していたより成長度合いが鈍っているので、レンタルさせるよりも手元で教育させたいという意向なのかもしれない。

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