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【マッチプレビューその1】17/18EPL マンチェスター・シティ vs アーセナル (5/11/2017)

アーセナル今季EPL序盤戦で迎える大一番はアウェイ、マンチェスター・シティとの対戦。マンシティは今季ここまで10戦無敗と絶好調でEPL史上最強チームの呼び声も高く、その戦いぶりもさることながら、もちろんリーグ首位を独走、得失点差は28(アーセナルはたったの6)と圧倒的な戦力を誇る。ついにUCLでヨーロッパのエリートを向こうに互角に戦えるクラブがイングランドに現れたとすらささやかれている。

アーセナルにとっては苦手なトップ6対戦しかもアウェイマッチということで、アウェイでの戦いらしく善戦して敵地で引き分けたチェルシー戦の再現を目論みたい。

ポイント差は「9」。マンシティに追いつくにはこの段階ですでに3勝分のポイントが必要である。どうしても勝ちたい。



17/18EPL マンシティ vs アーセナル予想スターティング

3-4-2-1

GK チェフ

CB モンレアル、メルテザッカー、コシエルニ

MF コラシナツ、ラムジー、ジャカ、ベレリン

FW サンチェス、ラカゼット、エジル

怪我人について

オスピナは引き続き怪我でメイシーがサブGKを務めることになりそう。ウェルベックムスタフィチェンバースは来週のインターナショナルブレイク後の復帰予定。ムスタフィ以外はすでにトレーニングにも参加しているとのこと。もちろんこの試合には起用できない。新しい怪我人はおらず、心配されたコラシナツも無事フィットしている模様。

攻撃陣はラカゼットサンチェスエジルの3人。とくにアーセナルとの契約更新を拒んでいるサンチェスとエジル、彼らがマンシティという強敵相手にどのようなプレイを見せられるのか、注目が集まる。

マッチアップ

普段はやらないが今回だけ、マンシティの予想スターティンと較べてみよう。※画像はWhoScored.comより。

注目は、ジェズース、サネ、スターリングといういまノリノリのアタッカー3人に、メルティコシエルニモンレアルというアーセナルの3CBがどう対応するか。機動力の高い両サイドに翻弄されることがないようにWBがしっかり戻ってCBをフォローしたい。心配の種はメルテザッカーで、マンシティは高さで勝負してくるチームではないので、はっきりいって相性は悪い。集中が必要な時間が多くなりそうだ。

一方、ラカゼット、エジル、サンチェスのアタックだが、シティが押し上げてハイラインを敷くようならようやくラカゼットが輝けるチャンスも増えそうだ。

アーセナルが付け入るスキがあるとすれば、彼らはミッドウイークのUCLをフルパワーで戦っていることだ。フェルナンジーニョやデブルイネはもちろんほとんどの選手がアウェイのナポリ戦をプレイしている。アーセナルは1日休みが少ないとはいえ、木曜のUELを戦った選手はひとりもおらずフレッシュな状態で戦える。ここでそのアドバンテージを活かさなくてどうする。

フォーメーション図を眺めているだけでしばらく楽しめる。

 

この試合、論点はとても多い。

まずはアーセナルには珍しく格上相手にアウェイである程度の成功を収めたチェルシー戦のように、ディフェンスに注力した戦術を採用するかという点。

アーセナルは守備的戦術を採用するか

チェルシー戦と明らかに違う点は、サンチェスとエジルがフィットしており、おそらくスタートから使われるということだ。チェルシー戦が賞賛された大きな理由のひとつは、サンチェスとエジルの代役だったウェルベックとイウォビというアタッカーのふたりが、敵陣でプレスをかけまくり献身的に守備に参加したことが挙げられる。サンチェスはともかく、それをこの試合でエジルが再現できるかどうかは見どころである。タックルでボールを奪うなど先日のスウォンジー戦ではその片鱗を観ることはできた。期待したい。

ところで、どうもアーセナルはアウェイにおけるこの「プランB」が少しでも成功すると、大げさに賞賛される傾向があるように思うが、アンリ氏にいわせれば、アウェイでそのようにディフェンシブな戦い方を採用するのはごく当たり前である。ぼくもそう思う。つまり、アーセナルにとってプランBが珍しいのは、いつもどこで誰と戦ってもまったく同じ戦い方しかしない/できないという戦術的硬直化の裏返しなのだ。褒められて喜んでいる場合ではない。

ただ心配なのは今回はこのプランBが攻撃力の非常に高いマンシティ相手に成功する保証はどこにもないということだ。アーセナルは守備が得意なチームではない。守備だけならEPLの下位クラブのほうがよほどうまくバスを止めるだろう。中途半端に引いて守備的に戦おうものならバイエルン戦のように蹂躙されかねない。そうなればもう悪夢である。

だから、アーセナルはコレクティブに守り素早いカウンター攻撃につなげるといういいときの自分たちのプレイを貫く必要がある。安心してほしい。ボスはこんなことをいっている。

ヴェンゲル:それ(戦術)に関してはあまりしゃべりたくないね。でももちろん自分たちの試合をするつもりだよ。

わたしたちは決して隠れたりしない。アウェイで戦うときは効率的に守りたい、しかしただ守っているだけではダメなんだ。

守ると同時に攻撃もしたい。ボールを持って危険な状況を創りたいんだ。ときに攻撃は最大の防御だよ(ニヤリ)。

フットボールがしたいなら、リスクを受け入れて攻撃をためらわない。フットボールがしたいなら、ピッチ上ではギャンブルもリスクも受け入れるんだ。それも試合の一部だよ。

あとで、それがどの程度のリスクだったのか評価する。もしチームがとてもいい攻撃をしていたら、攻撃よりただ守るだけのほうが大きなリスクだったんじゃないかってね。

守りに専念することは大きなリスクかもしれないんだ。

負けフラグ乙とか茶化そうと思っていたのだけど、読んでいたらなんか少し感動してしまった。この点に関してボスはブレてないんだよな。

相手が強かろうがどんなに負けようが関係ねえ、とにかく攻撃がしたいんだ、それがフットボールなんだという頑なな思い。リスクとかギャンブルなんてことばはプロフェッサーなんて呼ばれることもあるボスには一見似合わないけど、それこそがヴェンゲル監督の勝負師としての揺るぎない信念なんだよね。だからこれは魂の表明だ。ボスは漢だよ。

もっと器用にやれるマネージャーはどんどん現れているし、ぼくももうそれに付き合うのに疲れてきているんだけど、この20年でアーセナルが世界中のフットボールファンを虜にする魅力的なクラブになれたのはこの信念のおかげなのだ。信念が歴史をつくったのだ。

イウォビ「ボスに守備力を向上させないと使わないといわれた」

守備に関しては、イウォビも今週興味深いコメントをしていた。

Iwobi – The key to getting a result at City

イウォビ:ボスはいつもぼくに、ポジションを奪い返したいならディフェンスでも働けるようになれというんだ。得点やアシストも必要だけどそれはがんばっているところさ。だから守備も一所懸命やってるよ。プレシーズンでもやってたでしょ。それが長期的なぼくの宿題なんだ。

みんなよく助けてくれるよ。セアドやヘクターはぼくの後ろで、前へ走るタイミングや戻るときを教えてくれるんだ。

彼らがぼくが試合中にどう動くべきか教えてくれる。戦術的なことはスティーブ・ボールドにも教えてもらってるよ。

そうかそうか。いまどきはアタッカーにも守備力必要だもんな。ボスはエジルにもちゃんとこんなふうに話をしてやっているんだろうか? そこが問題。

マンシティ戦に対するサンチェスのメンタリティ

サンチェスがこの夏マンシティに移籍寸前だったというのはほとんど事実だろう。トマス・レマールの獲得失敗でサンチェスの移籍も水泡に帰したが、この試合でマンシティ相手にサンチェスがどのようなメンタルで臨むか注目されている。

今週早い段階でボスは「サンチェスには“ソーシャル・コントラクト(社会契約)”がある」と大学で経済学を学んだインテリゲンチャのボスらしい表現で、マンシティ相手でもサンチェスのプレイが通常と変わらないとコメントしている。

Arsene Wenger says Alexis Sanchez has ‘social contract’ to do well for Arsenal against Man City

ちなみに「社会契約」とは「政治学や法学で、ある国家とその市民の関係についての契約を指す用語(Wikipedia)」であるが、ここでは雇い主であるアーセナルFCと所属選手であるサンチェスの今季限りの契約を指しているのだろう。その契約がある限りプロスポーツ選手なら契約に従って全力でプレイしなければならないと。

社会契約 – Wikipedia

一方でマンシティのグアルディオラ監督もアーセナルをホームに迎える今回の対戦を前にしてサンチェスについてコメントしている

グアルディオラ:移籍市場はもう終わったよ。だからそれについては話す気はない。アーセナルをリスペクトしている。自分たちの選手もね。

アレクシスについては、あなたたちはぼくの意見を知っているだろう? でも彼はいまアーセナルの選手だ。だから彼について語ることはしたくない。これから戦うんだし。

彼はアーセナルの選手さ。わたしたちはどうやって彼を止めるか分析しなきゃならない。アーセナルにとって非常に重要な選手だし、とてつもない才能の持ち主だ。

このインタビューでグアルディオラはエジルについても言及していたので脱線してそれも少し。彼がクラブOBと衝突していることにはかつての選手として心を痛めているようだ。

グアルディオラ:彼(エジル)に疑いの目を向けたことはないね。まず、彼のクオリティについて。彼がマドリーにいたときは、(バルセロナの監督として)彼のプレイには楽しませてもらったし同時に苦しませてもらった。

彼はチームが負ければいつも批判されていたよ。偉大な選手はいつも批判されるものなんだ。

とても尊敬しているよ。ボディランゲージはあまり彼自身の役にたっていないかもしれないけど、ボディランゲージというもの自体がときどき批判の対象になるよね。クラブOBからとか。

わたしはジャーナリストのみなさんの意見は受け入れるつもりなんだ。でも昔の選手がいまの選手を批判することは不当だと思う。彼らはそこで働くのがどれだけタフか知っているのに。

いまは立派なジャーナリストになったかつての選手たちは、以前自分たちはどうしていたか忘れてしまう。それが問題なんだ。信じてほしい。わたしはどうしてそうなるかがわからないんだ。

エジルのクオリティを疑ったことはない。プレミアリーグにとってああいったタレントがいることはいいことだと思う。そして、願わくば明日は彼が最悪の試合をしてくれることを願っているよ。

たぶん英語で受け答えしていて、後半何をいっているのかよくわからないので意訳させてもらった。

確かにクラブOBのエジル批判はちょっと厳しすぎると思うこともなくはないけど、エジルのタレントゆえなんだよな。その才能をなぜ無駄にするのかという話で。エジルみたいな現代っ子にとっては、そんなの知ったことかということなのかもしれない。ジェネレーションギャップか。

アーセナルレジェンドたちのメスト・エジル。クラブはエジルをどう使うべきか

17/18型マンシティは「インヴィンシブル」なのか

今季始まってからのマンシティはあまりにも強く、早くもアーセナルのThe Invinciblesが引き合いにだされるほどだ。これについてもヴェンゲル、グアルディオラの双方がコメントしている。

ヴェンゲル:(それについて語るのは)ちょっと早いね。まだ10試合消化しただけで28試合も残っている。いま推測するのは難しい。

彼らはいい調子だよ。でもレアル・マドリッドを見てごらんよ(※UCLでToTに大敗)。彼らが数週間前にはなんといわれていたか。それはフットボールの試合においては絶対的なものはないということを示しているんだ。

今のところ彼らが何者かとコメントするのは難しいね。あまり彼らの試合を観ていないんだ。

イングランドには偉大なチームがこれまでにもたくさんいたよ。彼らは確かに本命じゃなかったんだ。

わたしたちに重要なのは3ポイントだ。勝ち取りたいね。

ボスは彼らが本物かどうか、素直に認めることはできないようだ。この期に及んで「マンシティの試合は観てない」とかちょっと笑える。そこは観ようよ。このコメントのあとにはグアルディオラが応答。

グアルディオラ:アーセンにはこの記録(リーグ無敗優勝)はあなたのものだと伝えたいね。彼の記録は敗れないだろう。彼には落ち着いてもらいたい。そんなことは起こらないよ。

それは彼のチームのものだ。特別なチームだよ。このプレミアリーグのタイトルをシーズンに一度も負けずに獲ったんだからすごいのさ。

彼にはわれわれがその記録を破りたいと思っているわけじゃないと知ってもらいたい。日曜に戦って勝ちたいだけだ。それが望みだよ。

マッチデータ

  • マンシティはEPLここ8試合全勝
  • マンシティはEPLでここ4試合で3得点以上
  • アーセナルはEPLここ3試合で2.5得点以上
  • アーセナルはマンシティに対しここ9戦で8戦負けなし

 

近年のアーセナルの対マンシティ対戦成績は詳しくはこんな感じ。12/13以降、エティハド・スタジアムでは、1勝2敗2分。エミレーツでのホームゲームを含めると勝率16%というトップ6相手にしてはアーセナルはかなりマシな成績を収めている。一番最近の今年4月のFAカップも勝利している。画像はこちらより。

WhoScored.comの予想

問題は彼らがかつての彼らではないということ。WhoScored.comでは3-0でホームチームの勝利。まあ順当な予想ですな。でもときどき最強に勝ってしまうのもアーセナルなんだよなあ。レスターが優勝したシーズン、唯一彼らにホーム・アウェイで2勝してるのがアーセナルとか。無駄な成績を残しがち。

 



※追記
Metroに来ていたコラム。「いかにしてペップ・グアルディオラはアーセン・ヴェンゲルが夢見たポゼッション・フットボールをものにしたのか」。かつてポゼッション・フットボールといえばアーセナルの代名詞でもあったが、いまではマンシティがより進化させたポゼッション・フットボールを謳歌している。ポゼッション・フットボールをテーマにしたコラムだ。奇しくも同じ傾向の戦術をベースにしながらかたや凋落していき、かたや調子はうなぎのぼりと明暗が分かれたのはなぜなのか。

How Pep Guardiola has developed the possession football Arsene Wenger could only dream of

 

今回プレビューエントリはその2があります。

【マッチプレビューその2】17/18EPL マンチェスター・シティ vs アーセナル (5/11/2017)

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