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Arsenal, Player

ローラン・コシエルニのキャリアの終わり

ELアトレチコ・マドリッド、セカンドレグでのあの負傷退場はショッキングだった。

誰とも接触することなくひとりでピッチにくずおれると、苦悶の表情を浮かべ手は激しく芝生を叩く。試合中にも関わらず、敵も味方も関係なくコシエルニの周りに心配そうに選手たちが集まったのは、ことの深刻さを物語っていた。



ローラン・コシエルニのキャリアが終わった件

トップレベルのフットボーラーという意味で。

ELアトレチコ戦のセカンドレグで試合開始から10分足らずで負傷退場となったコシエルニ。その後のリポートによると、アキレス腱断裂の重症だとのこと。ちなみに「アキレス」は、日本語だけでなく急所のたとえとしても用いられるように人体にとって非常に重要な部位(最大の腱)で、アキレス腱をやると滅多クソ痛いらしい。コシエルニの痛がりようはたしかに尋常じゃなかった。フットボール選手ってウソで痛がるやつも多いから傍から見ていてもほんとに痛いのかどうかわからないが、あれが演技じゃなかったとしたら相当にヤバいやつだ。

パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2662789

今朝、このエントリを読んで気付かされたことがあった。ぼくはこのコシエルニの怪我にはみんなびっくりしたんじゃないかと思っていたけれど、そんなことではないんだと。

Who wants to live forever?

それはコシエルニがいつかこんなふうになることは本人もスタッフも十分承知していたということ。そしてもし次に大きな怪我を負ってしまえば、自分のフットボーラー人生が終わるということも。

もちろんずっと痛かったはずだ。しかしそこまでして彼は出場にこだわった。身を賭して、文字通り命がけでアーセナルを救おうとしていた。

ここ数シーズン、彼が慢性的な故障を抱えて試合に臨んでいたことは周知の事実であるが、そこまでの覚悟でチームのためにプレイしていたと思うと目頭が熱くなることを抑えられない。

このエントリでゲームキャプテン、ローラン・コシエルニという選手について語っている部分を引用しよう。(※改行はブログ主によるもの)

彼はアーセン・ヴェンゲルにもっとも忠実で、愛されたディフェンダーだった。

ヴェンゲルの頭のおかしいディフェンスの要求に応えられる唯一の男だった。

彼は、アーセンの「ハイラインによって空いた自陣60ヤードのスペースをたった2人で守る」ことができるペイスを持っていた。彼はアーセナルのシステムで危険を察知できるフットボール脳を持っていた。彼のリカバリータックルと力強さがアーセナルをあまたの失点から救った。彼は最後尾からアーセナルの攻撃を始めることができた。

そんな男がアーセン・ヴェンゲルとアーセナルのために、ピッチにぶっ倒れた。

彼はシーズン中ずっとアキレスに問題を抱えていた。これはアキレスを怪我したことがある人なら知っているはずだが、まず、医師からは安静にしていないと裂けますよといわれる。つぎに、医師はこういうだろう。もしアキレス腱を断裂するようなことがあれば、人生最大の苦痛を味わいますよと。

わたしは、アーセンかコシエルニ本人が今シーズンプレイすることを決めたことを苦々しく思っているわけでも怒っているわけでもない。

彼らはこの手術をするようなことがあれば、彼のキャリアが終わることは承知していた。それがもし6ヶ月でも(最短でだ)リカバーは、フルにリカバリーするという意味ではない。それを知っていてなお、コシエルニはアキレス腱が断裂するその瞬間まで今シーズンを最後のシーズンとしてプレイすることを選んだのだとわたしは理解している。彼はわかっていてこの道を選び、避けられない苦痛のほうを選んだのだ。

どんなほかの選手より、2008年以来のアーセンズ・アーセナルを象徴する選手がコシエルニだと思う。だから、もちろん、昨夜それは起こるべくして起きた。もちろん、それでコシエルニのキャリアは終わった。

彼がピッチにくしゃくしゃになって横たわり苦しみにのたうち回る姿は、ヴェンゲルのアーセナルでの最後の日々そのものだった。

泣いた。

 

コシエルニの怪我ヒストリー

いまさらながら、コシエルニのインジャリー・ヒストリーをTransferMarktから。

最新の怪我「Achilles tendon problems」が、これからの最長の離脱期間を記録することは間違いない。6ヶ月が本当なら、およそ180days。

アーセナル入団以来、ここまで長期離脱こそなかったものの、膝、腿、スネ、アキレスとまんべんなく脚を怪我している。背中の故障はきっと脚の故障をかばったところからくるものだろう。毎年のように細かい怪我を繰り返し、身体からの悲鳴を聞かないようだましだましプレイしてきたことが伺える。

少し前にヨガでだいぶ痛みがやわらいだとコメントしていたように、少しでも状態を改善させようと科学的なものはもちろん、ひょっとするとスピリチュアルなものまで、ありとあらゆることを試したかもしれない。涙ぐましいとしかいいようがない。彼にとって、フットボール選手でいる限り、怪我とは一生付き合わねばならないものだった。

アスリートに怪我はつきものだとはよくいわれるが、やはり多すぎた。そういう意味では彼も才能がありながら怪我に悩まされ続けたという典型的なアーセナルの選手だった。

コシエルニの今後

彼のキャリアが終わるといっても、そこでいうキャリアとは、アーセナルのファーストチョイスCBとして、トップレベルのCBとしてのキャリアだ。以前に「アーセナルの補強ポイントCB編」で触れたように、残念ながらもともと彼のパフォーマンスはここ数シーズンで年を追うごとに落ちていた。仮にこの怪我が完治したとしても、それで元に戻れると考えるのは楽天的すぎる。現実的になれば、むしろ完治しないというケースも想定すべきだろう。アキレス腱の怪我は治りにくいそうだ。

彼はいつか語っていたようにキャリアの最後はきっとフランスに戻るんだろう。おそらく今年の暮れくらいに奇跡の復帰、控えCBとしてアーセナルで来シーズンを過ごしたあとは、キャリアの締めくくりとしてフランスのクラブに移籍する。そんな感じじゃないだろうか。

そしてファンとしては、願わくば、数年後にはアーセナルにコーチとして戻ってきてもらいたい。チームのために最後まで死ぬ気で戦った本物のガナーなのだから。

 

ここにも一時代の終焉を知らせる鐘の音が鳴っている。



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