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ニコラス・ぺぺのポジショナル分析。シュートとポジショニング、プレイスタイル

ぺぺは3人目のボックス内ストライカー

ラカゼット加入のあとにアーセナルがこれまたクラブレコードでオバメヤンを獲得したとき、「ボックス内(限定)ストライカー」というよく似たタイプの選手をどうしてまた取ったのかと、このブログではだいぶ疑問の調子で書いた。世間様はトップストライカーの獲得に大騒ぎだったが、アーセナルの財政状況からしても、かなりのリスクをかけて、とてもよく似たふたりを取ることはおかしな選択だと思えたのだ(ジルーがいなくなったことでプランBもなくなった)。

その後に、ふたりのコンビネイションが活きることがわかると当初の憂いはだいぶ払拭されたように思えるが、それでもオバメヤンをワイドに置くことにはいまだに議論はある。試合中にもしばしば目撃するところであるが、最高のフィニッシャーがいつもゴール前にいないというのは、たしかに無駄が多い。彼はチャンスメイカーでもないのだからなおさらだ。オバメヤンがトレイラにクロスを上げるみたいなナンセンス。

そして、今回この記事で知ったことはぺぺが、ゴールスコアラーとしては、まさしくボックス内ストライカーだということ。去年22ゴールなのだから、今年も当然それは期待されている。

しかしペナルティスポット付近でたくさんゴールが決まっているということは、要するにラカゼットとオバメヤンと丸かぶりではないか。

それと、ボックス外からのシュートがほとんど決まっていないということも、ウインガーとしては残念な記録だ。基本はワイドプレイヤーなのだから、当然いつもボックス内にいるわけではないし、ボックス外からのシュートチャンスは多い。それなのに1/47とはCVが低すぎる。ボックス外シュートの決定率が50本に1本くらいだとするとxGでは0.02。もしかしたら「ジャカ砲」レヴェルかも?

この記事が、ストライカーとしてはそうでも、チャンスメイカーとしてはラカゼットやオバメヤンが大いに活きるという結論なら、だいぶ安心できたのだけれど。

彼もまだ24と若いので、これから成長していく余地はたくさんあるはず。シュートなんかの個人的で技術的な部分では、アーセナルでよりよくなっていってもらいたいものだ。スーパーな先輩もいるし。

たとえばぺぺがまったくできていないという、GKの頭上・ゴールフレイムの上側を狙うようなシュートはラカゼットがとても得意だ。彼はよくボックス内で足を振り切らずにゴールの上を狙ったシュートを打っている。ああいったものは純粋にテクニックに属するものだろう。個人として改善できる部分だと思う。

右足も少し使えるようになっておきたい。先日のリヴァプール(A)では、せっかくカウンターで抜け出したとき、ドリブルしながら右サイドに流れていったときにはゴールの期待はしぼんだものだった。



ぺぺの正しい使い方

ぺぺがいまだ本領発揮できていない理由について、リーグやチーム、生活など新しい環境に適応中というのはもちろん大きいだろう。とくに世界で一番タフなリーグと云われるPLへの適応の困難さは誰もが認めるところだ。

一方で、現在のエメリによるぺぺの使い方は正しいのだろうか。

これまでの使われ方は、4-2-3-1、4-3-3の右ワイドFW、あるいはラカゼットがいないときは、オバメヤンとコンビで2ストライカーのひとりとして使われている。

エメリはリヴァプールのフロント3を意識しているとも云われ、ぺぺをサラー役で使おうとしているようにも見える。

こういったエメリの起用法は、ワイドからインサイドに入っていきたいぺぺ本人のプレイスタイルとも合致するものだが、まだここまであまりうまくいっていないのは、本人の適応だけが原因なんだろうか。戦術的により正しい、彼と彼の周囲の選手たちとマッチした使い方はあるんだろうか。ぼくにはまだよくわからない。

せっかくぺぺのようなピュアウインガーを取ったのに、ミキタリアンやイウォビと同じような使い方(インサイドFW)をしていることに不満なファンもいる。

どうしたらいんでしょうね。

 

今後ぺぺのことがいまよりもっとネガティヴに騒がれだすことがもしあるとしたら、この無得点がもっと続いたときだろう。そんなときに彼にはどういった戦術的調整が加えられるのか。カップ戦などでは思い切ってCFとして使う機会もあるだろうか。興味深い。

そんな悪い未来が来ないことを祈っているが。。

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6 Comments on “ニコラス・ぺぺのポジショナル分析。シュートとポジショニング、プレイスタイル

  1. アーセナルにはヘッドによる得点がない
    ゴール前にクロスを出す場合、DFのいない場所、大抵はCFがゴール前に詰めるのでPAライン付近しかスペースがない
    ラムジーはこのエリアに飛び込むのが上手かった(そしてシュートは下手だった)

    クロッサーを獲得しても、自身がDFラインを押し下げられなければ、中央に陣取るラカゼットやオーバにボールを届けることが難しい
    相手にとって1番の脅威はオーバやラカゼットなので、中央の守備は厚い
    その点で、カラスコやフレイザーがアーセナルで生きるかどうかはわからない(ぺぺより守備の貢献は期待できるが)
    ぺぺの場合はドリブルでDFを剥がすことができる
    ヘルプに来たDFの穴を有効活用したいところ

    大柄でスピードが速く、デュエルに強いプレミアDFに苦労するWGは多いが、ジェルビーニョらに比べればタッチの細いドリブルができるし、リーグアンでは自身で獲得したPKが多く、またチャンスメイクも優れていた
    ぺぺ自身の得点は振るわなくても、今後、アシストやキーパスが増えるだろうと予想する
    まだ辛抱したい

  2. 去年のペペの22ゴールのうち、21ゴールは左足、1点がヘッドという話を聞いたことがある(ちょっと間違ってるかもだけど、かなり近しいはず)。つまり右足で得点を獲る確率は非常に低いということだろう。

    ゴールした位置を見る限り、右サイドというよりかなり中央に近い位置まで侵入してるようなので、オーバやラカとのポジショニング調整がエメリの課題でしょうね。ここまでを見る限り、カウンター以外でペペが中央まで侵入する機会はほとんど見てないので。

  3. 中央のプレーといってもいろいろありますからね。

    ラカゼットとオーバメヤンはともにウイング出身ということもあり、中央に固執するタイプではなく、サイドに流れるプレーもできるプレーヤーです。

    そして、中央で決めるプレーに関しても違いがあるように思います。ラカゼットは体幹の強さを活かしつつゴールを決めるタイプ、オーバメヤンは裏抜けのタイミングで勝負するタイプで、二人はゴールの決め方が全く異なります。

    エメリがオーバメヤンをサイドに配置しているのは、中央でCBと競り合わせるよりも、サイドからCBとSBの間に走りこませるほうが相手としては厄介だと判断しているからだと思います。

    私の3トップの役割に対する見立ては、
    ラカゼット…CBを引き付ける。バイタルを攻略する。サイドに流れてオーバーロードを起こす。
    オーバメヤン…偽ウイングとしてプレーをしつつ、彼をマークするのは右SBと思わせる。機を見て中央に侵入してゴールを決める。
    ペペ…右のハーフスペースの攻略。左でオーバーロードが起きていれば、右に展開されて独力で突破・ゴールを目指す。右にボールがあれば、彼が相手を引き付けて右SBに渡すorCBを引き付けてラカゼットやオーバメヤンに好機を演出する。

    中央でプレーすることに特徴のある3人ですが、二人はハーフスペースの攻略がメインなので意外と噛み合わせがいいと思います。

    まだ結果はついてきていないですが、チームが熟成されていけば、自ずと結果はついてくると思います。

  4. 悲しいのは3人同時起用は深刻な守備問題になることだね
    オーバもぺぺも4-4のブロック守備が上手いわけでなく、サイドを攻略される

  5. ぺぺ、思ってた以上に運動量少ないですし守備苦手ですね。モダンなウインガーだと思ってました。なんで3人同時に起用するなら一昔前のレアルみたいに後ろ43で頑張れロングカウンターしか無さそう。かといって1人で全てやっつけるラモスとカゼミロが居ないんで点をバンバン取られるチープなロングカウンターでしかないでしょうけど。現状は前プレもダメ、リトリートもダメ、頼みの攻撃もビルドアップが崩壊しててポゼッションどころじゃない。ロングボール蹴ってもオーバはジルーとは違う。相手のミスを待って拾ったらカウンターという厳しすぎる状態。サイドバックとホールディングが戻ったらビルドアップが良くなると願うしかないです。

  6. 薄々気づいてはいたけど、やっぱロングシュート下手なのかこの人。w
    まあキック自体はスピードも精度もあるし、伸びしろに期待するしかないか。

    一方で、狭いスペースでターンして相手マーカーをはがす能力はハンパないと思う。
    4-2-3-1の右ウイングで、背負って受けてターンしてチャンスを作る、みたいな役割が合ってるような気がする。
    なにせ今中盤が作れてないので、少々強引にでもチャンスを作ってくれるのは有り難い。

    まあまだ1ヶ月なので、まだ周囲と全然合ってないと思うし、それは当然のことで。
    もうしばらくは辛抱して見ておきたい。

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