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アーセナル20-21シーズンのCBを考える

評価激変のムスタフィ

ジャカと同様、AFCでのキャリアにおいて劇的ターンアラウンドとなっているのがムスティ

2016年に巨額でクラブにやってきてから(※TMによれば€41M)、致命的エラーを重ね、期待に応えるどころか戦犯扱いされることもしばしば。これまでファンにはもっとも不人気な選手のひとりになっていた。

ファンだけでなくクラブからも徐々に信頼を失い、アーセナルはほとんど毎年のように彼の売却を試みていたという。そして去年夏には、ウナイ・エメリ自らが彼の退団を許可していたと認めていたように、チームのプランからはほとんど外れていたのが今シーズンだった。

それがアルテタが来て状況が一変。スターターに選ばれ始めると、相変わらず小さなエラーはやらかしているが(そういやエヴァートンではほぼなかったか)、積極的なパスや強いヘッダーなど彼のストロングポインツが活かされ、全体的にパフォーマンスの質が向上している印象がある(※スタッツまで調べていなくてゴメン)。好パフォーマンスでファンからの信頼を取り戻すという、奇しくもジャカと同じ現象が起きている。

今後のアーセナルのCBを考えるにおいて、この変貌した「NEWムスティ」をどう評価するか、どう未来のアーセナルのなかで位置づけるかは、非常に悩むところではないだろうか。

ここ数試合でムスタフィは評価を一変させているが、もしそれがなければクラブにとっては実質的にこの夏が売却のラストチャンスで損切覚悟で売られるはずだった。契約は2021年までなので、そうでなければとっくに契約更新しているのだから間違いない。本人も今シーズンあのような状況で残ったとはいえ、来シーズンもアーセナルでプレイするとは信じていなかっただろう。

もちろんこのハイパフォーマンスがこれからもつづくかどうかは誰にもわからないし、今シーズン残りのパフォーマンスも検討されることになるだろうが、ムスタフィをどう評価するかは来シーズンに向けたCB補強プランにとても大きな影響を与えるに違いない。彼の評価によっては新CBを買わない選択もありえるのではないか。だって、どうせつぎの夏も予算は限られているのだから。

ちなみに本人はアーセナルとの契約延長に前向きであると、5日前の『The Guarudian』が伝えていた。自分のパフォーマンスに手応えを感じているのはもちろん、ファンの反応の変化も感じ取っている。風向きが変わってきた。

ムスタフィ:(2021年で契約が切れます。AFCでの未来について)ホワイノット? ぼくはいつだって毎日コツコツとやってきた。いつだって最後の瞬間まですべてを出してきた。ぼくが決めようが、クラブとぼくで決めようが、これがつづくというのなら喜んでつづけるよ。そうじゃないのなら、前に進まなきゃならない。

ムスタフィについては一ヶ月前、こんなエントリを書いた。

ムスタフィのキャリアを救うのはアルテタ | ARSENAL CHANGE EVERYTHING

このときにムスタフィがこんなになるなんてさすがに想像できなかった。

苦境のHGコンビ。ホールディングとチェンバース

現在長期離脱のチェンバースはリハブ中。術後の進捗は公式にもアップデイトされていないので、とくに変わったことはなさそうだ。

12月29日に十字靭帯を断裂し手術は成功。6-9ヶ月の離脱というので、復帰はもっとも早くて今年の6月。遅いと9月。まあ復帰予定時期に3ヶ月のギャップがある時点で、明確な復帰の時期はほぼわからないといったところか。

彼は残念ながら、夏のウィンドウでも離脱している可能性があり、売ることはできない。したがってクラブの意向に関わらず、来シーズンの残留はほぼ確実だ。

問題はホールディング。ロブホは、ちょっと心配な状況にあると思う。

ぼくは彼は復帰すれば、すぐにチームに戻ってくるものだとばかり思っていた。それがどうだ。

ここ最近はベンチにも入れなくなっている原因は、CBが揃っているという事情もあるが、やはり彼自身のフィットネスが完調していないからという理由も大きそうだ。

彼が今シーズンのPLでプレイした試合は11月のレスター(77分)、1月のチェルシー(9)のみ。どちらも不安定で、彼本来のパフォーマンスを出せていたとはとても云えないものだった。

重症からのカムバックという意味では、ベレリンと一緒に語られがちだが、やはりふたりともベストフォームを戻すのにそうとう苦しんでいる。ベレリンもレギュラーには戻っているものの、スピードのある相手と対峙したときなどの対応を見るに、とても完全に以前の彼に戻ったようには見えない。

Holding, Bellerin and Chambers: a repeating tale of ACL…

アルテタはホールディングの前向きな姿勢を称賛していたが、フィットネスばかりは努力で戻すには限界がある。

個人的には彼は未来のアーセナルのバックを担うひとりだと信じているが、現状だと夏のローンはありえるかもしれない。いまのアーセナルでは少なくともスターターではプレイできないだろうし、試合で起用しながらだましだましで彼の復調を待てるほど、アーセナルは呑気でいられない。

いま彼を売却するのは最悪の選択だと思う。

これからプライムイヤーズに差し掛かるという大事な時期なのに大した現金にならないというのもあるが(TMでのMVは€12M)、離脱前の彼のパフォーマンスを憶えているならそれがどれだけ愚かしいかわかるはずだ。タレントは間違いないし、まだ24才なのだからこれからの大成は十分期待できる。先日も某所で話題になっていたが、そもそもCBで大器晩成する選手は多いのだ。

もし夏に彼を手放す決断をするのだとすれば、それはケガの影響を悲観的に評価するときだけだろう。残念ながらそれは可能性としてはあると思う。

ベレリンを見るに、復帰後も長いプロセスが待っている。そしてそれはこれから復帰してくるチェンバースも同じだ。

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11 Comments on “アーセナル20-21シーズンのCBを考える

  1. いつもながら素晴らしい考察でめちゃめちゃ面白いエントリでした!
    まさにムスティが残りのシーズンでどこまで評価を得ることができるかで大きく変わりそうですね。
    半端な扱いで残すとも思えないので、それなりの額でSELLか(エバートン辺り?)、ルイスに取って代わってバックラインのリーダーか。
    アルテタが新CBをあえて獲らず、ムスティ残しならそれはそれで大いに期待もしたいところ。
    個人的にはムスティが確変→継続→天国モードでアームバンド巻く所までを見届けたい。
    COYG

  2. 更新ご苦労様です。

    実に興味深いテーマです。個人的に感慨深いのはこのテーマですらポジティブな空気を感じることです。どうにもならずクラブも恐らくは選手本人も望んだはずの『別れ』が出来ず結果的に今季も残留したあのムスタフィが・・・

    それでもムスタフィに対するアルテタの本心はまだ分かりません。私はアルテタが現メンバーから消去法でムスタフィを選んでいる可能性を否定できません。だからこそ以前にパブロ・マリがフィットした後にこそムスタフィの本当の評価が分かると書かせて頂きました。シーズン終盤の連戦に向けてパブロ・マリの起用頻度は増えるはずです。そうでなければ彼を冬に獲得した意味がありませんから。その時期に誰が大事な試合でルイスのパートナーを務めるかでしょう。

    ホールディングとマブロパノスに関しては完全に同意です。彼等はまだまだこれからの選手です。現時点でアーセナルが彼等にレギュラーポジションを与える可能性はほぼないでしょう。ならば将来を見据えて彼等には出場機会が与えられる環境を用意すべきだと思います。レンタル移籍させるべきです。

    ソクラティスとチェンバースに対しても同意ですね。前者は恐らく来季アーセナルには在籍していないでしょう。後者は少なくても来季を通じてリハビリのシーズンだと割り切ることすら必要だと思います。

    サリバは期待の若手というレベルではなさそうですね。数年後とてつもない選手に化けているかもしれません。

    私は来夏のCBに関してはアーセナルが来季も欧州カップ戦を戦うか否か全てだと思っています。来季も欧州に挑むなら管理人さんの予想に賛同です。しかしながら・・・そうでなければムスタフィと契約更新して残しマリも買い取った上でサリバがムスタフィを凌駕するのを待つということになるような気がしています。

    アーセナルがプレミアに専念するならオーバメヤンもラガゼットも放出せざるを得ないでしょう。であるならば限られた予算は攻撃陣と中盤の刷新に使われるはずで高額のCBまでは獲得できません。そう!私自身もびっくりですが現時点のムスタフィを放出してまで獲得する選手の獲得には高額の資金が必要でしょうからね。

  3. 新CBにはフィジカルモンスタータイプが欲しいですね。アルビオルとクリバリ、ピケとウムティティのように、テクニカルなCBとフィジカルなCBの組み合わせはとてもいいと思います。ウパメカーノとかとれたらいいですね。

    CBは経験がモノを言うポジションなので、ローンを活用しながら世代交代していけると理想的ですね。

  4. 本人次第でもありますが、ルイスはコーチ兼任の2年契約とか良いと思うのですよね
    多くのトロフィーを勝ち取った経験と、コミュニケーション能力の高さ 南米勢の兄貴分という立ち位置も、SDエドゥによる南米選手のピックアップ増加に効きそうだと考えます コーチ業も引き受けてくれるのであれば、ローテ要因としても置きやすいかと 引退後のルイスを今のうちに確保しておくのも良いのでは
    彼の後釜にはロブが適役だと思うのですが、早くフィットしてくれるといいですねぇ

    来夏はSBとCMの補強にお金を使って欲しいので、ムスティ残留希望ですw
    ウパメカーノを獲れる金銭的な余裕があれば最高ですがねぇ
    ラムジー戻ってこないかなぁ。。。(適切な金額で)

  5. とても興味深かったです。
    ムスタフィはパフォーマンスが上がったからこそ売られるかもしれない、というのは考えていませんでした。

    靭帯の大ケガをした選手は、パフォーマンスが戻るまでには、離脱していた期間と同じくらい必要なこともあると聞きます。
    そう考えると、おっしゃる通りでホールディングは少しでも試合になれていく環境が必要でしょう。

    あとマヴロパノスが、先週末の試合で負傷退場したようで心配です。

  6. 主さんの予想のようになればいいなぁまる。新CBが誰になるかなりそうなのか興味。ウパメカノなら…
    相当な新CBでないならサリバ最初から使っていいとも思うかな。くらいサリバにも期待してます。

  7. 向こう10年安泰と思われたホールディングの重傷。 ムスタフィの絶不調 & 買い手の無さ。
    マヴロパノスの力不足。 チェンバースの重傷。
    ルイスのパニックバイ。 ソクラティスの衰え。

    それから考えれば、もの凄く贅沢な悩み。
    ムスタフィは高く売れるといいですね。

  8. 欧州カップの登録規定から来シーズンにサリバが加入でHG外の選手を一人売却しないといかんですよね
    これまでの選手起用やビルドアップのことを考えるとソクラティスということになるんでしょうね
    もしもう一人獲得するなら、マリがダビドルイスの代わりの選手になれるかなのか
    もしなれるとしたら年齢的なことを考えるとダビドルイスよりムスタフィに期待したいです。賃金でいうとダビドルイスのほうが高いですしね

  9. ソクラテスはロングフィードがないので、マリがフィットするようなら出番が急激に減るかも。

    個人的にはムスタフィを売るべきだとは思わない。スイーパータイプが他にいないし、このリーグであのタイプを育てるのには時間がかかる。

    CBよりも、むしろ中に絞ってこれるフィジカルの強いFBがいないのが問題だと思う。アーセナルはボールを支配するスタイルなので、攻守にスペースを制する必要があると思う。ピッチの横幅をカバーするには最低3人必要で、CBにはどうしても左右のFBの助け(攻撃面でも)が要る。ペジェリンが中に絞ってプレーしてるようではいかにも苦しい。KTでもギリギリくらいだと思う

    リバプールは2CBだけで守ってるとよく言われる。しかし彼らはスタイルとして「ガン上がりのハイプレスorきちんと引いてセット」の2択なので、FBがタッチライン際のプレーに特化できてるだけだと思う。それを可能にしてるのは、ボールを簡単に手放してでも攻撃を速く完結させる戦術であり、ハードワークに特化した3人の中盤だと思う。アーセナルとはスタイルも、選手構成も違う。

    僕はアーセナルに必要なのはVダイクではなく、カイル・ウォーカーだと思う。

  10. ホールディングのローンはあり得なさそうな気が。
    マリ次第でムスタフィは売却でいいと思う。
    パフォーマンスがやっと上向いたけど今までのこと考えれば
    エラーが多発する時期もくるだろうし、延長すべきとは思わない。

    消去法だけどDルイスの単年契約延長でその間に新戦力探し、サリバ、ホールディングのフィットって感じかなあ
    フロントの今までの発言だと高齢プレイヤーの単年契約延長はしないのかわからんけど。
    でも上の方が書いてるけど、でもDルイス、週給さすがに高いんだよなあ。。
    かと言ってベテランのCBを獲得して短期的なソリューションにって、、かなり怖いもんなあ

  11. パフォーマンスレベルとコストの両面を考慮し、パパとムスティは売却が既定路線でしょう。で、特に売却が難しくなっていたムスティを起用することで市場価値を高めるというのは理に適っているように思います。
    現スカッドのCBを見ても、ルイスのスーパーなビルドアップ力を除いて、可もなく不可もない選手が多いですし、アルテタの下で更に上のレベルを目指すなら、そこのグレードアップは必須でしょう。
    来季加入のサリバと新CBでCB2枚、中盤底、No.10、左ウィングが来夏の補強ポイントになるのではと見てます。

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