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【マッチレビュー】20/21EPL アーセナル vs レスター(25/Oct/2020)ミケルのドーナツ化現象

トマス・パーティの使い方?

そういった攻撃における膠着したチーム状況で、新しい風をもたらしてくれると期待されたトーマス・パーティだったが、この試合は彼にとって結果もさることながら、あまりいいデビュー戦にはならなかった。

ぼくが残念に思ったのは、彼をアンカーポジションに置いたことだ。てっきりジャカをアンカー(6)にして、セバーヨスとパーティがそれぞれ10/8あるいは8/6のように配置してくれるものだと勝手に期待していたが、そんな誰でも考えつくノーマルなことはミケルはやらなかった。

そのおかげで「彼はNo.10のパスを出すホールディングMFだっ(©オーウェン・ハーグリーヴズ)」が、なんだか宝の持ち腐れのようになってしまった気がしてならない。

それと、試合後にはジャカと彼のボールタッチに関するスタッツが注目されていたが、それぞれのタッチが113 v 60、パスが98 v 54と、ほぼ2倍の差がついている。

これが何を意味しているのかといえば、チームメイツが彼にあまりパスをしなかったのだ。 パスマップをもう一度貼ろう。

ジャカ、ガビ、ルイス、ベレリンとバックでボールを回しつつ、前方にボールを運ぶ機会を伺うわけだが、ルイスもガビもパーティに預けることをためらっていることがパスマップでもよくわかる。

この関係性のなかでは、ジャカとパーティが比較的パス交換があるが(パーティから与えるほうが多い)、ガビからはもっと少なく、ルイスから、あるいはベレリンからパーティへはラインが見えないくらいだ。

ジャカとガブリエルはお互いに35回、24回とパスを出している。だが彼はそれぞれパーティに8回しかパスを出していない。

Orbinhoはいつになく感情的なtweetsを連発していたなあ。

バックでボールを回しているとき、彼にはジャカよりもよほど近い位置に相手の選手がいたので、安全を第一に考えれば彼に出さない選択は理解できる。だが、これではパーティを€50Mもの大金を出して買った意味がない。パーティがピッチの中央でボールが来ず孤立していたという指摘もあるくらいで。

先日のELラピッド・ヴィエナでも感じたことだが、チームはパーティを信頼してもっともっとボールを預けるべきではないのか。彼がピッチの中央でゲイムメイカーになれば、アーセナルのMFは活性化するのではないか。先日の試合でも彼の前方へのパスのなかに、もうわれわれは兆しを見ている。新加入でパスを出しにくかったとか? なら少なくとも、チームとしてそういう意図を共有して持つべきではないか。

それと、CKなどのときに彼が後ろにいたのには驚いた(毎回じゃなかった?)。トマス・パーティは185cmの身長があり、エアリアルジュエルも彼のストロングポインツのひとつだ。ふつうCKやFKでゴール前にボールを放り込むときに、後ろでカウンターに備えるのは小柄で足の速い選手だろう。パーティはパスが上手で足も速いということで、後ろでセカンドボールを展開したり逆襲に備えるのは最悪ではないが、それはゴール前で彼のフィジカリティを活かすよりも効率的だろうか。

そういった意味でも、この試合はパーティの使い方に疑問を持った。

致命的にやらかすムスタフィ

80分の失点シーンの直前、ピッチを縦方向から捉えたカメラではガブリエルがムスタフィにヴァーディをケアするように大きなジェスチャで指示を出すところが捉えられていた(昨日の今日でそのシーンを伝えるtweetの動画は軒並みバンされてしまっていた)。彼は繰り返しムスタフィにこの指示を出していたという。

この時間帯は、わりとアーセナルの選手全員が集中を切らしていたような雰囲気はあって、まさに一瞬のスキを突いた攻撃という感じだった。いつも相手FWに対して守備の選手を余らせているアーセナルが、ここはほんとうに虚を突かれた。

DFの背後のスペイスを突く相手のパスも見事だったし、Underにスピードで簡単にちぎられたジャカ(とKTもか)はギルティだろうが、このシーンを観る限りでは、ムスタフィはガブリエルのサポートをしなければならなかった。局所的にはガブリエルとヴァーディの1 v 1になっており、かなり危険な状態だった。

このシーンが示していることは、きっとムスタフィのDFとしての致命的な欠陥なんだろう。アウェアネスとか集中力とか。この距離感では、ガブリエルの指示に気づいてもっと早く戻っていたとしても間に合わなかった可能性もある。ただ、ゴールの瞬間のヴァーディとムスタフィの距離を見れば、がっくりと項垂れたくもなる。

そんな彼でもここで使わざるを得なかったアーセナルの不幸を呪わねばならない。夏にはCBが8人もいて、多すぎることに頭を抱えていたのに。このざまである。

ムスタフィといえば、最近GOALからfootball.londonに移籍したジャーナリストのクリス・ウィートリーが、ムスタフィが夏にアーセナルの契約更新オファーを断っていたと明かした。

彼はアーセナルに契約が満了する来年の夏に移籍すると告げたそうである。

なんなん?

その他試合について

気がついたことなど。

  • オバメヤンはPLで5試合ゴールなし。国内リーグでは2014以来だとか。やっぱり巨額の契約更新には罠があるのかねえ。そしてストライカー頼みのうんこフットボールをやってれば、結局こういうことになってしまう。このチームには彼以外にスコアラーがいないみたいなものだ
  • ガブリエル、KT、サカが輝く。彼らはいつも輝いている
  • レスターでフォファナが輝く。ウィリアム・サリバは彼のプレイをどう見ただろう。GFFNのアニキもtweetしていたが、ASSEではサリバのほうが彼よりも優秀なCBだと思われていたのだから、いまのこの差は不思議である。サリバは家族に不幸があったのはほんとうらしいが(Romanoも指摘していた)、それだけでパフォーマンスがそんなに落ちるものだろうか。不思議だ。
  • セバーヨスの使い方もなんとかしないと

試合については以上。

※コメントくださるかたにお願い
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16 Comments on “【マッチレビュー】20/21EPL アーセナル vs レスター(25/Oct/2020)ミケルのドーナツ化現象

  1. 5レーンを意識した攻撃って大事だとは思うけど
    あんな律儀に選手を並べることに意味はない気がします。
    アーセナルの前線が5人揃う頃にはレスターは守備を7人揃えて守備ブロックが完成して手詰まりになるんじゃ
    創造性のある選手がいても崩すのは難しいと思います。
    オーバメヤンの華麗な裏抜けからのゴールからの笑顔が見たい。

    1. おれたちのチームはこれからのチーム。
      今は、決まりをつくってる最中。
      守りの決まりは半年でかなり浸透。
      ムスタフィはいつだってムスタフィ。
      でもCBからのパスだけでは勝てない。
      攻撃はこれから。きっとよくなる。
      でも、誰をどこで使うかは決断のとき。
      3トップを誰にするか。
      あたしの理想はサカ、オーバ、ペペ。
      彼らにラストパスを出すのはウィリアン、セバジョス、パーティ。あとスミスローも。
      もう一人のガビの復帰もカギになる。
      あとサリバも。
      勝つ試合がみたいですね。

  2. ご指摘の通り、オレもアルテタは奇をてらったのだと思ってます。

    色々言われてますが、VARは大いに賛成派で、誤審は本当に興醒めです。
    あの一点が認められていれば試合も違ったものになっててルイスの怪我も、、、と考えると腹も立ちます。

    (ゲーム後に呑みながら、あの誤審がどーだっただのと盛り上がるのもフットボールの一部だと言う人もいますがとんでもねー)

    なんか久々に、負け試合なのにたくさんウジウジ言いたくなる試合でしたね。
    乱文すません。

  3. 攻撃時3バックの左右がジャカ・ルイスである時点で、中盤を飛ばしてゲームを作るつもりだったんだと思う。
    3バックの左右がルイスとジャカではトランジションが危険すぎるから。

    ライン間でボールを受けることはリスクでもあり(奪われるとトランジションでボールの後ろが1人少なくなる)、僕は必ずしもマストではないと思う。

    まして右CBがムスタフィになってしまった今、トランジションで右ムスタフィ左ジャカなのが分かっていて、IHがボールを失うリスクを冒せるだろうか?
    僕なら絶対やらない。

    ただFBが高い位置を取れてるだけに、IHがライン間で受けた時の威力は増してると思う。
    またムスタフィは黙っていても自分でボールを失ってしまうので、安全策を取るのは逆効果かもしれない。

    なので個人的には、①ジャカではなくパーティを右サイドに下げる。②右CBにサリバを使う。のどっちかじゃないかと思う。
    とにかく後方を安定させて、IHがリスクを冒せる状況をまず作るために。

  4. ヴェンゲルがやったような選手のコンディションと偶然に左右される即興性を取り入れるよりは、パターンを増やすか、わかってても止められないパターン(相手に同時に数個の選択肢を迫るような)をつくるべきだと思います。とはいえ、それらを昨シーズンまで持っていたシティやリヴァプールが苦しんでいるのをみると、そもそもの前提となる5レーン理論が廃れてきてるのかなとも。そこはアルテタの真価が試されますね。
     アルテタのことは全面的に支持したいですけど、リードされてからの交代策が当たらないのが気になります。セバージョスが消えてたとの指摘ですけど、彼ってプレス回避が持ち味なわけで、ひかれたときに置いても、パスずれること多いし、そんな意味ないですよね。だから幅とるティアニーとライン間に置けるサカ(怪我ぽかったけど)じゃなくて、セバージョス変えて5+1ができる選手入れたほうがよかったと思います。

  5. アルテタは発言の節々からラカゼットをいまいち信頼してないと思うさいますが、その割にはオーバを真ん中で使わないんで混乱してます
    彼を中心にチーム作りをすると言ってたのは何だったのか
    中盤でプレスでボール取れてもすぐ横パスになるのは何故なのか
    アルテタになってまだ攻撃の形が出来てないのは不安ですね、その点ではエメリと同じかなと

  6. 長文お疲れ様です。
    ジャズの事は詳しくは分かりませんが素敵な喩えで面白く読ませていただきました。
    コメント失礼します。
    そもそも前半開始早々からハイペースで攻め立てるアーセナルの攻撃に対してレスターのみならず主審やラインズマンも全然追いつけていないように見えました。
    その結果脳への酸素の配給が追いつかず判断を誤り誤審に至ったのだと思います。
    なので仕方ないと思いますw
    アルテタの経験も攻撃のchemistryも場数を踏まない事には進歩も反省もしようが無いと思います。
    なのでエジルが退団する頃までwはじっくりとアルテタの試行錯誤に付き合って行くしかありませんね。
    COYG!

  7. 試合そっちのけですが、サリバについてはもう少し理解を示してあげほしいなぁと思います
    ご家族に不幸があったという話も、私が読んだ記事では母君という話でした 本人のコメントまでは未確認ですが、20歳前後で言語や文化の異なる国に来たばかりの若者にとって身内の不幸が影響しないワケがない 今年の夏に、せめて家族の近くのフランスでもう一年という希望も叶わずとなれば、すぐにファンの期待に応えろというのも酷な話かと思います
    安くない移籍金や噂されてきたポテンシャルにNO.4という背番号に対する期待値、アーセナルとの契約下にある選手という面も去年のレンタルが失敗だったという考え方も尊重しますが、一人の人間としても見てあげて欲しい 不幸なことなんて皆が耐えて乗り越えるのが当たり前なのだとしても、彼は俺たちのサリバなんだから

  8. さすがにもうジャカを諦めてほしい。ジャカは相手にとってブロック再構築ポイント。少なくとも5回は縦に出せば数的有利でチャンスになりそうな場面がありましたが前への意識は体勢からして皆無で横パスとバックパスばかり。カソルラならって何回も思ってしまいました。

  9. ゲーム感覚もない状態で、
    途中出場の難しさとアップもろくに出来てないのがある中で
    このレベルの相手に緊急出場することになったムスタフィ。お気の毒です。

  10. 素人目にもアルテタは攻撃面で再現性を求めすぎてるように見えます
    ただチーム構築のプロジェクトの第一段階としてはこれで良いのかも(正常性バイアス)
    いきなり即興性を求めても仕方ありませんからね

    ティアニーは毎試合素晴らしいけどシーズン途中で壊れてしまわないか心配です

  11. ムスタフィがえらい攻められてるけど、この画像でいうとMFが前にプレス掛けてるからDFはラインあげないとMFとDFのあいだにスペースが生まれてしまうし、負けてる状況で相手が3トップでこっち5バックじゃ前からプレス掛けたら人が足りないのでムスタフィが正解だと思う

  12. 一番嬉しくないヴァーディーの蟻の一刺し。前半、2~3点は決めていなければならない流れだったので、嫌な予感はしていましたが果たして・・・。勝つためには、前半もっと相手に持たせて、後半60~70分に怒涛のように2~3点取るやり方とかもあったのかもしれないけれども、パーテイにもっと持たせるとか、ティアニーやベレリンにもっとチャレンジさせるとか、色々策はあったでしょうに。マディソンのほうが堂々としていて、ほんとに憎たらしかったです。彼はジャックが順調に成長していたら、左右ちがえどこんなになっていただろうな・・・ということを想像させますよね。あー、本当に悔しい。

  13. いつも楽しく拝見させて頂いてます!ありがとうございます!

    この敗戦は期待していただけにショックが大きいですね。

    もう落ちるとこまで落ちた方がいいかもですね。中途半端なやりくりより若手をしっかり育成して07/08の様なサッカーが見たいです。今の時代は難しいのかもしれませんが

    1. 横からで申し訳ないですが、僕はガナーズ歴がちょうど07-08からです。
      あれでアーセナルにハマりました。

      あの頃はギャラス・トゥレ・フラミニが非常に広いスペースをカバーしてましたし、FBも堅実なタイプが揃ってたと思います。
      その上に、あの攻撃陣でした(以下略)
      CLのACミラン戦などはスーパーソリッドな上にスーパーテクニカル、とんでもない試合でした。

      僕は個人的には、あれだったら時代を越えて今でも通用するような気がします。
      残念ながら今のチームは、単純なフィジカル・スピード面ですらあのレベルではないように思いますが。

  14. パーティを入れてジャカやセバージョスを外す選択が出来るのか?とか色々懸念してたことがそのまま出てしまったというか。。。
    相手ブロックの中(間)にMFが入らないって。。。

    個人的には交代選手については入った選手に問題を感じるより、サカとティアニーを外す選択が気になりました。
    サカはまぁ痛めてたのもあるんでしょうけど。

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