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【マッチレビュー】20/21UEL ラピッド・ヴィエナ vs アーセナル(22/Oct/2020)パーティがフルデビューでシャイン

試合の論点

ラピッド・ヴィエナ vs アーセナルのトーキングポインツ。

Uシェイプアタック。つねに予測可能な攻撃

ぼくの観測範囲では、試合が終わってみんなパーティのパフォーマンスで浮かれていたのだけど、ぼくにはこの試合にはそれよりももっと深刻な問題があったような気がしてならなかった。

少なくとも、この試合60分はかなりひどいパフォーマンスだったと思う。もちろん攻撃で。

ボールを持ってもテンポが遅くて全然相手の裏を突けず、サイドでボールを進めては行き詰まって後ろに戻し、サイドを変えてやり直し。ピッチを右へ左へとU字に回すばかり。

どのプレイも相手の予測範囲内で、いつも用意周到な相手DFの目の前でプレイしているから、ブロックを攻略することもできず、ゴール前の危険な場所にボールを運ぶことができない。あの程度の相手でも、5-4-1のような厚いブロックで、なおかつ準備されていれば崩すのは簡単なことではない。

前半のSoTはわずか1。アーセナルの前半のショッツは4だが、最初のシュートを打つのに15分もかかっているという。ELのグループステイジですぞ?

ウナイ・エメリのチームかと思った。

それもこれも、つまりファイナルサードで余裕をもってボールをキープできる選手の不在が、こういったプレイをせざるを得ない理由なのだろうなと今回も思ったものである。

いまアーセナルにいるFWは、フィニッシャータイプのストライカーとダイレクトなウィンガーの2種類。ヴェンゲルさん時代にいたゲイムメイカータイプのプレイヤーはほとんど皆無。

かといってCMにファイナルサードでのゲイムメイキングを託そうにも、いまは攻撃に注力をしにくいストラクチャがある。今回エルネニーやパーティのどちらかがNo.8としてライン間で仕事をするとか、チャンスでゴール前に入っていくとか、そういう指示があったとは到底思えない。

アルテタが来てからのチームをずっと見ているが、そのなかにはラムジーっぽいケイオス(なんでそこにいるんだよ的な)が許されるような余地はまったくないと云っていいだろう。

アルテタのチームは守備ですごくオーガナイズされていると各所で評価されているが、そのせいで今度は攻撃のダイナミズムがなくなってきてしまっているんじゃないかな。

こういう試合なら、少々ディフェンスに難があっても、ゴール前の狭いスペイスでボールを持ってクリエイトできる、エジルのような選手にいてほしかった。

真ん中にフォーカスすると今度はワイドが空く。それがないからいつまでたってもぺぺが輝けない。

いまのチームで彼の存在が恋しく思えてくるというのはまた皮肉なことだ。

パーティがデビューでシャイン☆

BBC、Sky、アーセナル、みんなMOTM。

BT Sportsパンディットになっているオーウェン・ハーグリーヴズも「わたしが見たなかで最高のデビューのひとつ」とべた褒め。

「スクエアパスの達人」ことエルネニーの隣だったから余計にそう感じたのかもしれないが、彼はボールを持ったときいつも縦に入れるオプションを探していて、実際縦に鋭いパスを何度も出していた。それがエルネニーに求められるプレイなんだよなあと思いつつ。また先日ガーナNTで見せていたような、浮き玉のスルーボールも。

パスの球すじというのか、出すパスの軌道も美しい感じで、ワンランク上の選手という感じがした。

それと、もちろん守備の貢献も。彼がタックルやリカヴァリで最高のスタッツを残したのもポジショニングが優れているからだろうし、また一見抜かれそうなところで、ひょいと足を出して相手のボールに触るところは、やはり守備センスも感じさせた。これは令和のヴィエラですわ。

視野が広く、判断が早い。

これがこの試合のパーティのタッチマップだそうで(WhoScored.com)ピッチの中央に君臨していたという。

ドリブルをかなりするというので、そこはちょっち期待していたが今回は1/1のみ。次回に期待しよう。

エルネニーではなく、より前方へのパスに積極的なジャカやセバーヨスとのコンビネイションでどうなるか、ここはかなりこれからが楽しみである。

彼のようなパッサーがいればいるほど、やっぱりライン間の選手が活きるんでしょうねえ(話が戻った)。

レノのミス

もちろん失点シーン。彼がやらかすGKだということを久々に思い出した。

でも個人的にはあまり深刻に捉えていない。バックからプレイをするなら、どんなGKだってやらかすし。われらだって、つい最近、現時点で世界最高のGKのひとりだと云われるGKにやらかしを強いたわけで。

アルテタの云うように続けなきゃいけない。レノはできるGKだ。心配ない。

ところで、この件で興味深い話があって、 アーセナルのバックからのプレイがひどかったこととスタンズに観客が入ったことは無関係なのかっていう問い。

無観客試合のコーチのコーチングについてはいろんなところで指摘されていることで(ドリンクブレイクも)、それによって選手たちはかなり恩恵を受けている部分があると。

この試合はアーセナルにとっても、じつに7ヶ月ぶりに観客が入った試合ということで、要するにコーチの声が届かないこととバックからのプレイでGKやCBがうまくできなかったことは何か関係があるんじゃねーのという。

たしかに、選手は360度の視野を持っているわけではないから、180度の視野でいいGKと違って、CBやCMは危険を教えたり、つぎのプレイを指示するコーチの声はかなり助かるのかもしれない。

考えてみれば、アルテタのチームのバックからのプレイが見違えたのって無観客になってからなのだよね。バックからパスをまわして得点までつなげたのもそう。

ヨーロッパがあんな状況ではステディアムが通常に戻るにはまだだいぶ時間がかかるだろうが、観客が戻ったときにチームパフォーマンスにどう影響が出るかは興味深い。今シーズンも各国リーグで得点がめちゃ入ってるというのも無観客と関係あるんじゃねって云われてるし。

その他試合について

気づいたことなど。

  • ラピッド・ヴィエナのサポーターはなんだか楽しそうだった。前半でもうオーレが出てた。久しぶりだったからアウェイのブーイングもいいもんだなと思ってしまった
  • あと思ったより強かった。アーセナルよりよっぽどいい攻撃してた
  • ガブリエル。ずっとファインフォーム
  • ベレリンはこれで今シーズンのアシストが4つめだとか。どんだけ。最近の彼は走力に頼らない感じが、プレイが成熟してきたように感じる
  • エルネニーはいいプリアシスト。前にもあったかな? ちょっとだけプレイが保守的というだけでとってもいい選手なのになぜ引き合いがないのか
  • オバメヤンは契約更新後で初ゴール
  • ラカゼットはあの絶好のチャンスを無駄にしてしまう。どちて

試合については以上。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

4 Comments on “【マッチレビュー】20/21UEL ラピッド・ヴィエナ vs アーセナル(22/Oct/2020)パーティがフルデビューでシャイン

  1. ここまでシュートが撃てないとなるとコーチングの問題ですかね
    とにかくチャレンジが少なすぎますし、オーバサイドもそんなに効果的とは思えません
    時間が解決するかなと思いましたが、アルテタの引き出しの問題かもしれませんな

  2. 中央でしか強さを発揮できないルイスをどうカバーするか?だと思う。

    FBがカバーしてるとFBの位置が下がり、仮にDMF(IH)がライン間でボールを受けても手詰まりになってしまう。
    せっかくリスクを冒してライン間でボールを受けても、それでは意味がないと思う。

    この試合はエルネニーを流動的にルイスの横に下がらせて疑似3バックにしてたと思う。
    エルネニーは自分が下がってFBを前に出すのは得意なので、まあ特徴に合った起用ではあると思った。

    理想としてはパーティの相方がもっと前で積極的にライン間でボールを受けて、FBの位置も高いことなんだろうけども。
    個人的には、パーティ・ガブリエル・ルイスの連携を改善しながら少しずつ攻撃的に移行するのがいいと思う。
    最初から全部やろうとするとルイスの周辺がエライ事になりかねず、3バックでの成功体験が吹き飛んでしまうから。

  3. 今のアーセナルの三角形はたくさん作るけど攻撃が停滞してシュート数やチャンスが少ない感じ、ファンハールのサッカーに激似なんですよねー。共通点があって配置を大事にしすぎて3人目や4人目の動きがなく、あと単純に前線の枚数が足りない。人が足りないんでボール失ったら奪い返せず撤退守備。1本のシュートまで時間がかかるっていう仕組みですね。
    ただ逆転シーンみても前線に人多くして攻める事は出来ると思うんで今はリスク管理とポジショニングの徹底という段階踏んでるんだろうなと思いました。

  4. 試合見れてないですけど、エンケティアそんなにひどかったですか。残念。
    今のフォルス9についてはある意味苦肉の策というか足りない部分を補う為のもの、しかも部分的でしかない気がします。
    この試合見てないから的外れかもしれないですけど。

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