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【マッチレビュー】20/21UEL R16 2ndレグ アーセナル vs オリンピアコス(18/Mar/2021)ゲイムマネジメントに失敗するの巻

試合の論点

アーセナル vs オリンピアコスのトーキングポインツ。

低パフォーマンスの原因? 疲労・ロテイション・アプローチ

試合後、チームの低パフォーマンスの理由について問われたアルテタは「疲労」や「ボールを相手に渡しすぎた」のようなことを話しているが、結局何が原因なのか。3つのポインツを考えてみた。

<疲労>

たしかにこの試合の選手たちの肉体的な疲労は、見逃せないだろうと思う。

ぼくがもっとも疲労して見えたのはKT。ESRも。ESRは試合後インタヴューで疲労について話していた。

あとオバメヤンも1試合休んでほかの選手よりフレッシュだったはずだが、かなり疲れがあるように見えた。チャンスを外しつづけてよけいにエナジーが減退していったのかもしれない。BCを3つも外せばストライカーとして心理的ダメッジはあるだろう。後半スルーボールを追いかけることを止めてしまったシーンではとくにそう感じた。

ジャカも見た目よりも疲労していたと思う。終盤に相手のランについていけず身体をつかんでしまったシーンは、そのまま流されたがカードが出ていてもおかしくなかった(そういえばこの試合ややアーセナルに有利なジャッジメントが多かったような? 八百長かな笑)。

ESRを左ウィンガーでスタートさせたということは、週末のNLDであれだけ効いていたESRとKTのコンビによる左サイドの攻略も期待されていただろうが、実際はNLDのときほどは機能しなかった。おそらく相手がよかったというよりは、やはり自分たち理由だろうという気はする。

この試合のKTは珍しくおとなしかった。彼のNLDと今回のパフォーマンスを比べると。

  • タッチ 71 → 58
  • パス 81%(38/47) → 63%(19/30)
  • クロス 7 → 4
  • クリアランス 0 → 6

クロスが減ってクリアランスがかなり増加。タッチもパスも減って精度はやや雑に。彼は攻撃に参加するよりも、守備に追われていたことがわかりそうなスタッツである。

<ロテイション。セバーヨスとエルネニーの影響>

低パフォーマンスの原因として、疲労のほかにはやはりチームのセットアップがありそうに思える。アルテタは思ったよりチームを変えてきた。

もっとも影響大だったのは、セバーヨスとエルネニー。とくにセバーヨスのN0.10は、オーデガードと比べると物足りなさを感じたものだ。

彼は基本的にハードワークする選手で、ボールを持っていないときのプレッシングについてはオーデガードやESRと遜色ない。だが、No.10として肝心のボールを持ったときのプレイ(意思決定)については不安定なところを見せていた。

エルネニーはいつものエルネニーだったが(笑い)、だからダメだったんだろう。彼はいつもの自分ではダメなんだ。

アルテタが失点の5分後、56分に彼らふたりに変えてオーデガードとパーティを入れた気持ちはとてもよく理解できた。とにかくボールを持ちたかった。ボールを持って試合を落ち着かせたかった。現状維持なら勝ち抜けという状況なのだから。本来ならパニックに陥る必要はまったくなかった。

実際彼らが入ったことで(とくにオーデガード)、ミドフィールドでのボールキープはあきらかに安定感を増していた。あそこでNo.10ポジションの選手に要求したいことは、ボールを失わずに試合をコントロールすること。それはセバーヨスにできていなかったことだった。

<リスク回避の消極的アプローチ>

それと、やはり全体的にリスク回避を重視した省エネなアプローチが裏目に出たという気もした。

今回はファーストレグのリードを維持すればいいだけというゲイムマネジメントが要求されていたわけだが、それを遂行することもまた別のクオリティが要求されるのだと実感した。それは、いまのアーセナルには逆に難しいタスクだった。むしろいつもどおりにプレイしたほうがまだマシだったように思える。

最近のアーセナルのNo.10がいるチームでのいいプレイは、基本的にピッチの中央を使おうとするものだが、今回は最初から積極的に中央を使おうという意図はあまり感じず。むしろわざとUシェイプにしてカウンターのリスクを回避し、つねに左右のワイドエリアを経由してボールを前進させようとしていた。バックでのボール回しに詰まれば躊躇なくロングボール。クリスマス以前のアーセナルに戻った感じ?

あとボールを持ったとき、とにかく遅攻と感じることが多かった。できるだけボールをキープする。拙速な攻撃は慎む。危ないエリアでははっきりしたプレイ。そんなゲイムプランだったろうか。中立のファンなら、観ていてそざかし退屈&苦痛な試合だったに違いない。

オバメヤンが左ワイドに張り付いていて、苦労してボールを前進させてもゴール前に誰もいないということがしばしばあったことも、あのセットアップのちぐはぐさを感じたものだ。

なぜ、アルテタがわざわざ旧タイプの戦術を使おうとしたかと考えるに、やはりそれがゲイムマネジメントだと考えたのだろう。攻撃の流動性より守備(ボールを失ったとき)の確実さを選んだ。ESRは最初からいたのだから彼をセンターで使うセットアップだって選択できたのに、結局そうしなかったのは、少しでも守備を安定させたかったから。マルティネリ+ESRよりも、ESR+セバーヨスのほうが守備の信頼度が高い。とか?

3-1のアドヴァンテッジを活かして試合を進めようという意図が、裏目になってしまったのではなかろうか。

ぼくは試合前、今回アーセナルはそういうアプローチで試合に臨むべきだと思っていたのでこの考え方は完全に支持できるのだが、実行が伴わなかった。あそこまで苦戦させられることになるとは。

アーセナルは本来、もっともっとずる賢く、いやらしく、つまらなく、試合を殺すべきだった。得点しなければ勝ち抜けられない相手の立場を逆手に取るべきだった。でも中途半端にそうしてうまくいかず、逆襲され、自らパニックに陥った。レノの云うようにまったく不必要に。

結局、この未熟なチームはそんな器用なことができるほど、成熟していなかったのだと考えるしかないのかもしれない。

こざかしい小細工はやめて、とにかくバカ正直にでも勝つことを考える。そのほうがうまくいきそうだ。

パニックに陥るパターン

既視感。

選手たちはパニックに陥るパターンにだんだん慣れてきてる。

自分たちがチャンスを決められないことで、苦しくなっていき、その流れのなかでワンチャンスから失点。選手たちのこころのなかに「もしかしたら敗けるかも?」という疑念が生まれると、それがどんどん大きくなっていくという一連の流れ。

そうなるともう、ふつうのプレイはできなくなる。なんでもないパスをミスし、ふつうならありえない危険なエリアで、大きなスペイスを相手に与えてしまう。勇気がなくなって、視野が小学生みたいに狭くなる。

今回は相手選手のレッドカード(82分)でその流れが遮断されたのは完全にラッキーで、あれがなければほんとうにわからなかった。もし残り10分でも5分でも2-0にされていたら、あと1点で逆転勝ち抜けという奇跡的状況が生まれていた。しかしそれは去年起きたことの再来なのだから、彼らがそれを信じない理由はない。

ほんとうに危なかった。

今回のEL敗退の危機はベンフィカで最後と思いたかったが、とんでもなかった。

でもまたやらかすだろう。これは偶然ではなく、構造的に必然的に起きてしまう問題だと思ったほうがよい。

つぎにこれが起きたらどうするか。

同じことを毎回繰り返すなかで、みんなわかっていて解決できないのだから、これはもう超自然的な?サムシングに頼るよりないよね。

催眠術とかどうかね?

その他試合について

  • オバメヤンが心配
  • ペペなあ。また27Mの彼に戻ってしまったような。彼は右よりも左でプレイするほうがいいのかもしれない。ESRにブロックされてしまったショットは惜しかったけども
  • レノのショットセイヴ。相手が当ててくれてラッキー
  • パーティはやべえ場所でボールを奪われがち。いずれそこから失点しそう

試合については以上。

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One Commnet on “【マッチレビュー】20/21UEL R16 2ndレグ アーセナル vs オリンピアコス(18/Mar/2021)ゲイムマネジメントに失敗するの巻

  1. セバージョスはヒラメキパスが魅力だけど、ボールキープが厳しいですよね。場所わきまえずチャレンジしてピンチになったりと。リスクが多いので、アルテタもボランチでの起用をためらってるように見えます。で、トップ下でしたが、ちょっと難しかった。その点ウーデゴールの安定感は見ていて安心できる。
    オーバは身体ともにお疲れですね。アルテタも変えたかったけど、前回騒動の後だけに、信頼を示すために交代を我慢したような。
    マルチネッリが久々登場で、レッド誘発と良いクロスで一定の貢献はできたのでは?走りすぎず、ポジショニングが良くなった様な気がします。 オーバでなくで、彼なら抜け出してからのゴールバッチリ決めてくれたかもなぁ

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