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【マッチレビュー】21/22EPL ブライトン&ホーヴ・アルビオン vs アーセナル(2/Oct/2021)クリンチで1ポイント

試合の論点

ブライトン vs アーセナルのトーキングポインツ。

アルテタとポッターの差、アグレッシヴ守備とポゼッション

先週トッナムのヌーノ・エスピリート・サントに対して、アーセナルがかなり優勢に試合を進めたときもコーチ(コーチング)の差を考えたものだが、今回もコーチについて考えざるを得なかった。先週とは逆の立場で。

試合が始まる前までは、いくらブライトンが好調とはいえ、こちらも好調なアーセナルなのだから、アウェイとはいえ、まさかブライトン相手に手も足も出ないなんて思いもしなかった。

アーセナルにいい時間がまったくなかったとは思わない。だが、まあほとんど完敗という内容だったろう。

「少ないチャンスを決めていれば、違う試合だったかもしれない」的なことを毎回書いたりするわけだが、少ないチャンスを決めることが難しいのがフットボールなのだから、内容で敗けて試合に勝つことはとても難しい。

ポッターのコーチングは評判どおり非常に優れていた。アーセナルはほんとに彼らのインテンスなプレスに窒息しそうになっていて、パスがつながらず。GKから苦し紛れのロングボールはすべて回収(※ラムズデイルのロングボールはなんと2/20!)。そしてボールを持たれては、簡単にボールを前に運ばれる。彼らが試合をほぼ完璧にコントロールした。

トミヤスは簡単にボールを失ったり、この試合の彼はいいところがなかったが、彼だけを責められないのは、パーティやホワイトでさえも雑なパスを強いられており、チーム全体が時間も空間もなくポゼッションに苦しんでいた。

アーセナルはボールがあってもなくても、ほんとうにタジタジの様子で、まるでボクシングで云うところの「クリンチ」で逃れてばかりという印象だった。試合の主導権はつねに相手に握られていて、やりたいことは何もできず。HTのホイッスルはまるでゴング。

この試合を決めた最大の要素は、やはり彼らの積極的なプレッシングだったろう。

ぼくは大して調べもせずに試合プレヴューを書いてしまって、いまは非常に恥ずかしい思いでいる。この試合の前にも一部で指摘されていたように、じつはブライトンはかなりプレスやタックルをやるチームだった。彼らのストロングポイントはプレッシングやタックルといったアグレッシヴ守備だったので、そこを指摘しないとは完全に片手落ちであった。あー恥ずかしい。

FBref.comによると(※MD7までのスタッツ)、ブライトンはリーグ20チーム中のランキングで以下のように、超がつくほどアグレッシヴ守備で優秀。

  • タックル:リーグ1位(19位)
  • プレス:リーグ3位(16位)
  • プレス成功率:リーグ1位(20位)

()内はアーセナルのリーグランクで、ほぼベストとワーストみたいなチーム同士の試合になっている。

仮にこのような性格の違うチーム同士であっても、そういったスタッツで劣っているチームが相手を上回ることもあるっちゃあるが、今回は総合的にも、ピッチ上のほとんどのエリアでブライトンが勝っていたように見えた。トミヤスらはジュエル(1 v 1)について言及していたし、それ以外のもっと構造的な部分でもブライトンのほうが勝っていただろう。

戦術的な詳細については、その後いくつかの分析を目にしていて、やはりポッターはかなりアルテタを研究していたようだ。

少なくともアーセナルは、戦術的にかなり攻略されていただろう。アルテタの戦術のある種のわかりやすさが、裏目に出たということでもあるかもしれない。

ラムズデイルのゴールキックからショートパスを許さないハイプレスも、ホワイト・ガブリエル・パーティ・ロコンガは決して離さず、わざとトミヤスだけフリーにしておくとか。オバメヤンにロングボールをいくら放り込まれても怖くないとか(※この試合のPEAの空中戦は1/5)。

一方のアーセナルは、プレスも全然オーガナイズされておらず、相手の3CBに対して、まったく組織だったプレスができていなかったとか。守備でもラインを上げる勇気が十分ではなく天地が間延びしてライン間を使われまくり。

試合中にこれはアルテタは早くなんとかしないとと心配になってしまった。選手を変えるなり、システムを変えるなり。

HTには思わず、エメリ時代の試合中の大胆な調整(HTに選手交代を平気でやるとか)を思い出してしまったが、アルテタはこのような試合でもHTに目立った変更をしなかったように思える。ラムズデイルの試合後インタヴューで、HTのアルテタの指示について聞かれて「落ち着くように云われた」くらいしかなかったのが印象的である。今回のような試合こそ試合中に戦術を大胆に変えるべきだったのではないか。

もっとも、アルテタは試合中の調整をあまりしたがらないところがある。サブも総じて遅いし、基本的にあまり選手も戦いかたも変えたがらない。結局、この試合は90分ずっと形勢はほとんど変わらず、つねにクリンチをさせられているような気分だった。

この試合の内容にファンがショックを受けているのは(受けてるよね?)、つまりアルテタよりポッターのほうが優秀に見えたし、ブライトンがアーセナルがやりたいことそのものをやっていたからだと思う。

ポゼッションは、PL7試合終わって、ブライトンがリーグ5位(アーセナルは15位)。※まあアーセナルはシティ・チェルシーの試合を割り引く必要はあるが。

この試合のブライトンのパフォーマンスに見えたのは、

  • 基本的にボールを持って試合の主導権を握りつつ
  • ボールを持っていないときには激しくプレッシングし、決して相手に好きなようにやらせない
  • 既存の選手たちの特性を生かすようインストールされた戦術

 

これはまさしく、われらファンがアーセナルに求めているものそのものでは??

 

そしてさらに苦痛に感じるのは、この試合の内容は決して選手個人のクオリティの差ではないということ。むしろ選手たちを(実際よりも)もっといい選手に見せているという気がする。

すばらしいコーチに率いられたチームにいつも観られるように、ピッチ上の11人の総和が11をはるかに上回っている。

もしポッターのチームに、もっともっと優秀な攻撃の選手がいたら、アーセナルは今回1ポイントを取るのはほぼ無理だったろう。

この試合はアルテタとコーチングスタッフには、かなりいい学習機会になったのではないか。ペップのような贅沢なチームをワークさせるのとはまた違う、手持ちのコマをつかってチームをワークさせるという。

今後、選手個人はもちろんながら、アルテタはじめコーチもそうとう戦術や、チームプレイの考え方を進歩をさせていく必要がありそうだ。

 

試合については以上。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

18 Comments on “【マッチレビュー】21/22EPL ブライトン&ホーヴ・アルビオン vs アーセナル(2/Oct/2021)クリンチで1ポイント

  1. 3連勝してたとは言えNLD以外はパフォーマンスは良くなかった訳で
    ノリッジは殆どプレスかけて来なかったのに1点もぎ取るのが精一杯。バーンリーにすら内容で圧倒されてましたのはやはり忘れてはならなかった
    リーグ7節終えて昨シーズンとパフォーマンスが殆ど変わってないのは問題かと

  2. ですね。ポッターがいい監督ってのは聞いてましたが、あんなにもアルテタとの「監督としてのクオリティの差」を見せつけられたらショックです。しかも似ているコンセプトで。

    せめて。アーセナル首脳陣が次の監督にポッターをリストの最上位にしてたら、と。

  3. うん、よく勝ち点1とれた!!そこを評価せんと!!
    ホワイト、DFとしてもなかなか優秀!!
    カバーリングの範囲広いし!!

    練度の差を確かに感じたけど、そこまで悲観的になることもないかと。
    ビルドアップに関してはサンビがもうちょい工夫して欲しかった。。
    ジャカはあまりしないけど、本家(?)クロースとかはよくする、マンツーマン気味につかれてた時に意図的に歪なポジショニングしたりとか、、駆け引きがね。。
    あとサカ。相手のククレジャみたいな飛び道具と化して欲しかったな。
    独力で局面打開する存在として。

    練度の差で言うなら新加入組こんだけいる今季はまだまだ初期の初期でしょ!
    悪天候下で本来ならラムズデールのディストリビューションももっとうまくいってサイド押し込めたはず!
    そこまで悲観的にならなくていいよきっと!!
    (ただ相変わらずアルテタ交代遅いよなーー。もっと早い段階でラカ、それか他で修整加えて欲しかった。。守備もハマってなかったし。。)

  4. お疲れ様です。
    めちゃめちゃテンション下がってるのが伝わってきます。。
    ただゲーム中も選手の気持ちは切れてないように感じられたので私はそこまで悲観していません。
    ここまで相手が良い方にハマったゲームを落とさなかったのだから、安い授業料だったときっと後で思えますよ!COYG!

      1. でも、イングランドのサッカーの半分は雨ですよ。
        雨でも勝てるチームが、プレミアを制する。

        監督の差ってすごいなぁと思いました。

  5. ヒヤヒヤものの試合でしたけど、この内容で勝ち点1でも取れたのは御の字てところですかね
    GK含めディフェンスがよく踏ん張ったと思います
    オフェンスに関しては試合の中でオーバメヤンが消えてる時間が多い気がします
    あと、もぅちょっとオーバメヤンがボール収めて味方の上がりとかサポートを使えるようにならんと、リズムが生まれない感じがします
    オーバメヤンの裏への走りを使わず、足元でつなぐフットボールするんだったらオーバメヤンじゃ辛いですね
    キャプテンのオーバメヤン外すのは難しい決断やと思うけど、交代で入ったラカゼットのほうがやっぱ可能性かんじるかも、もうワンランク上にいくにはオーバメヤンは限界かも
    ショートカウンターはそれなりにスムーズに決まってるけど、押し込まれた状態からのカウンターやビルドアップが今後の課題ですね
    あと前線の選手がいい走りだししてもそこにパスが出せてないのも勿体ない
    ジャカがいない期間、サンビには踏ん張ってもらいたいですね
    アルテタの試合の中での修正力のなさがないのが寂しい感じがします、なんやかんや選手だよりなような…
    でもまぁブライトンが良かったのも事実ですね

  6. ポッターが来てくれるなら、アルテタ解任もありかなと思わずにはいられませんでした。トッテナムやユナイテッドにいかれるくらいなら、引き抜いた方がいいですね。

    ロコンガは、一見守備で目立つところがあったけど、どちらかというとたまたまそうできたという感じで、パーティや、ジャカと比べてさえも、かなりまずいなと思いました。ボディコンタクトが嫌なのか、スライドが遅く、マークを平気で外したり、奪いに行かなかったり、まだエルネニーの方がいいでしょ。あれで、褒められているということは相当期待値が低いのかな。

    それとラカゼットはどう考えてもいいでしょ。スミス・ロウやサカが彼をどれだけ信頼しているか動きだけでわかる。マジで使わないのわけわかん。同じタイプのベンゼマが未だに活躍できているのだし、契約延長もすべき。

  7. 前節のジャカと比べて、サンビの位置が低すぎたと思う。
    サンビは速いし上手いし、パーティと2人ともサイドまで広くカバーできるのはすごい事なんだけども、あそこまで下がるとどっちも前に出てチャレンジしない事になる。あれでは前線の4人がいくら頑張っても無駄だと思う。

    サンビがあの位置をやった経験があるのかどうか分からないけど、素質的には全然問題ないと思う。あれだけ接近しても正確にボールを扱えるんだし、ジャカの身体能力でやれる事ならサンビにできないはずがない。
    ちょっと安全に行き過ぎたのかも。新人が大過なくやろうとするのは普通のことだけど。でも「あの」ジャカの代役なんだから、もっとリスキーでいいと思う。もっと前に出るべきだ。

  8. ネットに生息するサッカーファンって喜びよりも悲しみや不満、批判がほとんどっぽいよね
    いい試合もあれば悪い試合もあるなんてのはどこのチームでも同じだろって思うけど
    基本的には悲観的になる事に気持ちよくなってる
    次頑張ろう!みたいなポジティブな意見が書かれることはほとんどないし
    何が楽しくて贔屓のチーム追っかけてるんだろ

    1. 良い時は喜ぶ、悪い時は嘆く。人間だから当たり前では?

      逆に、悪い時にも無理して自分に嘘ついて「良かったよ、次頑張ろう!」しか云わない方が不自然なのでは?

      1. ブレントフォード→やや劣勢で普通に敗北
        チェルシー&シティ→手も足も出ず順当に惨敗
        ノリッジ&ワトフォード→最下位レベル相手に内容悪いも辛勝
        スパーズ前半→圧倒
        スパーズ後半→相手修正で押される
        ブライトン→終始押しまくられるも何とかスコアレスドロー

        良かったのスパーズ戦前半だけでそれ以外の6.5試合全部内容悪い(スパーズ戦後半はあえてギアを抑えたという見方もあるだろうが)
        「スパーズ戦前半だけがアーセナル本来の姿で後はまだうまく行ってないだけ 今後に期待できる」よりは「スパーズ戦前半だけ相手が酷すぎてうまく行った 後は全部実力通りで今後に期待はできない」
        のほうがしっくり来ます
        なんだかんだもう3年目で補強もそれなりにして貰ってて7試合中6.5試合内容悪いか良くはない監督が未だに支持されているのが本当に理解できません
        アーセナルファンはアルテタに何を見出しているのですか?

    2. 僕は黄金時代を知らないファンなせいか、アーセナルが名門だっていう意識がまるでなくて、単純に「弱いんだから強くなればいい」って思う。特に僕は弱いチームが強くなるプロセスが好きっていう性癖なんで、わりとポジティブでいられる。

      でも黄金時代を知ってる人とか、ずっとすごい熱量で応援し続けてきた人はキツイだろうと思う。僕なんかはプロセスがクソだと思ったら試合を見ない(じっさいベンゲルの末期は見なかった)けど、そういう中でも見続ける愛情を持ってる人はダメージも深いと思う。
      そりゃまあ。。毒くらいは吐くでしょう。ってか吐いたほうがいい。身体に悪いから。w

  9. 前半酷すぎたから後半ポジショニングはある程度修正して欲しい、と淡い期待を抱いたけどやっぱりほとんど変えずに選手もそのまま。
    アルテタは時が経てば勝手に良くなると思ってるのかな?
    3年目でも引き出しは一つも増えてない、こりゃ厳しいですわー。

  10. お疲れ様です。
    ここ数シーズンでよく見る、『安定』の不安定な継続性ですね・・・

    ジャカの不在については、本来ならば今季はいなかった選手だと思ってます。
    なので、サンビやナイルズには、何としても定位置を獲得して欲しいです。
    気がついたら、エルネニーがレギュラーって事になりませんように。
    (エルネニーを嫌いなわけでは無いですよ)

  11. あきませんな。ちーとも直ってない。
    予想通りだけど、この不甲斐なさ加減じゃ、ボトムハーフ阻止が精一杯だな。
    苦しい時、うまくいかない時に、なんとかしようって工夫が全然ないものね。
    皆を鼓舞して、仕掛けられるプレーヤーがいないんだもの。
    キャプテンは、誰だったっけ?
    低空飛行のしっ放しでよく90分平気でいられるもんだと感心する。
    監督に期待出来ないんなら、選手だけでも事を起こしなさいよって。

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