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アーセナルの五カ年計画には早すぎるタイトルチャレンジ

EPL22/23シーズンのレアなチャンス?

だったら、何を困る必要があるのかと。

リーグでトップを争えるようなポジションにすでにいるのなら、もし最終的にタイトルを取れなくても、トップ4フィニッシュの目標は達成できる可能性は高いはずだから、いまの状況を素直に喜べばそれでいいじゃないかと。5年プロジェクトにおける今年の目標も達成できる。もしタイトルを取るなら最高にハッピー。

それはそう。

だが、今シーズンのいまの状況に目を向けると、果たしてそこで満足してしまっていいのかとも、思えてくる。

それはつまり、今シーズンがここ数年と比較して、あきらかに波乱のシーズンであるということ。

すくなくとも今シーズンここまでは、まだしばらくつづくと観られていたシティとリヴァプールのビッグ2が支配するリーグではなくなっている。今年のシーズン前予想はこれまでの流れを踏襲し、この2チームが1-2位を独占、3位と4位を「ビッグ6」の残りが競うという絵図を描いたものがほとんどだった。

今シーズンここまで、リヴァプールやチェルシーの予想外の低迷があり、シティですらここまでこの数年の結果からするとポインツを落としている(D2 L2)。

ToTはまあともかく、マンUはあんな感じで、ニューカッスルのような勢力も台頭してきた。ニューカッスルに関しては、オーナーが代わり、次世代のメガクラブとも云われているくらいで、現在の位置はたぶんまぐれじゃない。

おおげさに云えば、PLのトップチームのなかで唯一今年絶好調のアーセナルにとってこれは、千載一遇の好機と云ってもいいくらいかもしれないという。

下のグラフィックは今朝たまたま見かけたもの。去年なら37ptsの周辺には、シティ・リヴァプール・チェルシーの3チームが1pts差でひしめいていた。それが今年はそのポインツでトップのアーセナルが2位に5差をつけている。それだけ上から下までポインツをシェアしているという、より上下格差のないオープンなシーズンだということがわかる。

最近は、いまの状況が、レスターが81ptsでPLタイトルを取った15/16シーズンに似ているという指摘もちらほら見かけている。

あのシーズンは、「プリ・ペップ」「プリ・クロップ」の最後のシーズンで、PLのビッグチームはみんな過渡期、レスターが奇跡的に強かったシーズンでもあるが、それと同じくらい珍しく支配的なビッグチームがいないシーズンでもあった。

来シーズンもこんな状況がつづくかといえば、あまり期待はできない。やっぱり、こんなチャンスはなかなかないだろう。

いくら強くても、競争相手がもっと強ければタイトルは取れないのだし。リヴァプールなんて、絶頂期のほとんど同じ時期にシティがいたおかげで、90ポインツ以上とってもPLタイトルを取れなかったシーズンがふたつもある(18/19の97pts、21/22の92pts)。

毎年、最強チームがタイトルを取るわけではないというのは、よく云われる。つまり、タイトルはそのときのリーグの状況にも大きく左右されるということだ。

つまり今シーズンは、どうしても欲が出てしまいそうなシーズンなのだ。ニューカッスルもブライトンもそうだろう。とくにアーセナルはこんな状況ならなおさら。

およそ20年PLタイトルから遠ざかっているアーセナルは、このチャンスをみすみす逃していいのだろうか。

冬ウィンドウの悩ましさ

そこで、当然注目されるのが、アーセナルのこの冬の補強。アーセナルがこのレアなチャンスを活かすには、1月にチームをかなり補強するという手がある。

しかし、おそらくアーセナルには事前に決めた補強予算がある。プロジェクトの計画に沿って動いていくのなら、ここで当初の予定より多く投資して、予定より早くスクワッドの完成度を高めることは難しい。

でもそれでほんとうにいいのか。PLの状況を考慮すると、もしかすると、ここはオールインするタイミングかも?

その判断は、非常に難しいと思う。

いま、アーセナル界隈では、シャフタールのミハイル・ムドリクが話題だが、クラブは彼に€100m以上の値札をつけると云われている。われらのクラブレコードになるレヴェルの投資をここでやるかどうか。

あるいは、もっと広く浅くエリアをカヴァできるよう人数を取るか。

いずれにせよ、タイトルを狙えるというこの予想外の状況に、アーセナルがプランを変更して「ここで」積極的に適応しようとするのかどうかがカギになるように思える。当初の計画といっても、ある程度は、そのときの状況に合わせた対応ができるくらいのバッファは想定しているだろうが、それを大幅に超えるような要求について。さすがに、冬に選手ひとりに€100mを投資するようなやりかたを想定していたとは思えない。

また、ここで即戦力のヴェテランを取るなんてオプションも、ふつうのクラブなら検討されてもおかしくない。だが、未来のための投資にフォーカスしているアーセナルが、このチャンスを逃さないために例外的に動くか。

アーセナルが冬にどのような動きをするかは、いろんな意味で興味深い。シーズン中というマーケットも難しければ(※ブラジルリーグはワールドカップ前にシーズンが終わったそうで)、自分たちのプロジェクトやプロセスと状況への適応のバランスでも、難しい判断を迫れられる。

今回はワールドカップのイレギュラーがあるため、例年と違ってすこし早めのタイミングで決断をしなければならないのも厳しい。

ワールドカップから帰ってくる選手のフィットネス、残りの長いシーズンの予想、今シーズンのPLタイトルへの熱意、移籍交渉する相手都合、その他もろもろ……

まとめ

今シーズンを千載一遇の好機とか書いてはいるが、ぼくが、これがわれらにとって最後のチャンスみたいに思っているかというと、じつは全然そんなことはない。

むしろ、もし万が一今年がダメでも、まったく悲観する必要はないと思ってる。

今年のPLに、しばらくなかったような大きなチャンスがあるように観えるのはたしかで、そのチャンスをつかむために、ここでクラブが最大限のリスクをかけるとしたら、それは納得できる。しかし、もしそうじゃなくても(ちょっとくらい不満に感じるかもしれないが)納得できないということはない。それが「プラン」だというのなら。

なぜなら、いまこのアーセナルのチームが正しい方向に向かっていることにはなんの疑いもないし、そうなれば来年はもっと、再来年はもっともっと強いチームになっているはずだから。

これからのわれらはもっと競争力がついて、トップチームとの厳しい争いになっていても、十分競っていける。いまのミケルのチームなら、それが信じられる。

それに、そのための若いチームだ。

並のチームなら、チームが成功するまで待っているあいだ2-3年もたてば、メインの選手のなかにキャリアのピークを越えてしまう選手が出てきて世代交代を強いられる。だが、幸いなことにいまのアーセナルは、あまりにも若く優秀な選手が揃っているため、その影響がかなりすくない。

むしろ5年程度の期間なら、そのあいだにアスリートとしてのピーク年齢を迎えることになる選手が大半なのだ。いま21才のサカ、マルティネリ、サリバが26(なんと!)。いま24才のトミヤス、ビッグガビ、ラムズデイルでも29。ジャカは5年後に35になっているが、なんならふつうにプレイしていそうである……。

 

ぼくは、今年のアーセナルがあんまりいいので、逆に怖くなってる。

どんどん期待がふくらんで、こんなに期待できるアーセナルのチームを最後に観たのはいつだったか思い出せない。

だがいっぽうでは、このままのフォームで最後まで走りきれるかと云われれば、正直いまのチームにそこまでは期待するのは酷のように思える。いまは自分たちがやりたいことがやれているというように観えるし、強さもあるが、長期的にはそこまで強靭には見えない。今年のアーセナルのような未完成なチームがPLタイトルを取ったら、15-16レスターの奇跡に近いものがあるだろうが、奇跡はそんなひんぱんに起きないから奇跡なのだ。

だから、それがわかってはいても、がっかりするときが来たら、そうとうがっかりして、がっかりしてしまうだろう。

でも、そんなときがきても、あんまりがっかりしすぎないようにしようかなとも思っている。このチームには、つぎもあるし、つぎのつぎもあるから。

今シーズンこれからのパフォーマンスにもよるが、たぶん来年のアーセナルのシーズン前予想は、これまでとは打って変わって相当高評価になるはず。PLでもっとも若い、伸びしろしかないチームで、これから後ろ向きになる要素がない。いま、そのきざしをもうこれでもかと観せている。

これから、アーセナルの時代が来るんだと思うとほんとーに感慨深い。待ったかいがあった。

 

今シーズンの残りもハラハラドキドキしながら楽しめる。アーセナル最高!

 

おわり(おわらない)



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One Commnet on “アーセナルの五カ年計画には早すぎるタイトルチャレンジ

  1. 絶対これから落とし穴がある
    どうせポイント取りこぼすし
    がっかりしすぎないような心の準備をしよう
    すごくわかります笑
    でもどっちに転んでも騒いだ方が楽しいですし
    移籍市場もこれからの試合も期待しまくって
    今年優勝に全振りしようと思います!!
    無理か〜涙

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