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【マッチレビュー】22/23EPL フラム vs アーセナル(12/Mar/2023)アーセナル100%

試合の論点

フラム vs アーセナルのトーキングポインツ。

アーセナルのパーフェクトパフォーマンス。フラムには強すぎた?

“too good for Fulham”というのは、試合後にどこかで観た見出し。

でも、ほんとに前半はそんな感じだった。もう勝負にもなっていないというか。お互いのチームプレイのクオリティが違いすぎて、まるで別のリーグの対戦のよう。ぼくのメモによれば、彼らがまともにボールを持ったのは前半も30分を過ぎてからである。

むしろフラムはなんだったんだろう。ボトムチームとプレイしてもそれなりに苦戦をするのがPLの常識になりつつあるなか、今回のフラムはさすがにちょっとひどかったんじゃないか。あんなにゆるいプレイをするチームもPLにはもうあまりない。ボールを奪いたいのか、ブロックをつくってボールが前進するのを防ぎたいのか、中途半端で意図がわかりにくいし、彼らのボスも認めていたようにアグレッシヴなところが全然ない。

アーセナルのようなトップチーム相手にいい試合をやる下位チームは、それがどんなものであれ意図がはっきりしていて、基本的にはアグレッシヴだ。それがないと話にならない。そういう意味でも、エヴァトンやボーンマスのほうがよほど強かったように感じる。

前回の彼らとの対戦を振り返って、ちょっとくらいは危機感があったのだが、結局あんなだった。今回のアーセナルの素晴らしさは、さすがに相手理由も大きいと思う。今回のように「スタイリッシュ」のように形容できるアーセナルのパフォーマンスは、シーズンのなかでもそれほど多くない。それを許してしまった相手チームはダメダメとしか云いようがない。ウィリアンがいなかったから?

とはいえ、それもひとつの理由だったというだけで、アーセナルが絶対的にハイクオリティだったというのは間違いない。

もうチームひとりひとりのキャパシティ(許容量)が違うと云ったらいいのか。ボールを持っているときに相手が寄ってきても、落ち着きも余裕もあるから、ボールを奪われないし、よく観えているから難しいこともできる。ビルドアップでは、とくにこれまでどおりジンチェンコの貢献が絶大。それとバックラインではサリーバの落ち着きも際立っていた。24分の彼のショットよ。

最近のアーセナルは、妙に相手にボールを渡してしまいがちだったり、どこか一部で集中を欠いている様子があったようにも感じていたが、この試合のパフォーマンスは、個人としてもチームとしてもほとんど完璧に近かったんじゃないだろうか。

数手先が読めているような流れるようなパスワークで試合をコントロール。観ていて、ほんとに楽しかった。美しかった。

MOTMのトロサール以外も、みんな素晴らしくて、パーティもオーデガードもサリバも、ちょっと大げさに云えば、神経が研ぎ澄まされたみたいなプレイだったように思う。ジャカも、あのGOTS候補をミスしたのがなければ、そこに入れたいくらい。

この試合で、波に乗れていなかった選手を強いて挙げねばならぬなら、それはサカか。もちろんサカもべつに悪くはなかったが、あのキレキレのチームのなかでは、何度かイージーにボールを失ったりと、やや精彩を欠いた印象はある。疲労が隠せなていないようにも感じる。

シティが2ポインツ差に迫るプレッシャーを背負いながらの3ポインツ。そしてクリンシート。そして、圧倒的パフォーマンスが可能にしたであろう、ジェズースの復帰。

すべてが完璧な試合だった。

ガブリエル・ジェズースの復帰と、チームで不在期間を乗り切った件

ジェズースが最後にプレイしたのが、去年11月。ワールドカップで重症を負い、約4ヶ月間の離脱から彼がようやく復帰した。待ってた。

そして、この試合で観せた彼のパフォーマンスには、非常にポジティヴなものだったのもうれしい驚き。ブランクを感じさせないほどの動きで、実際惜しいショットもあったほど。あの本人の悔しがりようったらなかった(そして彼が離脱前、まったくゴールできていなかったことを思い出した……)。

この試合で彼が本格的に復帰したことは非常にめでたいし、今後シーズン終了までアーセナルにとってはビッグブーストになるのは間違いない。

それと今回の彼の復帰においては、彼が離脱した時点での状況と現在のそれをくらべて、彼のようなビッグプレイヤーの不在期間に、この若い未熟なチームがどれだけそれをカヴァしたかが称賛されている。

ジェズースが離脱したときも、じつはいまと同じ「2位に5ポインツ差」。このチームは、なんだかんだそれをこの4ヶ月間維持したという。これはジェズースのチームでの重要度を考慮すれば、けっこうすごいことだ。

ジェズースの離脱が判明したときから、エディ・エンケティアがみごとに直接的に代役をつとめ、不在を感じさせなかったのが初期の期間に起きたこと。

彼はジェズースになかったゴールもチームにもたらした(ジェズース離脱後の5試合でG4)。その後の彼は残念ながらゴールに恵まれなかったが、チームプレイには大いに貢献したし、なにより彼以外のフロントの選手たちがそれを補った。

ジェズース離脱後(ワールドカップ後)の、彼らのPLでのゴール・アシスト記録は以下である。

  • マルティネリ:G7
  • サカ:G6 A3
  • オーデガード:G4 A5

今シーズンのアーセナルは、チーム全体でゴール・アシストをシェアしているのは、シーズン早くからの傾向だった。現時点ではこのようになっている。レギュラーチーム。

GK以外、全員がGかAを記録しているだけでなく、全体的に数字も少なくないのがすごい。ひとりのスターに依存することなく、チームとして選手ひとりひとりが集団を支えている。だからこその安定した強さ。

このチームの健全さからすれば、もはや些末なスタットにさえ思えるが、今回こんな記録も。

メッシ・ネイマール・エンバッペをいずれ追い越すと信じられる。それがアーセナルFCのメインメン。プライスレス。

トロサールは理想のフォルス9。セレクションが悩ましく

今回の完璧パフォーマンスの一翼を担ったのは、あきらかにトロサール。間違いない。

今回のトロサールはなんと3アシスツ。BHAではハットトリックもやっているので。

トロサールはアーセナルのフォルス9としては、ジェズース離脱後のオプションのなかではもっともフィットしているように思える。フォルス9の最大の効果を、周囲の選手を活性化することと定義するならば、もはやジェズースのそれとも遜色ないと云えるほどのクオリティである。

もちろん、このふたりのクオリティには違いがあるが、総合的なチームへの貢献度からすると、甲乙つけがたいというような。この試合のトロサールはそれくらいのインパクトはあった。ケガあけでフィットネスに不安があったとも信じがたい。

いまではジンチェンコが移籍ターゲットのプランBだったことが信じられないのと同様、トロサールもまさしく同じケイスのように思える。むしろ、彼(名前なんだっけ)を取れなくてよかったくらい。なぜなら、PLでの即戦力がいま決定的な要因になっているのだから。今年のタイトルに千載一遇のチャンスがあるアーセナルには、ぴったりだった。

試合後のアルテタ会見でも質問が出ているように、ジェズースが戻って、これでセレクションが一気に悩ましくなった。うれしい悲鳴。

幸いなことは、ジェズースもトロサールも中央でもワイドでも、フロントならどこでも起用できるのが素晴らしい。

これで、ようやくサカを休ませられるようになるのかもしれない。

サカをできるだけフレッシュにしておくことは、タイトル争いにおいてもキーファクターになりかねない。

 

この試合については以上。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

4 Comments on “【マッチレビュー】22/23EPL フラム vs アーセナル(12/Mar/2023)アーセナル100%

  1. アーセナルとフラム
    どちらも上位チームでやりたいことをぶつける試合に見えましたね
    特に2点目のフラムのハイプレスとアーセナルのプレス回避はそれをよく物語っていたと思います。

    とにかく怪我人が何人か戻ってきて、過労気味の選手も休ませられたので、次は必勝!!

  2. アーセナルとフラム
    どちらも上位チームでやりたいことをぶつける試合に見えましたね
    特に2点目のフラムのハイプレスとアーセナルのプレス回避はそれをよく物語っていたと思います。

    とにかく怪我人が何人か戻ってきて、過労気味の選手も休ませられたので、次は必勝!!COYG!!

  3. ヴィエイラの技量なら、打てばゴールになっただろう。しかし、彼はジェズスへパスした。泣きそうになったのは、ワシだけではないはず…

    1. 確かに、グッと来ました。
      今のチーム内の雰囲気の良さが出てました。
      もうワンテンポ早く出せれば、ジェズスも合わせやすかったろうに・・・
      大事にいきすぎましたね。

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