16位と17位のUELファイナル。先日行われたそれは、内容的にも史上最低のファイナルだったともっぱらの評判ですな。わしもハイライトすら観る気にならず。
そしてアーセナルファンの多くがToTが勝ったことで、だいぶへこんでいるらしい。「空っぽのトロフィキャビネット」という定番のディスが使えなくなってがっかりなのはわかるけど、べつにいんじゃないですかね。われわれとはもはや競技のステージが違う。
そういえば、今年のUELファイナルの前にヴェンゲルさんが、「ELの勝者がCLを得るのはおかしい」と述べていて、各所で拍手喝采だった。これで来年のCLに英国から6チーム? たしかに多い。ヴェンゲルさんは、このルールについてUEFAに検討を促している。
もっとも、われらがPLで6位フィニッシュした17/18、アーセナルがアトレチコにSFでEL敗退したときにもヴェンゲルさんが同じことを思ったかどうかを考えるとちょっとおもしろい。あのおちゃめな表情が思い浮かんでしまうじゃないか。
さて、今週末はEPLのファイナルデイことシーズン最終日。マッチデイ38。アーセナルは、サウサンプトンとの対戦でSt. Mary’sへ。
アーセナルは、先週ホームでニューカッスルに勝利し2位を確保したため、この試合は実質的に消化試合。そして、サウサンプトンもとっくのとうにリーグ20位&降格が決定しており、この試合の結果は彼らの来シーズンを何も変えない。
シリアスな目標もなく、お互いやる気と集中力を維持するのが難しい試合のように思えるが、アーセナル目線だと来シーズンに向けて明るい気分でシーズンを終えたい。とくに、今年は結局何も得られなかった失意のシーズンであり、来年は間違いなくビッグシーズンになる。そのためにも、ここはプロとしてお仕事完了する必要がある。
アルテタの試合前コメント「(Rodrygo?)勝つチームにはベストプレイヤーがいる」
木曜に行われたミケル・アルテタの試合前記者会見。AFC公式サイトより。
(チームニュース……)
アルテタ:ジュリアンは火曜の朝に足首の手術を受けた。彼はもう長いあいだ、そこに違和感を感じていた。彼はずっとその問題を抱えながらシーズンを過ごし、いずれ解決する必要があった。したがって彼はしばらく離脱する。
サリバについては、彼はニューカッスルの前半にハムストリングに違和感があった。HTの直前だ。彼も数週間の離脱になる。
(ティンバーのケガのタイムラインは?……)
まだわからない。彼の回復具合による。数週間になるだろうが、正確にはどの程度かわからない。すべてうまくいけば、プリシーズンのどこかであってほしい。だが、まだわからない。
(サリーバ?……)
数週間だ。イエス。
(ハヴァーツの復帰について……)
彼がどれほど喜んでいたかわかったと思う。彼はずっとハードワークしてきたから。彼は、いまのあのシェイプとフォームで復帰するために医療スタッフとずっとやってきた。彼はチームに貢献したがっていたし、彼が復帰するところを観られてわたしもうれしいよ。
(パーティの去就について?……)
選手たちのなかには疑問符がついているものが何人かいる。だから、われわれも今後の様子を観ないと。われわれにはまだ日曜にPL試合があるし、そのあとには腰を落ち着けてやるべきことを完了させる時間を持てる。
トーマスに関しては、一貫性の点でこれが彼のベストシーズンだったと思う。彼のプレイ、パフォーム、availabilityは際立っていたし、チームにとっても非常に重要だった。
(ラヤの獲得はこれまでの最高の決断のひとつ?……)
われわれは意図を持って決断する。だが、当時それはとても不人気な決断だった。それを成立させるにはかなりプレッシャーもあったよ。
しかし、わたしが思うのは、われわれが感じるべきは自分たちの腹の底であり、チームを進歩させるための必要性をよく分析すること。チームをさらなるレヴェルに連れていくために。
間違いなく、クラブ、チームの周辺、サポーターも全員がダヴィドにとても満足していると思う。彼が最高レヴェルで安定してパフォームしていることに。
(来シーズンについてあなたの考えはどれほどはっきりしている?……)
わたしが想像できるのは、いまあなたが述べたようなことだ。だから、おそらくはわたしが行うのは、電話を手に取り、あなたに電話し、自分がなにを感じているかをそのまま伝える。
そして現在はそれをやるのにいいタイミングじゃないし、それをやるときじゃないと感じる。わたしにはかなりはっきりした絵図があるが、その前にやるべきいくつかのこともある。そうすれば、かなり明確にでき、分析され、正しいことばでシーズンについて語れるだろう。なぜなら、わたしはそれがとてもとても重要になるとわかっているから。
(来シーズンを正すためにもっとも必要なこと……)
調整(Alignment)。結局は全員だ。われわれ全員が同じように感じているのは、自分たちにはそれが可能ということ。夢とかやりたいことではなく、それをやるために必要なすべてを持っているということ。
そして、もしそれをやるとしても、勝つために関係してくることがまだたくさんある。たくさんのことだ。パフォーマンスがどうなるか、スクワッドのクオリティ、availabilityがどうなるか、レフリー、スケジュール、誰がプレイするか、いつ、相手のフォーム、回復のための時間。
そのあとにはフットボールのランダム性がある。ドレッシングルームでパフォーマンスに影響するような個人の生活があったとして、そのことはわたしにはコントロールできない。あるいは何かが起きたり、あるいはこのリーグでも過去にあったように競争相手がなにをするか。シニシズムがあり、そしてどっかん。相手がそれをやり、そしてそこにはたくさんのランダム性がある。
だから、われわれにコントロールできることについては、われわれが全力を尽くすとわたしが保証するよ。
(ゆうべトトナムホットスパが成し遂げたことについて……)
おめでとう。彼らがチャンピオンで、それを得るために彼らもたくさんの正しいことをしなければならなかったと思う。彼らも多くの障害や困難を乗り越えるシーズンだったと思うし、最後に美しいときを迎えられた。だから、おめでとうを云わないと。
これがスポーツであり、彼らには自分たちでそれをかなえられるすべてがあった。とてもうれしいだろう。
(アーセナルは彼らよりいいシーズンだった?……)
わたしはほかのチームと比べるのは好きじゃない。わたしは自分のチームを分析する。それが仕事。
(サウサンプトンとの試合について……)
できるだけ多くのポインツがほしいというモチヴェイションがある。つねにここにクラブ代表として勝つために来ているし、それをやりたい。
それにわれわれは、まだベストな守備記録を達成したい。ゴールデングローヴがあるし、シーズンを気分よく終わる。つねにこのコンペティションを尊重している。
(この夏あなたはどうスウィッチオフする?……)
リセットが必要。そのためには、たくさんのパーツがある。リセットする必要があり、そのあと自分自身でつぎのチャンスにやりたいことについて、とても納得し調整されている必要がある。
そして、腹の底で感じていることを感じ始める必要がある。初日からカムバックし、完全にやる気になり、あらためてやっていく完全な熱意を持つ。いまいる選手とスタッフのグループとともに。
(あなたは来シーズンにはどれほど興奮している?……)
興奮しているが、わたしもすこしだけ休む必要もある。落ち着いて決断をするために。もっとも効率的で、正しいタイミングで。
休養の大きな部分は、いつ起きていることを観始めるかであり、正しいタイミング、正しい方向でそれが起きているか。
(この夏のアンドレア・ベルタの役割について……)
彼は彼の豊富な経験を持って大きく貢献することになると思う。そして、すでにとても困難な状況でも勝ってきたという事実。彼のチームの築きかた。彼は際立っている。
われわれは責任を共有する必要があると思うし、アンドレアは計画と考えを推進し実行するうえでのキーパートになる。われわれは彼を支えるためにここにいる。
(今シーズンをひとことでまとめると?……)
その質問が来るだろうと思っていたよ! 終わったら、それをしよう。わたしがひとつ数えるとき、きっと3つは使ってるかもね。
(レアル・マドリッドのRodrygoとのリンク報道について……)
わたしは選手名を出したくない。しかし、もっとも重要なことは、そしてプライドということばを使うなら、われわれがクラブをこのポジションに連れてきていること。それは、つぎのシーズンでは大きなトロフィを勝たねばならないというポジションだ。
それはつまり、みんながわれわれにそのレヴェルがあると信じられているということ。その一貫性を示し、この国とヨーロッパにおけるエリートチームだということ。そして、もしそれができないのなら、そのあと何がおきる?
わたしにとってはそれが最大の宣言だ。アーセナルはもうそこにいる。
(そのような選手が市場に出ているならアーセナルは交渉すべき?……)
大きなトロフィを勝ちたいのなら、市場でベストでなければならない。勝つチームにはベストな選手がいる。つねに。このレヴェルでは。
(ハヴァーツのバルクアップについて……)
違いは観たでしょ?!
(ハヴァーツの復帰で移籍市場の見方が変わる?……)
フロントラインのケガの量からしてあきらかなことは、われわれにゴール脅威、火力が必要ということ。そして、明日にでも変えられる状況を理解すること。
われわれは以前にあった数字には頼れない。われわれはゴールを増やす必要があり、クリエイティヴィティを増やし、数字を増やす必要がある。そして、そうすれば違うポジションにいることになる。
(フットボールに「成功」と「失敗」のどちらかしかないことが不満?……)
外部的にはイエス。それだけで判断されるし、そのふたつの単語が使われる。それで終わり。
しかし、そのあとはそれに基づいた決断がされる。だから、来シーズンはそれはできない。それで失格。もしそれをするなら、ここに永遠にいることになる。わからない。それはなんだ?
なぜなら、ゆうべがそのとてもよい事例だ。あるいはインテルとPSGのファイナル。なぜなら、彼らは勝つかどうかだけで判断されるから。そうでなければ、彼らはまたずっと挑戦してきたこの12年間のようになる。
わたしには、それとはとても違う視点がある。
(選手たちいっしょにそれと対処すること……)
でも、だったら喜びはどこへ行ってしまう? だって、もしわたしがアーセナルFCを分析しなければならないなら、この20年間PLで失敗し、CLでは全歴史で失敗したことになる?! もしそれをやったらどうなる? わたしたちはいったい誰なんだ? ブランドは? クラブは? われわれは何のためにここにいる? われわれの価値は? プレイスタイルは? みんなでいっしょに過ごした時間はなんだった?
もしわれわれがそれを評価することになるなら、まとめることが必要だ。それはなんなのか? この20年間と、ヨーロッパにおけるクラブの完全なる履歴。わたしならそんなふうにはしない。
(土曜の女子CLについて……)
わたしは観戦するつもりだ。わたしは願っているし、全員が同じ気持ちだと思う。彼女たちにエナジーを送らねば。クラブにとっても、彼女たちにとってもすごいときになるだろう。だから、わたしは彼らの成功を願っている。みんなで観戦する。
(彼女たちが成功するとそのエナジーがクラブ全体にいきわたる?……)
間違いなく。女子チーム、アカデミー、どのレヴェルでも。すべてがクラブにとり非常にポジティヴ。それ以上うれしいことはないね。
(あなたはトーマス・パーティを来シーズンもキープしたい?……)
そうだね。わたしは何度もそう云っている。
(何人の選手を補強したいか具体的な人数が念頭にある?……)
イエス。
会見のつづき。
サマリー。
- players need a rest and had some big injuries but all part of the schedule – will be a good summer
- plan for a big impact signing? we have to feel what is best for club and the team and make it happen
- what need to be addressed for next season? remove randomness and improve size of the squad
- Max Dowman will be involved in pre-season and some more from the academy and hopefully get a beautiful surprise again
- Pep said quit over squad size? different situation at our club and need optimum size of squad and everyone accepting their role
- how long to take stock and make changes? we know some plans but others will emerge
- we will change a lot for next season and will adapt
- Ange said he wins trophy in second season?we have the dream to win but applaud him for his statement and delivering – impossible to eliminate randomness
以上
レアンドロ・トロサールのロングインタビュー
AFC公式サイトで公開されている。ちょいと長いのでここで翻訳はしない。
Reliable Leo aims to complete ever-present season
新WGでトロサール、マルティネリは夏にどうなる?
このトロサールのロングインタビューが興味深いのはタイミング。ちょうど3日前、アーセナルとトロサールの契約延長交渉がニュースになっていたから。クラブとして、交渉に何らかのポジティヴな影響を与えたいがためのインタビューだったとか?
Leandro Trossard: Arsenal forward in advanced talks over new contract
記事によればサウジクラブからの関心もあるなかで、本人はクラブに残留希望で契約成立には楽観的空気があるという。※彼の現行契約は2027まで
もっとも、この夏に新しいウィンガー(LW)がアーセナルに来るのはほぼ確実で、最近はRodrygoのような€100m規模のビッグネイムの名前すら出ているところ。ハヴァーツの復帰、9の補強も合わせて考えると、それでフロントラインには十分なデプスもあり、マルティネリとトロサールのどちらかは夏に売却されるという憶測も根強くある。
このネリレオの件については、いっぽう先日のジェイムズ・マクニコラスのThe Athleticでの興味深いリポートもあった。
それによれば、アーセナルとトロサールは契約延長ではなく、現行の契約内容の見直しについて交渉しているという。クラブのなかでも、現状の彼のチームでの立場や貢献と給与(£90kpw)が見合っていないとの認識があるようだ。たしかにそれはそうだろうが、契約があるなら給与に文句のつけようはないはずで、この契約内容の見直しに関してはどういう力学が働いているのかちょっとよくわからない。ましてやそこで契約の延長もしないというのなら。まあ、いくら契約で縛りつけても選手が待遇に不満なら結局はうまくいかないので、それを解消するためなのかもしれないが。あんまり聞いたことのないケイスには思える。
それとネリについては、2027年までの契約と1年延長OPもあり現状では契約更新に緊急性はなく、ベストプレイヤーをキープしたいクラブは彼をそのひとりとしてキープしたい意向がある。
というような状況がありながらも、このふたりについては、もし夏にクラブと選手に納得できる規模のオファーがあれば、この契約は変わる可能性があるという。ネリについては、クラブの評価額は£50m。
夏の市場次第。どうなるか観てみよう。
トロサールは正直、個人的にはいてほしいと思う。もちろん、年齢もありアーセナルでの今後は長くないだろうが、トロフィを狙うシーズンでいざというときに頼れるベテランとして必要な存在に思える。なにより仕事をしてくれる漢だ。