結局、敗けてしまいましたな。夢のCLファイナル進出は、ならず。
すでに先週ホームでのファーストレグを落としていたアーセナルとしては、ここで勝つ以外にファイナル進出の道はなかったアウェイのリターンレグ。
タフな地でさぞかし苦労するかと思いきや、アーセナルはスタートからかなり優勢に試合を進めた。あれはいい意味で予想外。しかしながら数多くつくったチャンスを活かせずにいると、相手の単発な攻撃であっさり失点。ハンドボールでペナルティまで取られる不運もあったりと、結局最後まで試合に勝つことはかなわなかった。これは、なんだか今シーズンのアーセナルを象徴するような試合であった。
しかし、目標達成はならなかったにも関わらず、試合後の気分としては存外わるくない。少なくとも死にたくはなってない。
チームは勝利を目指して全力を振り絞ったし、戦略・戦術も適切に見えた。勝つためにリスクも負った。あと必要だったのはゴールだけ。あるいは少しの運。そのどちらも、まさに今年のわれわれがシーズンを通して欠いているものだ。(それにしても、運が悪いってのはなんなんだろうね? オカルトか?)
これは誰も責められないという気がするし、この大舞台であれだけ勇敢なパフォーマンスを見せたチームを誇らしくさえ感じる。ヨーロッパベストの4チームにふさわしかったと思う。
トロフィのチャンスがなくなったいま、事実上アーセナルのシーズンは終了した。来シーズンに向けては、さまざまな課題も見えている。夏にどれだけのことが解決できるか。
試合をざっくり振り返ろう。
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アルテタの試合後コメント「チームを誇りに思う」
試合直後のアルテタのインタヴュー。AFC公式サイトより。
アルテタ:(この敗戦がつぎのレヴェルへの活力になる)イエス。100%。こういう難しいときを受け入れる備えもなければならない。向こうのドレッシングルームではMarquinhosといういい例もある。立ち上がらないと。
たしか彼は、CLに11回挑戦して11回敗れている。彼にとってCLは毎年トライしていることであり、顔を上げ、ことを起こそうとして、いまもまだ競っている。
われわれは素晴らしいパフォーマンスだった。しかし、とても苦しい。「とても競ったんだが、惜しかった。相手よりも強かった」では足りない。
これに苦しまねばならないのは、もし苦しまないなら、今後また起きるかもしれないからだ。われわれはもっと多くのことをする必要があるし、もっとavailabilityとオプションが必要。それがつぎのステップだ。
ファイナルへ行くPSGにはおめでとうだ。そしてわたしはわたしたちのサポーターにはありがとうも云いたい。ここまで素晴らしい旅をともにしてきた。
あの応援がどれだけチームを盛り上げようとしていたか。われわれがそれを実現できると、どれほどの信念があったか。だから、これはとても悲しい日だ。彼らもとても失望している。
わたしは、チームがすごいパーソナリティを示したと思う。20分までに、われわれは2-0か3-0にしているべきだった。そして、こうした勝負はふつうは両ボックスで決まるものであり、彼らのこの2試合のベストプレイヤーはGKだった。彼が違いをつくったし、おそらくはスコアラインも。
正直、ファンといっしょの素晴らしい旅だった。ホームでプレイするとき雰囲気があったし、アウェイでプレイするときも、とても感謝したい。われわれは、彼らにある信念をすごく感じられたから。本物の信念だった。しかし、残念ながらわれわれはそれをもたらせなかった。
試合後の記者会見。AFC公式サイトより。
(パフォーマンスについて……)
アルテタ:まずはPSGのファイナル進出におめでとう。実際には、われわれはもっといい結果がふさわしかったと思う。
どちらの試合を分析しても、ベストプレイヤーだった選手、MVPだった選手は同じ。GKだ。CLは両ボックスで決まるし、彼がチームを試合に勝たせた。なぜなら、今日も20分で起きたことは、ロンドンでもそうだったように、結果はかなり違うものであるべきだったから。
だから、わたしはたくさんのポジティヴを得られるし、チームのことがとても誇らしい。
われわれは、このコンペティションのこの舞台には、完全なスクワッド、完全な起用、ベストコンディションで来なければならなかった。われわれにはそれができなかった。だから、それはおいてこう。
今日対戦したチームは、おそらくわたしが観たきたなかでもヨーロッパベストということでなくともベストのひとつであり、だからわたしは誇らしくなる。
だが、同時にわたしは困惑もしている。自分たちがやり遂げられなかったことが非常にむかつく。
われわれには、ふたつのことがあった。たぶんそれはいっしょではない。もういっぽうのことは、もちろんこのレヴェルの相手にはクオリティがあり、Donnarummaのような選手がまたやったということ。
(ドレッシングルームの様子について……)
ことばで伝えるのは難しい。われわれのワーク、熱意、信念、何が起きようとここへ来てああいうことをやった。これは、彼らの95%にとり初めての体験だ。彼らはCLのセミファイナルでプレイしたことはないのだから。
彼らがパリで今日あのチーム相手にやったことは際立つものだ。しかし、実際はわれわれは敗退した。だからもっとよくなりたいし、もっと勝ちたい。
われわれはまだ振り返ることはできないだろうが、もしそれをやるなら、ファイナル進出にはなにが必要だったか、ドアを開けるには何が必要だったか。それで実際に勝てるか。そういうふうになりそうだ。
(アプフロントにはもっと火力が必要……)
わたしは、選手たちをコーチすることがとても誇らしい。そして、そのなかでわれわれはふつうならゴールになるであろうチャンス、状況をつくっている。
しかし、ときには相手を褒める必要もある。キーパーがやったこと、今回だけでなく、両方でだ。彼が試合に勝たせた。そして、このコンペティションを勝つにはそれが必要だ。
ふたつのボックスのうちひとつで、誰かが勝つために特別なことをせねばならない。ことを起こすために。そして、そこが違いになった。
(選手たちになんと声をかけた?……)
あなたたちに話すようにだよ。ここで話すように、彼らにも話した。なぜなら、それがわたしが感じたやりかただから。
イエス。わたしは誇りに思っている。イエス、おそらくは予想とおりのやりかただった。イエス。われわれのコンディション的には、起こりそうもないことだった。
だが、また起きそうではあった。とてもとても起きそうだった。われわれがそうした。だから、それが実際には起きなかった理由を探している。われわれにないものではなく、われわれにあるもの。実際にことを起こせるもの。
(チームがトロフィを勝ち取ることに自信はある?……)
場合による。2年前のスクワッドでは、誰からもCLに出場できるとさえ思われていなかっただろう。リーグで2位とかタイトルを競うとか。あるいは、ほかの年ならチャンピオンになっているポインツを稼ぐとか。CLでこれだけの結果とパフォーマンスを出すとか。
しかし結局現実は、失うことも必要なのだ。すべてのワークをかけたトロフィが必要で、そして失望はそれが起きないこと。
(ベストチームが勝負に敗けた?……)
わたしはそう思う。とくにこの160分。わたしもそう云っているし、彼らもそう云っている。彼らからそう聞いたよ。
(誰がそれを云ったので?……)
PSGのベンチ。
(もしかしたらつぎのレヴェルに行けないんじゃないかという恐れはある?……)
そうでなければ、最高レヴェルのフットボールはプレイできない。向こうのドレッシングルームにいい例がある。Marquinhosは、11回挑戦しなければならなかった。
だから、鏡を観ることだ。軌道があり、学びがある。このスポーツに参加し、競い、すべてのトロフィの近くにいたいのなら。それとの付き合いにうまくならなければならない。苦しいが、対処しなければならない。
(選手の目に渇望が見える?……)
今日は、チームがいかに勝ちたかったかがわかる。彼らは涙を浮かべていたから。
アルテタは、「アーセナルのほうがいいチームだった」とPSGの人たちも認めたと述べたが、ルイス・エンリケにはあっさり否定されていた。まあ、わざわざ云いそうもないことではある。
マーティン・オーデガードの試合後コメント「タフなことを経験するたびに強くなる」
キャプテン。最後までがんばった。あの序盤のショットが決まらなかったのはやはりGKを褒めるべきなんだろう。試合後のインタビュー。AFC公式サイトより。
MØ:正直とても苦痛だ。ぼくらはとてもよく試合を始めたと思う。前掛かりで、試合をコントロールし、いくつかの大きなチャンスもつくった。
だが今回も、ふたつのボックス。そこが試合を決める場所であり、ぼくらは十分ではなかった。信じられないようなセイヴをいくつもやった彼らのゴールキーパーの大きな功績でもあるね。
ぼくらはいいことをたくさんやった。でも結局のところボックスでうまくやる必要がある。そここそが、ぼくらがもっとシャープに、決定的になるべきところであり、あんなふうに失点しちゃいけないところ。
ぼくらは団結し、これからも力強くある必要がある。ここから学ばないと。いまはキツい。ここを勝ち抜けたかったし、クラブとサポーターにトロフィをもたらしたかった。みんなに。
ぼくらももう何度かタフな時期を過ごしてきたが、ぼくはそのたびにチームが力強くカムバックしているように感じている。それ以外にやれることはない。
超がっかりだし、みんなもそう。しかし、自分たちにやれる唯一のことは継続することだ。進歩をつづけて、学習をつづける。団結し、お互いのためにいること。お互いを励まし、そしてまたやっていくんだ。
デクラン・ライスの試合後コメント「成長のためには敗ける必要もある」
あのピッチの縦全体をスプリントで戻るかのような超絶ディフェンス。この試合にもっとも勝ちたかった漢のひとり。ライスの試合後インタビュー。TNT Sports。
DR:あんなに支配的にスタートしたのに、悔しいよ。ぼくらがあの15-20分あたりにつくったチャンスのうち、ひとつでも決めていれば試合は完全に変わっていた。フットボールでは、こんなわずかな差しかない。
そしてぼくらはふたつのミスで、相手は2ゴール。ぼくらがミスしたチャンスからすれば、こうなるはずではなかったと感じる。
ぼくらは完全にすべてを出しきった。だからこのコンペティションは無慈悲なんだ。この2レグで、ぼくらは3-4ゴールは決めていなければならなかった。正直そう思う。だが、Donnarummaは信じられなかった。この僅差を観なきゃならない。こうなるはずではなかったんだ。
人生において、勝つためには何度か敗ける必要がある。ひととして、選手、グループとして、精神的に成長するためにも、このセットバックを乗り越える必要がある。
ぼくらはこのいくつかの敗戦で、いまはそのフェイズにいる。リーグを逸し、そしていまCLでも2年連続で惜しいところまで来ている。
ぼくらはチームとしても個人としても成長している。しかし、これからもプッシュして信じつづける必要がある。だからこそぼくらはフットボールをプレイしているんだ。セットバックは旅の一部なのさ。
PSGが勝ち抜けたことは、とても悔しい。しかし、これでぼくらが何者かを決めることにはならない。ぼくらは復活する。そしてキープレイヤーたちがケガから戻れば、もっと強いチームになる。これからもつづけていかないと。