こんにちは。
この夏の移籍ウィンドウにおける、アーセナルの最大の問題であるストライカー選び。現在は、Benjamin SeskoとViktor Gyokeresのどちらかが本命と云われ、さまざまな議論や比較があるが、そのもっとも重要なポイントは彼らが実際イングランドにやってきて、リーグに適応し、No.9の仕事として実際に多くのゴールを決められるかどうか。
とくにGyokeresは、24/25のポルトガルリーグで圧倒的な数字を残していることもあり(52試合で54ゴール、内リーグ33試合で39ゴール)、それを世界一タフなリーグと云われるEPLでもどこまで再現できるかが問われる。ポルトガルとイングランドのリーグのとくに守備におけるクオリティ差は、ファンのあいだでも語られがちなトピックであり、彼のPLでの成功には懐疑的な声も少なくない。
そんななかで、『The Telegraph』(Sam Dean)が、そういった海外リーグからPLにやってきた選手の過去データを使った検証をしていたので、今回はそれを紹介したい。※基本ペイウォール
Data that shows how many Premier League goals Gyokeres and Sesko would score
ポルトガルに限らず、ヨーロッパのほかのリーグで大活躍し、そこから鳴り物入りでEPLにやってきた攻撃の選手たちが、新しい環境でその再現に苦しむ姿を見るのはとくにめずらしくない。移籍金の大きさをプレッシャーに感じることもあるかもしれない。それをデータで確かめる。
これは、SeskoとGyokeresをフィーチャーしたアーセナルファン向けの要素が強い記事であるが、このふたりに限らず、さまざまな場面、あるいはほかのクラブのファンにとっても興味深い考察だと思える。この夏は、多くのPLクラブがフロントの選手を求めており、海外リーグからイングランドにやってくるたくさんのアタッカーたちがいるはず。彼らがマイチームで成功するかどうか、当然誰もが気になっていることだろう。
「データが示すSeskoとGyokeresのPLゴール」by Sam Dean
ざっくり要約しよう。詳細はオリジナル記事を参照されてください。
- Telegraph Sportは、ポルトガル、フランス、ジャーマニー、イタリー、そしてスペインからの移籍で、過去15年でもっとも高額だった15人の攻撃的選手(※ストライカー、ウィンガー、アタッキングMF)について調査を行った
- 彼らの移籍元での最終シーズン(いい換えれば彼らがPL移籍を勝ち取ったシーズン)と、PLへ移籍してからのシーズンで、試合ごとの平均ゴールを比較
- そしてその結果は、ほかのヨーロッパのトップリーグとくらべてPLの力強さを明確にしている
ポルトガルからの移籍(62%↓)
- ポルトガルのプリメーラ・リーガは、ヨーロッパのメジャーリーグには含まれていないものの、英国クラブが大金を注ぎ込んで攻撃マインドの選手を買い漁っているリーグ。ベンフィカ、ポルト、スポルティング・リスボン
- 近年も、Darwin Nunez(£64m)、Luis Diaz(£37.5 m)、Evanilson(£40m)、ファビオ・ヴィエラ(£34m)、Bruno Fernandes(£47m)らがいる
- しかし、このなかで誰ひとりとしてポルトガルリーグでのゴール記録をPLで再現したものはいない
- DiazとFernandesは間違いなく成功だと思われているが、彼らとてポルトガルでの最終シーズンのゴール記録は維持できていない
- ポルトガルからイングランドへの過去15年間で移籍金トップ15の攻撃的選手の移籍では、彼らはゴール記録を62%減少させている
- 彼らはポルトガルでの最終シーズン0.41という試合ごと平均ゴールがあったが、イングランドではそれが0.15に
- このポルトガルからPLへやってきた15人のなかで、ただひとり記録を改善させたのはRaul Jimenezだけ
- これは、この夏にGyokeresを求めているPLクラブには警告になる? いずれにせよ、ポルトガルでの生産性は期待すべきではない
- Gyokeresは24/25のプリメーラ・リーガで39ゴール決めており、こうした高額移籍の例にならうなら、彼のPLでのゴールは15ゴールあたりになる
ドイツからの移籍(40%↓)
- 直近のブンデスリーガからPLへの高額移籍にはOmar Marmoushがいる。そして、この夏もJamie GittensやBenjamin Sesko、Hugo Ekitikeといった選手が英国に向かうと云われている
- そしてポルトガルリーグ同様、ブンデスリーガからPLに移籍する選手でも、より多くゴールを決めるようになる選手はまれ。高額移籍トップ15人のうち、それができたのはRoberto Firminoしかいない
- Jadon Sancho(£73m)、Christopher Nkunku(£52m)、Sebastien Haller(£45m)の3人は、英国フットボールへの適応にひどく苦しんでいるし、いっぽうで、Erling Haaland、Kevin De Bruyne、そしてピエール・エメリク・オバメヤンは成功している
- 調査の結果、ブンデスリーガからPLへ移籍したアタッカー全体では、平均ゴールは40%落ちている
- Sesko(13ゴール)とEkitike(15ゴール)だと、PLでの新シーズンはそれぞれ8ゴール、9ゴールになる計算
フランスからの移籍(49%↓)
- PLの歴史的にベストなアタッカーはフランスのリーグアンから来ている。Eden Hazard、Bernardo Silvaは過去15年での好例であり、2020にRennesからリーズへ移籍したRaphinhaも成功例
- とはいえ、リーグアンからPLの移籍もゴール記録は急激に下がっている。調査では49%減
- アレクサンドル・ラカゼットはフランスでは素晴らしいゴールスコアラーだったが、アーセナルでは苦しんだ
- マルセイユでの最終シーズンに17ゴールを決めたMichy Batshuayiも、PLでは77試合でたった15ゴール
- これが、シティがリヨンのAM、Rayan Cherkiに注意深くなっている理由かもしれない。彼は24/25にリヨンでG8 A11
イタリアからの移籍(32%↓)
- 数字のうえでは、セリエAからPLへの移籍は、ポルトガル、ジャーマニー、フランスよりはいい。調査では32%減
- イタリーからの高額移籍金でもっとも成功したのは、間違いなくMohamed Salah。彼はローマの最終シーズンで0.48の試合ごと平均ゴールが、PLで0.62になっている
- Felipe AndersonとMario Balotelliもイタリーとイングランドで似たような記録がある。それに、Dejan Kulusevskiもユヴェントスにいたころよりも、トトナムのほうがよりゴール脅威になっている
- 近年のマンUがイタリアから獲得したJoshua Zirkzee、Rasmus Hojlundは苦しんでいる
- しかし、全体的にはイタリーからの補強は悪くないため、セリエAの攻撃タレントを求めるPLクラブには励みになる
- たとえば、ナポリでの際立つゴール記録をもつVictor Osimhenは、イングランドでも活躍できるかもしれない
- ほかには、PLクラブから注目されているロンドン生まれのAdemola Lookmanも、アタランタ時代に攻撃を開花させた
スペインからの移籍(2%↑)
- コンペティションとしてのPLの優位性を示すデータは多いが、調査によるとラ・リーガからPLへの高額移籍では、実際スペインよりもイングランドのほうが楽にゴールできるようだ
- 直近の明白な事例は、Alexander Isak。彼はニューカッスルでの86試合で54ゴールを決めている。彼は、レアル・ソシエダでは32試合でたった6ゴールしか決めていなかった
- あるいは、Matheus Cunha、マーティン・オーデガード、Ferran Torres、ミケル・メリーノ、Rodrigo Moreno。彼らは全員がスペインからの高額移籍でゴール記録を向上させている
- スペインからPLでは、1.7%平均ゴールが増加している
- これが示すのは、スペインリーグはポルトガル、フランス、ドイツ、イタリーといったリーグよりも著しくクオリティが高いこと
以上
これは、なかなか興味深い内容なのでは。
ちょっとデータ採取のサンプルサイズが小さいように思えるので、%の数字はどこまで信用していいかわからない部分もあるように感じるが。サンプルが少ないと、いい記録も悪い記録も個別の突出したレアケイスの影響が出やすくなる。トップ15じゃなくトップ30なら数字もかなり違うかもしれない。
いずれにせよ、いろんな点でもっと細かい分析ができそうな興味深いテーマである。
そんな分析の信頼性はあるとしても、ポルトガルリーグの守備クオリティが低い(ゴールしやすい)という俗説に、一定の裏付けを与えるデータでもあるとは思う。非メジャーリーグでアタッカーがいくら実績を積もうが、トップリーグの守備組織、あるいはDFに通用しないとか。ポルトガルでの実績を安易に受け入れるのは危険。とくにその選手に大金をかけるときには。
比較されたリーグのなかではイタリアが比較的悪くない数字というのもおもしろい。セリエAは守備に定評のあるリーグだもんね。そういうアタッカーにタフなリーグで、たくさんゴールできるストライカーは優秀なのかも。PLのタフなDFともやりあえる。
あと、これイングランド国内での移籍(PLからPL)のデータも参考として観てみたかった。その場合ただクラブが変わっただけだが、国やリーグを変えることの影響がどれほどあるかの考察にも役立ちそう。
それと今回の分析では高額移籍金の選手に限定しているが、そうじゃない場合も。移籍金の大きさはメディアでの注目度に直結している。大金で移籍してきた選手が以前のパフォーマンスの再現に苦しむとき、移籍金のプレッシャーはしばしば指摘される。比較的安価で移籍した選手との違いもあるかもしれない。
ちなみに、これが現状のUEFAランキング(リーグ)。イタリアとスペインの順番は違うけど、まあだいたい合ってる。
どのクラブも選手補強するときには、やはりスタッツデータもかなり参考にするだろうが、彼のプレイするリーグのクオリティはもっと重視しなければいけないのかもしれない。ポルトガルとドイツの実績は違う。「ウクライナのネイマール」を大金で買うとか、宝くじみたいなもんだろ。
Sesko(ドイツ)とGyokeres(ポルトガル)は、この計算だとPLでは8ゴールと15ゴール。リアルな数字でヤバい。超ありそうである。
いま、Darwin Nunezのスタッツをしらべてみたら、ベンフィカでの最終シーズンが34ゴール、リヴァプールでの初年度が15ゴール(※どちらもすべてのコンペティション)。55%減。24/25なんて7ゴールやぞ。リーグが5。Gyokeresがアーセナルに来てこれだったら死にたくなるな。彼は大丈夫か。
おわり
EPLから他リーグへのデータも見てみたいものです(余剰戦力が売られるケースが多いかもしれませんが)。
スコット・マクトミネイなんかマンUからナポリ移籍1年目でセリエA最優秀選手ですぞ(笑)。
ミケル・メリーノがポルトガルへ行ったら30点いけるかもね。
たしかに!
この手のデータはスタッツサイトやAIなど色々使えば短時間でもまとめられそうな時代になっていますが、サンプル数は多いほど良いしLast seasonだけでなく2年分くらいは使って欲しかったですね。
メリーノはソシエダでCFやってたんですかね?彼は例外だと思いますが…。
基本的にリーガ以外からプレミアに来たらゴール半減で、逆も概ねそんな感じというざっくりした感覚論が概ね正しいことを証明していますが、とはいえスアレスやオバメやレヴァやケインやロナウドのような戦術の中心に据えられるワールドクラスのストライカーはどこでもあまり変わらないかも?
いずれにしても一年目でギェケレシュがPLで15G(CL5G)くらい取れたら成功の部類に入るでしょう
これ言語の問題もありそうだけどどうかな?
共通点があればおもしろいな。
今シーズン結局二桁得点出来た選手がチームに誰もいなかったわけです
その中でリーグ概算15得点してくれたら大分御の字だと思います
今シーズンのリーグ得点数+15で84
得失点差+50でリーグトップに
また今シーズン引き分けた14試合のうちの5試合でプラス1点ずつ決めてくれるだけでリーグ首位なわけです