EPL界隈の週末はコスタの話題でもちきりだった。なにしろ世界最強プレミアリーグのトップチームのレギュラーで得点ランキングだってトップをまっしぐらのストライカーが、金目当てで中国に移籍するかもというのだからたまげる。街はもう大騒ぎさ。
EPLの大物ストライカーが中国行きか
BBC SPORTによると、もしコスタがチャイナに行くならお給料は英国首相の年給の4倍以上をもらえる。毎週な!ということらしい。いったいいくらなんだ。まあとにかく早く行くといいと思う。
それでふと思ったのだけど、いろいろな憶測を呼んでいるアレクシス・サンチェスの最近のふてくされ挙動について、彼はアーセナルの野心や途中交替や安い給料にがっかりしているんじゃなくて、単に中国行きを真剣に考え始めたってことなんじゃないだろうか。週給40万ポンド(日本円にして約5,500万円)くれるというクラブに。それで、そのことをいつクラブに伝えようか悩んでいると。
おれはチャイナに行くかどうか真剣に迷ってるっていうのによ。チェッ。
なんでこの気持ちをわかってくれねえのかなあ。
はあ。まじどうしよ。チャイナ行き、いつ切り出そうか……
中国行きを真剣に考え始めているアレクシス
もちろん憶測にすぎない。仮説である。ただ、そう考えると腑に落ちそうというか、合点がいくというか。
そもそもアレクシスがいくら王様プレイヤーといえど、いかに腫れ物に触るかのように扱われているにしても、クラブやボスに対してあれほどこれ見よがしに落胆したり、あからさまに批判的な態度を取ったりするものだろうか。スウォンジー戦の交代後のような態度をとれば、まわりにどのような影響をあたえるかはさすがに理解できているはずだ。
もちろん、チームメイトのプレイに対する不満や落胆はあるだろう。誰もがアレクシスのようにプレイできるわけではない。しかし、そんなことでわざわざフードをかぶってベンチでぐったりしている姿をさらすわけがない。
そう、彼はあのときチームへの批判や途中交替に対する怒りの態度を取っていたわけではさらさらなくて、自身の双肩にのしかかる期待という<空気>を察して「おれはいつ行くっていえばいいのか……」と、中国行きを告白するタイミングについて孤独に悩んでいたという観方が真実味を帯びるのである。もしかしてまだ代理人とも話していないのかもしれない。
さすがにアレクシスだって、この爆買いに対する批判ムードのなか中国行きを選ぶことが、フットボーラーとしてどれだけ批判を浴びるかは百も承知だろう。下手をすればこれから一生、金の亡者の烙印を押されることになるかもしれないのだ。歴史ある英国クラブのレジェンド候補から一転、まるで金で魂を売ったビジネスフットボーラーかのような扱いを受けることが果たして今後の人生にプラスになるのか。
されど週給40万ポンド。「毎週もらえる40万ポンド」は並の金額ではない。チリにいるサンチェス家の一族郎党が少なくとも数世代は経済的な心配をせずに暮らせる額かもしれない。この一世一代の魅力的なオファーを断ることは簡単ではない。悩みどころである。
そこへきてのコスタ騒動である。目下、プレミアリーグの得点王を争うライバルのまさかのチャイナ行きに「え? ちょ、おまっ、、、」と動揺を隠せないアレクシス。あると思います。このコスタの世間の空気を一切読まない型破りな行動に一番驚いているのはもしかしたらアレクシスなんじゃないのか。「もしかしておれも行っちゃっても大丈夫なのかな?」とか思っちゃったアレクシスなんじゃないのか。
コスタに続くかもしれないアレクシス
コスタに関しては、先日誰かが彼の境遇について「しがらみ」のなさを指摘していてなるほどなと思った。ブラジル出身でセレソン入りを請われながらスペイン代表を選んだ男である。英国にはもちろん何の義理も思い入れもない(いや知らんけど)。彼がロンドンの油くさい青いチームをあっさり退団したところでぼくは驚かない。
しかしその点では、アレクシスだって同じである。英国には何のしがらみもない。チリからイタリア、スペイン、そして英国へと渡り歩いてきた。イタリア語のほうがスペイン語に近いから、英語がうまく喋れないアレクシスにとって英国はイタリア以上に思い入れのない国である可能性さえある。
つまり、アレクシスの去就に影響を与えるのは、こともあろうにコスタの去就だったりする。という可能性。なんたる恐怖。
髭面がキュートなおれたちのジエゴからしばらく目が離せないね。