週末のバーンリー戦でまたやらかした。無謀で不必要なタックルでレッドカードのグラニト・ジャカに批判が集中している。
「過ちから学ばないジャカ」
学ばないジャカ
ESPNのこの記事では、ジャカが説明した彼自身のラフなプレイスタイルそして「カードは問題にならない」といった発言を「問題になるにきまってる」と一蹴。
最初のレッドカードで「二度と過ちを繰り返さないインテリジェンスの持ち主」と擁護したヴェンゲル監督に恥をかかせるものであり、中盤での「汚れ役」はアーセナルがのどから手が出るほど必要としていたとしながらも、果たしてジャカが解決策になるのか、今後の起用に疑問を投げかけている。
ただこの記事でのユーザーからのコメントを見ると、フェルナンジーニョやスアレス、ジダン、ショークロスといった過去に問題を起こしたプレイヤーを例に、ファンのなかにはジャカを擁護する向きもある。
そういえば、翌日のArseblogもジャカのファールの愚かさというよりはレフェリーに対する批判をしていた。
そんなコメントをいくつか読んでいたところ、パトリック・ヴィエラに言及しているコメントがあって、そういえばヴィエラだってアツかったよなと思って少しググッてみた。
この手の話題は毎度USの「SB NATION」が引っかかってくる。
昨日アップされたばかりのこのブログを見つけた。ちょうど読みたかった系のエントリである。
MLBの例えなんかが出て来るので、何をいっているのかちょっと読みづらいのであるが、まあとにかくジャカはバカ野郎だししょうもないチンカスだけど、がんばれば、まだEPLで一番のDMになれる可能性だってあるよっていう生暖かいエントリだった。
ジャカとヴィエラのイエローカード/レッドカード比較
このなかでジャカとヴィエラのディシプリンの比較を行っていた。データはプレイヤーのスタッツを見るのに便利、おなじみのサイトTransferMarketから。
シーズン | イエローカード | イエローカードX2 | レッドカード | |
パトリック・ヴィエラ | 9 ※Arsenalのみ。リーグのみ。 | 71 | 6 | 2 |
グラニト・ジャカ | 8 ※リーグのみ。 | 56 | 7 | 4 |
この比較で数字だけ見ると、ジャカのほうがいくらか分が悪いとはいえ、似たようなもんじゃないかという気もしないでもない。
ワールドカップ、EURO、チャンピオンズ、EPL x3、FAカップ x5。何この化け物。
ただ、ヴィエラがアーセナルで戦った”インヴィンシブルズ”を含む9シーズン(96-05)と、バーゼルとメンヘングラッドバッハでのスタッツがメインのジャカの8シーズンを比べられるかといえば、それは無理があるというものだろう。インヴィンシブルズの中心人物でEPLを3回取ったヴィエラのほうがより濃密で、カードを避けるには厳しい環境のなかにいたことは間違いない。
また少ない差ではあるが、イエローカードが多く退場が少ないということはそれだけ、危険なエリアでプロフェッショナル・ファールを的確に行ったという証左ではないか。
このデータからだと、それが失点に繋がったファールだったかどうかはわからないので、そのファールがどの程度試合のなかで致命的だったかはわからない。が、守備ラインの手前で敵の攻撃を未然に防ぐために必要最低限に汚いプレイを故意に行うということはDMの職務ともいえる。一発レッドやボックス内でのファールをせずに、ほどほどに汚く相手の攻撃を止める。これができなければ、DMとしてはほとんどいないほうがマシだ。
ヴィエラ以降、ヴィエラ以上あるいは同等にそれをうまく行えるDMがいなかったというのが、その後のアーセナル低迷の要因であるとはしばしば指摘されている。
ジャカのこれから
ジャカは、本当にこれからのアーセナルのDMを任せていい人材なんだろうか。まだ、EPLに適応中だということを考慮すれば、ちょっとばかりアツくなりやすかったり、不用意にカードをもらいやすいということ以外にはこれまで大きな不満はない。成長の可能性も感じる。多くのファンも同じような気持ちではないだろうか。
グラニトはまだ24才だ。若くして成功してしまったがゆえに、自分を過信しすぎてしまっているということは往々にしてある。プレイスタイルは変えない発言も少々傲慢だが、それもフットボーラーとしてここまでたどり着いたという自負の現れだろう。
ただ、子どもが明らかに間違えている考え方をしているならばそれを正しい方向に導いてやるのが、大人の務めである。ボスを始め、キャプテンのメルテザッカー、コシエルニやカソルラといった先輩プレイヤーに、コーチやフィジコといった大人たちがチームにはいる。
いみじくも、先日コシエルニから「アーセナルで大人になった」「アーセナルで大人になったプレイヤーが何人もいる」という発言もあった。今後、チームが彼をどのように成長させていけるか、興味深い。