また今年も発動してしまうのか……。
アーセナルのこの20年、いいときも悪いときもあった。だが、最悪に悪くてもプレミアリーグで4位以内に滑り込む。まるで運命であるかのように毎年決まった結果を残すアーセナルを、ファンたちはその驚異的な粘り強さに畏敬の念を持って、あるいはいつまでも優勝できないという蔑みと自虐を持って「アーセナルの4位力」と呼んでいる。
昨晩のレスター・シティ戦で見せた終盤のラッキーゴールには、大いに4位力を感じたものだ。
シーズン終了まであと7試合、もっとも試合消化数の多いクラブより3試合も多いとはいえ、現時点でリーグ7位と、UCL出場圏内である4位フィニッシュを目指して「今後すべての試合がカップ決勝戦」と毎年聞いているようなフレーズがよぎるなか。
レスターのファイナルサードのスペースをことごとく消す分厚い守備陣形を前に、攻めても攻めても跳ね返されるガナーズの攻撃。
全世界100億人のグーナーがイライラを募らせるなか、試合終了のホイッスルまで5分を切った86分、みのりに実ったり、ナチョ・モンレアルのペナルティエリア内からのハーフボレーがレスターDFロベルト・フースに当たってそのままゴール。これが決勝点となり、無事スリーポイントを獲得したのである。
この勝利によってアーセナルはエヴァートンをかわし6位に浮上。3位のリヴァプールが34試合消化して66ポイントと、残り試合が2試合多い現在60ポイントのアーセナルが4位フィニッシュを射程圏内に捉えた。
※BBC SPORTSより
数字のうえでの計算に過ぎないとはいえ、選手たちが「まだ追いつける」と信じられるということが大きい。セルフ・コンフィデンスの欠如を指摘され続けているチームにとって、これ以上の追い風はない。
また、スリーバックで勝ち続けていることも大きい。初めて3バックを採用して勝利したボロ戦こそ褒められたものではなかったが、結局マン・シティ、レスター・シティと3連勝している。
ムスタフィの離脱という怪我の功名とはいえ、ガブリエルのような控えに甘んじていた選手がスリーバックで改めて活躍できているということが素晴らしい。
見慣れた光景であるが、圧倒的に攻めながらもまったく得点の匂いがせず苦戦したレスター戦では終盤には従来の4バックにフォーメーションを変更してきたが、付け焼き刃だったスリーバックの練度が高まれば今後も使えるオプションとして大きな武器になる。
アーセナルの今後の試合
残り6試合。追い風を感じながらもまったくの気の抜けない相手が揃っている現実から目を背けることはできない。
EPL 30-04-2017 Tottenham vs Arsenal
EPL 07-05-2017 Arsenal vs Manchester United
EPL 10-05-2017 Southampton vs Arsenal
EPL 13-05-2017 Stoke vs Arsenal
EPL 16-05-2017 Arsenal vs Sunderland
EPL 21-05-2017 Arsenal vs Everton
最大の難関は今週日曜のアウェイToT戦、ノース・ロンドン・ダービーであろう。メディアの下馬評では現在首位を追う2位と絶好調のToTを前にもっぱらアーセナルが不利という分析をされているが、そこは何が起こるかわからないNLDだ。相手は優勝を賭けて死ぬ物狂い、こちらは来季のチャンピオンズを賭けて死に物狂い。そしてToTを優勝させたくなくて死に物狂い(笑い)。これはプライドがかかった一戦という以上にアツくならざるを得ない。
そして翌週にはこれまた苦手なマンU。その後、サウサンプトン、ストークとイヤな相手が続く。
EPL4位フィニッシュに必要な勝ち点
仮にToT、マンUにともに引き分けで2ポイント、残り4試合に勝利で12ポイント、計14ポイント。現在の60ポイントと合わせて74ポイント。
軽くググッただけなので古いデータ(2003-2013)であるが、EPLの4位に必要なポイントの平均は68.4ポイント。この期間の最高ポイントが76ポイント(07/08シーズン)。
74ポイントならおそらくは無事4位力発動と相成るだろう。ただそれでは足りないシーズンもあり安心とはいえない。つまり、格下相手にはもちろん全勝しつつToTかマンUどちらかには勝っておきたい。
ミッション・ポッシブル。 コシエルニの膝という不安はあるが、いまのガナーズならやってくれそうな気がする。ビッグゲームで勝てないアーセナル。汚名を返上しようじゃないか。