BBC SPORTSがブレイキング。「アーセン・ヴェンゲルが2年契約に合意」。水曜日に公式発表する見込みであるとも。BBC報道ということでほぼ間違いないだろう。
ついに来た。まあわかっていたけれど。
3バックでいくぶんフォームを持ち直したことや、FAカップを獲って世間的にはなし崩し的にヴェンゲル続投を認めるような「世論」になっていたようにも感じていたけれど、やっぱりこれはアーセナルFCにとっては「後任がいない」という消極的な選択であって、同時にグーナーにとって「悲報」だと思う。
リネカーはヴェンゲル続投は既定路線としながらも、「来季ヴェンゲルではアーセナルは“置いてけぼり”にされるかもしれない」と決して楽観視していない。
いうまでもなくフットボールはずっと進化を続けている。
成功をしているように見えるアーセナルの3バックだって、それを思い切って採用したヴェンゲルは偉いという人がいるかもしれないが、成功しているのならなおのこともっと早くに試すべきだったと糾弾されるべきじゃないのか。10-2と歴史的大差で敗れた試合等、従来のやり方を変えるべきタイミングはシーズン中にも何度もあったはずだ。
アーセナルの3バックが成功しているとしたら、それは要するに持ち駒に合ったシステムだったからだろう。
ただシーズン終盤でそのことに気づいているようでは遅すぎるのだ。事実、終盤の追い上げは惜しくも届かずたった数ポイントの差でUCLの出場権を逃した。もしもう少し早く3バックの有用性に気づいていたら。そのスピード感が命取りになったといわざるを得ない。
もしアーセナルが来季3バックで成功を収めたとしても、それはほとんど偶然とよぶべき類のものだ。コンテやアッレグリ、グアルディオラといった近年成功しているエリート監督を語る際に「戦術的柔軟性」ということがいわれがちであるが、彼らのように実戦を通してトライとエラーを繰り返しスコッドや対戦相手に合わせて戦術を洗練させていくような、ある種の合理性(戦略)をヴェンゲル監督に期待することは難しいように思う。
ため息をつきつつも、続投なら続投でアーセナルのファンとしてはもちろん応援する以外に取りうる態度はないが、ヴェンゲル監督が自身で有終の美を飾ることだけが至上命題というこの2年で、67才のヴェンゲルがこれまでと比べてどのようにアーセナルを変えていくのか。あるいは変えないのか。見守るよりない。
ヴェンゲル監督が開き直って、誰もが驚くようないろんなことを試しだしたらおもしろいんだけどなあ。
ジャカをCBで使うなんてヴェンゲルはやりそうにないけど、グアルディオラならもうとっくに試しているはず。