現在のところ、もっとも積極的にVAR(Video Asistant Referee)の利用を進めているのがワールドカップなどを運営するFIFAだ。
試合に混乱をもたらすと批判をうけるVAR
いま開催中のFIFAコンフェデレーションズカップでも、すでにVARが判定に使われており、ジャッジは正確になったかわりに観客には多少の混乱をもたらしている。
サンチェスが出場した先日のチリVSカメルーンでも何度か使われた様子が伺える。そのなかにはヴァルガスのゴールがわずかなオフサイドで取り消されるといったビッグデシジョンもあった。
ポルトガル戦でもゴールが取り消されるなど大きな混乱があったというVARについて、FIFA会長のジャンニ・インファンティノは今回のコンフェデレーションズカップでの役割について語った。
我々は今回ビデオアシスタントが正しい判定にどれだけ貢献しているか目の当たりにしているね。
ここまでのVARにとても満足しているよ。
今回のVAR導入はテストでもある。運用の最適化やコミュニケーションの調整などが改善されていく。
ファンが長い間望んでいたものがついにやってくるんだ。
FIFA会長は自画自賛で満足げであるが、当のファンが諸手を挙げて歓迎しているかというとそうでもない。
サッカーの国、アメリカ人の意見。
観客がこれまで通りサッカーを楽しむには、長い中断時間で試合の流れを切らさないためにより技術的な進歩が必要であり、またスタジアムの観客にもビデオ判定中の映像を見せるべきだとも。
たしかに、お客さんはピッチの外のどこかで判定が行われているときはその時間ただ待つだけになってしまう。それがたった30秒であってもスタジアムの観客はもちろん選手たちにとっても未経験のことで、戸惑いがあるのも理解できる。
多くのメディアでも、今回のFIFA会長のコメントはVARに対する不満への「言い訳」と捉える論調が多い。
ジダンも混乱の元だと非難したVARシステム。個人的には正しい判定に勝るものはないと思っているので導入には大賛成である。ただしEPLに導入するなら、運用の洗練されたシステムを望みたい。
今後VARを導入するリーグ
プロリーグでは唯一、オーストラリアのAリーグが2017年よりVARを全面的に導入済み。アメリカのMLSでも2017年なかばから一部の試合で導入がされている模様。
欧州5大リーグではブンデスリーガが先駆けて来季17/18シーズンより導入するという。これはトップリーグの試合でVARが使い物になるかどうか、ドイツリーグがVARの大いなる実験場になる可能性が大きい。期待したい。
しかしこういうのJリーグが率先したらよかったんじゃないのと今さらながら思ってしまう。