アレクシス・サンチェスがチリのラジオに語った「ぼくはチャンピオンズ・リーグでプレイしたい」発言は、ついにファイナルアンサーが来た!とIndependent始め世界のフットボールメディアで一斉に報道されたが、そんな空気にも眉一つ動かさない漢がいたという。誰あろうアーセン・ヴェンゲル監督である。
Wenger on Alexis, Lacazette and spending
おれたちのAWがプレスカンファレンスでぶちかました。
ボス、フレンドリーのバイエン戦@上海を前にしたプレスカンファレンスにてかく語りき
チリでのアレクシスのコメントについてですが……
そういう翻訳みたいなアレにはいちいち惑わされないようにしているんだ。わたしが手に入れたインタビュー全体ではそういう意味には捉えられなかった。彼がチャンピオンズでプレイしたいといっているだけではなかったよ。われわれのメインの目標はプレミアリーグのタイトルだ。個人的にはチャンピオンズより断然プレミアだね。わたしたちはプレミアリーグのためにチャンピオンズのグループステージではときどき選手たちを休ませていた。プレミアリーグのほうがより重要度が高かったからね。あとは、われわれは20年間チャンピオンズ・リーグでプレイしてきたということ。アレクシスが来る前の17年間と彼が来てからの3年間。彼ならわれわれをチャンピオンズに戻してくれるだろう。
もしかして彼が残るってまだ信じてるんスか?
以前からいってるのと同じことの繰り返しになるけどいい?
アレクシスとはその後に話しましたか?
ノーだ。
なんかファン・ペルシのときを思い出してしまうんですが……
全然違うよ。違うったら違う。ファン・ペルシは30から31才の間のことで1年しか契約が残っていなかった。アレクシスはもっと若い(※28-29才)。いまはそれについて語るのは難しいが、もう決断は下されたしそれに従うだけだ。
まさかのスルーに騒然。一番驚いているのはサンチェス本人かもしれない。リゾートでスマホ片手にマンガみたいにずっこけているサンチェス。あると思います。
結局ヴェンゲルはサンチェスから直接「アーセナルを辞めたい」と聞くまでは知らぬ存ぜぬを押し通そうとしているように見える。それまでさほど時間もかからなさそうだが。それにしてもこの現実から目をそむけるさまはどうだろう。もはや老人というより子どもである。
そして、衝撃の発言がさらりと。「もう決断は下された」(the decision has been made)。え、そうなの?
興味深いのは、各メディアでこの発言が報道されているが、これに続くコメント「The decision has been made and we will stick to that – the decision is not to sell.」の後半の「 – the decision is not to sell.(売らないという決断)」がどういうわけか公式で省略されているということだ。映像が見当たらないので確認できないが、この部分の発言は最初からなかったのか、あるいは公式サイトでは省かれたのか。真相の究明が待たれる。
サンチェスを冬に売るというオプションはあるのか?
ところで、サンチェスをとりあえず半年キープして手放すのは冬にするというオプションはあまり論じられていないように思う。もし今夏売らなくても様子を見て冬の移籍市場で売るということも検討している可能性はある。それは最後にもう一度現金化のチャンスがあるということで、アーセナル側からみればまったく悪いことばかりでもない。
移籍したいサンチェスをあえて引き止めるのは、本人のモチベーションを考えても非常にリスキーだが、最悪は冬にいくばくかのお金にはなる。そう考えていたとしたら、今夏に売らないという決断も多少の合理性があるのだろうか。
ただ、実際に残り契約半年の選手にどれほどの値段がつくのか? まだこの騒動は続きそうだ。