PLリスタートから2連敗して以降ここまで、PLとFAカップをあわせて4連勝(しかもうちアウェイが3つ)と、まさかのファインフォームを維持しているガナーズ。
とくにブライトンで、明らかに今シーズンのベストプレイヤーであったGKレノまで失ったときは、さすがにお先真っ暗に思えたものだ。が、なんとなんと、そこからまさかの大進撃。チームとしてのここまでの復調は、きっと誰も予想できなかったのではないか。
いま称賛したい選手はチームのなかに何人もいるが、立役者のひとりとしてGKエミ・マルティネスを挙げないわけにはいかぬ。
No.2、ときにはNo.3でありながらもつねにチームのNo.1を目指し、このクラブで10年近くハードワークをしてきた努力のひと。
『Sky Sports』がレスター戦の前に彼にインタヴューを行うのもうなずける、いま注目のフットボーラーのことば。
Emiliano Martinez interview: Arsenal goalkeeper on seizing his chance and impressing Mikel Arteta
エミ・マルティネスの独占インタヴュー@Sky Sports
©Sky Sports
※小見出しは訳者による
アーセナルでの雌伏のとき
EM:ぼくのアーセナルでのキャリアはずっと浮き沈みがあったよ。内心こんなふうに思っていたものさ「なんでぼくは愛するクラブでチャンスがもらえないんだろう?」とね。でも神さまはいつでも正しいときに正しい場所に導いてくれる。もう何年もほんとにハードワークしてきたし、我慢してきた。いまやっとご褒美がもらえているんだ。
(No.1になる目標)ぼくはいつだってここでやれれば、クラブも信頼してくれると思ってきた。こんなに長いことここにいる理由のひとつでもある。彼らはぼくがNo.1になれるといつでも信じてくれた。それがモチヴェイションとなって、継続できたし、何年もかけて成長してこれた。いつも成長してきたし、キャリアを前進させてきた。
(ローン)昨シーズンにレディングに行ったとき、自分にこう云い聞かせた。これが最後のローンになると。ローンでは、ぼくの身体はシーズン最後には疲れてしまう。つぎにどうなるかがわからないのだから。だから、それが最後だと思ってうまくやらなきゃならなかった。
精神的にはこれまでになく準備できてるよ。
(レディングは)ぼくにすごいチャンスをくれたし、感謝している。
アルテタの影響力
(アルテタについて)ぼくらはミケルが来るとき、彼がいいマネージャーになることはわかっていた。でもみんな彼がこんなにいいとは思わなかったんだよ。
彼はすごい。経験ある選手とも若い選手とも付き合い方がわかっている。どんな相手でもゲイムプランを与えてくれて、トレイニングセッションでは希望を持てるんだ。
Gkだろうが、ストライカーだろうが、レフトウィンガーだろうが、どの場所でも、彼らがいなければならないポジションをわかっている。そして、試合になれば、トレイニングでやっていたシナリオが実際に起きる。だからぼくらは彼の一言一句を信じ始める。
いまはもう彼が何かを云えば、みんな彼の云うことをよく聞く。だってみんな彼が自分たちを別次元へ連れて行ってくれるとわかるのだから。それがアルテタさ。
(アルテタの規律の厳しさ)インだろうがアウトだろうが、彼がそこにいようがいまいが、そこに議論の余地はないんだ。ぼくらは理解しているよ。もしプレイしたいのなら、もしこのクラブにいたいのなら、一緒に乗っていかなきゃならないんだ。
チームにとってはいいことだよね。だって、誰もリラックスなんかできない。もしリラックスしているなら、ちゃんとトレインしていないということだし、彼のやらせたがっているパフォーマンスをしていないということだ。それではダメだ。
彼に付いていかねばダメだし、それがぼくらがいまやろうとしていること。
GKコーチ、イニャキ・カナ
(GKコーチのイニャキ・カナ・パヴォンについて)イニャキはハードワーカーで、初日からぼくらゴールキーパーたちに自らの望むことを示してきた。とてもいいよ。ぶっちゃけ。彼はぼくらととてもハードにやってくれる。彼とのトレイニングセッションのあとはもうクタクタさ。
イニャキは毎日ぼくらにヴィデオを見せて、どう進歩すべきか、どうやってそれをやるかについてよく教えてくれる。
正しいプレイをしてクリンシートをやったようなときでも、試合のなかの悪いところを10コ伝えてくる。いいことだ。それが成長になる。彼はポジティヴな漢だし、彼がいてうれしいよ。
ディフェンダーを称賛するEM「ダヴィドとムスティは間違いなくトッププレイヤー」
(DFたちの改善)ダヴィドはもうずっと何年もトップでプレイしてきたし、ムスティもそうだね。ときどきミステイクをやればビッグクラブなら罰せられる。アーセナルだと、敗けたときみんないつもディフェンスを責めるけれど、ぼくは彼らのうしろでだいぶ安全を感じているよ。
彼らには経験があるし、試合全体についてもよく話し合っている。彼らのうしろでプレイするとき、みんなが云うようなんじゃない。違うんだよ。「あいつらまたミスしやがった、フットボールのやり方を知らないんじゃないのか」みたいなやつ。
ぼくは安全を感じているし、いまPLでは3つのクリンシートを続けている。そのうちみんなこう云い始めるよ。ディフェンスがじつにソリッドだって。
いまぼくらにはストラクチャがある。ゲイムプランがある。ゲイムマネジメントがあり、ディフェンスはよりいっそう強くなっている。ぼくを信じてほしい。ダヴィドとムスティはトッププレイヤーだよ。
GK選びを難しくしたいEM
(レスターに勝つこと)ぼくが気にしているのは勝利だけ。最近マネージャーが、ぼくが何年もとてもリスペクトフルだと云うのを聞いた。それはほんとだと思う。ぼくはチームプレイヤーだし、もしマネージャーが違う選手をそこで使うと決めるのなら、ぼくは受け入れる。
でも、そこでもけして落ち込んだりはしない。前進しつづけるんだ。そしていまチャンスがある。両手につかんでいる。
ゴールキーパーがみんな揃ってトレイニングに戻れるのを願っている。そしてマネージャーが決断を下す。ぼくの目標はそこで難しい決断にさせることだ。
うむ。さすがに最古参選手とあってじつに落ち着いている。
コメントのなかにある「トレイニングでやったことが試合でも起きる」とは、アルテタが来てからすでに何人もの選手が指摘していることで、アルテタのヘッドコーチとしての有能さをじつによく示すエピソードだ。それがわかるから、対策もできる。
ケガしたレノにはもちろん気の毒だったが、このチャンスをEMがみごとにつかんでいることがうれしいし、彼のようなひとの努力が報われていることに、人生の重みを感じずにはいられない。
そして、こうしてバックアップの選手がいざというときに活躍するのも、強いチームの証拠だろう。いまほんとうにアーセナルはチームとしての一体感や強さを身に着けつつあると思う。
EMの契約延長問題
さて、エミマルと云えば懸案は契約問題で、彼もまた夏に残り契約が2年となる選手のひとり。選手契約は2年を切らせないという基本ポリシーがまだ生きているのなら、彼の今後は夏に決まることになる。
この大活躍を見て、クラブとしても一刻も早く延長したいだろうが。
このインタヴューでもレディングのローンを最後にしたいと語っていたように、今シーズンが始まる前、彼はこの先アーセナルでNo.1になれる見込みがないのなら移籍も検討すると話していた。リタイヤするチェクのリプレイスメントとしてクラブはベルント・レノを取ったし、エミマルは長い間No.1候補としては見られていなかったのだから、悲観的になったとてしょうがない。
それが棚ぼた的ではあったものの、こうして実力を見せる機会に恵まれ、ちゃんとチャンスを掴んでいるのだから、世の中何があるかわからないものである。
難しいのはレノが復帰してからだろう。ふつうNo.1 GKはチームにひとりしかいないし、そのときにはどちらかを選ぶことになる。いま、EMはレノを思い出させないくらい、安定してハイレヴェルでプレイしている。
うれしい悲鳴というやつだ。
現状のエミマルのサラリーは£20kpw程度だそうで、多少の昇給をしても、No.2としてこのクオリティをチームに引き止めておけるなら、財政難のクラブにとってこんなに都合のよいことはない。が、逆にここで彼がアーセナルのオファーを受け入れず、No.1を約束するクラブに移籍を決意するなら、われらにとっては大きなダメージになりそうだ。それも十分ありえそうで怖い。
どうなることやら。。
なにはともあれ、今晩の(明日早朝)レスターも大活躍を期待したいすね。
おわり
正直中断前はPK決められたことないとかレノとNo.1の座を争う力があるとか大口たたいといてやっぱりNO.2だなというプレーしてたので特に応援もしてませんでしたけど、最近のプレー観てると競えるかもしれないしこういう野心とか仲間を庇うやつなんだと知ってしまったら応援せざるを得ない
これからの試合でマルティネスのミスで失点して評価が下がるようなことがなければいいなx
何年もの間トップチームの先発を夢見てきた男の熱いインタビュー。そして最近のハイパフォーマンス。こんな良いGKが人知れず注目もされず育っていたとは。
応援せざるをえない。
ユベントスの彼とかもそうだけど、意外とアーセナルって良いGK輩出してますね。