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エドゥが驚きの辞任

これはさすがに驚いた。

現地時間で月曜朝のSami Mokbel(Mail Sports)の独占スクープ。AFCのスポーティングダイレクター、エドゥ・ガスパール(46)がクラブを辞めるのだという。

ぼくはたまたま夕方のリアルタイムに近いタイミングでこのニュースに気づいたので、界隈のさまざまな反応も見ていたが、かなり驚きをもって迎えられていた。

そして、その後にはAFCも公式にそれを認めたという。

エドゥといえば、いまのアーセナルFCを率いてきたリーダーのような存在であり、クラブをいるべき場所に連れ戻した立役者のひとりであることを認めないものはいないだろう。それがなぜ。彼は、もちろんアルテタとも仲良くやっていたと思っていたし、そもそもまだ彼らが推進しているプロジェクトは道半ばじゃないかと。

今回の件は、かつてのラウル・サンレヒの辞任劇がふと思い出されたが、あのときと違うのは、いまアーセナルはうまくいっているということだ。エドゥはそのキーマンのひとりですらある。すでにPLで2敗している直近の不安定さはあるにせよ、クラブとしては成功への道筋が見えていた。まだ暗中模索だった4年前とは状況が違う。

なにがどうなっているのか。



クラブステイトメント「エドゥ・ガスパールがスポーティングダイレクターを辞任」

まずは公式発表を。AFC公式サイトより。

エドゥ・ガスパールが、本日クラブのスポーティングダイレクターを辞任しました。

われわれの元選手でありインヴィンシブルのメンバーであるエドゥは、2019年7月にテクニカルダイレクターとしてクラブに戻りました。彼は2022年11月にはスポーティングダイレクターに昇格し、メンズ、ウィメンズとアカデミーフットボールを監督してまいりました。

われわれは、エドゥがクラブ戦略の刷新で演じた役割、そして彼のこころのなかにあるアーセナルの価値をもってクラブを前進させてきたことに感謝しています。

 

エドゥ:これは、わたしにとりとてつもなく難しい決断だった。

アーセナルは、わたしにこんなにもたくさんの素晴らしい人たちとともに働く機会、クラブの歴史のなかで非常に特別なものの一部になれる機会を与えてくれた。これまでとても特別な旅になった。スタン、ジョッシュ、ティム、ハリス卿の支援に感謝したい。

わたしは、こんなにたくさんの素晴らしい仲間たちと働くのが大好きだった。メンズ、ウィメンズ、アカデミー。とくにミケルとは素晴らしい友人になれた。

ここからは、違う挑戦を追い求める時間だ。アーセナルは、つねにわたしのこころのなかにあり続ける。わたしは、クラブとサポーターたちのこれからの健勝を祈る。

 

ジョッシュ・クロンキ:わたしたちは、エドゥの決断を尊重する。そして、彼の多大な貢献とクラブを前進させようとした献身に感謝する。

クラブの全員が彼のこれからの活躍を祈っている。わたしたちは全員が彼のことを好きだし、彼がすべてに、みんなにもたらすエナジーを愛していた。

変化と進化はクラブの一部である。これからもわたしたちは、自分たちの戦略と大きなトロフィを勝ち取ることに集中していく。わたしたちの成功プランは、この継続的な野心に反映される。

アルテタのコメントはなし。サンレヒのときも公式発表には含まれなかったし、まあそういうものか。彼の考えは、今日行われる予定のCLインテルの試合前記者会見で聞けるはずである。

この発表が行われたのは、Mokbelのスクープから約10時間後の月曜夜。当初のニュースでは「エドゥが辞任の見込み」というだけで、そのタイミングまでは指摘されていなかったが、なんと「今日辞任しました」と。これが予定されていたタイミングだったのか、あるいはこうして公になってしまったからなのかはわからない。

衝撃的なのは、まるで投げ出すようなタイミングで彼がクラブを去ること。この夏にAFCを去ったヴィナイ・ヴェンカテシャンのように、辞任のお知らせから実際の退社までそれなりの時間を取ることだってある。そのほうが現場への影響は少ないはずで、責任ある立場なら、本来はそちらのほうが望ましかったはず。

いろいろ謎が多い。

エドゥはEvangelos Marinakisグループに参画へ

その後の各所のリポートによると、エドゥはEvangelos Marinakisというギリシャ人実業家(ウキペ)が率いる企業への加入が決まっているそうである。オーンステインは、最終的な契約はまだだが両者ですでに合意されていると。


このEvangelos Marinakisなる人物は、PLのノッティンガム・フォレスト、ギリシャのオリンピアコス、ポルトガルのRio Aveのオーナー。

Miguel Delaney(The Independent)ほかが伝えているところでは、AFCでCEOになりたかったエドゥにはその役職と、さらにAFCの3倍の給与が与えられるという。ちなみにエドゥのAFCでの年俸は£2-3mだったらしいので、£6-9mとか? アルテタの現在の年俸が£13mといわれる。

エドゥ辞任の舞台裏。CEOになりたかったエドゥ

Sami Mokbelが続報で今回の背景を伝えている。ペイウォールの『Mail+』で記事は読めないが、r/Gunners有志がサマリーを共有してくれていた。ナイス。

  • 今回の件に近い情報筋によると、背景にあったのはエドゥの権力の弱体化
  • 2020年にティム・ルイスが、ノンエグゼクティブディレクターとしてアーセナルボードに指名されて以来、彼の影響力が増加。エドゥと親しかったヴィナイ・ヴェンカテシャン(※CEO)の退社もエドゥには打撃だった
  • ヴェンカテシャンの後任はエドゥが自然という認識があったものの、CEOポジションは結局、英国フットボールでの評価が高いリチャード・ガーリックが引き継ぐことに
  • 情報筋によると、夏のはじめにはエドゥはそわそわし始めており、アーセナルでの弱体化した役割から新しい挑戦を望んでいた。マルチクラブのなかでの影響力あるポジションに引き付けられていた
  • ノッティンガム・フォレストのオーナーであるEvangelos Marinakisは、エドゥをお気に入りで、彼にマルチクラブのオペレイションを任せる役割を与えることにとても前向き。そこにはオリンピアコスやRio Aveも含まれる。また彼は、さらにヨーロッパのチームを加えようとしている
  • フォレストからのエドゥへの関心は夏には伝えられており、話し合いは慎重に進められていた。エドゥとMarinakisは個人的な関係もあり、このふたりは今年はじめにロンドンで行われたGerando Falcoesチャリティイベントで同席している姿が目撃されている
  • 月曜朝に伝えられたこのニュースは、クラブの多くのものに衝撃をもたらした。彼はクラブでは人気者だった

エドゥにフォレストからの関心。云われてみればそんなニュースあったような。それが今回の伏線になっていたとは。

しかし、繰り返すように、エドゥがそういうAFCで叶えられない希望を持っていたとはいえ、彼自身のヨーロッパでの評価を確立したといってもいいAFCでの仕事を気に入っていなかったとは思えず。なぜこのような、現場を困らせるような去り方をしたのかはよくわからない。クラブ内でも多くのひとは知らなかったというのだから。

この辞任劇で「アルテタに大打撃」というような書き方をしているメディアも少なくない。実際、アルテタは彼がいないと困るだろう。

このMokbelの記事だと、ティム・ルイスやリチャード・ガーリックが彼にとって障害というか、邪魔だったみたいな印象を受けるが、彼らと人間関係があまりうまくいってなかったんだろうか。

James Bengeは、クラブではエドゥは少なくとも今年一年は残ると思われていたとして、それを覆したのは大幅増の給与オファーだったかもしれないと述べていた。金なのか? エドゥよ。

エドゥの後任?

The TelegraphのMatt Lawは、後任について、アルテタの発言権がかなりあると指摘していた。

もちろん、彼とエドゥが中心になってクラブのプロジェクトをリードしてきたのだから、パートナー選びにアルテタの意見が尊重されるのはおかしいことでもなんでもないが。

後任については、ちまたでは今シーズンかぎりでシティを辞めるというTxiki Begiristainの名前が取りざたされていた。あとドルトムントのなんとかってDOF。アルテタが口を出すというのなら、Txikiはわりとありそうなリクルートではある。彼は元シティが大好きだから。

あとはヴェンゲルさん? 実現したら盛り上がるけどな。

これからどうなるか観てみよう。

 

BBQミームもこれで終わりか。Gasparrrrrrrr!

今回の件で、一部ファンのあいだでは、これまでのエドゥの仕事も否定するような空気があるらしいけど、わしは彼はよくやってくれたと思うから、感謝して別れたい。

彼がテクニカルダイレクターとして主導した補強すべてがヒットしたわけじゃないが、オーデガードのような特大のヒットもある。いまあるチームづくりに間違いなく貢献した。

ひとまずお疲れさまである。

 

おわり



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2 Comments on “エドゥが驚きの辞任

  1. シティグループ、レッドブルグループ、件のマリナキスグループみたいな役割は、アーセナルにはないでしょうからね。コロラド・ラピッヅもほぼ他人に近しいですし。寂しくなりますね。インビンシブルズが去るのは…
    もしかしてこのタイミングなのは、シティが負けてインビンシブルズがまた守られたからなのか!?

  2. 間違いなく実務面でナンバー2の功労者でしょう。トップはアルテタ。エドゥが5ヵ年計画を説いてアルテタ留任を説得したり、主力の獲得や契約延長など、あと数年はトップレベルで競えそうなスカッドを整えた功績はあまりにも大きい。

    願わくばPLかCLのビッグタイトルを手土産に送り出したい気持ちはあるが、タイミングは選べないのでしょうがないですね。

    新天地での活躍を願います!

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