昨日の#LIVMCI観ちゃったよ。
このブログでは最近のアーセナルについて、自信とか勢いとか心理面のことばかり言及しているのだが、シティの選手たちの気持ちの落ちっぷりは目を見張るものがあったな。エナジーもオーラも90%減という感じ。試合に勝てないことで、あそこまでチャンピオンチームの魂が削れるとは。ぼくは、彼らがオイリーなクラブになってから、あんなふうに自信なさげで最初から敗けそうな雰囲気を漂わせている姿は初めて観たと思う。
試合は長い時間1-0で進んで、リヴァプールもそこまで素晴らしいパフォーマンスには観えなかったものの、最初から最後までシティが勝ちそうな予感は皆無だった。これで7試合勝ちなし? ふつうならマネジャーが解任されてる状況だろう。これは、今シーズンのシティのカムバックはもうないかも。そして来年はPLからも、さようなら。
それはひとまずいいとして。AFC的には昨日ちょっとしたニュースがあったのをお気づきか。
Report – Max Dowman becomes Arsenal’s youngest ever U21 player in draw with Brighton https://t.co/KH7jqu9N2V
— Jeorge Bird (@jeorgebird) December 1, 2024
AFCアカデミーの14才の少年、Max Dowman(マックス・ダウマン)がアーセナルU21デビュー。1-1のドロウで終わったブライトンで後半サブでピッチに入ったという。これは、U21チームでももっとも若い記録となったそうで。14才がU21でプレイするということは、下手するとチームメイツと7才差あるという。ファーストチームならともかく、ユース年代の7才差は、ありえないくらい大きいだろうに。
彼は、すでにファーストチームのトレイニングにすら招集されている早熟で、アルテタも認める逸材。ワニエリやMLSにつづくアーセナルアカデミーの最新の事例にもなっている。
ちょうど3日くらい前に『GOAL』が彼の特集記事をアップしていて、今回はそれをネタに。
ヘイルエンドの14才。マックス・ダウマンの急速な成長
以下、GOALの記事を要約しよう。詳細はオリジナルをご覧あれ。※GOALは日本語版があるから日本語記事があるのかもしれないが未チェックである
- 典型的ガナーズというMFの才能。この学生はヘイルエンドアカデミーの最新のタレントとして台頭しつつある
- マックス・ダウマンは2000年代の終わりに生まれた。メッシやクリスチャーノのプライムをぎりぎりおぼえていないくらい
- そして彼はすでにアーセナルのファーストチームのトレイニングに参加し、数段階上のレヴェルでプレイしている
マックス・ダウマンのはじまり
- 通常、GOALではNXGN(※次世代フットボーラー特集)で紹介すべき選手だが、ダウマンはふつうじゃない
- 彼の極端な若さゆえ、彼に関する情報はほとんど表沙汰になっていない。彼の年齢なら、法的にも道徳的にも守られる必要がある
- しかし、彼が何才であろうといずれ偉大な選手になる運命のようにみえる
- 彼は13才のとき、アーセナルU-18スクワッドに招集された。ジャック・ウィルシャーが率いるチーム
- その数ヶ月後に14才の誕生日を迎えた彼を、ウィルシャーも認めたように、アカデミーのなかで「急成長」させようとしていた
- ウィルシャー「そのように若い選手を起用するにはつねに懸念はある。だが十分に優秀なら、十分な年齢なのだ。彼はもっと安定できる。だが、彼はまだ14才でGCSE(※中等教育修了証)さえまだ始めていない。彼の年齢なら、まだプレイと楽しむことのバランスを見つけてやる必要があるし、いっぽうでは彼をできるだけ使おうともしている。ファーストチームに行けるよう早く準備ができることを望んでいる」
マックス・ダウマンの大きなブレイク
- 23/24シーズンの終盤、ダウマンはウィルシャーのU-18でレギュラーになっており、ひきつづき年長の選手たちに混じって経験を積んでいた
- その時点でメディアの注目を集めることになり、もはや現代的なフットボールリポートから彼を隠しておくことは難しくなった
- PL U-18では、アーセナルが5-2で勝ったフラム戦、彼は驚異的な4アシストを記録
- この活躍でイングランドU-16にも選出、2024年の初旬に勝利したFootball Federations Cupでは中心選手としてプレイし、9月にはU-17に昇格した
マックス・ダウマンのその後
- 24/25シーズンは、ダウマンのキャリアにとり転換点になるかもしれない。すでに何度かファーストチームのトレイニングにも参加し、初のシニア招集を求める声もある
- それほど優秀でありながらも、それでもまだ彼はシニアデビューを待たねばならないかもしれない。PL初の14才選手になる機会は、彼の大晦日の誕生日まで
- しかしダウマンはそれでもイングランドU-18の選手であり、UEFAユースリーグではU-19の選手。UEFAユースリーグでは、4-1で敗けた9月のアタランタ戦では最年少ゴールも記録した
- つい最近のスポルティング戦では、彼が非常にいいプレイをしていたため相手から「標的」にもされた
- Max Porter(AFC U-21コーチ)「マックスは、勇敢でボールをほしがるところは、いまファーストチームにいるイーサン(ワニエリ)に似ている。周囲の選手が彼を信じてボールを預け、そこからことを起こす。スポルティング戦のレフリーは残念で、とくにマックスを標的にしだしたので、われわれはレフとアシスタントに訴えねばならなかった」
マックス・ダウマンの最大のつよみ
- マックス・ダウマンのMFとしての強みは、AFCの最高のMFとしてのたちのように、その才能、優雅さ、スキル、スリルにある
- 彼は、以前は5’7″(約170cm)で登録されていたが、あきらかにまだ成長している
- ダウマンには、クリエイティヴなダイナモの威厳があり、それとより支配的でフィジカルになれる走力が融合しつつある
- とはいえ、上の年齢グループのなかでは技術と能力だけでは足りない。ダウマンがさらに称賛されているのは、恐れを知らないことだ。新しい環境のときも。それは、彼がより上を目指すときに役立つメンタリティ
- AFCセットピースコーチのニコラス・ヨヴァーを喜ばせたのは、ダウマンのデッドボール配球と、長い距離のシュート。それはまるで、アーセナルのために研究室でつくられたかのよう
- 深くからプレイを始めようが、ワイドからだろうが、あるいは彼の自然なポジションであるスペイスであろうが、彼はつねにゴールを観ている。それはファイナルサードにおけるパズルの最後のピースであり、完全なパッケージ
マックス・ダウマンの成長の余地
- ダウマンに教えを授けることは、「学校に行くように」とか「野菜を食べなさい」と云うようなもの
- 彼には、つぎにやるべきことを教える必要はない。彼は自分で人生のハードルを乗り越え、フットボールで自分の結論を導く
- 彼は、適切な環境で開花すべき才能を持っている
- とはいえ、彼も足首やすねを破壊しようとしてくる相手DFの対処については、同じアカデミー卒業生のブカヨ・サカから教えを受ける必要があるかもしれない
- Max Porterが云うように、レフリーは彼のようなタレントをもっと守らねばならない。そうでなれば、冒険を多少抑制せねばならなくなるかもしれない。それは非常に残念
マックス・ダウマンはネクスト・マーティン・オーデガード?
- Max Porterは、ダウマンとワニエリの類似性を指摘したが、ワニエリすらまだ17才で完成されていない
- したがって、彼が多くのキャラクタリスティクスを共有していると云えるのはマーティン・オーデガードのほうだろう
- 同じポジションで同じ左足と、すでに基礎は同じ。しかし比較はそれにとどまらない。ふたりともいつボールを持って動くか、あるいは安全にプレイするか、コントロールするかを感じることができる
- ダウマンからにじみ出る自信は、15才でレアル・マドリッドに移籍したときのオーデガードを彷彿とさせる
- 仮にひとつダウマンがオーデガードよりも頼っている部分があるとすれば、それは相手DFを抜くときのペイス。その点では、彼はアーセナルのキャプテンをしのぐ活躍をする可能性がある
マックス・ダウマンの今後
- ダウマンにはPLの最年少選手になるまでには十分な時間がある(※ワニエリの記録が15才と181日)。今シーズンが終わるまでに彼がリーグデビューすれば記録を更新する
- いっぽう、アーセナルは非公開のフレンドリーでダウマンをファーストチームに招集し、成長を見極めるとも報じられているため、すべてうまくいけば、彼の14才デビューもあるかもしれない
- PLやCLに挑むチームに入るのはかなり難しいことだが、ダウマンにはアーセナルをうならせるものがあるのは間違いない。あとは、アーセナルが彼を正しく育て、成長をしっかりと支えることだ
以上
このブログでは、これまでMax Dowmanを「マックス・ドウマン」とカタカナ表記していたのだが、各所で発音を聞くと「ダウマン」に聞こえるのでそのように変更した。Down-manの真ん中のnが抜けたようにするとそういう発音になりますね。
若い選手を守る必要
さて、ダウマン。なんだかこの記事を読むと、まるでもうシニアデビューが近いみたいな書きぶりだが、実際どうだろう。ぼくは正直まだまだないと思うのだが。万が一あったとしても、リーグカップやFAカップとか。彼の前にはワニエリだっているのだし。
そのワニエリについて、彼の起用について先日自分の考えをすこし書いたように、アルテタはとにかく“birck by brick”という姿勢で、彼ら若い選手の起用をあせっていない。むしろ、抑制的である。こちらがイライラするほど使ってくれない。
だから、ワニエリを15才でPLデビューさせたことが例外中の例外であり、なぜあれが起きたのかといまあらためて考えると、やっぱりミケルもちょっとした誘惑にかられたというか、クラブとして若い選手を起用する方針が定まってなかったというか、やや混乱があったんじゃないかと思う。実際、あのあとわれに返ったかのように、彼の起用はぱったり止まったのだから。
なぜ若い選手に対してそのような抑制が必要かといえば、やはりそれは彼らを世間にさらすことが危険だからだろう。この時代、いろんなものに影響を受けるし、なかには悪意だってある。有名になり、もてはやされることが若い選手の成長にとって有益であることはあまりない。
だから、彼に関するニュースもAFCはクラブとして控えているはずだ。昨日のU21デビューも、アーセナルがtwで伝えたのは、たったこれだけである。クラブのPRとしては、もっとセンセイショナルに伝えたいニュースだろうに。
Second change of the afternoon for the Gunners.
Max Dowman makes his U21 debut!
↩️ Gower
🔛Dowman🔴 1 – 0 🟡 (84)#AFCU21 │#PL2 pic.twitter.com/Z66L7qTLCo
— Arsenal Academy (@ArsenalAcademy) December 1, 2024
ぼくの観測範囲では、アーセナル系のジャーナリストたちも揃ってこれに無反応。もちろん、ニュースとして価値がないわけじゃない。このGOALの記事のようにこれをきっかけになにか書きたくなるくらい。
だから、そんななかでファビー・ロマーノだけがそれを伝えるtwをしていたのが目立った。おそらくダウマンのような選手のことをあまり取り上げないよう、クラブとジャーナリストたちで紳士協定が結ばれているかもしれない。そしてロマーノはそれに無関係。いやしらんけどね。
そういうわけで、いまファーストチームで選手に困っているわけでもないアルテタが、タイトルを争うような状況で14才を抜擢するとは思えない。あるとすれば、契約交渉がこじれて選手サイドを喜ばすためとか?
だから、ぼくもこういうブログ記事を書いておいて矛盾するけど、彼のことはあんまり騒ぎすぎないように今後もあたたかく見守りたいですね。
おわる