こんにちは。
アーセナルは、シーズン最重要となった来週火曜のUCLセミファイナルPSGを前に約一週間のブランクがあり、やや落ち着いているところ。このタイミングで、チームも多少休暇が与えられるようだ。ありがたいこと。
そして、PLもあと数えるほどの試合数の終盤となり、夏の移籍市場に関心がうつり始める時期でもある。
最近のアーセナル周辺の移籍ニュースをまとめておこう。
トーマス・パーティとクラブが新契約の交渉中??
まずビッグニュースはこれですかね。
🚨 Arsenal want Thomas Partey to stay + in talks over new contract. 31yo midfielder happy at #AFC & family enjoying London life. Ghana int’l open to improved 2yr deal or 1+1yr – will consider alternative options if agreement cannot be struck @TheAthleticFC https://t.co/9C3AT22uiR
— David Ornstein (@David_Ornstein) April 23, 2025
先日のパレス戦の日に伝えられたこのニュース。
デイヴィッド・オーンステインによれば、アーセナルは今年かぎりで契約終了となるパーティの来年以降の残留を希望していて、現在新契約を交渉中ということ。2年契約、あるいは1年+1年延長オプションの契約に本人も乗り気。ただ、条件が折り合わない場合には、彼にはほかのオプションもあるため、アーセナルはさらなる条件もオファーするという。
パーティはサラリーの減額を受け入れて契約延長するというべつの報道もあり、そのあたりの真偽はまだよくわからない。
とにかくこのニュースが驚きだったのは、これまでアーセナルは夏に契約が切れるパーティをフリーエイジェントで手放すと思われていたから。この報道の前までは、パーティとの契約延長交渉はいまだ行われていないと、しばしばニュースにもなっていた。
また、つい先日アルテタも会見でこのことを訊かれても、歯切れの悪い答えしかしていなかったことを思い出す。
ここにどういうクラブの心変わりがあったかといえば、ひとつは当然今シーズンのパフォーマンスだろう。アーセナルに来てからずっとケガがちだった彼が、ここまで安定したフィットネスでシーズンを過ごしたのは2020年の加入以来初めてであり、純粋に今年のチームへの貢献度はかなり高かった。もし彼が、今年も以前と変わらない不安定なフィットネスだったら、新契約のオファーはなかったと思われる。
もうひとつは、夏の移籍ウィンドウにおける予算状況。この夏のアーセナルはCL資金も使ってかなり大胆に動くと思われているが、もしパーティやジョルジーニョがいなくなるとなれば、CMの人数的にも噂されているZubimendiひとりでは足りなくなり、9やWG、あるいはDF以外もさらなる予算が必要になるところだった。ただでさえ、現在噂されているビッグネイムで計算すると出費はかなりかさむことから、経済的な理由でCMの代替タイミングをずらしたい理由はあるのかもしれない。
あとは、アンドレア・ベルタの存在によって、パーティに関するクラブのスタンスが変わったという興味深い指摘もある。
Thomas Partey was expected to leave Arsenal this summer but that is no longer so clear cut. His future remains unresolved but now an emerging openness towards him staying beyond the end of the season. https://t.co/fwtzSh3XFC
— Sami Mokbel (@SamiMokbel_BBC) April 23, 2025
BBC Sport(サミ・モクベル)によると、これまでパーティは夏にはクラブを去ると思われていたが、いま彼の退団ははっきりしなくなったという。そして、アーセナルはまだパーティに契約延長のオファーはしていないものの、ベルタがこの契約に影響を与えるキーマンになりうるということ。
もちろん、ベルタは元アトレチコ・マドリッドの人間であり、パーティの成長をもっとも間近で観ていた人物のひとりだ。彼がパーティの去就になんらかの影響を与えることは、まったく想像できないことではなかった。
ただ、この記事ではいくつかの疑問も呈されている。
ひとつは、仮に彼が来シーズンにレギュラーでプレイしなくなら、バックアップに£200kpwという高すぎるサラリーを払うことにはなるため、財政面では疑問があるという。たしかに、Zubimendiが来ればパーティが6としてレギュラーでプレイする可能性は低い。
ここは、前述の夏の移籍ウィンドウに向けた財政的理由という部分と矛盾するようだが、会計(支払い方法)のこともあるし、クラブがどんなバックアップを望んでいるかもあるし、まあ矛盾しないこともあるだろう。
それと、今年は例外的に安定していたが、彼のケガ履歴。これはたしかにリスクはある。今後もかならず良好とは限らないから。31才と年齢も重ねているため、今後ケガのリスクは高まりこそすれ、下がることはないはず。
このようなことをもろもろ考慮すると、クラブがパーティに減額したサラリーの条件で交渉しているというのは、あながちガセでもないのかもしれない。
パーティの側としては、バルセロナやユヴェントスのようなビッグクラブからの関心もあると伝えられているし、わざわざ劣化した条件のオファーを受け入れるかは微妙だろうが、選手がいまのアーセナルにむしろ残りたい理由もあるという気はする。アーセナルは、いままさに成功前夜のクラブ。それはチームでプレイしている選手がもっとも感じていることだろう。フットボーラーの短いキャリアのなかで、タイミング的にもそういうチームに加われる機会は多くない。
今後どうなるか。
個人的には、パーティかジョルジーニョのうちひとりは残ってほしいと思う。Zubimendi、パーティ/ジョルジ、ライスの3人で6をカバーするなら、まあ悪くないデプスなんじゃないだろうか。なんならMLSもいる。
ジョルジーニョも残留?
ところで、パーティと同じく夏で契約切れのジョルジーニョにも残留の噂がある。
オーンステインらは変わらずジョルジの退団(フラメンゴ移籍)を予想するなか、一部報道によると、彼自身は夏以降のアーセナル残留もやぶさかでないという。というのも、彼はリタイヤ後はコーチング職を志望している身であり、アルテタのチームの下ではかなりの学びがあると感じていて、来年もバックアップでチームに残ることも前向きとかなんとか。ほんまかいな。
ジョルジーニョの現在のサラリーは£110kpw(FBRef調べ)と意外に安い。アーセナルのチームも助かるし、本人も助かる。これはWin-Win。
ふたりとも残るようなら、かなり心強くはある。
現在EPLでもっとも注目されているディフェンダーDean Huijsen。アルテタも大ファン
ボーンマスの20才。去年ユヴェントスから移籍したばかりで、ヨーロッパ随一のボールプレイングCBだとか。
アーセナル界隈でも、ここしばらくは彼に関するニュースが多かった。
オーンステインも、「アルテタとベルタは彼の大ファンだと聞いている」として、彼に興味を持っているという多数のクラブのひとつにアーセナルを含めている。
ほかに、彼に強く興味を持っているPLクラブとして、チェルシー、リヴァプール、ニューカッスル、トトナムらがあり、ほかにもレアル・マドリッドやバイエルンの名前も出ている。彼らはすでに選手の代理人と接触しているという。本人は子どものころからのRMファンで、もし彼らが本気なら優先すると。
いまのところ、オーンステインでもこの獲得レースでどのクラブが先を走っているか、はっきりしていないようだ。
20才と若く、両足使いというのがまさにアルテタ好みのCB。オランダ生まれで、NTはU-19までオランダ、U-21からはスペインで、シニアNTはスペインを選んでいる。
昨日の報道によると、彼の契約に含まれると云われるRCの£50mは支払条件も比較的ゆるく、それもすでに彼に興味をもつクラブには伝えられているというので、さらに魅力的な案件になっている可能性がある。
🚨🆕 What makes the release clause for Dean #Huijsen even more interesting: the £50m/€58m do not have to be paid immediately – it has been contractually agreed that the clause can be paid in three instalments.
All interested clubs have been informed of this. Talks with several… pic.twitter.com/IFHLsjxWxZ
— Florian Plettenberg (@Plettigoal) April 24, 2025
ぼくは、この選手のことはまったく記憶にないと思ったら、今年のアーセナルのボーンマス戦では彼はプレイしていないのだね。ちょうど来週に彼らとの試合があるので、そこでプレイしている姿を観ることができそうだ。20才の若さで、PLだけでなくトップクラブからこれほどの注目を集めるのは、そうとう優秀なんだろう。
これだけのクラブの関心があるなか、Huijsenのアーセナル移籍が実現するかどうかは正直あやしいように思える。
とくに、われらにはすでにガブリエルとサリバというリーグ最強のようなCBパートナーシップがあるため、Huijsenが毎週レギュラーでプレイできるかどうかは不透明だから。そのようなチームに、これだけ引く手あまたでどんなチームも選べそうな本人が行きたがるか?
それと、最近めっきり存在感を増しているキヴィオールの件もある。
オーンステインも「キヴィオールは夏に退団するものとばかり思っていたら、最近の活躍でわからなくなってきた」のように述べていた。来年の残留を示唆するような本人コメントがあったのは、このブログでもお伝えしたとおり。彼はRCBでも何度かプレイしているし、左右のCBのバックアップができる。ガブリエル、サリバ、キヴィオールがいて、さらにCBを補強?というのは、さすがにちょっと理にかなうように思えない。
それに、仮にキヴィオールが移籍するにしても、CBのバックアップにはホワイト、ティンバー、カラフィオーリ、トミヤスもいる。もちろんフィットネスのあやしいバックアップたちではあるが、人数的にはいちおう現状ですら足りているように観える。
そんな状況はクラブがいちばんわかっているはず。しかし、それでもアルテタがHuijsenを欲しがっているのだとすれば、現状のCBペアで、さらに改善させたいサムシングがあるのか。
ここで思い出すのは、クラブがガブリエルの売却を検討していたという話。ちょうど去年のいまごろにこれを書いた。
2023年夏ガブリエルの売却が検討されていた | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
あのあとも、チームにおけるガブリエルの存在感は攻撃でも守備でもどんどん増しているし、彼がいないチームというのはいまはちょっと考えられないのだが、そういうことはラムズデイルにも起きた。まあ、いま思えば彼も完璧ではなかったけど、あのときのアーセナルではGKの代替が必要には思えなかったし、彼で十分なクオリティに思われた。が、その後ラヤというさらなるクオリティで代替されてしまった。そして結果それは成功だった。
今後ガブリエルの売却が余儀なくされる心配もあるのかもしれない。彼のことはあいかわらずサウジクラブが狙っているというし、もし断れないような巨額オファーがあったら。Huijsenの£50mが余裕でまかなえるような金額なら、いっそ取り替えることも考えたりするのかもしれない。ふたりのCBがふたりとも両足使いなら、バックラインはさらに安定しそうではある。
ぼくは、この件はあまり本気にしていないが、たまに驚くようなことをするのがミケル・アルテタというひとだからなあ。
それより、このニュースについて、アーセナルファン界隈では「もうミケルにDFを買うのはやめさせろ」という意見が多くて笑った。たしかにな。£50mの予算があったらアタッカーを買えというのは正論。いまこのチーム状況で、CBが優先すべきポジションには思えんよなあ。
※昨日ブラジルメディアがガブリエルの新契約について伝えていた。彼を売却するより、引き止めるほうが自然に見える
Mercado da Bola: Arsenal tem interesse em renovar contrato do zagueiro Gabriel Magalhães
Zubimendiのアーセナル移籍はもう決まった?
パーティの新契約やDean Huijsenの件などについて話すこの動画のなか、オーンステインが「アーセナルは内部的にはすでにZubimendiとの契約は完了したかのように動いている」と話しているのが話題だった。
Premier League insider @David_Ornstein shares the latest on Arsenal and Manchester United as the summer transfer window gets closer. pic.twitter.com/h8CkzphZjX
— NBC Sports Soccer (@NBCSportsSoccer) April 23, 2025
もうしばらく以前から、この夏のZubimendiのアーセナル行きの可能性の高さについては、各所で指摘されてきたが、いまだにレアル・マドリッド移籍だとか釣り記事をせっせと書いているメディアもある。
このオーンステインの言及は、Zubimendiのアーセナル移籍の信ぴょう性をさらに支持するものになりそうだ。
ストライカー、ウィンガーの大きな進展はなし
まずアーセナルの夏のNo.1プライオリティである、ストライカーについては、メジャーなメディア/ジャーナリストによる新しいリポートはないようだ。
相わからずGyokeres、Seskoが本命で、Isakは難しいという共通認識。最近のオーンステインもこれまでどおりの見立てを繰り返している。
Isakについては、ニューカッスルの来年のCLが見えてきたことも大きいだろう。Sky Sportsでは現時点での彼らのトップ5フィニッシュを77.6%と予想。CLを得て、金にも困っていない彼らがメインストライカーを手放す理由がない。
アーセナルはNico Williamsを最高給で迎えるべきか?
ウィンガーについては、アーセナルのメインターゲッツのひとりといわれるNico Williams。しばらく前になるが、彼のサラリーについての話題があった。
Arsenal will have to make Nico Williams one of club’s top earners to sign him
移籍金はRCがあるため£50m前後。彼ほどの評判の選手にこの程度は大きな問題にはならない。だが、とにかくお賃金が高い。
彼の高給にはクラブの特殊な理由があって、アスレチック・クラブ(ビルバオ)は、知られているようにバスク人しか取らないポリシーのクラブで、バスク人のトップ選手を引き止めるためにかなり昇給が必要になるという特殊事情。選手を新規に獲得するための移籍金に金を使わないことで、それが可能になるという。
FBRefによると、彼の現在の給与はおよそ€200kpw(£170kpw)。記事によれば、税引き後で£100kpw程度という。ビルバオ程度の規模のクラブと彼の若さなら考えられないほどの高給だろう。
そして、彼の代理人は移籍先クラブには£250kpwのサラリーを要求している。
これが、現時点でのアーセナルの給与トップ10である。£250kpwなら、トップ3に入る金額。イングランドで通用するかどうかもわからない22才に、いきなりその金額を約束するのは覚悟がいる。
ラ・リーガで長らく仕事をしていたアンドレア・ベルタが来て、相手クラブや選手サイドともスムースに話が進むとなっても、アーセナルが実際に彼と契約するとなれば、チームでも最高給のひとりにしなければならないというジレンマ。
どうでしょうね。
じつは、おれは個人的には彼を最高給で取るのはけっこう反対。リスクが高い。海外リーグのスターアタッカーが鳴り物入りでイングランドへやってきてワークしないなんて、まったくめずらしくない。だから、アルテタもPL provenにこだわっているのだろうし。もっとふつうの条件ならよかったのに。
昨日たまたま見かけたニュース。
Malgré son retour dans le groupe, le point de non-retour est atteint entre Chelsea et Nkunku, qui devrait quitter les Blues l’été prochain https://t.co/XaKjusv7mi via @RMCSport
— The AFC-Chan 🇺🇦 (@NewArsenalShirt) April 25, 2025
Nkunku。んくんく。なぜアーセナルは、チェルシーが売却したい選手ばかり気になるのか。
サンビ・ロコンガが再度負傷でセヴィーヤは買い取りオプション行使せず
最後は悲しいおしらせ。去年夏にアーセナルから一年ローンでセヴィーヤへ移籍した、アルバート・サンビ・ロコンガ。今シーズンはケガに苦しまされていた彼は、またケガをしてしまい、セヴィーヤが買い取りオプションを行使しないという。
Cuarta lesión muscular de Lokonga, que tendrá difícil volver a vestir la camiseta del Sevilla FC
右のハムストリングを故障し、残り6試合となった今シーズン中の復帰は絶望的。そして、彼のハムストリングの故障は4回め。同じケガを繰り返すのは、メディカルチームの責任もあるように感じるが。
彼のローン契約には€12mの買い取りオプションが設定されているが、記事によればセヴィーヤは値下げ交渉もしないだろうとしている。
ということで、この夏はサンビがチームに戻って来る可能性が高まった。
TMによれば、アーセナルとの契約は2026年6月まで。ポジション的に、来シーズンアーセナルに戻ったところでプレイ機会はかなり限定されそう。となれば夏に安値で売却されるか、それができなければ契約切れまでさらなる一年ローンで相手にサラリーの一部を負担してもらうか。
セヴィーヤでやる気まんまんだったASL。残念だ。
おわり