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アーセナルがヴィクター・ギョクレスの獲得を発表! #VG14

ギョクレス移籍の舞台裏。Sesko or Gyokeresのてんまつ

これはThe Athletic(ジェイムズ・マクニコラス他)が、クラブや選手の関係者に直接取材したという渾身の記事をアップしている。※閲覧は要課金

Inside Viktor Gyokeres’ transfer to Arsenal: Tough negotiating, Berta’s role and why Sesko interest cooled

それなりの分量ある記事なのだが、要約してみよう。小見出しはおれによる。

2025夏のアーセナルの9探し。SeskoかGyokeresか?

  • 夏ウィンドウに向けて、アルテタとベルタはアーセナルにとり9はもっとも重要なビジネスという認識があった
  • 一年前ならこの結果を想像したものはほぼいなかった。3月にベルタが来る前、ギョクレスはアーセナルの補強リストの上位にはいなかった
  • 彼のスポルティングでの活躍はあっても、エドゥと彼のスタッフはギョクレスを、ハヴァーツと競えるかもしれないという程度の二流選手(secondary-tier)と評価していた。アルテタのゲイムモデルにフィットしないと
  • 当初の優先ターゲットはSesko。2024夏にも動いていたし、この夏は彼に戻る計画だった
  • 3月にはSeskoの取り引きのために、エドゥの後任アイトがドイツ出張を計画していた
  • その後月末にはベルタが新SDに指名され、ギョクレスが候補に入ってきた。アイトの出張も中止。ベルタはギョクレスを長期間評価していた
  • 個人的な好みは置いておき、アーセナルはオーナーの支援も受けて、このふたつの契約を検討することに
  • 過去18ヶ月間、Sesko側はエドゥ、アイトと強い関係を築いてきたが、ベルタが来るとその関係性が変わっていく。Sesko側はそれでも自分たちがアーセナルのファーストチョイスだと信じていたが、アーセナルの人事異動でこの移籍が危なくなることを危惧していた
  • Seskoの担当者は早期の契約には慎重だったが、彼らは選択肢を狭めたくないと考え、アーセナルとの交渉では積極姿勢を取った。しかしそれはうまくいかなかった
  • それでもSeskoの代理人Elvis Basanovicとの接触はつづいた
  • アーセナルもベルタもSeskoの獲得は模索していた。理想的な年齢、数年に渡り成長もチェックしてきた。選手側とは長期間の交渉があり、ライプツィグも関心に気づいている。クラブとしてはできるだけ早く取り引きしたかった
  • しかし交渉は遅々として進まず。ライプツィグの要求、Seskoのサラリーの期待、仲介人の手数料、アーセナルが育成プロジェクトに検討するには高額すぎた。彼のポテンシャルは評価できても、現在アーセナルのいるフェイズでは即インパクトが要求される
  • ドイツの情報筋によると、それでもアーセナルには要求に応える余地があった。しかしアーセナルが苦しんだのは彼の代理人Basanovicとの交渉。彼と相性が合わなかった
  • のちにアーセナルがギョクレスに傾きだすと、今度はSesko側が譲歩を始めたが、ときすでにおすし

ギョクレス台頭

  • そんななかでギョクレスはアーセナルの幹部たちに猛烈にアピールしはじめた
  • 6月に27才になる彼だが、すでに証明されたゴールスコアラーで英国リーグでの経験もある。アーセナルがいま探しているのはタイトルを勝つためのミッシングピース。プライムで即インパクトをもたらせる選手
  • もうひとつの要素は、ギョクレスが信じた€60+10mで移籍できるというクラブとの約束。€100mに設定されていた彼のRCよりかなり安い。ベルタは取り引きに動く

アルテタの意向は?

  • だが、まだアルテタを納得させる必要があった。アーセナルのストライカー探しのなかで、彼の好みには変遷があった
  • 当初アルテタの好みは一貫してIsakだったが、ニューカッスルがCLを得ると希望は途絶えた。彼は7月末にニューカッスル退団の意向を表明することになるが、アーセナルはすでに代替案で動いていた
  • 1月には、Watkins獲得もアルテタは支持していたが、アストン・ヴィラの£60mの要求には応えられず
  • この夏も当初アルテタはSeskoにやや傾いていたが、22才になりたての9にPLで即インパクトをもたらせるかどうかは懸念があった
  • しかし最終的にアルテタはギョクレスに賛成した。様々な基準を検討した結果、クラブにとり最良の選択として同意

ギョクレス一択へ

  • そして、このふたりの名前が候補として表沙汰になるのはアーセナルには都合がよかった。両者ともにアーセナル移籍を希望しており、最終的にはどちらかは成立する
  • しかししばらくすると、Seskoへの関心は薄れ始めた。アーセナルは彼らふたりに熱心に動いているのは自分たちだけだとわかっていた(ギョクレスにはマンU含めいくつか引き合いがあったが)
  • アーセナルにはこの夏の9候補はこのふたりだけではなかった。WatkinsもアトレチコのJulian Alvarezも議論していた
  • しかし、アーセナルが狙いを定めたのはギョクレスだった。ゴールスコアラー、シンプルな契約構造、そして安価
  • 6月半ば、ベルタはスポルティングと直接交渉するためスペインに向かった。それが決定的瞬間になった。Seskoとは最後までそのような首脳会談はなかった

スポルティングとのタフな交渉

  • スポルティングとの交渉での困難は、まず彼らがギョクレスとの約束を果たす気がなかったこと。彼らの要求は€70mにさらにアドオンで10m。それでもRCより20mも安かったが、選手側が信じていた金額よりも高かった
  • 7月に入ると、プリシーズンにはCFを解決していたかったアルテタが状況を危惧しはじめた。PLのチャレンジングな序盤フィクスチャもあり、なるべく早い解決が望まれた
  • ギョクレスとの個人条件は比較的すんなり合意した。選手にはアーセナル移籍を望む明確な意向があり、彼の代理人であるHasan Cetinkayaも率直で付き合いやすかった
  • アーセナルは、彼と彼の代理人がアーセナル加入に前向きだったことに感銘を受けた。このレベルの選手がほかのクラブからの魅力的なオファーに耳を傾けないのは珍しい。だがギョクレスは一貫してアーセナルだけを求めた
  • ギョクレスの代理人は交渉においても多くに対処し、ふたつのクラブの直接交渉は限られた
  • このプロセスを通し、ベルタはアーセナルのdirector of football operations、ジェイムズ・キングにかなり助けられた。またアルテタとexecutive vice-chairのティム・ルイスも関与した
  • クラブ間の直接交渉では、スポルティングは彼への投資を最大限得ようとし、アーセナルにはかなりタフなものになった
  • ギョクレスはこのような将来が不透明な状況でクラブから休暇の延期を認められていた。彼は7月11日にはスポルティングのスクワッドに戻るはずだったが、クラブプレジデントのFrederico Varandasになにがあってもスポルティングに戻るつもりはないと告げた
  • ギョクレスはVarandasが約束を破ったと思っている。アーセナルのオファーは約束した金額を越えていたが、いまだ合意にいたらない。その裏では、Varandasは規律違反だと脅しをかけた。アーセナルはなおも移籍完了に向けて働きかける
  • そして、移籍金€63.5mにアドオン€10mで合意に達すると、アーセナルは最初の正式オファーを行った。また、代理人のCetinkayaは10%手数料を放棄することに合意した
  • しかし、その後も取り引きは終わらなかった。アーセナルはアドオンの条件を交渉する必要があった。スポルティングはボーナスの支払いをより達成しやすいものにしようとプッシュし、これでさらに一週間以上かかった。チームはアジアツアーへ
  • 交渉の最終段階で、スポルティングはマンUからの問い合わせを受けた。しかしすでにエミレーツに心を決めたギョクレスの考えは変わらない
  • これはフラストレイティングなプロセスだったが、ついに7月25日の金曜日に完全合意に達した
  • アドオンの€5mについて説明を受けた関係者によると、それは一定数の試合出場で発生し、さらにゴール関与やCL出場権に応じて支払われるという

(後略)

以上

 

読んでるだけで疲れるな。。ほんと、いろいろありましたね。お疲れさま。

舞台裏ということなら、なぜに代理人が決して少額じゃないコミッションをあきらめることができたかも書いてほしかったな。協力的というひとことで片付けられない、この案件の最大の謎のひとつだろう。

あと彼の元クラブが持つというセルオン。ブライトンとコヴェントリー? スポルティングがなぜ最後まで金にこだわったかの理由でもあるかもしれないから、こういった記事でそこに触れないのはもったいないと思う。

今回の件で称賛されているアンドレア・ベルタについては、The Telegraph(サム・ディーン)の記事もなかなかおもしろかった。

この記事でも少し触れられているように、彼はこの夏のストライカー探しでは、Seskoやギョクレスだけでなく、ヨーロッパ中にいる何人もの候補たちと同時進行でやりとりをつづけていたというのですな。聖徳太子かな?

もともとベルタというひとはアトレチコでの12年ものSD経験を買われてアーセナルにやってきて、そして初年度でその剛腕をいかんなく発揮しているという、たいへんにいい話。

ギョクレスのプロファイル

以下、TMより。

  • Name in home country: Viktor Einar Gyökeres
  • Date of birth/Age: June 4, 1998 (27)
  • Place of birth: Stockholm Sweden
  • Height: 1.89 m
  • Citizenship: Sweden Hungary
  • Position: Attack – Center Forward
  • Foot: right
  • Player agent: HCM Sports

彼の名前の正しい発音については昨日のエントリでも書いたように、諸説あるっぽい。ジョケレシュとか。英語風ならやっぱりギョクレスかギョクレシュかね。

今回の発表時に、名前発音のやりとりはなかったみたいなので、本人発音がわからず。ここではひとまずギョクレスと書いております。ずっとGyokeresとかGyoって書いてきたから、ちょっと慣れない。そのうち定着するやつに合わせよう。

 

※追記:この記事をアップしたわりと直後にアーセナル公式がポストした動画。せっかくの本人発音なのに、マイクをつけていないからか、よく聴こえないのである。

 

誕生日が1998年6月だから、オーデガード、ライス、ズビメンディと同学年? 悪くない。ちなみに、このひと27才の高年齢がネガティヴポイントなわけだけど、誕生日はIsakと2年も離れてないそうで。

エイジェントはHCM Sports。わしはよく知らなかったんだが、ここはかなり大手の選手代理店なんだね。こんな動画までつくってる。

今回は移籍実現を助けてくれてありがとうございました。

 

<追記>キャリアに言及するのを忘れてた……

代表は、スウェーデンU-18からU-21までの各年代に招集。スウェーデンのシニアスクワッドでは26キャプスの15ゴール。

ちなみに、彼のユースNTでしばらくいっしょだったチームメイトとしては、ToTのグーナー(笑)Kulusevskiがいる。

現在のスウェーデンのフルスクワッドでは、Kulusevskiのほかに、Isak、Elanga、Lindelöfといった面々がチームメイト。

クラブキャリアのほうは、あまりにたくさんなのでキャプチャで。

ブライトンにしばらくいたということで、トロサール、ベン・ホワイトとも知る仲のようだ。以前にも、ベンジャミンとはU-23でいっしょにプレイする動画も発掘&シェアされていた。

それと見逃せないのが、FC St. Pauli。なんとこの時代、ギョクレスはあの伝説のガナー、リョー・ミヤーチともプレイしていたという。

これはアツい。

 

基本スタッツ。

緑がまぶしい。おや、守備が悪いのはべつにいいが、空中戦が良くないことに気づいた。これは意外。

CFテンプレート。こっちもヤバい。

とはいえ、彼の場合はこの超エリートな数字をPLで、アーセナルで再現できるかがもっとも問われている。重要なのはこれからの数字だ。

ギョクレスがアーセナルにもたらすもの

これはまた長くなりそうなので、べつの機会にしよう。

彼に期待されているのはとにかくゴール貢献。ゴール前でチャンスをゴールにコンヴァートすること。アーセナルのFWたちが苦手なやつ。

ギョクレスは当初アルテタのいちばんのお気に入りではなかったことからもわかるように、ほかの候補だったストライカーたちにくらべると、いまのアーセナルのチームへの自然なフィットという意味では、完璧とは云い難いものがあるだろう。少なくとも前評判としては。

だから、彼の強みを最大限に活かしながら、アーセナルのチームにどう組み込まれていくか。ここは25/26シーズンのアーセナルの最大のみどころのひとつになるはず。

もちろん、彼自身にも適応が求められる。アルテタの9には、スポルティングでは求められなかったであろう、特殊なタスクもあるから。

利己的ストライカーと利他的チームの融合。これはお互いチャレンジング。

まあいうほど利己的でもないのか。ハイライト動画ではけっこうアシストもしているしな。

 

さあ、彼のデビューはいつになるのか。今晩のニューカッスルはさすがにないか。いや、このスピード感なら。シンガポールの皆さんがみんなスタンドであのポーズをやっている姿が目に浮かぶ。

楽しみだ。

 

なにはともあれ、ヴィクター、Welcome to The Arsnal!

 



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プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

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