すでにPLのスタートまで2週間を切ったこともあり、英国メディアでも25/26シーズン予想がちらほら出てきている。
まだ数は少ないものの、そういった予想記事をぼくがざっと観たところでは、アーセナルのシーズン予想は概ねリヴァプールに次ぐ2位が定位置のようだった。つまり今年も、多くのメディアでアーセナルのPLタイトルはないと思われている。これは、今後出てくるだろうほかのメディアでも似たような予想が大半を占めそうな気もしている。
もともと、チャンピオンのリヴァプールには安定したパフォーマンスを発揮できるスクワッドがあったうえに、この夏は積極的な補強でさらにその足場を固めており(※ここまでGrossで£252mの支出はリーグトップ)最強チームがさらに強くなった印象がある。
いっぽうで、今年こそPLタイトルを取りたいアーセナルもこの夏にかなり積極的に補強をしているものの、リヴァプールのそれほどには、第三者を納得させることはできていないのかもしれない。
その評価の最大のポイントはやはりギョクレスにあると思う。彼がポルトガルでのゴールマシーンぶりをPLでも発揮できるかどうかは、一般的にはいまだ懐疑的な目で観られているだろうし、アーセナルのファンでさえも確信が持てていないのが正直なところではないだろうか。
そのギョクレスが初エミレーツで初スタートとなった今回のフレンドリー、ヴィヤレアル。3-2で敗けてしまった。アジアツアーでのパフォーマンスに比べると、フィットネスレベルはかなり上がっているようには見えたのだが。
ファンのあいだではかなり大きな期待と注目を集めるなかでのギョクレスの約60分間となったが、そのパフォーマンスはご覧のとおりで、ファンにとっても本人にとってもやや消化不良なものになったし、またアーセナルのチームとギョクレスのあいだにある課題も浮き彫りになったように感じる。
もちろん、これはただのフレンドリーマッチで、内容にも結果にもそこまで悲観的になる必要はないのだが、ここから10日後のシーズンスタートに向け、アーセナルのチームには一抹の不安をおぼえさせる試合になってしまった。
アルテタの試合後コメント「(ギョクレス)毎日よくなっている」
試合後のプレス会見。AFC公式サイトより。
(ヴィクター・ギョクレスの順応には時間がかかりそう?……)
- 今日すでにひとつラインを超えた。彼が試合にスタートして、それを感じ、チームとのつながりを得ることは重要だった
- 彼はまだチームに来て一週間くらい。それでもわたしには多くのことが見えた。意図があった。とくにあるスペイスへの攻撃意識
- だから全体的に観て、まだ多くの選手が十分な時間プレイしておらず、土曜(※つぎのビルバオ)にもっといいコンディションになっているためにやることがたくさんある
(ハヴァーツの不在……)
- 昨日のトレイニングで違和感があり今朝もよくなかったため、休ませることにした
- 数日の問題だと思うので、週末にはフィットしているはず
(カラフィオーリとトロサール?……)
- ビッグガビ、レオ、リッキーの3人はツアー中もいなかった。カラフィオーリとトロサールは土曜にチャンスがあると思う
(ダウマンのパフォーマンス……)
- 間違いなく印象的なプレイをつづけている
- 今日もインパクトがあり、どの攻撃アクションでも効果があったのはすごい
- 彼はチャンスを得るに値する。あのように彼がつづけていれば、あとはどうなるか
(選手たちがギョクレスに慣れるのにどれくらいかかりそう?……)
- 何日かであってほしい
- 彼は毎日のトレイニングのたびによくなっている
- 彼はピッチの外でもつながりを持ち始めている。わたしはそれが重要だと思う。選手たちが彼が慣れるのを助ける
- フィットネスレヴェルでは、彼は2ヶ月もトレインしていなかった。今日これまで5-6回のセッションを行ったので、土曜はもっといいコンディションになり、彼にとってまたさらなる一歩となるはず
(マドゥエケはチームに加わるために休暇を短縮した……)
- そうだね。こちらがそうさせたわけでもなく。彼は初日から、ここに来たかったという渇望を示していて、彼がやってきたことは際立っていると思う
- それは彼の渇望や意志を示している。どれだけ全力でやりたいか
- サポーターからの歓迎もとてもよかった。この日もうひとりエミレーツでチームとそれを初体験した選手。彼は土曜もまたプレイする
(ダウマンが若年でインパクトを出している件……)
- 彼ともっとも似たケイスはワネーリ。それもまた違う段階だが、彼はこんなにも早くそれをやっている
- 去年でさえ、彼はわれわれとトレインしていたときにああいったことをやっていた。それをいまは試合のなかで安定してやっている
- 彼がプレイしたこの3-4試合、彼はインパクトをもたらし、試合で大きなチャンスをつくっている
(マドゥエケはどのポジションにフィットする?……)
- 両サイド。ノニは右でも左でもとても楽にプレイできるので、もしわれわれが逆足の選手を使いたいときには、それができるということ
- 彼は本物の脅威。わたしは彼とは対戦したくない。彼が自然なサイドで選手たちとプレイしているときも見つけたいものがある
- 彼はわれわれに解決策をもたらすだろう
- 今日すでに彼はボックスのなかにいくつかボールを入れたのを観た。ペイスもクオリティも。素晴らしいオプション
(ギョクレスはシーズン初戦までに100%準備ができる?……)
- 精神面ややるべきことの理解においては100%かそれ以上だと思う。すごいやる気だし自信もあるから
- 間違いなく彼はかなり調子をあげてくると思う
(あなたはここまでのプリシーズンの準備には満足している?……)
- 土曜の試合が最後で、そのあとのマンUに向けた一週間は純粋な準備になる
- わたしは多くのことでとても満足している。今日の結果は苦痛だったが
- 相手は超効率的で、こちらはナイーヴだった。とくにオープンスペイスの守備
- 自分たちがああいうプレイをしていたのだから、完全に対応すべきだった
- 今日のわれわれのある部分は、まったくよくなかった。それが試合に高くついた
(PLタイトルに挑戦する準備はできている?……)
- われわれはこの3年それをやってきた。だからつぎのステップ
- われわれはもっと強くなるとわかっている
- リーグのなかのほかのチームを見れば、パズルのピースを埋めている。それは大きなもの
- だから、われわれもベストになるようトライし、PLで競える準備をしている
(ダウマンにほかの選手たちの反応は?……)
- 反応はとてもはっきりしている。彼らはボールを持ったときにそれを彼に預ける。それが信頼とチーム内で築いている関係を物語る。それよりいいものはない
- 彼らがことを起こせると自信を示しており、チームが彼とコンスタントにつながろうとしている
(ダウマンはPLでプレイする?……)
- 今後どうなるか観てみよう
- 土曜のあとは休暇もある。彼もあまり休暇を取っていなかったのでそれが必要
- だから、来週彼は数日の休みをとる。彼にとって必要なこと
(新シーズンに向けての教訓と調整について……)
- どのシーズンもちょっとづつ違う
- 去年はavailabilityが、PLあるいはCLのタイトルを勝つうえでは大きなカギになった
- そしてその前の年は、最後の2-3ヶ月に苦しんだ
- そこでわれわれは、最高レベルで異なるポジションでプレイできる多くの選手を持つことでそれを解決しようと大きな決断をした
- われわれは強くなっていると思う
クリスチャン・ノーガードの試合後コメント「両エンドでの実行がカギ」
コーナーから頭でゴール。AFC公式サイトより。
CN:(エミレーツ)もちろん素晴らしかった。アーセナルの選手としてピッチに足を踏み入れた。ぼくも何度か対戦相手としてここに来たが、アーセナルのシャツを着てプレイするのはもっとおもしろかった!
(ゴール)それも大きな瞬間だった。でも、あのスコアラインだったからそれほどは喜べなかったけど。それにホームで試合に勝てなかった。シーズンスタートまでには改善することがまだいくつかある。
あれは両エンドでの最後の実行ということ。相手には2-3のチャンスがあり、それを全部決めた。そして、こちらにはかなりたくさんのチャンスっぽいものがありながら、それを実行できなかった。
そこが、シーズンが始まるまでの10-11日間で取り組むべきことだろう。そしてもしそれがうまくできるなら、ぼくらは大丈夫。
(チームへの適応)ぼくもクラスで自分だけ新入生じゃなくてよかったと思う! だから、それを楽しんでいるよ。正直みんな優しいんだ。慣れるのがすごく楽。最初の一ヶ月をすごく楽しんだから、このあとも楽しいことがあるといいな。
ノーガードは単独インタビューもあって(マッチデイプログラム)、そのなかで新加入選手がチームのみんなの前で披露するイニシエイションソングも明かされていた。Usherの“Burn”ということ。彼がどんな顔をしてこの曲を歌い上げたのか気になるな(笑い)。
試合について
試合結果
ちなみにアーセナルは昨シーズン、3失点した試合はひとつもない。フレンドリーとはいえホームであんなふうに失点してはいけませんねえ。
この試合で久しぶりにエミレーツに帰ってきたPPは1ゴール。古巣のファンを前にゴールセレブレイションを拒否。リスペクト。後半出てきたこれまたお久しぶりのデニス・スアレスといい、彼らにブーしていた一部のファンはなにを考えていたんだろうか。ふつうに温かく迎えるべき場面では。
試合結果に関係なく行われたフルタイムのペナルティシュートアウトも、アーセナルの敗け。ぎゃぼん。
アーセナルのファースト11
SofaScoreより。
ハヴァーツ、トロサール、カラフィオーリがアウト。
ガブリエルとティンバーはしばらくぶりに復帰&後半に30分ほどプレイした。問題なさげ。
試合直前に発覚したハヴァーツの不在については、アルテタが試合後に話していたように前日のトレイニング中のケガのようで、軽症っぽい。
ベンチに入らなかったネルソンとヴィエラ(※前日トレイニングに参加)は、おそらく移籍の交渉が進んでいるためと思われる。いっぽうサンビ・ロコンガ(以下略
ギョクレスが初スタート。63分までプレイ。
それと77分にネリとの交代でマドゥエケIN。彼もこれがアーセナルデビューとなった。当初あれだけ嫌われた彼ながら、もういまはあからさまに敵意を表すファンもいない。エミレーツのファンはちゃんと彼を歓迎した。
サカが下がったRBはダウマンが入っていたため、彼はそのまま左サイドに入った。LWとしての彼のプレイは注目が集まっていたところで、このサブは興味深かった。