こんにちは。
昨日、gunnerblogことジェイムズ・マクニコラスが独占スクープしたこの件。
🚨 Exclusive: Leandro Trossard has agreed a new deal at Arsenal.
30-year-old will have salary increased to reflect valued role in squad.
Deal not extended – will still run to 2027.@TheAthleticFC 🔴⚪️ #AFC https://t.co/Flal6oI6QL
— gunnerblog (@gunnerblog) August 19, 2025
以前から伝えられていた、アーセナルがしばらくトロサールにオファーしていたという新契約について、彼がそれを受け入れたということ。
興味深いのは、その新契約の中身が、契約延長なしで昇給のみという点。
この契約内容は以前にも伝えられており、個人的にはそのときも不可解な契約だと思っていたが、それが現実のものとなったいま、予想通りアーセナルファンベイスもまた戸惑いを隠せない様子。
Ezeをあきらめたいま、トップLWがこの夏の最後の補強だと期待していたのに、トロサールが移籍せずにチームに残るなら、それもなくなったってこと?
アーセナルの真意はどこにあるのか?
「トロサールがアーセナルの“大幅昇給”契約を受け入れる」 by gunnerblog
※要課金記事
Leandro Trossard agrees new Arsenal contract
記事を引用しよう。
レアンドロ・トロサールがアーセナルとの新契約に合意した。それにより彼は大幅な昇給となる(significant pay rise)。
この30才が応じた契約調整には、サラリーの増加が含まれるが、2027年で切れる契約の延長は含まれていない。
現時点で、トロサールが今回の移籍ウィンドウでクラブを去る可能性について、とくに進展はない。
彼は、スクワッドのなかでの彼の役割に見合う給与になるよう、クラブとしばらくのあいだ昇給について話し合っていた。
トロサール新契約の不可解
現行契約での彼の給与はFBrefによると£90kpw。ここで伝えられている「大幅昇給」がどの程度かはわからないが、スクワッドの給与序列を観た感じ、£150kあたりが妥当だろうか。まさかネリに合わせて£180k? 2倍である。あるいはそれ以上だとサリバやサカに匹敵してしまう。
たしかにスクワッドの給与テーブルのなかでも下から数えたほうが早いいまの給与は、彼の年齢や活躍ぶりからすれば多少少ないかもとは思う。
しかし、だからといってわざわざ契約中にそれを更新してまで選手に報いるというのは異例のことだろうし、そもそもクラブのメリットはなんだろう? £90kだってとくに常識外れに安いわけではない。ズビメンディは£75kだと……
クラブの評判を上げるためとか? 契約があるのにわざわざそれをいいように変更してくれるなんて、選手からしてみれば神対応みたいなものだろうから、今後選手を勧誘する際にはいいPRにはなるかもしれない。アーセナルはいいクラブ。でも、それ以上のことはあるかどうかわからんね。
むしろクラブにはデメリットのほうが多くあるように思える。
トロサールはこれで売れなくなった
アーセナルが移籍市場で選手の売却につねに苦しんでいる一因は、高い給与にあると云われている。(※ほかのビッグクラブだってそれは同じだからアーセナルだけ苦しむ理由にはならんけど)
アーセナルで控えめに見える給与でも、ほかのもっと小さなクラブではそうじゃないということはよくあることだ。
そしてそれはこの夏も同じ。
たとえばリース・ネルソンは現在アーセナルで£100kpwを受け取っており、いま彼の移籍先として噂されているフラムだと、その額はトップのベルント・レノ(£130k)につぐチームで2位となる。したがって、おそらくは彼がフラムに移籍するなら相応の給与削減に応じる必要があるだろうし、そういったことも取り引きの障害になっていることは想像に難くない。
給与が高いと売れないのだ。だから、選手の給与を上げることには慎重にならねばならない。それは給与総額で直接的にクラブ財政を圧迫するだけでなく、将来の再販性にも関わることだから。
トロサールは、昇給でますます売れなくなったし、少なくともこの夏はアーセナルが彼を売る気がないことがはっきりした。売るなら邪魔にしかならない契約をわざわざするのだから。
では、このあとはどうかといえば、この新契約のおかげでますます売れなくなったはず。残り契約2年なので、来年夏は残り契約1年。アーセナルが彼を売る気があるならそこがラストチャンスになるが、ただでさえ二束三文にしかならなかっただろうところ、高給で買い手はより限られることになるだろう。もちろん、彼が今年目覚ましい活躍でもすれば話は変わるかもしれないが。
つまり、アーセナルの意図としては、彼を売らずに2027年まで使い切って、フリーエイジェントも覚悟しているということか。彼を売却のための資産とは思っておらず、純粋に戦力として評価している。
だから契約延長もしなかったのかもしれない。いずれにせよ、彼はすでに30才でこのあとは高齢で売却は難しいし(12月に31才)、短い契約なら負債になるリスクは裂けられる。売れてプラスになるどころか、戦力外でもチームに残りマイナスになる可能性もある。なんなら、フリーエイジェントが観えていても契約延長交渉はできる。
ここで昇給してあげないと、移籍志願されてしまうかもしれなくて、それを避けたかったのもあるかもしれない。
アーセナルは彼に残ってほしかった。
でも、あれ? トップLWを取るにはトロサールかマルティネリの売却がセットなんじゃなかったっけ??
新LWが来ることを信じていたから、おれたちはてっきりトロサールがこの夏に移籍するものかと思っていたのだ。
トロサール残留で待望のLW補強への影響……
だとすると、ここでマルティネリの売却がなければLWの補強もなさげであり、マルティネリの売却はなさげだからLWの補強もなさげであり。
つまり、LWにはマルティネリ、マドゥエケ、トロサールの3人。トロサールはサードチョイス? しばらくすると復帰するジェズースも?
うーん。こんな夏ウィンドウの結末でいいんだろうか。唯一残された補強エリアである左サイドを放置。この夏のアーセナルは弱点を補強したと云われるも、LWが安心と云えないのは事実。
ここで思い起こされるのはEzeであり。この前、彼のパレスでの最後の試合になる?CHEとの試合を観ていたら、すごく活躍していましてね。彼に行かなかったのはつくづく残念だなと思った。彼がToTに行きたいと願ったのは、アーセナルに行ける可能性がなかったからでしょ?
彼はToTが£55mで買うとかなんとかというニュースを観た。トロサールを£15mで売って、3才若いEzeが£40mなら悪いビジネスじゃない気がするんだが。£150kpwで。
アーセナルはEzeを8/10として観ていて、ワネーリの新契約で興味を失ったという先日のリポート。それは、まあ理にかなっている部分はあるとは思う。しかし、Ezeこそトロサールに近いプロファイルのように思えるのだよね。一般的な単語かわからないが、アーセナル界隈で“Wing-fielder”のように呼ばれているタイプ。本来MFながらWGでもプレイできるひと。アーセナルだとナスリとかフレブとか。EzeをLWでプレイさせるアイディアは、そんなにダメだったんかねえ。
アーセナルは、Ezeとは別予算でLWを取ると当初云われていたように、PSR/FFPではまだ余裕がかなりあるという(UEFAのルールのほうが厳しいらしい)。だから、金の問題ではない。
夏ウィンドウが閉じるまで、あと10日と少し。
左サイドのアタッカーはどうにかなるんだろうか。
最近のLWの噂
とはいえ、最近もいくつかアーセナルとLWのリンクはある。
ひとつはアタランタのAdemola Lookman。彼はながらくアーセナルとリンクされてきたが、最近インテル行きが頓挫したとかで、アーセナルの噂が再燃。右足WG。インテルはトロサールにターゲットを変えたという説も。
ただ、このひと27才でEzeと同じく高齢。よほど安くないかぎりは、行かないように思える。現在のMVは€60mとかなり高い。
Ademola Lookman – Atalanta 2024-2025 Attacking Midfield & Winger radar and distribution
This was a player that got me interested when it was floated in the summer. A bit of questioning about how does it look outside of Italy and outside of this system. Still a very good player. pic.twitter.com/dEfzNrufjj
— Scott Willis (@scottjwillis) December 11, 2024
彼はナイジェリア代表ながら、英国生まれの英国系でPLでもプレイ経験があるのはまったく知らなかった。そこは悪くない。
それと、レアル・マドリッドのRodrygo。彼は、一時シティと噂になっていたが、そこまでコンクリートなリンクでもなかったようで、このところはトーンダウンしているようだ。そもそも彼らはLWは必要あるのか?
アーセナルは、彼のローンを狙っているという噂。
まあそれが最高のシナリオではある。海外の選手にはPL適応の問題もあるし、チームと合うかどうかもある。巨額を使ってダメでしたでは洒落にならない。一年お試しさせてくれたら、かなり助かる。
Xabi Alonsoのコメントでも伝えられていたように、クラブとしては彼を手放す意向はないようだが、両者の関係はウィンドウクローズが近づいてきたときによりはっきりするかもしれない。アーセナルがギリギリまでその機会を待っていることは考えられる。Isakの例もあり、早く動いたことが裏目に出ることもある。
しかし、どれもあんまり期待できなさそうに思える。ここから彼らのようなビッグネイムが来るより、既存の3人+ジェズースのLWというほうが、よほど信じられるのが悲しいところ。
これからどうなるか観てみよう。
末筆ながら、レオにはもちろん何の恨みもない。去年もつねに頼れるシニア選手だったし、今後も必要なときは仕事をしてくれるだろう信頼はある。
彼がいまのアーセナルでハッピーなら、それでよし。
おわり