今回もまた議論な判定とVAR
もちろん今回も議論な判定がいくつもあった。フェアに云えば、両者に怪しい判定があっただろう。
ざっと振り返ると、まず14分のペナルティ。
こぼれ球に反応したヨクレスがボックスに侵入、1 v 1でPopeに倒されて、ペナルティがコールされる。しかし、VARレフがレビューを進言して、ピッチサイドのモニタで確認したりなんだりしていると、なんとペナルティが覆されてノーファウルに。これは、さすがにびっくりした。おれが聞いていたAFC公式オーディオ中継でも、コメンタリのエイドリアン・クラーク氏が「こんなの人生で初めて観た」と云っていた。
#NEWARS – 14’ VAR OVERTURN
After VAR review, the referee overturned the original decision of penalty to Arsenal.
Referee announcement: “After review, the Newcastle goalkeeper plays the ball and there is no foul. The final decision is drop ball.”
— Premier League Match Centre (@PLMatchCentre) September 28, 2025
当初の判定を覆したその理由が「レビューしたらニューカッスルのGKがボールをプレイしていましたので、これはファウルではありません」。GKがボールをプレイしていたとな?
ヨクレスが先にボールに触れて、そのボールがGKの足に当たったってこと? 彼はヨクレスより先にボールには触れてないよね? リプレイを何度観てもよくわからんが、GKが「ボールをプレイ」したようにはまるで見えず。
これ、Popeがいちばんバツの悪さを感じてると思うんだよなあ。表情を観ても、彼もあれは自分の過失だとわかってる。
↓つい先週こういうのもあったそうで、判定の一貫性からすると、GKがボールに触っていようがいまいが、いずれにせよペナルティで議論の余地はないんだよ。こっちのほうがよっぽど「ボールをプレイしている」んじゃないの。
Last week Sanchez got a touch on the ball but it was still a red card and foul. We get consistently robbed by the PGMOL. pic.twitter.com/qBpBDlBNZQ
— AFCAMDEN (@AFCAMDEN) September 28, 2025
またしても、ニューカッスル戦で前代未聞みたいなVAR判定が生まれた。アーセナルの不利になるやつ。偶然か? Jarred Gillettよ。これは後日ひきつづきメディアで議論の対象になるのは間違いないと思われる。Howard Webbが今度はどんなアクロバチック説明をするか。
つぎに85分。Elangaのショットがボックス内でビッグガビの手に当たった。
ガビは、腕を高く上に上げてしまっていたので、まあこれはフェアに云えばハンドボールのファウルかなと思う。DFとしてあの腕はナチュラルポジションだという一部からの擁護もあるものの、ああいうケイスでペナルティになる可能性はかなり高いだろう。おれも中継でリプレイを観たときは、頭を抱えた。1-1にした直後だったから。
しかし、これがなんとおとがめなし。アーセナルバイアスを抜きにすると、正直ちょっとありえないように思える判定。最近の似たようなケイスなら、ほとんどがハンドボール認定されていると思う。
だから、つまりあれは、14分のあの判定と無関係じゃないということだ。ここでそのままペナルティにすると、同じ試合のなかで二度もアーセナルが決定的に不利になる判定をしたことになり、レフリーが試合結果に大きく関与したことになってしまう。そうなれば、さらなる批判は免れない。
ここでアーセナルに有利な判定をすることで、14分のペナルティをアーセナルから取り上げたことのバランスを取ったのだろう。そうとしか思えないよな。
もし14分のペナルティがそのままペナルティだと認めてアーセナルがゴールを決めていれば、Gillettは躊躇なくこのプレイもペナルティにしたに違いない。
こういうことが起きると、ほんとうにグダグダになる。判定基準が、公平性とか正当性とかよりも、ウソや後ろめたさに引っ張られる。そして、よけいにグダグダしていると思えるのが、レフリーがリヴァプールファンだからだ。アーセナルにバイアスがあると最初から疑われていることが、彼の冷静な判断を妨げる。
こんな馬鹿げたこといい加減にやめてもらいたいよ。Gillettはリヴァプールファンとして知られているから、エヴァトンの試合でも仕事はできないという。でも、ライバル関係でそれを決めるなら、いまリヴァプールのライバルはエヴァトン以上にアーセナルだ。しかも彼は、そのアーセナルで不自然に多くの試合を担当している。どういうことなんだよ。
ペナルティ事案はもうひとつあって、最後のゴールが決まる直前のマルティネリのショットが、Bruno Gの腕に当たっていること。
This one is a handball too what gives? pic.twitter.com/HulIsW5YVK
— Zeej (@zeejhay416) September 28, 2025
これもアウトじゃんね。こんな微妙なハンドボールでもペナルティになった事案は、これまでいくつも観てきた。
しかしもちろん、これもドサクサのなかでスルーされた。でも、試合の状況によっては、間違いなく吟味の対象になっただろう。これが試合を決めたかもしれない。グダグダしているなあ。
この日の判定でもうひとつ気になったのは、83分のJoelinton。
彼はティンバーへの激しいタックルでファウルになって、当然カードが出るだろうと思われたが、そのあと、アーセナルの選手が拾おうとしたボールをこつんと蹴ったのだよね。結局それをtime wastingのファウルとしてカードが出たのだが、おそらくレフリーは最初のティンバーへの激しいチャレンジにカードを出すつもりだっただろう。だから、あそこは2枚連続カードが出てもおかしくなかった。かつてのマルティネリのように。
でも結局そうはならず。アーセナルの選手には当然のように適用される厳しいルールが、ほかのチームの選手には適用されない。アーセナルの選手が最初で最後。そんなのばっかである。
カラフィオーリはタオルを取り上げられるし。
試合の審判という意味では、今回もまたひどい試合になった。
ヨクレスのベストゲイム
Gyokeres vs Newcastle (A)
First half was insane!pic.twitter.com/FgtzEbxwiH
— AFC_Adi (@AFC_Adi06) September 28, 2025
SofaScoreなんかだと、彼のレイティングは両チームでワーストだったりするのだが(5.8)、試合後は、この試合は彼がアーセナルに来てからのベストパフォーマンスだったという声が少なくない。
彼はここまでのPL5試合でショッツゼロの試合も何度かやっていて、タッチも少なく、チームへの適応はまだ道半ばというところだったのが、今回はどうだったかというと。
90分プレイして、タッチが32、ショッツが6(SoTが1)。ゴールもアシストもないものの、よくチームプレイに絡んでいたし、ここぞというときのパスもちゃんと正確だった。キーパス(※ショッツに至るラストパス)も2ある。
ニューカッスルのDFたちは屈強で、フィジカルで、彼のようなつねにラストラインで競う9にとってはまったく楽な試合ではなかったはずながら、それでもこうしてチームプレイ関与し、勝利にも貢献した。あのペナルティが認めれていれば、きっと彼が蹴ってゴールも記録していた。これはやはり大きな進歩のきざしではないだろうか。

いっぽうで、進歩の余地もまた見えた部分もある。それはボックスのなかでのフィニッシュアクション。
今回の彼のショッツ6のうち半分の3がブロックされていて、それはおそらく彼がPLのDFたちの対応スピードにまだ適応できていないということなんだろう。PLレベルのDFは、ポルトガルリーグようにボックスで時間も空間も与えてくれないので、かつての感覚でプレイすると、すぐにDFにとっつかまってしまう。
そのためには、なるべく少ないタッチで、素早くフィニッシュするしかないし、相手の反応を出し抜くためにはより賢い動きが必要になる。
今後さらなる進歩を期待したい。
オーデガードとエゼの共存でブロック守備をこじ開ける
この試合の最後の20分(追加時間を入れて30分)。オーデガードとエゼのいるチームは、なかなかに強力だった。ダブル10の破壊力ある。
アーセナルがリーグタイトルを取るための大きな課題のひとつに、ミッドテーブルチーム相手にいかに3ポインツを取るかがある。彼らの深く硬いブロック守備をどう攻略するか。今回はその解決策の片鱗を見せたんじゃないか。
この試合終盤のニューカッスルは、1点のリードを守ろうとシットディープ。ボールを持ちひたすら攻撃するアーセナルとそれをブロック守備で死守する相手という、われらがミッドテーブルチームと対戦するときの典型的な試合の構図があったが、アーセナルはなんとかこじ開けることに成功したのだった。
もちろん、結果的にはゴールはセットピースに頼ることにはなったのだが、そのプロセスにはもっとクリエイティヴで積極的な攻撃への姿勢と実行があった。
ポイントはやはりそのこじ開け方だろうと思う。ブロックの外側で延々とボールをまわすだけ、単純なクロスを放り込むだけのチームに陥ってしまいがちなときに、ああいう選手が加わると、予想外のことが起きる。
とくにオーデガードのインパクトはさすがだった。Mr. スルーボール。彼には違うものが見えている。
今シーズンの序盤のタフなPLフィクスチャがこの試合をもってひとまず一段落し、これからしばらくアーセナルはミッドテーブルチームとの対戦がつづいていく。
ウェストハム、フラム、パレス、ブライトン、バーンリー、サンダランド、ToT……
トップチームにはめっぽう強くなっているわれわれながら、そうでもないチームにはなぜか勝てなかったりする。それを改善するためのカギがこの試合の終盤に観られたように思う。
今後はぜひスクランブルだけでなく、スタートから攻撃により積極的なチームで臨んでほしい。
死、税金、ビッグガビ
この世には避けられないものがある。
この試合については以上!