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Arsenal, Controversy

ニューカッスルでの再度の疑惑判定にハワード・ウェブ「VARは正しかった」

ちゃす。

日曜のPLニューカッスル。アーセナルは劇的な逆転勝利をおさめ、最高の気分でSJPをあとにしたわけだが、14分のペナルティ判定がVARで覆ったあの一件には、試合後もファンのあいだでは騒ぎが収まらなかった。

まあ、ふつうに観ていても、ちょっとありえないような判定だったから、納得いかない気持ちはわかる。アンチはともかくとして、中立のファンだって、さすがに今回のケイスはアーセナルのペナルティを支持するひとが多いだろう。

そんなわけで、PGMOL(※レフリー団体)が今回の事案に対しどのような説明(いい訳)をするのか、公式の見解が待たれていたなか、昨日Sky Sportsの番組 “Match Officials Mic’d Up”で、PGMOLのボスであるHoward Webbが登場し、その説明を行ったという。

それもまたちょっと信じがたいような内容で。

Match Officials Mic’d Up: Howard Webb says VAR was right to overturn Arsenal’s ‘penalty’ at Newcastle



2025年9月28日。PLニューカッスル vs アーセナル。14分の事案ふりかえり

まずは試合のなかで起きたその事案をざっと振り返ろうか。

AFC公式の2分ハイライトのなかにそのシーンが含まれている。始まりからふたつめのプレイ。

  1. エゼのロングボールが最前線にいたサカへ
  2. サカが3人のDFに囲まれながらボールをキープ(ヨクレスはサカの右側で相手選手と並走)
  3. サカがうしろにいたトロサールにパスを試みるも相手選手にあたり、ルーズボールをRBがGKにバックパス
  4. それがボックスに走り込んだヨクレスに絶好のスルーボールとなりGKと1 v 1
  5. ヨクレスがボールをコントロールしてGKと接触し派手にすっころぶ
  6. レフリー(Jarred Gillett)がペナルティを宣告
  7. VARレフ(Darren England)の進言によりVARレビュー。ノーファウルに

と、こんな感じである。GKが攻撃側のゴール機会を不正に邪魔した、いわゆるDOGSO状況。しかし、GKがボールをプレイしていたので問題なしでノーファウル。

これがペナルティじゃないなら、なにがペナルティなのか。もうわからなくなってくる。

アンチアーセナルのレフリー? Jarred GillettとDarren England

繰り返すようだが、この日のメインレフリーはリヴァプールファンとして知られるJarred Gillett。アーセナルファンにはもうすっかりおなじみというか。

それと、VAR担当がDarren England。このひとで思い出すのは、後日レッドカード判定が誤審として覆った昨シーズンのMLS@ウォルヴズ。そのときのVAR担当も彼だった。あれは間違った判定だと正式に認めらたからね?

ルイス・スケリーのレッドカード誤審にPGMOLの見解が示される | ARSENAL CHANGE EVERYTHING

そしてその2ヶ月後、Darren Englandはエヴァトン戦のレフとして、再度アーセナルの前に立ちはだかる。今度はエヴァトンに疑惑のペナルティを与えた(またMLS。でも彼のファウルはあまりにソフトだった)。

【マッチレビュー】24/25 EPL エヴァトン vs アーセナル(5/Apr/2025)CLに向けた準備でエヴァトンに勝てず。MLSに疑惑ペナルティふたたび | ARSENAL CHANGE EVERYTHING – Part 3

同じレフがこれだけの短期間に特定チームに不利な判定出しまくりじゃないか。

ニューカッスルでのペナルティ取り消しにHoward Webb「VARは正しかった」

Sky Sportsの記事をざっと訳そう。

マグパイズのGK、Nick Popeは結果的にペナルティを免れることになった。

彼はSJPでアーセナルが2-1勝利した試合前半、ガナーズのFWヨクレスにチャレンジしようと出てきたところだった。ニューカッスルのエリアでボールに向かっていったPopeは、ヨクレスにあわててチャレンジし、彼を倒してしまったように見えた。

レフリーJarred Gillettは、当初そのチャレンジにペナルティを与えた。しかしながら、VARのDarren Englandの進言によりオンフィールドレビューが行われる。

その3分後、Gillettがアナウンスしたのは判定が覆ったことだった。

ブカヨ・サカとミケル・アルテタは、試合後その判定を批判した。彼らはふたりとも、それがどのようにして「明白かつ自明(clear and obvious)」とされたのか疑問を呈した。

<レフリーとVARのやりとり>

番組のなかで、実際の現場でのレフリーたちのやりとりも公開された。まずはVARルームでのやりとり。

REF: On-field decision is a penalty. Nick Pope, a trip by Nick Pope.

レフ:オンフィールドの判定はペナルティです。Nick Pope。Nick Popeによるタックル)

VAR: OK, checking the on-field decision of penalty.

VAR:Ok。オンフィールドのペナルティ判定をチェックしています)

VAR: Got a better angle?

VAR:もっといいアングルの映像はない?)

Replay Operator: Yeah, I’ve got a better angle from behind here.

リプレイオペレイター:うしろからのアングルがあります)

VAR: Does he get a touch on the ball, the goalkeeper? I think he gets a touch on the ball. Nick Pope gets a touch on the ball here.

VAR:GKはボールに触れている? わたしは彼がボールに触っていると思う。Popeはここでボールに触れている)

Assistant VAR: Yes, he does, yeah.

アシスタントVAR:そうですね。触ってます)

VAR: Does he? One more time. He actually gets a touch on the ball, doesn’t he?

VAR:そうだよね? もう一度。彼は実際にボールに触れているよね?)

AVAR: Yeah, there’s a secondary touch.

アシスタントVAR:そうです。二次的なタッチがあります)

VAR: Give me another angle, please. Just make sure that Pope touches the ball, please.

VAR:べつのアングルの映像を見せてください。Popeがボールに触れたところを確認したいので)

Replay Operator: I’ve got an SSM (Super Slow Motion), but it’s from the other side.

リプレイオペレイター:SSMがあります。でもそれは逆のサイドからです)

VAR: He does touch the ball, doesn’t he? Touches the ball first, then there’s contact afterwards. Therefore, that’s not a penalty kick. He touches the ball there.

VAR:彼はボールに触ったんですよね? まずボールに触れ、そのあとに接触があった。だったら、ペナルティキックはない。彼はここでボールに触っている)

Replay Operator: This is the best angle.

リプレイオペレイター:これがベストアングルです)

AVAR: Have you got the behind view?

アシスタントVAR:うしろからの映像はない?)

Replay Operator: Yeah, this is the best angle I’ve got.

リプレイオペレイター:これがここにあるなかでベストのアングルです)

VAR: He does, doesn’t he? He touches. OK, let’s just check the APP (Attacking Possession Phase) as it goes over as well.

VAR:彼は触っているよね? 彼は触っている。OK。あとはAPPも確認してみよう)

AVAR: It’s definitely played by a defender. But check it anyway.

アシスタントVAR:ここは間違いなくDFによるプレイです。いずれにせよチェックしますが)

メインレフリーとVARレフのやりとり。

VAR: Jarred, I’m going to recommend an on-field review for possible no penalty. Let me know when you’ve got the monitor. I am going to check APP as well. Nick Pope gets a touch on the ball.

VAR:Jarred、わたしはノーペナルティの可能性をそこでレビューするよう進言します。モニターに着いたら教えてください。わたしはAPPのほうも確認しています。Popeはボールに触っています)

Replay Operator: I’ll go slowly so you can check the APP.

リプレイオペレイター:ゆっくり再生しますので、APPのほうも確認できます)

VAR: Yeah, yeah. It’s his defender, a clear defender, isn’t it? It’s always clear defender, that’s fine. The APP has been checked, the APP is clear as well. I’m going to show you the tight angle first with the ball being touched by Nick Pope. Any contact that happens thereafter, after the contact has been made.

VAR:そうだね、これは間違いなくDFだ。そこは大丈夫。APPの確認完了。問題なし。これからNick Popeによる最初のタッチをタイトなアングルの映像で観せます)

VAR: Nick Pope gets a touch with his right foot, I’ll give you another angle on the touch.

VAR:Popeは右足でタッチがあります。このタッチの別アングルも出します)

REF: Show me a better angle to see that he touches the ball.

レフ:彼がボールに触っているもっといいアングルを見せてください)

VAR: I will do, I’ll show you a better angle.

VAR:いまやります。いいアングルからの映像を出します)

Replay Operator: Do you want the SSM from the other side?

リプレイオペレイター:逆のサイドからのSSMも出しますか?)

VAR: Yeah, yeah, yeah, super slow. Super slow, coming in now. Gets a touch on the ball there. And then just plants his foot in a normal action.

VAR:そうだね、スーパースロウを出します。ここでボールに触れている。そのあとは通常の動きで足を地面につけている)

REF: The attacker plays the ball first. I don’t know if the goalkeeper actually plays the ball.

レフ:アタッカーが最初にボールをプレイしている。GKが実際ボールをプレイしたかどうか、わたしにはわからない)

VAR: The attacker plays the ball. Yeah, the attacker plays the ball, and the goalkeeper plays the ball then with his right foot, there.

VAR:アタッカーはボールをプレイしています。そうです。そしてGKがそのあとに右足でボールをプレイしています)

REF: Just play it at full speed, please.

レフ:フルスピードの再生でお願い)

VAR: Any contact there, any contact after that is normal contact, because the goalkeeper just plays his foot.

VAR:接触があります。通常の接触。GKは足でプレイしていますから)

REF: Can you play it at full speed?

レフ:フルスピードで再生できる?)

VAR: Playing at normal speed for you.

VAR:ノーマルスピードで再生します)

REF: So I’m seeing the goalkeeper get a toe to the ball first, prior to making contact.

レフ:GKがまずつま先でボールに触れているところを観ています。接触より前)

VAR: Agree.

VAR:同意します)

REF: So after a view, the goalkeeper plays the ball, there’s no foul. Final decision, we drop ball.

レフ:映像を観た結論、GKはボールをプレイしている。ファウルはない。最終の判定、ドロップボール)

VAR: Confirmed.

VAR:確認しました)

Howard Webbの見解

HW:フルスピードだと、これはペナルティに見える。ですよね? だから、なぜレフリーがフィールドで観たものとしてペナルティを宣告したかも完全に理解できる。

彼はそれをNick Popeによるタックルに与えた。そしてVARがペナルティをチェック。これは、ペナルティやゴールなどとして当然レビューされる状況だ。

だから彼はペナルティをチェックし、その判定に明白な間違いがないかどうか確認する。そこで彼がはっきりと観たものは、ヨクレスがボールにとどき、すこしボールを前に出したこと。しかしそのあと、ここが重要だが、Nick Popeも一歩前に踏み出して右足ではっきりとボールに触れていること。それでボールの方向が変わった。

そして、そこはフィールドではレフリーに評価されていなかった。Popeはそのあと足を地面につけていた。彼はヨクレスに足をひっかけにいったわけではない。

ギャップがあった。Popeがボールをプレイしたあとのふたりの選手のあいだにはっきりしたギャップ。そしてそのあとに、このふたりがごく自然にいっしょになった。Popeの行動はノーマルだ。無謀ではない。ボールに向かって踏み出しただけ。ボールがそれた。

ボールが外にプレイされるまで選手間で接触はなかった。そのあとの接触はごくふつうに起きることだ。だから、ファウルではない。したがって、これはVARのいい使い方だった。レフリーに実際にそこで何が起きたのかを示すための介入。

ボールがそれたことはとてもはっきりしている。ヨクレスによるタッチがあり、Popeが右足を出した。それがボールに触れ、ボールを違う方向に動かした。

彼が地面に足を置いたとき、ボールとの接触があり、そこでは彼とヨクレスには間隔がある。その時点での接触はない。接触が起きたのは、Popeがボールをプレイしてからだ。

だから、これはPopeのいいチャレンジだった。ファウルではないし、レフリーがリアルタイムではPopeのタッチを認識できなかったので、ここは重要なパートだった。

したがって、VARがこれを確認し、それ(ペナルティ)がclear and obviousなエラーだと判断した理由は、Popeのタッチが視認されていなかったためだ。そのためレフリーはスクリーンでこの極めて重要な局面を確認し、自ら判断を下すことができた。その判断とは「タッチを確認したためファウルではない。ドロップボールから再開する」というものだった。

レフリーがそのタッチを認識しなかったこと。そこが重要だった。VARがそれを観て(ペナルティ宣告は)明白なエラーだと認識した。

わたしは、今回のVARの介入に賛成する。それでレフリーがスクリーンに行き、フルシークエンスを観ることができたのだから。タッチを観て、Popeが通常のプレイ行動をしていたことを観て、ペナルティは正しくキャンセルされた。

先週に似た状況でレッドカードになったチェルシーのRobert Sanchezとなにが違う?

この試合の前の週に起きたマンU vs チェルシーの事案。GKのRobert SanchezがBryan Mbeumoにチャレンジしてレッドカード。先にアタッカーがボールに触れ、つぎにGKがボールに触れ。そのあとにふたりが接触。たしかに、今回のケイスと同じに見える。

HW:このふたつの状況をくらべようとする人たちがいるのは、わたしも知っている。しかし、わたしはこれらはまったく違うと考えている。理由を説明しよう。

ここに類似点があるとすれば、どちらの状況でもGKのタッチがあるということだと思う。だが、タッチのしかたが全然違うのだ。

この状況では、Mbeumoの明白なゴール機会を邪魔したことでSanchezが退場になった。彼はファウルをした。それはMbeumoがゴールするためにそのまま通り抜けようとしたことを妨害したから。

Sanchezのしようとしていたプレイを観れば、われわれが観たようにPopeがプレイしたボールは低い位置にある。彼の足は地面についていた。ふつうの接触があったのはそのあとだ。

それがこちらの場合は、彼は足を上げてスタッドを見せていて、それがMbeumoの足に入っている。これは少なくとも無謀な行動。それを話しているひともいるように、これはもっとシリアスファウルプレイかもしれない。相手の安全を脅かす。

これは無謀だと思うし、ペナルティになるべき。ボールにわずかなタッチはあるが、この手のアクションでペナルティを与えるべき事実を否定するものではない。

そしてそのタッチは、Popeのそれとはかなり違う。ボールはあまりそれておらず、そのままつづきそうだった。

ボールはSanchezのブーツの上に当たって、そのあとにMbeumoが走り込もうとしている同一線上に向かった。Popeの状況では、ボールの軌道はそれていった。

だから、こうしたすべての理由をもって、これは間違いなくペナライズすべきものだった。Sanchezのプレイがあり、足はMbeumoに向かっていた。

これはファウルにならないと。そしてもちろん、これは明白なゴール機会の条件になることもわかっている。

Mbeumoはボールに向かって走っており、カヴァするDFはいない。これはゴール機会だ。だから、レッドカードになった。

以上

納得はいかない

一週間前のRobert SanchezとPopeの振る舞いの違いは、百歩譲ってわかったとしようか。たしかにSanchezは無謀だったし、危険なプレイだ。

だが、Popeがノーファウルだという説明には、いまだに納得がいかない。

まず、このすべての議論の根幹にあるように思える「GKがボールをプレイした」という説明。レフリーたちのやりとりを観るかぎり、これはリヴァプールサポよりも、VARレフのDarren Englandが強く主張したようである。

リプレイの映像でもよくわからないが(GKのタッチでボールがそれたというが、云うほど明白か?)、まあボールが彼の足に触れたということにしようか。

でも、どう観てもこれは「play」ではないよね。この場合のplayにはcontrolやpossessのニュアンスが含まれると思うが、彼の身体の一部にボールが当たったというだけだろう。

それに、彼らがこれも強く主張している「GKは地面に足をつけていた(plants his foot)」というのなら、ボールに向けて足を出した=タックルですらないわけで。あれを「プレイ」だと主張するのはとても無理があると思う。矛盾してる。

「プレイ」と「当たっただけ」について、これも試合後によく云われているが、昨シーズンのブライトン戦でペナルティを取られたサリバのプレイ。Pedroとの衝突。

これは、攻撃側がボールに触れたあとに、守備側がボールに触れたという意味で、今回の事案にもかなり似たケイスだが、このペナルティにWebbはどんな説明をしたか、貴殿はおぼえているだろうか?

HW:これはボールをプレイしていなかった選手による遅れた接触である。ボールはたしかに彼(サリバ)には触れたが、彼はそれをプレイしていたわけではない。

これこそ、今回のと何が違うの?? 説明を求める!

彼らは毎度毎度、自分たちの判定を正当化するために、そのときどきで異なる基準を持ち出す。だから、あとで整合性がとれず支離滅裂なことになる。

なんかもうルールよりも、組織の擁護を優先している。腐敗してるなあ。

それと、Robert Sanchezのケイスとの違いで、そのあとにMbeumoが抜け出そうとしていたとボールが向かった方向について語っているが、ヨクレスはあのとき右足を使ってボールを左に出してからボールの方向にGKをかわそうとしていて、GKに接触しなければ当然抜け出していたことも考えられる。それが成功したかはともかく。あの状況を観て説明するなら、その部分でもWebbの主張とは違う主張が成立してしまうんだが。

あとは、多くのひとも指摘しているように、あのシーンはもしレフリーがアーセナルのアドヴァンテッジを取ってプレイを継続させていたら、サカに大きなチャンスがあったかもしれない。まあ、当初Gillettはペナルティを宣告したので、それは結果論だが、やはりフラストレイションは残る。あれだけの事案でリターンがゼロだったのだから。

はあ。

最後に元PGMOLのボス、Keith Hackett御大のご意見を。まあこのひとはいい老人で、小遣い稼ぎにこうして出てくるだけかもしれないから、あんまりありがたがるのもアレだけど。サリバとPedroの件も指摘している。

KH:VAR介入のあとGillettがペナルティを与えなかったことに、わたしはびっくりしちゃったよ。

これは簡単な判断だろう。GKがFWにファウルしたというだけ。

わたしは、Howard WebbたちのPGMOLのことが心配になってくる。

わたしに云わせれば、GKがボールに触れたかどうかなんてどうでもいい。FWが先にボールに触った。これはペナルティだ。

これはルールの発明とか再構築だよ。ルールに則って、ボールはコントロールされたかどうかで観るべき。

これははっきりペナルティ。はっきりDOGSO。

 

おわる



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