試合の論点
アーセナル vs オリンピアコスのトーキングポインツ。
気持ちの入らないパフォーマンスながら、ホームでご仕事完了
10ゴールというのは大げさだが、あれだけのチャンスをつくったので、ふつうに5ゴールくらいは決まっていてほしい試合だったと思う。
なんだかこの試合は始まりからフレンドリーマッチみたいな緊張感のなさで、2分にマルティネリのビッグチャンスを外したところが象徴的だったというか。まあ、ああいうあまりにもチャンスなので逆に外してしまった的なプレイは、どんな選手でもたまにあるけれど。
相手がハイプレスでかなり積極的なアプローチだったこともあり、アーセナルはわりとやりたいことができて、それがとてもイージーな雰囲気を醸し出したみたいだった。われらはプレス耐性もあるしロングボールもあるから、ハイプレスはあまり苦にならないチームなのだ。
そうしたゆるい空気のなかで試合は進んでいくが、選手たちがふだんよりもっと難しいプレイをしようとして、ボールを失うことが少なくなく、いまいちリズムに乗らない。だから圧倒的ポゼッションにもならない。そんな時間がつづいた。もっともっとシンプルでよかったはずなのに。
13分に先にこちらがリードしてしまったことも、むしろその傾向を強める結果になった。
そして、試合ももうすぐ終わろうという92分にサカのゴールが決まるまでは、チャンスはつくるもフィニッシュアクションが冴えず。とくに後半は観ていてだんだんとイライラが募った。後半は途中から、むしろオリンピアコスのほうが脅威になっていったという。
彼らのプレイはアーセナルよりずっとシンプルで、クロスの精度も高く、あれでもし失点でもしようものなら目も当てられなかっただろう。ラヤのビッグセイヴのシーンはかなり危なかった。
これはなんだろうね。気のゆるみ。相手のクオリティとか、正攻法の戦いかたもあったか。「まず相手が嫌がることをしよう」というアプローチをしないチーム。もうPLではとんとお目にかかれなくなった。
あとは、やっぱりニューカッスルとのあの試合の直後というのもあるのかもしれない。心理的にも、あのインテンスな勝負との落差はかなりあった。抜け殻とまではいかないが、あの緊張感や集中力を維持するのは簡単じゃない。選手がだいぶ変わったおかげで身体的な疲労のほうは、そこまで目立たたなかったが、ヨクレスやズビメンディなんかには、かなり疲労もあっただろう。
しかし、こういう試合でもきっちり結果を出す。それが強いチーム。ファンを喜ばすにはやや物足りないパフォーマンスだったが、最低限の仕事は完了した。ひとまずはそれでよし。
オーデガード復活?
これは納得のMOTMだなあ。少年のように髪を切ったキャプテン。
Martin Ødegaard impresses 😍#UCL | #POTM pic.twitter.com/zRHwnjEz2o
— UEFA Champions League (@ChampionsLeague) October 1, 2025
まさに支配的パフォーマンス。
Martin Ødegaard for Arsenal vs. Olympiakos:
◉ Most touches (86)
◉ Most final third passes (26)
◉ Most possessions won (8)
◉ Most chances created (4)
◉= Most crosses (4)And he provided the assist for Bukayo Saka. 🅰️ pic.twitter.com/q3o4OQIhfY
— Squawka (@Squawka) October 1, 2025
ヨクレスやサカへのアシストになったスルーボールなど、試合のなかで印象に残る彼のプレイはいくつもあるが、個人的には最初のネリのゴール(ほとんどヨクレスのゴールだけど)につながった彼のパスは、好判断だったと思う。
いかにも、左サイドでフリーになっている味方にパスを出しそうな場面で、あえて前でマーカーと並走していたヨクレスの足元に出すラストパス。あれこそが今シーズンのわれらのテーマになっている、手数をかけない縦への速いプレイだよね。いかにもいつもやりがちな、一度横に安全パスを出して、というクッションを挟まなかった。相手DFは、絶対にそのほうがイヤだろう。ヨクレスはふたりのDFに挟まれながらもフィジカルの強さを活かしてボールをキープし、決定的なショットまで放った。
そのほかにも、この試合では彼の気の利いたプレイがたくさんだった。ビルドアップでのワンタッチプレイとか。ああいうのは何度観てもいい。
82分、サカの絶好のカットバックを決められなかったのは残念ではあるが、まあ勝ったからいいとしよう。
キャプテンは昨シーズンからやや調子を落としているようなところがあり、ずっと心配をされていた。そのおかげで、キャプテンの器じゃないなんてことまで云われる始末。
だから、ここでオーデガードが調子を上げるのはとてもいいことだ。彼にとってもチームにとっても。
今回はエゼがベンチだったため、ダブル10でプレイする時間はあまりなかったが、そこは今後に期待しよう。
その他
アルテタも云うように、ヨクレスはよかったんじゃないか。あのゴールが彼のゴールとして決まっていればなあ。0.9ゴールくらいやれないかね?
いかにもCFという感じのフロントで起点になるホールドアッププレイもすごくよかった。前半は気のゆるんだチームが、なんだかみんなが難しいことをしようとしているなかで、彼はシンプルなプレイを心がけていたみたいで逆によかったと思う。
フィニッシュの課題はあいかわらずあるのだが、それもきっと時間が解決してくれるだろう。まだまだ希望は捨てない。彼がどんどんよくなっているのは、やっぱり感じる。
あとはネリ。今回も悪い判断がいくつか。ヨクレスのショットが、あんなふうにポストにヒットして跳ね返ってくることを予測したゴールはうまかったけども。
彼は、基本性能は高いんだけど、やはり瞬時の意思決定に難ありなのだよなあ。けっこういいグラボなんだけど、あれメモリ少なくね?みたいな。5070で8GB!?みたいな。伝わりにくいか(笑い)。サカやエゼはメモリもいっぱい積んでそう。
サカはゴールシーンも含めて、終盤にLWでプレイしていて、それはマドゥエケが戻ってきたときの布石なんじゃないかと云っているひとがいた。
マドゥエケをRWでプレイさせるために、サカをLWに移動する? 正直、マドゥエケのプレイを観るまではそんな可能性があるとは信じられなかったけど、あの右でのマドゥエケを観たあとだと、もしかしたらと思わないでもない。サカの器用さがなせる技でもある。
この試合はマックス・ダウマンのCL最年少デビューの記録がかかってたので、それも残念だった。
今回は、ホームでこんなイージーな試合で、彼のような選手がプレイするには間違いなく絶好の機会だった。CLでここまで楽な試合はそうないだろう。こんな試合展開でなければ、きっと彼もプレイしていたはずだった。もったいない。
— The AFC-Chan 🇺🇦 (@NewArsenalShirt) October 2, 2025
そういえば、試合を観てて気付いたけど、オリンピアコスってあいつのクラブだったんだ。
プレビューで触れるべきだったが、完全に失念していた。なんだっけ? アニサキスみたいな名前のオーナー。何度もカメラに抜かれていた。
フォレストでお友だちのエドゥを守るために、クラブのヒーローだったNunoを解任して、その後試合で全然勝てていないひと。今回も残念。
この試合については以上。