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【マッチレビュー】25/26 UCL アーセナル vs バイエルン・ミュニック(26/Nov/2025)バイエルンに10年ぶり勝利! PLとCLでトップでアーセナルが実質最強?

試合の論点

アーセナル vs バイエルン・ミュニックのトーキングポインツ。

“Winning Machine” ついにアーセナルはPLとCLでトップに。最強バイエルンに宣言となる勝利

勝ちが勝ちを呼ぶ自信の高まり。誰が云ったか「ウィニングマシーン」。もういまのアーセナルは、ほんとうにunstoppableなチームになりつつあるんじゃないか。

なにせ、あのバイエルンに勝った。しかも、ギリギリでもまぐれでもない、納得できるやりかたで。

バイエルンが弱かったわけじゃない。やはり彼らは非常に強かった。

シティやリヴァプールなど、アーセナルが主導権を相手に譲る試合というのは今シーズンここまでにもあったが、バイエルンのクオリティはそれらと比較してもトップだっただろう。とくに前半。かなりボールを持たれ、支配的にプレイされた。時間帯では、アウェイチームが70%以上のポゼッションだった。

それに、あんなスーパーゴールをまぐれじゃなしに決められるチームがあれば、間違いなくそれは世界最強だ。ロングパス、ダイレクトクロス、ボレーシュートの3つのプレイがことごとく完璧だった。それをあの流れのなかで実行できるクオリティ。そこに17才が含まれていたのも頭おかしい。

ちなみに、あのKimmichの深いエリアからの右ワイドのウィンガーへのダイアゴナルなロングボールは、Kompanyのチームがブンデスリーガでふだんからやっている得意なパターンらしい。だから、アーセナルも準備はしていたはずだが……

たしかにあのゴールのシーンだけでなく、 比較的スペイスのあるワイドエリアへのダイアゴナルなロングボールは、彼らは何度かやっていて、そのたびアーセナルは手こずらされただろう。あのゴールの直後にも、似たようなパス一本から3 v 2の状況をつくられたりしている(あれは地味にこの試合のバイエルンの最大のチャンスだったような?)。彼らは彼らで、われらが開けやすいスペイスを研究していたのだろう。そして、それを完璧に遂行できるハイクオリティな選手がいる。

しかし、アーセナルはそのような相手にもつねに冷静に対処した。前半はそのゴールと直後の3 v 2以外の場面でとくにゴールが脅かされることはなかった。

むしろ最初にリードしたのはホームチームだ。得意のセットピース。アーセナルのセットピース強者ぶりはもう誰もが知っていて、誰もが対策をしているはずながら、わかっていてもどうしてもやられるらしい。セットピースの悪魔は不可避。

今回のコーナーも完璧だった。サカの完璧なボールに、ジュリティンのあのヘッダー。惚れ惚れするほど美しい。Neuerも目の前でボールの軌道を逸らされ、ノーチャンス。ボールに触ることができず。ゴール。

ここだけでなく、この試合でバイエルンはアーセナルのセットピースには毎度悩まされることになる。彼らのセットピース守備は基本的にゾーナルのようで、ひとにつかないため、PLでアーセナルを熟知しているチームなら絶対やらないであろう、メリーノのような危険な選手をしばしばフリーにしてしまっていた。今回メリーノひとりで何度かセットピースからショットを放っていて、そこから1点くらい決まっていてもおかしくなかった。

試合後のライスが云うように、前半のアーセナルは「OKパフォーマンス」という程度の出来ながら、HTの時点では「非常にレベルの高い、ハイクオリティな試合」というジャーナリストやファンの評価を多く目にした。たしかにバイエルンが長くボールを持ちながらも、アーセナルもチャンスをつくっていたし、お互いに見せ場のある、みどころのある試合だった。

そして後半。アーセナルはギアを上げた。

始まりから圧倒的だったのは、5分ほどのあいだで5回連続したコーナー。アーセナルではどのコーナーキックも、まるでゴールになってもおかしくないような雰囲気があり、バイエルンのチームはセットピースの圧に神経質になっていたように思える。

あの時間帯は、ライスがB2Bとしてボールを持ってぐいぐい前に出ていったこともある。62分、長いランからの自分で放ったショットは圧巻だった。Neuerが足をうまく出さなければゴールというショット。あれは非常にライスらしかった。

そしてその後にアーセナルはマドゥエケとマルティネリで2ゴールを決めて、試合を殺した。やや出来過ぎな感もあるが、アーセナルはあの勢いで攻撃を繰り返していたのだから、ゴールが決まってもちっともおかしくなかった。

とくにマドゥエケのゴールがこの結果には決定的だったが、あれもハイプレスで相手のミスを誘ったハイターンオーヴァからで、チームのハードワークの賜物だった。

3-1になったあとにもアーセナルにチャンスがあったのは、バイエルンの選手たちがいかに敗けることに慣れてないかの証明のように思えたものだ。彼らは慣れない敗戦に、すっかり意気消沈してしまったのだ。

ということで、最後は危なげなく試合終了。アーセナルの完勝という印象が強い。おれたちは強い! そう思いました。

 

アーセナルがバイエルンに最後に勝ったのは2015年なので、ちょうど10年めにして彼らに勝ったことになる。雪辱を果たした。その記念すべき勝利が、こういう納得できる勝ち方だったのは非常にうれしいじゃないか。

そしてこの勝利が示しているのは、まずアーセナルの勢い。今シーズンここまでの19試合で、われらがポインツを落としたのは、PLリヴァプール、PLシティ、PLサンダランドのみ。あとはすべてのコンペティションで全勝。最近は勝ちが勝ちを呼ぶみたいなところがある。それが勢いというものか。

それと勝ちかた。アーセナルはセットピースFCなどと揶揄されながら、先日のNLDでは4ゴールすべてがオープンプレイからで、今回も3ゴール中2ゴールがオープンプレイ。アルテタの云うようにどんなかたちでもゴールが決められるようになっている。

コーナーやフリーキックなど、セットピースでは相変わらず脅威で、それ以外にもオープンプレイからもゴールできるし、カウンターも鋭い。直近のPLサンダランドでは、効果的なロウブロック攻略も観られた。

今回のバイエルンこそ、アーセナルにいろいろなやりかたでゴールを決める能力があることを示すことになっただろう。

守備はもちろん強固に組織的で、攻撃も多彩で力強い。攻守に全方面でハイクオリティ。それがいまのアーセナル。これは感想ではなく、いま毎試合でわれらが示している事実だ。その結果、イングランドでもヨーロッパでもトップという結果を出している。

先日、ジェイミー・キャラガーが云っていた。「アーセナルを止められるのはアーセナルだけ」。それほどの高みにいるという評価。正直、ぼくはそういう称賛を聞くとき、さすがにちょっと大げさなような気がしていたが、今回バイエルンにあのようにして勝ったことで、気恥ずかしさもなく受け入れられるような気がしてきた。強さを実感しつつある。

アーセナルは、この勢いをどこまでつづけられるか。そこが問題だ。しかし、こうした最強チームに勝ったことは今後の対戦相手に誇示できる。自分たちが当然勝つという信念。これを強者が持つのはやっかいだろう。

明るい今後が待っていると思う。

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