こんにちは。
昨日、デイヴィッド・オーンステインがアーセナルのスポーティングダイレクター(SD)探しについて、興味深いリポートをしていた。
🚨 Arsenal aim to appoint new sporting director in March. Jason Ayto, Dan Ashworth, Andrea Berta, Roberto Olabe, Thiago Scuro among names discussed or spoken to. Process ongoing as #AFC whittle down options to interview before final decision @TheAthleticFC https://t.co/mAhcOqflyq
— David Ornstein (@David_Ornstein) February 27, 2025
彼によれば、アーセナルは3月(もう明日からである)中には新しいSDを指名するつもりで、現在はその候補者を絞るプロセスに進んでいるという。そこでリストアップされている候補者5名については、具体的な名前も出ている。
こちらをざっと紹介しよう。
「アーセナルが3月に新SDの指名を計画している」by デイヴィッド・オーンステイン
The Athleticの記事を要約しよう。
Arsenal plan to appoint new sporting director in March
- アーセナルが来月に新SDの指名を計画しており、現在は最終判断の前の候補者をしぼるプロセスにある
- SDは、去年11月4日にエドゥ・ガスパールが去ってから空いていたポジションで、現在はJason Aytoが暫定的に昇格していた
- Aytoは現在もその候補のひとりで、また候補者としては、Dan Ashworth、Andrea Berta、Roberto Olabe、そしてThiago Scuroが議論されている
- 当初はリクルートメント会社によって候補者の長いリストからの絞り込みが行われていたが、最終的にはオーナーのKSEが深く関与し、彼らの承認なしに決まることはない
- そのような審議がありながらも、アーセナルはまだ誰にもオファーはしていない
- 最近、噂になっていたPSGのフットボールアドヴァイザーLuis Camposは候補には含まれていない
以下、The AthleticのライターによるSD候補5名の紹介。
Dan Ashworth(元ニューカッスル、元マンU)51yo
- 英国でもっとも経験あるSDのひとり。エドゥが去った直後にも彼の名前は取りざたされていた
- だが、英国フットボールで15年間切れ目なくエグゼクティヴとして活躍してきた彼にとり、この一年は激動だった
- 長期にわたる交渉のすえ、マンUは渋るニューカッスルに補償を支払って説得、OTでINEOS革命を任せることに
- 結局2年で離れることになったニューカッスルでは、Alexander IsakやAnthony Gordonといった大ヒットもあり20年ぶりのCLも取り戻すことに貢献
- しかしマンチェスターで彼は5ヶ月しかもたず。関係が急速に悪化した理由のひとつは、ETHの後任選びの戦略にあったと報じられた
- マンUは、Ashworthの解任には£4mもかかった
- 現在Ashworthは、ほかのクラブと自由に交渉できる立場にある
- Ashworthは選手から引退後は、ウェストブロムのユースからコーチを始め、その後2007年には彼らのテクニカルダイレクター(TD)に任命された
- アーセナルのマネイジングダイレクター、リチャード・ガーリックとはそれ以来の旧知であり、このふたりはすぐにでもシナジーを発揮するかもしれない
- Ashworthは、そのあとdirector of elite developmentとしてFAに転職。ナショナルチームと若い才能のあいだにパイプラインをつくる選手育成計画「イングランドDNA」で高く評価された
- 彼がクラブフットボールに戻ったのは2019。ブライトンのTDとして。ブライトンは彼のリクルートメントにおける先進的分析の経験を使い、クラブのトップ10フィニッシュに貢献した
- そして、2022からはニューカッスルへ……
- マンUでの失敗のあと、Ashworthは英国のビッグクラブへ行く前にちゃんと自分にフィットしているかを確認したいはずである
Jason Ayto(現アーセナル暫定SD)39yo
- Aytoはすでにアーセナルに10年在籍している
- 元スカウトであり、彼がここまで出世したのは、エドゥの片腕になってから。彼らは、クラブのリクルートメント部門を近代化し再構築した
- エドゥが2022年11月にクラブ初のSDになったとき、エドゥは彼をアシスタントSDに求めた
- 彼はスカウトとリクルートメントの調整を主導、ときがたつにつれて移籍や契約に関する交渉にますます関与するようになった
- 2024夏には、彼はリカルド・カラフィオーリとミケル・メリーノの案件にかなり深く関わった
- エドゥの仕事を引き継いでからは、彼がレアル・ソシエダのMartin Zubimendiとの交渉も行っている
- 彼は1月のストライカー探しも主導していたものの、最後には冬の市場からは撤退するという決断の一部にもなった
- Aytoは夏とそのあとの計画もつくっており、パーマネントでSDのポジションを得られるかを待っている
Andrea Berta(元アトレチコ)53yo
- 元アトレチコ・マドリッドのSDが12年間いたクラブを去ったのは先月
- このイタリア人は、最近、PLでのつぎの仕事に備えようと英語を学ぶためにロンドンに滞在している
- Bertaは、2013年にはTDに任命、その後2017年にはSDに昇格している
- 彼は、つねにバルセロナやレアル・マドリッドとタイトルを競うマネジャーのDiego Simeoneを支え、彼のいた時期にクラブはふたつのラ・リーガのタイトル、ELとCLのファイナリストも二度
- キャリアで彼が評判を高めたのは、AC Carpendoloで、それはパルマとジェノアでSDに就く前のこと
- アトレチコでは、彼はよく大きな移籍案件に対処していた。Antoine Griezmann、Rodri、Jan Oblakなど
- 夏ウィンドウは彼らのスクワッド再生能力の一例になった。£180mを費やし、Julian Alvarez、Conor Gallagher、Robin Le Normand、Alexander Sorlothを獲得。現在はビッグ2から1ポイントしか離れていない
- アーセナルが必要としているのはスクワッドの最後の一手だ。その市場のエリート方面での仕事の経験が重要になりうる
Roberto Olabe(現レアル・ソシエダ)57yo
- Olabeがこの夏にソシエダを去ることは、The Athleticがすでに伝えたとおり
- 彼は2024夏には自らの意向をクラブに伝えていた。ちょうどアーセナルとソシエダがメリーノの案件で交渉していたときである
- 近年、KT、Zubimendi、モンレアルなどの交渉もあって、Olabeとアーセナルは密接な接触があった
- 彼の在籍中、レアル・ソシエダは30年ぶりとなるメジャートロフィを勝ち(2021 Copa del Rey)、ラ・リーガではトップ6の常連になった
- またOlabeは、メリーノ、Isak、オーデガード、それにDavid Silvaといったトップタレントのリクルーティングも行っている
- もっともOlabeは、シーズン中はクラブに完全集中すると約束しているため、その前にほかのクラブの仕事に就くことは難しいかもしれない
Thiago Scuro(現モナコ)43yo
- このモナコCEOは、エドゥ後のブラジル路線を継続するかもしれない
- 彼がモナコでの仕事に就いたのは、2023年7月に現在ニューカッスルSDのPaul Mitchellの後任として
- 彼のCEOとしての役割は、たった3ヶ月後にはアップグレイドされ、それ以来クラブのスポーツとビジネスの両面をコントロールしている
- 昨シーズンのモナコは、2018年以来となる2位フィニッシュ。CLのプレイオフに進出した
- Scuroは、チームの平均年齢を下げる戦略を立て、チームの半分をアカデミー出身選手にすると宣言した
- 彼はレッドブルのマルチクラブの一部であるブラジルのBragantinoでキャリアを築いた。クラブは2部から2021年のCopa Sudamericanaでのファイナリストに
- モナコもCercle Bruggeの幅広いオーナーシップの一部であり、アルテタが将来的にマルチクラブに参入することを示唆していることを考えると、Scuroの経験は点と線をつなげるかもしれない
- 彼はポルトガル語、英語、スペイン語、イタリア語、そしてフランス語を話す。そして、彼の役職がチーフエグゼクティヴということは、彼はスポーツとビジネス両面で活躍できるということ
- もっとも、それはすでにガーリックのプロファイルではある
以上
このテーマの話題は、去年11月にもこのブログで書いている。
*****あわせて読みたい*****
エドゥ後任の噂 | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
そのときに、名前が出ていなかったのが、Dan AshworthとAndrea Berta。逆にそのときに名前が出ていて、今回オーンステインが候補者として入れていないのが、ウェストハムのTim Steidtenと、レヴァークーゼンのSimon Rolfes。
PSGのLuis Camposの噂については、最近ぼくもニュースで見かけていたが、オーンステインはご丁寧に彼は候補に入っていないと述べた。
さて、この記事のバランスからしても、アーセナルの新SDとしてもっとも有力な候補と思われているのはDan Ashworthかもしれない。
マンUが大金はらってニューカッスルからぶっこ抜いたのに、半年もたずに退任となったひと。
すこし前のクラブ決算でマンUの収益が悪化しているというニュースもあったように、彼らはほんとうにゴタゴタしている。そして、そういうことがスポーツ面にも影響しているんじゃないかと思わずにいられない。あのマンUが14位に低迷しているというのは、信じがたい。あのうなるほど金を持っているメガクラブが。新マネジャーが気の毒になるほど。Ashworthの退任も本人都合というよりは、そういったクラブだったからなんじゃないか。
Ashworthは、ガーリックの元同僚で現在フリー。ほかの候補と違って、指名にあたり大きな障害はなさそう。
ところで、この記事のちまたの反応を見るに、アーセナルファンのJason Aytoの人気のなさが際立っている。彼は1月のまさかの補強なしからの現在の状況の責任を追求されているかたちであり。冬ウィンドウで誰も取らないというクラブの決断を支持したことで、自分の意見を持たないイエスマンになってしまっていると考えるひとも多いようだ。まあ、実際の舞台裏のことははわからないし、そのことで彼を無能呼ばわりするのは避けたいが、この候補者のなかでは小粒なことは否めない。もしこのあと新SDが彼に決まったら、ブーが聞こえそうである。
Roberto Olabeはアーセナルファンにも人気だし、これまでのアーセナルとソシエダとの関係を考えると、けっこうありそうに思えるが、記事中にもあるように、アーセナルが3月中に決めるなら、今シーズンはソシエダで責任をまっとうしようとしている彼は難しくなる。
クラブが3月というタイミングにこだわる理由があるとすると、やはり夏ウィンドウの準備だろう。切りのいいシーズン終了後ではなく、それを前倒ししたい理由。
いまのアーセナルのプロジェクトの進捗を考えると、補強はほとんど最終的なフェイズに入ってきている。残る大きな課題はアタッカー。チームはここまで進歩をつづけて来ながら、いまは停滞的に入っているように見えるのは、やはりここまでアタッキングエリアを軽視したせいもあるだろう。だから、この夏に向けてはとくに念入りに準備したい。アルテタが来てからもう5年以上となり、メジャータイトルに向けてこれ以上は失敗できないプレッシャーもある。
明日からもう3月。ワクワクするようなSD指名であってほしいっすね。
おまけ
オーンステインは、昨日ファンとのQ&Aセッションもやっていて、アーセナル関連の話題もあるので、それを。
(アーセナルのウィンガー探しは、また売却次第なのか(ネルソン、トロサールなど)、それとも2023年のようにもっと積極的に動いてから、その後に売却する可能性もある?)
アーセナルがもしストライカーに大きな投資をするのなら、そういうこともあるだろうし(アルテタはIsakが大好きで、またクラブはSeskoに熱心)、もしZubimendiで大金を使うなら…… それにそのほかにも必要なこともある(No.2GKなど)から、ある程度の売却は必要になるかもしれない。
わたしもアーセナルの力強い決算やPSRでの立場はわかっているが、それを維持するには売却の必要性はあり、だからひとりか複数の退団がないと。
スクワッドを見れば、いずれにせよそれは起きるだろう。あなたの具体的な質問については、同じエリアの売却に頼ることになるのかどうか、それはわたしにもわからない。でも、はっきりしていることは、誰かが来るなら当然誰かは去ることになる。その前か後かに関わらず。
(アーセナルの意思決定のなかでアルテタの発言権はどれほどある? 彼が40m以上は出したくないとWatkinsを拒否したのか、あるいはTelを拒否したのか? 2024夏に誰もストライカーを取らないと決めたのは、彼の意向もあった?)
彼の声は非常に大きな影響力があるよ。当然。でも彼だけじゃないから。アルテタはWatkinsを欲しがっていた。だが、彼には財布のひもをどうにかすることはできなかったし、当然そうだろう。彼は一介のコーチ/マネジャーなんだから!
Telについては内部で議論はあって、アーセナルは彼の状況について彼のキャンプに問い合わせは行った。だが、わたしもその交渉が進んだのかどうかはわからない。彼らがほしかったのはNo.9であり、彼はNo.9ではない。
アルテタは、2024夏のクラブの意思決定プロセスの一部だった。しかし、後知恵でなら批判するのはとても簡単なこと…… 当時、No.9にそれほど大きく求める声はあったかな?
わたしはアーセナルのためにいい訳してるのではないし、彼らがいまのような状況になるのを避けるために、すべきことがあったのははっきりしていると思っている。
しかし、わたしたちの多くは起きたことのあとに賢くなるものだよ。教訓に学んで、きっと彼らも夏には正しいことをしようとしているはず。
(アーセナルのDoFの最終候補に残っているものたちのおもな特徴は何? 基準になるような、全員に共通している要素はあった? 外側からだとさまざまな特徴があるように見える)
素晴らしい質問。でも実際のところはわたしもよくわからないな。
でもわたしがひとつ云えるのは、アーセナルは彼らが望む正確なプロファイル/役割をまだ決めていないと思うし、それが候補者の多様性を説明しているのかもしれないということ。(そして、わたしが報じたよりも候補者が多い可能性だってある)。
おわり