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Viktor Gyokeres発表前夜。スウェーデン人視点によるこれまでのキャリア(スポルティング以前)

こんにちは。

昨日、デイヴィッド・オーンステインが、Gyokeresの案件でついにアーセナルとスポルティングが完全合意に達したと報じていた。これは、ファビー・ロマーノのHere we goからじつに4日後にもなる。逆に、決まった決まったと云われながら、まだ完全合意じゃなかったとは。。。オーンステインは合わせて、彼がNo 14シャツを着けるとも。アーセナルではNo 10よりも重い、アイコニックナンバー。異議なし。

そして、もろもろの情報によると、彼はロンドンに向かい(シンガポールに直接向かうというのは誤報だったようだ)、すでにベルタやアルテタとも会っているということ。いつも選手契約時に明かされる、ロンドンコルニーの訪問シーンはもう済んだということだ。その流れで、契約書にサインもしたのだろう。

HOAは、そのときの様子について「彼と彼の家族は涙ぐんでいた」と云っているが、まるでそこで見てたみたいなことを云う。誰なんだHOA?

という、まさに発表前夜となっているGyokeresである。

弊ブログとしては、彼の獲得が正式に発表されたらもちろん記事としても書くのだが、いいタイミングなので、それに合わせて書こうと思っていたネタを先に書いておこう。

いまから20日ほど前のr/Gunnersにポストされた、とあるスウェーデン人がGyokeresのキャリアについて書いた短文。これが、なかなか興味深かったのだ。われわれは、彼のあらゆる記事を毎日のように目にしているが、その多くが英国含め外国人によるもの。彼の同郷であるスウェーデン人の視点というのも新鮮で、価値あるものだと思う。

A Swedish perspective on how Viktor Gyökeres grinded to footballs biggest stage



あるスウェーデン人が見たGyokeresのキャリア

OP(LarryVonSchnaizer)をリスペクトしつつ、全文を訳してみよう。ちなみにこのひとは“Top 1% commenter”だから、reddit(r/Gunners)のヘヴィユーザですな。

Viktor Gyökeresがいかにしてこのフットボール最大の舞台まで上り詰めたのか。あるスウェーデン人の視点

Hej Gunners. わたしはスウェディッシュだよ。子どものころからのアーセナルファン。そして、いまGyökeresがわれわれに正式加入するようだ。だから、わたしはここで、通常の移籍情報ではおそらく見つからないようなことをいくつかシェアしてみようかなと思った。

多くのひとは、いまスポルティングでの映像クリップを観ているよね。わたしもそう。彼はあそこでもうずっとビースト。しかし、わたしはスウェーデンのサイトで彼のインタビューがいくつかあることに気づいたんだ。だから、それらを使ってわれわれがどんな選手と契約するのか理解するために、ちょっと時間を遡ってみようか。

Viktor Einar Gyökeresは、1998年Hägersten生まれ。ストックホルムの南部だ。Gröndalで育った。たくさんのフットボールピッチがある、ナイスな場所だね。Gröndalは“緑の谷(Green Valley)”という意味でもある。

彼の父方はハンガリー人。Viktorの祖父は、ハンガリーから逃れスウェーデンに移住し、そこで彼の祖母とも出会った。彼の名字はそこから来ている。Gyökeresは[’djökeresch] というのが正しい発音だ。“Bird”と云うみたいに。

そのフットボールジャーニーは5才のときに始まった。彼の最初のクラブはIFK Aspudden-Tellus。大きなアカデミーではない。砂利を敷いたピッチがあるだけの地元クラブで、特別な設備もない。彼の父であるStefanは、下部リーグでプレイしていて、彼のコーチになった。彼の母のSofiaは専業主婦。彼の弟もまだプレイしている。

5才から14才くらいまで、Viktorは律儀にもAspudden-Tellusでつづけた。ほとんど10年間だ。スウェーデンでは、才能ある子どものほとんどが早くにクラブを変える。だが、彼はそうじゃなかった。彼はトレインし、ゴールを決め、冬の寒空の下でプレイし、ハードなやりかたを覚えた。

彼が、Brommapojkarna (BP)の目に止まったのが2012年。BPは、スウェーデン版のアヤックス、あるいはアーセナルアカデミーといったクラブで、かなりコンスタントにNT選手を輩出している。

そこでViktorはBPのトレイニングに招かれた。そして彼はそこへ行きたかった。だが、彼の父はノーという。お前はもう一年Aspuddenにいる必要があると。この逸話は、彼のこれまでを物語るものがあるね。ゆっくりで、頑固。

結局、彼は2013年にはBPに加入することになった。それが彼がクリックし始めた瞬間だ。彼はBPの98世代のひとりとして、国営放送のドキュメンタリー「Fotbollsfabriken(スウェーデンのフットボール工場)」にも出演する。

彼はスターではなかった。Kulusevskiがそうだった。だが、Viktorはゴールを決めた。それが彼の仕事だ。16才にして、彼はBPでプロデビューを果たす。そしてその一年後、彼はスウェーデンの2部リーグで13ゴール8アシスト。それがブライトンの目に止まった。

2017年、彼はブライトンと契約した。しかし、そこで即デビューとはならず、U-23に送られた。1年が過ぎても、PLでのプレイはない。ただU-23の試合でプレイする日々。その時期の彼のブライトンでの唯一のファーストチームの試合はリーグカップのサウサンプトン。そのあとはまた影に隠れてしまう。

彼はドイツのSt. Pauliにローンに出された。そこではうまくやり、ゴールも決めた。しかし、ブライトンはそれも意に介さなかったようだ。彼はイングランドに戻り、べつのリーグカップ試合でゴールを決めるも、またすぐにローンに出される。今度はスウォンジー。

そこで彼はCovidを患う。それにより長期の症状に苦しむことになった。ほとんどプレイできず、またしても不運なスタートになってしまう。

2021年の1月。ブライトンは彼をコヴェントリーに送った。さらなるローンだ。当時彼は22才になっていた。時間切れが迫る。

しかし、コヴェントリーの見方は違った。コーチのMark Robinsは彼を理解し、本物のストライカーとして使った。もうレフトウィンガーの実験もない。シーズン半分で3ゴールは、決して素晴らしくはない。だが、彼らに獲得を決心されるには十分だった。£1mをわずかに超える程度の移籍金で。

それが状況を変えた。でも、ここからはもうみんな知ってるよね。

 

なぜわたしがこれをシェアしたかったか? それは、多くのひとが彼をただの遅咲きだと思っているからさ。Baneスタイルのセレブレイション、54ゴールを決めた選手というだけ。だがわたしにとって、いや多くのスウェーデン人にとって、Viktorのストーリーというのは、沈黙のなかでずっとつづけられてきた努力なんだ。

つねに忠実。見過ごされ、U-23で多くの時間を無駄にし、間違った起用があり、そして病気。それでも彼は、いつでも困難を乗り越えようとしてきた。

彼は、ハイプの産物ではないんだ。彼は、砂利、忍耐、そして純粋なjävlar anamma(この単語を調べて)の産物だ。もしわれわれが彼を獲得するなら、それはただのフィニッシャーを獲るんじゃない。そうしたストーリーを獲るんだ。

スウェーデン語の記事で、なにか読みたいのがあったら云ってね。喜んで訳すよ。

COYG / A Swede with gravel memories too

Credit to Fredrik de Ron, Paul Skagerlund and Makoto Asahara

以上。最後にクレジットされてるMakoto Asaharaさんて日本人ジャーナリスト? 海外でお仕事されてるとは珍しい。

 

jävlar anammaは調べるとfighting spiritらしい。日本語なら闘魂やね。燃える闘魂、アントニオ猪木。Gyoに似合いそうなことばじゃないか。

さて、Gyoのストーリー。ビフォースポルティング。これは苦労人。ただの遅咲きなんかじゃなく、不運もあったし、ずっとそのために努力もしてきた。

スウェーデンでも将来有望なヤングタレントとして認められながら、22才でコヴェントリーに行くまで、ほとんどたらい回しみたいな。フットボーラーの成功は、こうした環境の運・不運も非常に大きいというのがよくわかる事例と思う。

そしてブライトンが珍しく、タレントIDというか、将来性の見通しというか、そういったことをしくじった例かもしれないとも思う。スウェーデンにいた彼を見出したまではよかったが、5年近くクラブにいて決してファーストチームには昇格させず、逆に埋もれさせた。彼のブレイクを信じられなかった。

ということで、あとはGyoの発表を待とうか。明日は試合でバタバタしそうだから、来週かね。

おまけ:スウェーデンにおけるGyökeresの正しい発音

このポストのなかで言及されている、スウェーデン人的に彼の名前の正しい発音。[’djökeresch] 。彼もほかのひとから指摘を受けたというので、スウェーデン人全員が正しい発音を知っているわけでもないみたいだけども。

さっき、ChatGPT氏に日本語ではどうカタカナ表記すべきか訊いてみたので共有しよう。

「ジョケレシュ」。うん、機械翻訳をやるとたまにそう書くAIもいるね。

ただ、これドイツ語方面から検討しているみたいなので、スウェーデン人の名前としてさらに訊いてみた。

「ビョーケレシュ」 あるいは 「ビョーケレス」。

ChatGPTがリンクしてくれた情報源がArseblogのBBS?で、まさにこのredditポストについてのやりとりだった。世界狭いな。

あと、この記事では彼のハンガリーのルーツも示唆されているので、ハンガリー人だった場合を訊くと、やけに長文の回答が来た。最後のまとめだけ。

ハンガリー語の音韻規則に基づいて、日本語風の読みとして 「ジェルケレシュ」、
あるいは 「ジョルケレシュ」 が比較的自然かと思います。

つまり、Gyökeresは、

  • ドイツ語方面ではジョケレシュ
  • スウェーデン語方面ではビョーケレシュ、ビョーケレス
  • ハンガリー語方面ではジェルケレシュ、ジョルケレシュ

となるらしい。いずれにせよド頭「ギョ」ではないんやね。

以前このブログでもちょっと書いたけど、ぼくもたくさん彼のクリップを観ていて、そのなかで名前を呼ぶときにGサウンドを云わない(ヨケレス/ヨケレシュに聞こえる)か、かなり弱く発音するひとが多くて、スウェーデンではギョクレスは正しくない発音なのかなあと思っていたところだった。ちなみにおれはずっと「ギョクレス」派である。たぶん英国人の多くはそうやって発音してるから、それに耳が慣れてる。

ひとまず、新加入時にサイトでリリースされるコンテンツのなかに、正しい発音を本人に訊くというのがありそうだから、ぼくはそれにならうことにしようかな。

 

Olivier Giroudみたいに難しいやつはやめてほしい。これは何度観てもウケる。

 

おわり



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