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Arsenal, Tactics

Kimmich発言に思うアーセナルのいやらしさ

CLバイエルン

アーセナル界隈はまだその勝利の余韻にひたっているところであるが、昨日はバイエルンの選手からのとある発言がソーシャルメディアで議論になっていた。

Joshua Kimmich: 自分たちが対戦したなかではアーセナルはベストチームではない。彼らはセットピースに頼りすぎ。PSGのほうがもっとフットボールだった。

セットピースFC批判の亜種。これはアーセナルファンとしては、もはや聞き飽きたような定番の反応であり。ただの負け惜しみに過ぎないといえばそのとおりなのだが。

あの試合後、彼らの選手やボスのコメントには、いまのアーセナルと対戦した相手がわれらをどう感じるかがわかるような気がして、今回はそのことについてすこしだけ。



アーセナル戦後のKimmich発言

まずはじめに云っておきたいのは、Kimmichの発言は、ソーシャルメディアではセットピースやロングボールといった、アーセナルのファンの神経を逆撫でするような部分だけが注目されているものの、全体を観れば印象も違ってくるということは指摘しておこう。渋々ながら、アーセナルが勝ちにふさわしかったことは認めている。

ぼくのTWでもざっくり訳したものをシェアしたが、あらためて、以下に引用する。The Athleticより。

Kimmich:(バイエルンがプレイしたなかでアーセナルがベストチーム?)ノー。そうは思わない。ぼくはPSGがもっともタフだったと思う。とくに彼らのプレイのしかた。

アーセナルはまったく違う。彼らはセットピースに頼っている。彼らはロングボールが大好きで、セカンドボールを競うのが大好きだ。PSGとの試合とはまったく違う。PSGは、もっとフットボール試合だった。

今日はあまりフットボールではなかった。むしろ、ゲイムマネジメントとかデュエル。

アーセナルは今夜とてもうまくやったよ。彼らが勝ちにふさわしかった。でも、ぼくらもそれに学ぶ必要がある。

「PSGはアーセナルよりフットボール」。要するに、アーセナルがやろうとしていたのは“アンチフットボール”だとやんわり云っているわけだ。もっと正々堂々と戦えと。

数々の反論

まず多くの指摘があるのが、ロングボール。

じつはこの試合、ロングボールの数自体はバイエルンのほうが多かったりする。※赤枠部分

アーセナルは47、バイエルンは67。バイエルンのほうがかなり多いという不都合な真実。

Kimmichが云いたいのはGKのそれかもしれない。ラヤは、とくにゴールキックはたしかにその多くがロングボールという印象はあった。しかし、こちらを観てほしい。

ロングボールはラヤが25、Neuerが28。バイエンのほうが多いじゃねえかよお! しかも、成功率32%が同じなのが皮肉。セカンドボール狙いの放り込みというご批判には当たりません。

まあ、これはゴールキックの数字ではないので、フェアにいえば、そこだけならこのふたりのGKのロングボール率はかなり違っているとは思う。

それと、ロングボールについては、そもそもバイエルンの唯一のゴールもロングボールじゃねえかというツッコミは当然ある。バイエルンのファンに云わせれば、あれは放り込みではなくロングパスだと云うだろうが。

それとセットピース。

アーセナルがセットピースに頼っている? それはセットピースで3ゴールぶっこまれたチームだけが云っていい文句だ。今回アーセナルがセットピースで決めたゴールはひとつだけ。

でも、彼らがそう云いたくなる理由もわかって、なぜなら後半のアーセナルが連続したコーナーでかなり彼らにプレッシャーをかけたから。ただのコーナーのはずなのに、毎回ゴールになるんじゃないかと脅かされる。あんなふうにいじめられれば、被害者ぶりたくなるというものである。そして、アーセナルにいじめられたものたちが、そうだそうだあいつらは非道いとインターネットで騒いでいる。

あと、これはKimmich発言ではとくに注目されていないが、デュエルについて。デュエルはKompanyもKaneも指摘していた部分。Kaneは「あまりにもデュエルで負けすぎた」と云っていた。

しかしスタッツを確認すると、じつはいわゆる「デュエル」ではバイエルンは負けているどころか、彼らのほうが勝率が高いのだ。とくに地上デュエル。39% v 61%だからかなりの差がある。

これはじつに興味深いことだと思う。彼らは実際は多くのデュエルに勝っていたのに、現場では負けていたように感じていたわけだ。

つまり、それだけプレッシャーを感じていたということなんじゃないか。相手と対峙したとき、自分たちが優勢だという感覚がなかった。

バイエルン側のコメントが示すアーセナルのいやらしさ

Kimmichの試合後コメントでよくわかるのは、いまのアーセナルのいやらしさだろうと思う。いやらしいというのはエッチであるという意味じゃなくて(蛇足説明)。

ぼくもアルテタのチームを観ていて、非常にプラグマティックな部分は感じるし、あれをアンチフットボールと云いたくなる気持ちも正直わからんでもない。

でも、アルテタがやろうとしていることは、徹頭徹尾、自分たちの強みを活かして相手の弱みを突くことなのだよね。本人もつねづねそう云っている。スポーツチームとして、しごくまっとうではありませんか。相手の強みを消すことだけを考えるチームはモウリーニョ呼ばわりされてもしょうがないが、アーセナルはそうではない。

Kimmichのコメントが示すのは、間違いなくフラストレイションだ。敗けることにも全然慣れていないナイーヴさがにじみ出ている。自分たちのやりたいことをアーセナルはやらせてくれなかった。ブンデスリーガではいつも好き放題やれるし、PSGもそれをある程度やらせてくれたんだろう(レッドカードが出るまでの前半)。

ラヤのロングボールではバイエルンのハイプレスはつねに無効化され、逆に自分たちのバックからのプレイでは、インテンスなプレッシングを受けショートパスのビルドアップがうまくできない。それをうまく抜けたかと思えば、今度はアーセナルの選手たちは全員がスプリントでファイナルサードまで戻りロウブロックを構築。ゴールに近づくこともできない。

おまけに自分たちが嫌いなセットプレイを嬉々として挑んでくる。。。

これはムカつくよね(笑い)。

もっとムカつくのは、アーセナルにはいい選手がたくさんいることだ。アンチフットボールだと思っていたら、ファインゴールをぶち込まれる。彼らはそれを見せつけられた。

よし、もっとムカつくチームになろう。

 

おわり



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