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25/26シーズン前半。チームとリーグへの適応に苦しむヴィクター・ヨクレス

こんにちは。

今週はひさしぶりにミッドウィークに試合のなかったアーセナル。本来はここでカラバオカップの試合があったのが、われらの対戦相手であるクリスタル・パレスにコンファレンスリーグの試合があったため、それは来週に延期されたのだった(※彼らはホームでフィンランドのチームに引き分けたらしい笑)。

そのおかげで、今週アーセナル界隈はとくに大きなニュースもなく静かだったのだが、いくつかのメディアが記事をアップしたこともあり、ファンのあいだではヴィクター・ヨクレスについての議論が盛り上がっていた。

Viktor Gyokeres’ start at Arsenal: A discussion

Viktor Gyokeres needs to do more to keep hold of Arsenal place as Gabriel Jesus returns – The Radar

ヨクレスは、ポルトガルでは大きな実績を残したものの、加入前からアーセナルのスタイルとの適応については疑問を持たれていた部分もあり、ここまでのパフォーマンスと結果で、懸念が現実のものになってしまうんじゃないかという不安があるのは否めない。

アンドレア・ベルタは彼のAFC加入時には、「チームに大きなインパクトをもたらせる選手」と期待を寄せたが、タイトルを目指す重要なシーズンの半分が終わりそうないまとなっても、No.9としてそのようなインパクトはもたらせていないのが現状である。

彼の課題、チームの課題。そして今後、彼はどうなるのか。



「ヴィクター・ヨクレスがポジションを維持するために必要なこと」by Sky Sports

Sky Sportsの記事より引用しよう。見出しは訳者による。

25/26シーズン前半のヴィクター・ヨクレス(MD16まで)

  • 先日のシティの試合とアーセナルの試合を観て、シティのHaalandはいつもどおりだったのに対し、アーセナルのヨクレスは違った意味でいつもどおりだった
  • ヨクレスは今回もゴールなし。しかも今回はウォルヴズというボトムチームが相手。これで彼は14試合のうち11試合ゴールできなかったことに。これはざっくりHaalandの逆
  • Haalandは、パレスでのゴールで彼は今シーズンのPLで17ゴール。彼のファーストシーズンは同じ時期にこれよりもゴールを決めており、初年度の適応期間も必要なかった
  • 27才にしてHaalandなみのゴール記録を持つヨクレスは、完成されたNo.9として期待されたものの、ポルトガルでのフィジカルの強みがPLでは失われている。デュエル成功率は、ポルトガルでの50%から、PLでは37%に落ち込んでいる
  • ウォルヴズでの試合、彼はたった15タッチ、1ショット。直近で苦しんでいる
  • タフなリーグに来ることで数字の落ち込みはある程度は予想されたが、先月に不運なケガはあったとしても、4ヶ月たってこの数字は懸念がある

  • 彼のパフォーマンスを象徴していたのは、ウォルヴズでブカヨ・サカの低いクロスを捉えられなかったこと。それは、アストン・ヴィラでライスからのボールに反応が遅れたことにも通じる
  • ペナルティボックスでのハンターは、そういったチャンスを決めるために正しい場所にいなければならないが、彼の遅刻はテーマになっている。ヨクレスはP90での平均ワンタッチショットが0.76に過ぎないのに対し、Haalandは1.85ある
  • もっともヨクレスは、ショッツ自体も足りていない

  • ヨクレスのP90のショッツ1.98は、81人のリーグFWのなかで45位
  • これらの数字は、彼への供給についても疑問を投げかける

ヨクレスに適応しようとするチームの努力

  • ヨクレスには、アーセナルのほかのストライカーたちと違うプロファイルがあり、相手のCBと肩を並べてプレイすることを好み、スペイスへのランを好む。そうなれば当然彼には違うパスが必要になる
  • だが、チームメイトたちもトライしている

  • 今シーズンここまでのアーセナルは、PLでもっともスルーボールを出しているチーム。試合平均で4に近い。それは昨シーズンから80%近く増加しており、彼らのチームとしての努力が反映されている
  • また、パスのターゲットになったFWのランのデータでは、彼にはリヴァプールのEkitikeやシティのHaalandよりも高い率でパスが送られている

  • もちろん、そのパスは正確でなければならない。彼のチームメイトたちはいまも彼に適応している最中であり、アルテタもピッチでの連携の必要性について述べている
  • しかし、ヨクレスも自分の仕事はしなければならない

ヨクレス自身の課題。マーカーを外す賢い動き

  • 試合中、彼がパス先になるとき、あまりにもしばしばボールを保持できない。これは技術の問題であると同時に、スペイスの問題でもある
  • データによれば、彼は今シーズンのPLでどんな選手よりもパスを受けるときのスペイスが狭い。DFとの平均距離が3.14m。これは、彼が自らの動きによってマーカーから距離を取ることに苦しんでいることを示している

  • スペイスをつくることは、アーセナルがよくやられるように、深く守られたりコンパクトな守備ではより難しくなるもの。しかし、その挑戦は彼らだけのものではない
  • HaalandとEkitikeは、それぞれシティとリヴァプールで似たような状況にあって、それでもパスを受けるときにはDFと4.92m、5.32mのスペイスをつくっている
  • アルテタとスタッフはトレイニングピッチでこれを解決せねばならない。PLへの適応に時間を要すのはヨクレスに限ったことではない。彼をあきらめにはまだ早すぎる

ジェズース、ハヴァーツ、メリーノとの競争にヨクレスは生き残れるか

  • だが、ジェズースの復帰により、チームへの適性についての精査は、今後より厳しく行われるようになる
  • オールアクションでプレイできるジェズースは、最近も新しいチームメイトたちとシャープな連携を見せた
  • ヨクレスはもちろんタイプが違う選手。アーセナルが欠くキラーな本能を買われた。Haalandが示すように、彼がゴールを決め始めればタッチの数は重要ではない
  • だが、アーセナルではストライカーがアプローチプレイに関わるほうがいいチームになれるという感じはいまもある
  • 今シーズンのアーセナルがベストな攻撃パフォーマンスを見せたふたつの試合。NLDとCLバイエルンでは、メリーノがアプフロントで、チームメイトたちとポジションを入れ替え、MFに落ち、それでもなおボックスで脅威になった
  • ハヴァーツが復帰すればポジション争いになる。ジェイミー・キャラガーは『MNF』で「ファーストチョイスのストライカーとして、ヨクレスにはタフな争いが待っている」と述べた
  • シーズン序盤、攻撃の重責をひとりで担ったヨクレスの功績は称賛に値する。しかし、彼はこの時期を、自身の地位を確立する機会を逃した時期として振り返ることになるかもしれない

後略&以上。

けっこう意外なデータがあるな。

この記事、最後はしんらつな調子で終わっているが、それが現実という気はする。

ヨクレスをめぐる議論のなかには、シーズンが始まってすぐにハヴァーツが大怪我をしてしまったことで、彼の負担がかなり重かったことが彼のフォームに影響を与えたんじゃないかというものがある。

彼は11月にケガをするまで、PLで10試合、CLで3試合、さらにスウェーデンNTで4試合でスタートしていた。ほとんど休む間もなく。

たしかに、もしハヴァーツがフィットしていれば、それなりの時間や責任を彼らがシェアして、ヨクレスにとって心身ともにもっと余裕をもって新しい仕事を始められたかもしれない。

だが、いっぽうで彼にとって毎試合プレイできたことは、新しいチームやリーグに慣れるためには、むしろメリットになっていた面もあるだろう。肉体的にはタフでも、精神的には長くプレイすることでより早くチームとリーグの特徴をつかむことができたはず。

だから、ジェズースが復帰して、思ったよりフィットしていることがわかり、さらにこのあと1月なかばくらいまでにはハヴァーツも戻るとなれば、ヨクレスのスタートは当然ではなくなっていきそうだ。もし、彼のケガがなく、あのままチームにもどんどんフィットして自信をつけて調子を上げていっていれば、いまごろほかのFWが戻ってきても、彼がポジションをキープしたのだろうが、残念ながらそうはなっていない。

彼は、この期間にポジションを絶対的に確保していることが理想だった。

とくに、アーセナルは今年メジャータイトルを取るつもりなので、このあとヨクレスがチームにフィットするのを忍耐強く待つことが難しいだろう。本来なら、中長期の視野でここは彼にじっくり時間をかけるべきなのだろうが、短期的にはメリーノのスタートが正解ということになりかねない。チームも慣れているし、実際それでうまくいっている。

結局、9はヨクレスよりメリーノを選ぶとなったら、彼が来たときの最初の議論に戻ってしまうのだが、そもそもヨクレスの強みに「わざわざ」チームが合わせようというのは、彼がゴールマシーンだからだろう。彼がゴールを量産してくれるなら、あえて、チームのスタイルを彼の個性に合わせる価値があった。

しかし、そうでないなら、これまで既存のFWたちとやってきたチームのシステム(フォルス9)をそのまま継続するほうがマシということになりかねない。

アルテタにとっては、そのあたりの判断が今後難しくなりそうだ。

今後どうなるでしょうね。

ハヴァーツが戻ったら、彼がスタートして、ヨクレスはスーパーサブというシナリオはありそうに思える。試合後半で選手が疲れているとき、ヨクレスやマドゥエケのようなタイプは、相手DFはやっぱりイヤだろう。

2-ストライカーの選択もあるかもしれない。FWたちが戻ってきている現状について、アルテタは、選手たちのケガもあってこれまで実現できていないが、その構想はあるという話もしていた。ハヴァーツとヨクレスはふつうにありそうだし、ジェズースとヨクレスはどのようなケミストリがあるか、興味深い。

ハヴァーツは、アーセナルに来てからMFとしてプレイしたシーズン前半はかなり苦しんで、そのあとFWとしてブレイクした経緯がある。

ヨクレスは、ポジションのコンヴァートはないだろうが、彼だってこのあとどうなるかまだわからない。いまの感じだと、つぎの試合で突然にブレイクするなんてことを期待できなさそうだが、ケガする前のようにしばらく試合をつづけていけば、またあらためて掴むものがあるかもしれない。

ヨクレスがいまのハヴァーツ不在のチャンス期間を活かすが先か、あるいはアルテタが彼の時間を減らし始めるのが先か。

週末のPLエヴァトン(A)に注目しよう。

 

おわり



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