Arsène Wenger held a meeting with the Arsenal board on Monday before telling all first-team players & coaches on Tuesday that if a CL spot isn’t achieved at the end of the season, to expect upheaval at the club. [@laythy29] #afc pic.twitter.com/v8H84cLKIc
— afcstuff (@afcstuff) 2018年2月28日
今シーズン終了時に、もしCLスポットに入れていなかったらチームに劇的な変化が起きると、今週始めにボスから選手やスタッフに通達があったそうで。
もしもクソもトップ4外はもうほとんど決まりなんだけどね。ということはつまり、自分の解任(まあ表向きは解任ではなく退任ということになるだろう)についてやんわり伝えると同時に、選手やスタッフたちにも不退転の覚悟を促したということになるのか。PLのシティ戦を前に発破をかけたということなのか、それとも単に事実を伝えただけなのか、これだけでは意図はよくわからない。
しかし、この情報が真実なら、いよいよヴェンゲル退任のXデイが現実に近づいているということ。盛り上がって参りましたな。
さて、ポスト・ヴェンゲル時代のアーセナルは、恐らくほかのEPLのトップクラブやヨーロッパのエリートクラブのようなふつうのビッグクラブとして運営されることが予想される。新しい時代を迎えるアーセナルは、AW時代を懐古だけでなく自省の目をもって振り返るはずだ。
低予算でやりくりしてギリギリでCLに出場してそこそこの成績を残して、のようなトリッキーなクラブ運営が通用する時代は終わった。AWという才能が残した栄光という貯金を少しづつ切り崩して結局使い果たしたアーセナルは、今ではちょうどいい具合に落ちるところまで落ちたすっからかんのクラブだ(え、まだこの先があるの?……)。これからは金も知能も全力を傾けて立ち向かわなければ、モダンフットボールの世界ではもはや置いていかれるばかり。
ということで、来季以降のヴェンゲル後のNEWアーセナルにどのようなことが起こるのか。予想してみたい。
ポスト・ヴェンゲルのアーセナルFCに起こる5つのこと
ブログっぽいタイトルでなんかゴメン。
1. ディレクター・オブ・フットボールなど必要なチームスタッフの招聘(済み)
ここだけは「済み」あるいは、「継続中」としたい。すでに着手済みという意味で。
もちろんBVBから引っこ抜いたリクルート部長のミズリンタットや、バルセロナからやってきた「スポーツフットボール・リレイション」のサンレヒのことである。サンレヒのスポーツフットボール・リレイションというよくわからない役職も、AW退任後はふつうにフットボール・ディレクターとかになるんじゃないだろうか。
AWという監督はクラブで何でも首を突っ込んできたといわれている。でもそれはもう無理だ。立ち行かないということはAW自身が証明した。マネージャーは、基本的には試合に集中してもらうべきだと思う。それ以外のことはサポートしてくれるスタッフに任せる。それが健全なフットボールクラブの姿だろう。
リクルートやフットボール・ディレクターのほかにも、ヴェンゲルがいることで上位の責任者を置かなかった役職もあるのかもしれない。そういった一切合財のスタッフを新たに雇う必要がある。
コーチング・スタッフは、マネージャーが連れてくることが多いようなので、新しいマネージャーが腹心の部下を連れてくればいい。しかし、もしフットボール・ディレクターの権限が強ければ、サンレヒがより適任者を連れてくると。それでいい。ああ、なんだかふつうのクラブみたいじゃないか(惚れ惚れ)。
2. クオリティ不足の選手の売却
AWは同じ選手ばかりを酷使して怪我をさせたり、調子の悪い選手や旬を過ぎた選手を使い続けるなど、選手を信頼しすぎることはたびたび批判されてきた。ファンから見ると明らかにクオリティ不足の選手だって、AWが公然と欠点を指摘するようなことはほとんどなかった。
つい最近もダニー・ウェルベックに新しい契約をオファーするという報道があった。彼の献身は疑いないが、在籍4年で20点かそこらしか取っていないFWに新契約を提示することは、ビッグクラブとして果たして正しい選択なのだろうか。
選手を信頼することは決して悪いことじゃない。しかし、短期的に結果を求められるような現在のフットボールでは、選手を信頼しすぎることはメリットよりもデメリットのほうが大きい。結果を求められる新しいマネージャーが、AWのように、選手に対してまるで父のように振る舞うとはとても思えない。古き良きフットボール時代を懐かしんでもしょうがない。選手を人間扱いしていては勝てないのだ(ん?)。選手を見限る時間はこれまでよりもぐっと短くなるはずだ。
現在のアーセナルのスコッドは、エジルなど一部を除いてイングランドのトップサイドのチームよりも格段に見劣りがするといわれている。もちろんポテンシャルのない選手はここにはいないので、マネージャーの使い方や教育で再生される可能性はある。しかし、新しいマネージャーが来てアーセナル再生プロジェクトを始めるにあたっては、かなり多くの選手がファイヤー!候補になることだろう。何しろ急がねばならないのだ。選手の成長を気長に待っている時間はない。
3. 選手獲得予算の増加
アーセナル再生プロジェクトを引き受ける新しいマネージャーは当然、トップ4入りというミッションを遂行するために、クラブに十分な選手補強を要求する。これは絶対に間違いない。必要な材料もなく仕事を引き受けるプロがいるはずがない。
先日、アーセナル(ヴェンゲル)の21年間よりマンシティ(グアルディオラ)の21ヶ月の補強予算のほうが大きいと指摘したグラフィックが話題になっていた。残念ながらPLに限らず補強予算とチームの実績は相関関係がある。金をかければかけたほど強いわけではない。しかし金をかけたチームは強い。ヴェンゲルはしばしば移籍市場のクレイジーさを嘆いてきたが、もう清貧では勝てないのだ。
たしか最近CEOのガジディスが15/16レスターや16/17モナコを引き合いに出してクラブの理想を話したこともあったと思うけれど、そういう「奇跡系」のストーリーを一般化してもらっては困る。フットボール世界にはときには非合理的なことも起こる。だからおもしろい。しかしそれは目指してコントロールできる事柄ではないし、そんな不確かなものがアーセナルの目指すべき目標であってはならない。
……とはいえ、アーセナルFCのオーナーはクロエンケである。シブチンのオーナーがどれほど財布のひもを緩めるかは予想できない。ただ、新しいマネージャーはできるだけ潤沢な補強予算をクラブに要求するはずなので、現在のアーセナルが移籍市場にかけているコストをみれば、どのみち予算が上がることは間違いないだろう。
ところで昨日クラブはアーセナルFCの2017年11月までの6ヶ月間の決算結果を発表した。ざっくりいうと、CL出場を逃したりして収入は前期より減ったけれど、利益は倍増えているということ。
Club announces latest financial results
詳しくはPDFレポートがあるので見ていただくとして、某ブログによると、現在AFCは160Mポンドのキャッシュを持っていて、そのうち138Mポンドを選手補強に使えるらしい。金満といわれるクラブが血を流しながら選手獲得しているときに、われらアーセナルFCはせっせとキャッシュを溜め込んでいたと。ほんとになにやってんだろね。
したがって選手補強予算を増額する余地はまだかなりある。そう考えていいはず。今年の夏はワールドカップもあるし、忙しくなるねえ。
4. 監督とボード(経営陣)の衝突
AWの時代にこれがほとんどなかった(表沙汰にならなかった)のは、つまりAWがただの「雇われ」マネージャーじゃなくて、むしろ経営陣の側にいたという証拠だ。ヴェンゲルは、補強の予算がないからといってチーム低迷の言い訳にしなかったし(金満と戦えないくらいはいったことがあったか)、むしろ進んで少ない予算でやりくりしているようにすら見えた。不思議にも彼はボードと対立する立場になかったのだ。
しかし新しいマネージャーがくれば、彼は選手補強や自身の待遇にだってボードにクレームをつけるだろう。なぜなら自分の仕事はチームを勝たせることで、それ以上は自分の仕事じゃないからだ。十分なサポートもなしに結果だけ要求されるのはフェアじゃない。責任の範囲や所在がはっきりしているからこういうことが起きる。
この夏、ルカクをマンUにかっさらわれたりしたことで、チェルシーのコンテ監督がかなりチェルシー・ボードとやりあっていたようだが、そういったことが今後アーセナルにもふつうに起こるはずだ。AWのアーセナルでは誰が本当の責任者なのかわからないくらいだった。
5. 監督の更迭
一時モウリーニョがしきりにヴェンゲルとアーセナルの関係の特殊さを攻撃していたことがあった。ふつうのクラブならとうの昔にAWは解任されていると。たしかにそうだ。そして、結局この20年ものあいだ、AWの「器用さ」に頼り切った事なかれ主義の成れの果てというのか、そのせいで今アーセナルFCというクラブは20年ぶりの監督交代という大改造事業に直面することになった。きっとクラブのなかはてんてこ舞いのはずである。
ということで、今後はマネージャーについても成績不振なら即解任というふつうのクラブになるだろう。もちろんそうならないように慎重にことを進めるはずだが、AWのようにどんな無様な敗戦でも解任はされないというようなことはなくなるだろう。相手がバイエルンのような最強クラブだとしても10-2で負けるようなチームのマネージャーが安泰だというのはやはりどうかしている。アーセナルFCは、この世界でトップ5、あるいはトップ10に入るような価値あるビッグクラブなのだから。
以上。おれがかんがえたアーセナルの未来でした。つってももう半年後か。いやあ誰がくるか楽しみだねえ。
ヴェンゲル監督はAFCの終身名誉会長とかになってもいいけど、クラブ運営に口出しは一切無用。それでみんな幸せになれるのでは?