hotいま読まれているエントリ

Arsenal, Data, Emery, Tactics

エメリのフルバック・ローテーション作戦とローテーションの是非

エメリのチームで過去のこんな数字が話題になっていた。

Unai Emery’s history rotating fullbacks
https://www.reddit.com/r/Gunners/comments/91w6cp/unai_emerys_history_rotating_fullbacks/

14/15シーズンから17/18シーズンまで、ウナイ・エメリがスペインやフランスでフルバック(※日本語ではサイドバック)をいかにローテーションして使っていたかというデータ。

データはすべてリーグ戦のものとなる(カップ戦を含まない)。



エメリはめちゃくちゃフルバックをローテーションする

この数字からわかることは、エメリはレフトバック、ライトバックともにレギュラーをなるべく固定せずにメンバーを平等に使おうとしていたこと。

ただ、このデータだけからだと怪我などでやむを得ずそうなったという可能性もあるが、この時間配分を見れば意図したローテーションであるほうがしっくりくる。やむを得ずの可能性は低そうだ。

このなかでシーズン出場時間が2000分を超えているのは、15/16シーズン(セヴィーリャ)のTremoulinasおよび、17/18シーズン(PSG)のダニ・アウヴェスのふたりのみ。

つまりエメリは、ベレリンとリヒトシュタイナー、モンレアルとコラシナツをプレミアリーグでも平等に起用する可能性がある。ナチョは放出の噂もあるけど……

これはアーセナルにとってはちょっと珍しいことのように思える。

ベレリンのこれまでの出場時間は……

一方、カップ戦も含め出ずっぱりだった印象のあるわれらがRBヘクター・ベレリンのリーグ出場時間は以下。

14/1515/1616/1717/18
1561324024983051

おうふ。

彼が本格的に台頭した14/15シーズンこそ1500分台だが、その後の出場時間の多さは特筆すべきものかもしれない。

とくに15/16シーズンと17/18シーズンは3000分を超えており、ほぼ不動のレギュラーとして固定されていたことがうかがえる。

なお、16/17シーズンは延べ43日(9試合分)を怪我で欠場しているので、14/15シーズンにドビュッシーからポジションを奪って以来3-4年で、ヴェンゲル監督はRBのファーストチョイスとしてほとんど完全に固定して彼を使い続けたわけだ。

もちろんヴェンゲル監督の意向もあろうが、RBの選手層の薄さも大きな理由であっただろう。

ベレリンについては一時に比べて、ここ数シーズンは伸び悩みの兆候が見られていたと思う。この長過ぎる出場時間に関係があると考えるのは邪推だろうか。

ローテーションするチームとしないチームはどちらが強い?

ところで、ローテーションというのは諸刃の剣である。

同じチームのなかでも能力の高い選手だけを使えたり、使い続けることでチームワークが成熟することもあれば、その分マンネリ化もあるだろうし、長時間労働の疲労は溜まっていくこともあるだろう。

よく「勝っているチームは変えるな」などといわれるように、ベストのチームを使い続けるのが正しいともいわれる一方で、「硬直化した組織」といえばもっぱら悪い意味となり決してポジティブには使われることのないことばだ。

一般的にスポーツチームでメンバーを固定化すること自体はあまりいいことのようにいわれないことのほうが多いような気がする。

ローテーションについてスポーツサイエンスのような情報がないかなあとググったら、以下のような記事を見つけた。SKY Sportsの2017年11月の記事。

「プレミアリーグのチャンピオン、レスター、マンシティ、チェルシーはローテーションに助けられたのか?」

Did less rotation help Leicester, Manchester City and Chelsea become Premier League champions?

EPL13/14シーズンから16/17シーズンまでの4シーズンで選手のローテーション具合とそのチームの成績の相関関係の調査で、結論からいうと、平均してローテーションしないことが成功に結びついていたということらしい。

このエントリの流れでいうとエメリのローテーションでおれたちは成功できるんだやった!という流れにしたかったんだけど、残念ながら逆だった。。

詳しくは元記事を参照いただくとして、アーセナルのローテーションについてだけ。

この記事によるとアーセナルは選手の平均出場時間、シーズン起用人数ともにリーグで平均的なものだった。どちらのグラフでも真ん中あたりにいる(ARL)。

PL平均出場時間(縦軸:ひとりの出場時間が長いほど固定化)
PLシーズン内で起用した選手人数(縦軸:人数が少ないほど固定化)

ぼくはヴェンゲル監督はかなりレギュラー選手を固定化しているほうだと思い込んでいたけれど、他のプレミアリーグのチームに比べて、固定化しているとはいえなかった。

レスターが優勝したシーズンで彼らはレギュラーをかなり固定化しているイメージはあった。しかし、16/17までの4シーズンでシティが一番選手を固定していたというのはぼくには意外だった。見るたびにいつもメンバーを変えているように見えたのはフォーメーションを変えていただけだったのか。このグラフからするとシティの固定化はわりと突出している。

トップ6ではマンUがかなりローテーションを行っていたことになる。順位は4シーズンで7、4、5、6位と彼らの低迷期とぴったり重なっている。

いずれにせよ興味深いデータである。

エメリはフルバックだけでなく、わりとレギュラーメンバーを固定しないで戦うという話しが出ていたが、この傾向からするとあまり歓迎すべきことでもないんだろうか。

シーズン開幕を前にしてちょっと心配になるデータを紹介してみた。



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *