ああ、またハーマイオニが。
何も書かないつもりだったけど1日たってやっぱり少し書こうと思う。
テストに失敗
先月のリヴァプール戦も含めて、ここに至るまでの強敵相手のいい試合はホームだったので、アウェイのこの試合でいいパフォーマンスが出せるかどうかはアーセナルにとって大きなテストだった。
結果はご存知のとおり。
エメリは毎回ビッグテストだというが、この試合はアウェイという厳しいステイジで実力を発揮できるかどうか、「ラッキーな結果ばかり」と揶揄されるなかでほんとうに自分たちに実力があるのかどうか試されるという意味で、とくにそうだった。
ホームでの善戦があったので期待はした。仮に勝てないまでも、もしかしたらみんなが納得できるようないい内容の試合をやってくれるかも、というほのかな期待もあった。だがそれは完全に裏切られた。
あらためてわかったことは、ピッチ上のすべてにおいてリヴァプールが上回っていたということ。残酷なほどに。
ぼくは試合中継を観ながら、マンUの8失点、バイエルンとのアグリゲイト10失点など数々の苦い思い出が蘇るような、久々に胃の底をギュッと握られるような大きなストレスを感じた。
アウェイらしい戦い方
アーセナルはとくにセンターバックが批判されているが、いくつか読んだ試合の感想や戦術分析で一番納得感があったのは、ジャカ+トレイラ、ファビーニョ+ワイナルダムというお互いのCMの守備について。
基本的には彼らにはバック4をカヴァーする役割があったが、両チームともに前がかりのハイプレスがかわされたあとには、中央でCBの前の大きなスペイスをカヴァーしなければならないという問題が生じていた。
しかし、そのポジションではリヴァプールのふたりのほうがジャカとトレイラよりもだいぶうまくプレイした。
ここ、じつはわりと勝負の分かれめ的なところはあったかなと。
ジャカとトレイラのふたりがもっと中盤で効果的だったら、あそこまで面白いようにやることなすことうまくいくみたいなプレイはさせなかっただろう。
CBのクオリティを考えればよりうまく(慎重に)プレイしなければならなかったのはアーセナルのふたりだったのにね。
とくにトレイラ。ジャカの守備カヴァーはそもそも期待できないにせよ、この試合ではトレイラの「ふた」がハマらなかったのが痛かった。敗因のひとつといってもいいかもしれない。あんなに何度もボールを持った選手に抜かれるトレイラはアーセナルに来てから初めて見た。
でもトレイラひとりを責められないのはいうまでもない。ひとりでなんでもやってくれるなんて過信もいいとこである。
彼が悪かったのはリヴァプールが良すぎたのが理由だろうし、トレイラの守備負担を軽減できなかったアーセナルのチームの問題だろう。
とにかくリヴァプールはいまのアーセナルには強すぎた。
失点の数を見れば、アウェイでの戦い方を間違えたといういい方もできるかもしれない。ホームでの戦いを振り返れば、リヴァプールですらコンサヴァな戦い方をしたんだから。
アーセナルは5失点するような戦い方を自ら選んだってことだ。
エメリの苦しみ
アーセナルでのファースト・シーズン、エメリには、たぶん、勝っていたときですらなかなかチームが自分の思い通りにならないという思いはあったのではないだろうか。
彼はアーセナルに来てから半年たっても、いまだにベストなチームを探し出せていない(毎試合フォーメイションやメンツが違うのはけがのせいだけじゃあるまい)。
そしてふつうに考えてこれはイレギュラーなことだが、このところ毎試合のようにハーフタイムで選手を入れ替えている。これは、彼の試合前の予想が裏切られているということだ。
もちろんハーフタイムの(神がかった)調整で後半に復調するのは悪いことではない、しかし、試合前に相手の分析をかなりやるというエメリのチームが、なぜ前半にいつも苦しむのか。それこそ理解に苦しむ。
メディアの論調だとまるでチームが不甲斐ないようなことがいわれがちだが、その点についてはぼくはエメリのほうが責任が重いと思う。
彼はヴェンゲルさんとは違って、選手たちに対してかなり細かくプレイを指示するマネージャーだといわれているので、選手たちが指示どおりに動いていて、それでいてうまくいかないのだとすれば、要するにエメリの読み違いってことじゃないか。
まさか前半は様子見でその状況を確認してから後半追い上げることが正しいやり方だなんて思っていまい。多くの得点が入らないフットボールというスポーツであとから逆転することはかなり難しいのだから、勝つためには先に得点するほうがいいに決まっている。
エメリはいま苦悩しているのではないかと思う。
会見などでプロセスの最中だとしきりに主張しているが、それがなかなかうまくいっていない。
シーズン前半は、一見調子がよかったのが逆にやっかいで、ほんとうはAFCはいまのスクワッドにもっと危機感を持つべきだった。
「結果が問題を覆い隠している」とはどこかのパンディットのアーセナルに対することばだが、ここ数試合の低調さと今回の重い敗戦は、エメリにもクラブにもそのことをあらためて思い起こさせるはず。
リヴァプールには完膚なきまでに叩きのめされ、さあこれが現実のおまえたちですよと目の前に鏡を突きつけられたのだから。
プロセスをサポートする補強
とはいえ、たったの半年ということを考えれば、この悲惨な結果でもエメリをサポートしない理由にはならない。
もしシーズンこの先、彼がうまくいかないことがあったとしても、未来が確定していない以上、現時点で彼の去就についてどうこういうのは間違っている(誰もいってないけど)。
シーズン後半に極端に成績不振などにならない限りは、エメリの仕事についてはシーズン終了時にレヴューされることだろう。
リヴァプール戦で得た教訓をわれわれは生かさねばならない。
強敵と戦えるシステム(戦い方)と選手クオリティ。それが不足している。
まだエメリのコーチとしてのクオリティに疑いを抱く段階ではないが、選手にも選手層にも明らかに問題がある。
マネジメントはプロセスの途上にある。そして、彼が主導するそのプロセスは、短期的な結果にとらわれずファンもクラブも全員がサポートすべき段階である。
ファンは信じることくらいしかできないが、クラブにはできることがある。補強だ。
クラブには、補強でエメリのプロセスをサポートしてもらいたい。チームを強くしてもらえる選手を連れてきてもらいたい。
フリーエイジェントで獲得したリヒトシュタイナーはコストにならなかったつもりかもしれないが、その考えが結局は高くついた。安物買いの銭失いとはこのことだ。
アーセナルのこの10年の補強はずっとその繰り返しのような気がしてならない。
明日1/1から冬の移籍市場が始まる。
中盤の問題ばかり言われてるけどアーセナルの最大の問題点は前線がカバーシャドウの動きができていないこと、前からプレスで型に嵌めることができないから前線から中盤、サイドバックの守備での連動性が他チームに比べて少ない この点をどうにかしないと上は狙えないよ