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アーセナルはスポーツディレクター/テクニカルディレクターを本当に必要としているのか?

前回前々回につづいて、アーセナルのスポーツディレクター/テクニカルディレクター求人の話題。

この話題ずいぶん引っ張るがこのエントリで終わりにするつもりなのでがんばって読んでいただけますか。

アーセナルのようなクラブがSD/TDのリクルートに苦労しているのはなぜか。昨日の考察に加えて理由を考えてみたい。



アーセナルは新しいSD/TDを受け入れる体制が整っているのか問題

今回のSD/TDリクルートの件で、あらたに気になる情報があった。

モンチがアーセナルのオファーを断ったのは、アーセナルがすでに夏のターゲットについて方針を決めていて、そこにモンチが口を挟む余地がなかったことこそが理由だったというのだ。

これが真実だとするなら、要するにこれはミズリンタットがAFCを辞めていった理由と同じようなものではないだろうか。

以前のオーンステインのリポートによれば、彼はラウル・サンレヒとリクルート方針で対立があったと云われ(サンレヒの人的コネクションによるアプローチとミズリンタットのデータ分析アプローチ)、結局折り合いがつかず道半ばで去っていった。

ミズリンタットはサンレヒが口を出すせいで職分をまっとうできなかった。つまり、リクルート方針においてチーフスカウトがそれを主導できなかったということだ。変な話。

アーセナルにSD/TDは必要なのか?

今回もまた、リクルートを任せられる新しいSD/TDを指名するといいながら、いままさに取り組むべきつぎの移籍市場での方針がAFC社内ではすでに決まっているのだという。自分がいないのに勝手に話しが進んでる? それも奇妙な話しではないか。

ほんとにいまアーセナルはSD/TDを必要としているのだろうか?

自分がいなくてもことが運ぶなら、そこにいる必要性は? SD/TDとは名ばかりで自分がメインマンでないのなら、リクルートだけでなく、いざ就職してもSD/TDとしてプロジェクトを主導できないのでは? そんな状況に直面すれば、なんのために自分がそこに加わるのか疑問に思われても仕方があるまい。

サンレヒが「トランスファー・グールー」を退任に追い込むほどに、自分のリクルート手法にこだわりを持っているならば、そもそもなぜAFCはリクルートのために新たな人材を迎えようとしているのだろうか。コネクションがほしいだけ? そんな失礼な話しもない。

ここに加わる人材は当然プロフェッショナル/エキスパートに限られる。だからモンチはアーセナルのターゲットだった。そしてプロならまずは自分の職分をまっとうするために動くだろう。しかし、その職分そのものがあいまいだったとしたら。プロの仕事に頼んでもいない横槍が入るのだとしたら。

これが「なぜアーセナルがSD/TDのリクルートに苦労しているか」の理由になっていたらと思うととってもコワイ。

ぼくが社内人材が登用される可能性が高いと思うのは(サラリーの問題も大きいだろうが)、こういう理由からである。

こういった事情を知ったら、引く手あまたのエスタブリッシュメントはきっとこれからも来ない。安いサラリーで権限も中途半端でプレッシャーだけは高い。そんなブラックなところより、いっぱいお金もらえてリスペクトされて仕事を任せてもらえるほうがうれしいに決まってる。なんならサラリーが低くてもそっちのほうがマシかもしれない。楽しくてやりがいのある職場ってやつだ。

もしこのグダグダを夏まで引っ張りそれで移籍市場の立ち回りに影響が出るようなら、チームが今季目標を達成するしないに関わらず、AFCのクラブ運営体制はメディアやファンから大いに疑いの目を向けられることになるだろう。

こういった社内政治が今後スポーツの足を引っ張らないことを祈るばかり。

SD/TDをリスペクトを持って迎える

SD/TDの求人においては、AFCはまず候補者と雇用条件等の具体的な話しに進む前に、明確な役割と権限、ミッション、クラブのヴィジョンや将来像、まずこういったことを誠意をもって提示すべきだ。

ミズリンタットだって、もしGMが自分のやり方にそれなりに口を出してくると事前にわかっていたら、そもそもアーセナルに入社することはなかったかもしれない。

さすがにぼくもそういったごく基本的な説明をAFCが怠っているとも思えないが、ミズリンタットの予想外の早期退任やモンチの件などを見ていると、それがちゃんと出来ていているのか心配になってしまう。

そしてAFCは、新任SD/TDにタイトルどおりの大きな役割を信頼して任せるべきだろう。チーフスカウトレベルでなくSD/TDとして迎えるなら、腹をくくるべきだ。

SD/TDといえばフットボールクラブでは超重要ポストだ。そこに外部から人材を迎え入れる意味を、現在の幹部たちはあらためて考える必要があるのではないだろうか。

AFCは、少なくともサンレヒとミズリンタットの対立のようなバカバカしいことをもう一度やるなんてことはけしてあってはならない。

以上。

また無駄に長文を書いてしまった。



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3 Comments on “アーセナルはスポーツディレクター/テクニカルディレクターを本当に必要としているのか?

  1. >>サンレヒが自分のリクルート手法にこだわりを持っているならば、そもそもなぜAFCはリクルートのために新たな人材を迎えようとしているのだろうか?

    これは僕も疑問に思っていて、サンレヒ自身がビックディールを成功させてきたヤリ手だから、色々と口を出してくるとして。
    ダイアモンドアイの退団が物語っているように、自己主張が強い優秀なSDはガナーズには来たがらないのは当然なのに、大物SDばかりに声をかけ続けてきたのは・・・

    「ミズリンタットが辞めちゃっていろいろ責められたから、一応は有名どころに声をかけ、最終的には自分の傀儡をSDにすればいいや。」ってパフォーマンスにしか見えない。

    夏の補強は大丈夫なんでしょうか?チームが好調なのに、フロントに関しては不安ですよ。

  2. 最近の報道を見ているとSD/TDは本当に必要なのかと思う。
    必要と言われても、じゃあサンレヒはなんなのってなる。
    サンレヒがフットボール部門の責任者なんだからSD/TDもサンレヒの仕事の範疇でしょう。

  3. 更新乙です。サンレヒのバルサでの役割や経歴見るとネゴシエーション専門でフットボールそのもの知識はあまり無さそうだなあと。本人達もそれを自覚してるのでTDというか選手の能力評価に関するアドバイザーは欲しいってとこなんでしょうかね。いっそのことベルカンプ先生とか呼べないもんですかねえ。前エントリに挙げられた中だとルイスカンポスさんが来てくれると嬉しいのですが、モナコからリールに行ったってことはやっぱり権限が障壁になりそうで。

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