18-19UELセミファイナル。ヴァレンシアとのセカンドレグはアウェイ。
ホームでのファーストレグを3-1で先勝し、通常ならかなり有利な立場であるはずながら、今年のヨーロッパでは先勝しているチームがつぎつぎに敗れるという不吉な予兆もあり。とくに一昨日と昨日のは……絶句。阿鼻叫喚。
アーセナルとしてはホーム・アウェイでクリンシート完勝したクオーターファイナルのナポリ戦の再来を望みたいところ。
PLでのトップ4フィニッシュの希望が事実上絶たれたいま、アーセナルが今季の目標を達成するために残されているのはELのみ。もしここで逆転&敗退のようなことになれば、エメリ・アーセナルにとっては大きすぎる失望となる。チームのビッグメンタリティが問われる試合だ。
Valencia v Arsenal: Unai Emery targets ‘important’ Europa League title
エメリの試合前コメント
昨日行われた試合前のプレスカンファレンスより。GKを務めるであろうペトル・チェフが同席した。
(逆転される脅威……)
エメリ:グッドイーブニン。われわれにとっては、ロンドンでのファーストレグでプレイしたときと同じメッセージを伝えることになる。ファーストレグのあとであってもまだ50/50であり、あの結果によってわたしの考えが変わることはない。
明日はとても難しい試合になるだろうし、昨日の(※CLの結果)だけではなく、過去に起きたことから学ぶことができる。しかしここでプレイすることは難しいことはわかっていることで、それでも野心をもってプレイするつもりだし、この試合にいい準備とフルのモチヴェイションが必要になる。
(攻撃がわれわれの最大の防御……)
われわれのアイディアは勝つことだ。勝ちたいのなら、得点する必要がある。そしていかに彼らがそれに対応してくるか。なぜなら彼らはとてもオーガナイズされたチームだし、彼らは守備がとても強い。しかし彼らもまた得点が必要だ。彼らにはビッグクオリティとコンビネイションをもった攻撃の選手たちがいるので、得点のチャンスもあるだろう。
われわれは両方やる。守備で強く、攻撃でもチャンスを掴む。そしてそれは明日ピッチで自分たちがどのような状態にいるかにも依るだろう。90分は長く、お互いが攻撃しあう展開になる可能性もある。ソリッドである必要があり、一番重要なことは試合をコントロールすることだ。
(CL出場への最後のチャンスになったプレッシャーはある……)
CLへ行くためにはPLとELふたつの道があった。チャンスをものにしたかったが、PLでは不可能になってしまった。しかしこのコンペティションではチャンスがある。ビッグアンビションとストロングメンタリティとフルモチヴェイションでそれはできるだろう。
明日は楽しみたいと思っている。こういう試合、こういうときにプレイしたいんだ。厳しい相手とのセミファイナル、アウェイ、ただひとつの重要な目標。われわれにはすべてがポジティヴだと思う。
(個人的にもプレッシャーを感じている……)
それはない。わたしにとってはコンディションではない。わたしはいまも昔もひとりのコーチで、自分ができることについて考えるだけだ。われわれがチームや個人の目標に向かって前進するよう、ポジティヴにワークしている。わたしはこれまでに自分自身にとても厳しくしてきたし、いまもそうだ。そして選手たちには同じメンタリティを与えたい。プレッシャーを感じるみたいなネガティヴなフィーリングじゃないんだ。ポジティヴに要求を高くしていくこと、そういうことだと思う。
(元ヴァレンシアのマネージャーとして、証明すべきものがあるか……)
わたしのキャリアは、サン・セバスティアンの北部で生まれ、まずは選手としてサン・セバスティアンでプレイするところから始まった。(※プロとしては)当時2部だったレアル・ソシエダでプレイした。そこでのことは感謝しているし、みんなとたくさん楽しむことができた。ヴァレンシアにはたくさんの友人がいて、たくさんのいい思い出がある。とてもビッグチームで、とてもいい選手のいるビッグクラブだ。いまではとてもいいコーチがいる。
わたしもかつてそこで学び、友だちをつくった。その後わたしはほかのチームでコーチとして働くことになるが、考えることは同じだ。個人的にはヴァレンシアに来て、明日彼らとセミファイナルを戦うことは素晴らしいことだと思う。ファイナルで当たるほうがよかったが、それでもセミファイナルだ。明日は90分、わたしのチームと戦えること。ここの雰囲気も選手個人やチームにもいい経験になるだろう。
(このステディアムには何を感じるか……)
とても特別だね。最後にここでトレイニングしてから4年ぶりに戻ってきた。試合は特別だよ。なぜならここにはたくさんの友人がいるが、わたしもプロフェッショナルだ。明日はわたしはアーセナルチームを守るよ。
明日は敵同士で、わたしはすべてを自分のチーム、アーセナルに捧げるつもりだ。彼らにはとてもビッグヒストリーがあり、いまとてもビッグクラブになった。この戦いは難しいものになるだろう。フットボールに携わるすべてのひと、すべてのプロが、明日のような試合でプレイしたがるだろう。わたしは選手たちにもこれを楽しんでもらえるようにしたいと思う。そして集中してどの時間やどの瞬間もポジティヴな経験にしてもらいたい。サポーターのためにプレイしているんだということを忘れないでほしい。
ヨーロッパの舞台であれほどのミラクルを連続で見たあとだけに、エメリには逆転されるかもしれない可能性について若干意地悪な質問が飛んでいる。
流れ的には、先手を取っているアーセナルが、今回はこのおかしなジンクスのえじきになってもおかしくはない。
逆にこの背水の陣で、どうやってアーセナルはこの苦境を乗り切るのか。3-1というほとんど理想的な差で勝っているにも関わらず、フォームはもちろん、ポジティヴになれる要素が少ないことが心配。
ペトル・チェフのコメント「どの試合でもプレイする準備はできている」
エメリに同席したチェフ。
(ネガティヴな質問で申し訳ない。明日の試合でキャリアが終わるかもしれないなんて考えたりは……)
チェフ:ええと、グッドイーブニン。このコンペティションでこういうポジションに来たのは何回かあるね。ボリソフではファーストレグを敗けて、セカンドレグがぼくにとってのヨーロッパでのラストゲームになる可能性があった。そしてフランスでも敗けた。どちらのラウンドも同じだった。つぎはナポリだ。ホームでは勝ったけど、イタリーに行って相手をリスペクトした。難しくなることはわかっていたからね。明日も同じ状況だ。2点のクッションを得ているが、2点差はアウェイゴールに対して、決定的なアドヴァンテイジではない。過去にもそういったことは見てきたし、これからも見ることになるだろう。それくらいの差はひっくり返ってしまうものなんだ。だってフットボールとはそういうものだからだよ。
明日は相手をリスペクトする。とても難しい試合になる。ぼくらは3-1で勝ったことで、この僅差での争いで有利なポジションにいる。だからぼくらは地に足をつけて、明日のまた難しい90分に備えるべきだ。
(たくさんの試合をプレイせずにフォームを維持することは難しい……)
トレイニングがキーだと思ってる。ベストを尽くして、自分の経験をもって毎週トレイニングしていれば、仮にレギュラーでプレイしていたとしても、やはりキーはトレイニングのなかにあるんだ。トレイニングでいい準備ができるなら、自分がもつすべての経験をもっていいプレイができるだろう。ぼくにはそれが大きな違いになるとも思えない。ぼくはどの試合でも準備できていると思う。
どの試合にも準備ができていると聞くと、いつぞやのメルテザッカーを思い出す。彼は16/17のFAカップファイナルで392日ぶりにスタートからプレイしチェルシー撃破+タイトルにみごと貢献。試合に起用されずとも腐らず、いつでもプレイできるよう準備を怠らなかったプロとしての姿勢が敵将アントニオ・コンテにまで称賛されるというおまけ付き。チェフもメルティもプロの鏡。
チェフは、さすがにキャリアの終わりということでピーク時の輝きはないが、それでもリスクをかけず(無理してバックからつなごうとしない)、ビッグセーブをやるなど、ELでは安定したところを見せている。チェフの力でなんとかチームを勝たせてほしいと願ってやまない。
ベルント・レノのコメント「すべてのビッグゲームでプレイしたい」
チェフといえばレノ。この試合ではベンチになりそうなファーストGK。DAZN DACH(ドイツのダズン?)に応えた。via GOAL
レノ:こんなビッグゲームなら誰だってプレイしたいさ。「プレイしたくない」なんて云うわけないよ。だって信じられないくらいの試合で、みんなが観るはずなんだから。キャリアのなかで何度、ファイナルやビッグゲームをプレイできるかなんてわからないだろう? ノーなんて云うわけない。
難しいのは、つまりぼくはどのビッグゲームでもプレイしたい。そしていまはビッグで重要なそれだってわけだ。
ペトルのことはリスペクトしなきゃならない。ぼくらはお互いにプッシュしあっているから。ペトルはレジェンドでいまだにとてもいいGKだ。
PLではぼくがファーストで、ペトルがELでプレイするというのはマネージャーが決めたことだ。いずれにせよそれは尊重しなければならない。
ぼくはPLで試合に集中するし、もしぼくがELでプレイしないならベンチで集中していることにする。だっていつチャンスが来るかわからないから。
自信をつけているなあ。
フランシス・コクランのコメント「カムバックする気マンマンだ」
ファーストレグをサスペンデッドでお休みした元ガナー。やる気マンマンである。Metroの取材に応えた。
コクラン:アーセナルに勝てたらとても特別な感じがするだろうなあ。ファーストゲームではプレイできなかったしね。でもファイナルにたどり着けるのがもっと特別なことだと思う。クラブにはまた小さな歴史がひとつできるわけだし。
アウェイでは彼らは違うチームになる。少しインテンシティがなくなるんだ。つまりぼくらが得点してダメージを与えられるってことだ。ぼくらには攻撃があるからね。
チームはカムバックする気マンマンだよ。ファーストレグでのアウェイゴールが効いてくる。難しい試合になるだろうが、ぼくらには信じてそれをやれるだけのクオリティがある。
ホームではいつもファンの後押しがある。カップ戦ではヘタフェにヤヴァいカムバックをやったけど、チームはそれを再現する準備はできてるよ。
まああんなのを見てたら勇気づけられるでしょうな。
マルセリーノのコメント「なんでも起きうる」
どうも、彼らも現在リーグ5位というアーセナルと似た状況でこのELからなんとしてもCLに出るというモチベーションがあるそうで。
CLにインスピレーションを受けちゃってる。
マルセリーノ:あの試合は何でも起こりうるということを示している。われわれがマキシマムでプレイするなら、ファイナルへたどり着けるという教訓だと思っている。
どの試合だって違う試合と云うくらいだから、リヴァプールがバルセロナを破ったからといって、われわれがアーセナルに勝てるということにはならない。しかし、ファイナルへたどり着く可能性があるからこそ、われわれはやるんだ。
やっかいだ。
チームニュース
公式TeamNewsより。
ラムジー、スアレス、ホールディング、ベレリン、ウェルベックの5人がアウト。
予想ファースト11
当ブログの予想スターティング。
4-2-3-1
ラカゼット
イウォビ、ミキタリアン、オバメヤン
ジャカ、トレイラ
モンレアル、コシエルニ、ソクラティス、AMN
チェフ
かなり悩んでしまったが、あえて可能性が低そうなバック4を予想する。
4-2-3-1というより、2トップ気味の4-2-2-2あるいは、ミキタリアンをCM気味にした4-3-2-1(4-3-3)。
2ストライカーにはイウォビのサポート。ボールを持たれることも想定されるなかで、攻撃は3人+ミキで。
ちょっと意外なシステムだが、ヴァレンシアはウナイ・エメリがどういうマネージャーかということをよく知っている。裏をかくことも作戦のひとつかもしれない。
この試合では、云うまでもなくこちらの得点がすなわちアウェイゴールとなり決定的な意味を持つ。アーセナルは落ち着いてプレイするためにもどうしても先に点がほしい。
仮にヴァレンシアに先に得点を許すようだと、彼らはあと1点で勝ち抜けとなり、奇跡のカムバックを信じるホームサポーターがチャンピオンズのようなクレイジーな空間をつくりかねない。
試合結果予想
BBC Sports (Lawro’s prediction) N/A
Sky Sports (Charlie Nicholas) 2-1
WhoScored.com 2-1
奇しくもチャーリー・ニコラスもフースコも2-1でホームサイドの勝利&アグリゲイトでアーセナルの勝ち抜けを予想。なんともビミョーな予想だが、いまのアーセナルのビミョーさをうまいこと物語ってもいる。勝ち抜け予想をしてもらってるだけマシである。
チャーリー・ニコラス(Sky Sports):ときどき彼らはわたしの愛するアーセナルじゃなくなる。いまの彼らは腹立たしいほうのアーセナルだ!
いまアーセナルにとってはかなりのアドヴァンテイジがある。ヴァレンシアはこれまでたくさんのゴールを取るようなチームであったことは一度だってないが、しかし、彼らはそんなチームには見えなかった。それがエミレーツでの勝利をより素晴らしいものにしていたんだ。ヴァレンシアが奪ったアウェイゴールはコワイけれどね。わたしは今回もまたギリギリのところに立っているような気分だ。だってウナイ・エメリがどうやって守備をセットアップするかさっぱりわからないのだから。
わたしがアーセナルが勝ち抜けるとして、たったひとつ見える有効なやり方はバック5だよ。ふたりが真ん中を守って、オバメヤンとラカゼットがアップフロントでスタートする。来週誰がプレイするかなんて知ったことか。このふたりをチームに入れないと。ラカゼットがまたアーセナルに勝ち抜けをもたらしてくれることを願うね。
バック5ってことは3CBか。うーんまあそれもあるだろうなあ。でもね。どうせ守っても守れないのですよ。だから攻めるしかないのだ。
試合のみどころ
今回自分で書いたナポリ戦のレビューを読み返してみたのだけど、やっぱりナポリ戦の再現は期待しないほうがいいと思う。アーセナルが素晴らしかったというよりは、ナポリの駄目さが浮き彫りになった試合だった。
今回のヴァレンシアは、ナポリとは違って来季CL出場という強力なモチベーションがある。それがどれだけ大きいものかはわれわれが一番知っている。死にものぐるいだ。
それと、ファーストレグでのアウェイゴールをひとつ奪われていることがやはり大きい。ファーストレグを3-0で落としていたら無失点で3点取らねば追いつけないが、3-1だったので無失点なら2点とればそれで逆転である。まず最初の1点がヴァレンシアに入るようなことがあると、アーセナルがステディアムに蔓延する期待の雰囲気を払拭するのは簡単じゃない。
フォームについては、週末にアーセナルがDAZ~Nな試合をやってPLからのCL出場を断念しているのとは好対照に、週末の試合でカップ戦ながらアウェイで「6点」という大量得点を取っている。アーセナルとのファーストレグで敗けて3連敗だったのに、気持ちをかなり盛り返していると云っていいだろう。
さらに、このミッドウィークのCLの2試合。くわしくは書きたくもないので書かないが、とんでもない試合で、ヴァレンシアのようなファーストレグを落としているチームにヤヴァいくらいの勇気を与える2試合だった。
アーセナルは今季最後まで克服することはできなかったアウェイマッチというだけでなく、こういった数々の逆境を、それでも乗り越えて行かねばならない。
この試合のみどころはズバリ、精神力だ。メンタルだよ。折れない気持ち。それを見せられるかどうか。
EL敗退は今シーズンのアーセナル終了のお知らせだ。どうかまだ少しだけ夢を見させてほしい。
キックオフは日本時間明日5/10(金)早朝4:00。COYG
自分もこの試合に1番必要なのは強いメンタルだと思います。
何が何でもタイトルを獲るんだ、CLに出るんだっていう強い気持ちを見せて欲しい。
あと自分も何がとは言いませんが、ここ2日間めちゃくちゃ悔しくて腹立たしくて羨ましかったです。
3〜5年程なら待てるのでアーセナルもこんな戦いが出来るチームになって欲しい。
ともあれまずはEL決勝行こう。COYG