あまりにも毎度の光景だったからか、思ったより盛り上がってないAW批判。
先週末の敗戦以降、議論も一巡してとりあえずこの辺りがまとまっているかなということで、SKY SPORTSの記事「アーセン・ヴェンゲルの時代は終了? ギャリー・ネヴィル、ジェイミー・キャラガー、ナイアル・クインの議論」を簡単に訳しておきたい。※超訳である。
20年におよぶアーセナルとアーセン・ヴェンゲルのパートナーシップは終りを迎えるのだろうか?
12ポイントに引き離されることになった首位チェルシーとの敗戦のあと、多くのファンの願いとはうらはらに、AWはさらに2年間の契約延長をオファーされるだろうと報道された。
ヴェンゲルは残るべきなのか去るべきなのか。ネヴィル、キャラガー、クインが語った。
ギャリー・ネヴィルのコメント
ヴェンゲルの最大のチャレンジは長期政権ということだ。人々はまだ枯れていないと思い始めるかもしれないよ。もし、ヴェンゲルがユルゲン・クロップだったら。もしマンシティ、リバプール、マンUといった毎年200Mポンドを使うようなクラブより上位だったら。みんな、彼はよくやってるよというんじゃないかな。
もしシーズン始めにAWのいないアーセナルを想像するなら、7位か8位で終わるかもしれないし、持ってる予算を使ってしまうかもしれない。もしAWが今のクロップの立場なら、たった18ヶ月でよくやってるという人がいるかもしれない。実際、いうほどまずい仕事をしているというわけでもないだろ?
アーセナルのファンが、チェルシー戦の敗戦で見せたようなスタジアムでの批判プラカードは見たくもないし、彼はそのような扱いを受けるに値しない。彼は信じられないような仕事をやってきた。もし彼が自らリタイヤを決める日がきたら、すべての人が10ヶ月ものあいだ感謝し続けるだろうし、「ヴェンゲルがいたらなあ」と思うことだってあるかもしれないじゃないか。
クラブは長いあいだAWを支えてきたから、わたしはアーセナルにAWを変えてほしいとは思わない。それなりの気まずさを承知でいえば、彼はまだ枯れていないし仕事を続けるべきだと思う。
ジェイミー・キャラガーのコメント
AWが最初にリーグに来たとき、アーセナルはマンUとタイトルを争っていた。どっちのチームも負けるなんてことがあったらそれはすごいことだったけど、いずれにせよ両チームはグレートだった。タイトル争いは白熱していたね。
その時代のアーセナルは強靭でメンタリティも一貫していた。いま彼らを見ると、毎年いい成績を上げているが、チェルシーには毎年同じ調子で負けている。先制点を取られて2点目はカウンターでゲームオーバー。
アーセナルについて好きなこともあるし、チェルシーでとくに好きではないこともある。ときに監督に対する扱いとか。でも、チェルシーには「2番手じゃダメ」なんだという一貫した強さがある。
AWがトップ4で十分だといい続けるなら、クラブ内やピッチ上にその空気が蔓延するだろう。チェルシー戦を観たら、彼らはほんとうにそんなふうに考えているのかもしれないと思ったよ。「負けたって世界が終わるわけじゃない。ぼくらはまだトップ4に入れるしそれで十分」ってね。
ヴェンゲルが来て以来、アーセナルはそれで十分だったことはない。なんで今そう思えるんだ。いいわけねえだろうに。
ナイアル・クインのコメント
アーセナルにいる誰かが大きな決定権を持っている。クラブのために歴史的な活躍をした監督という理由で、AWは契約更新を受け入れそうな気がするね。でもAWは新しい契約に値する監督かね? それにそういう報告をするにはいいタイミングじゃないよね。とくにチェルシー戦の敗戦の直後というときに、わざわざ炎上させるようなことをすべきじゃない。
スタンフォード・ブリッジでの弱いアーセナルのアプローチには驚いた。それもタイトルがかかったビッグマッチで。子どもと大人が戦っているみたいで、なんかもう観ていられなかったね。何度も何度も繰り返されてきたことをまた観させられているような気がした。何かを変えなければもうダメだろ。
AWは確かにアーセナルで素晴らしい仕事をしてきた。でもわたしは、新しい契約の根拠となるような、去年以来この18ヶ月間で彼がやってきた集大成を見たいんだ。彼に新契約をやるなとはいわないよ。だってわたしは彼の大ファンだから。でも、新契約には動機となるものがあるべきなんだ。
もしこのあとシーズン終了までに事態が好転するようなことがあれば、もしがんばって2位で終わるようなことがあれば、もしチャンピオンズでうまくやるようなことがあれば、AWは残るべきだろう。でも相当がんばらないとね。
ネヴィル、キャラガー、クインの鼎談
キャラガー:
アーセナルがハイベリーを去ったあとの総括をすれば、スーパーパワーになった、いいプレイヤーを惹きつけた、プレミアリーグでいい成績を残し、毎年チャンピオンズで戦っている。
みんなはシーズンの始めにアーセナルが今年はうまくやるだろうって感じたことある?
ネヴィル:
アーセナルに対するおれの不満は、獲得したプレイヤーの資質かな。今季も代わり映えのない選手たちで驚いたんだ。とくにビッグゲームで中盤を支配されているのを見るとちょっとイライラするよね。
でもまあ、彼らは独自のスタイルがあるしAWの信条もあるし。おれたちみんな、クロップやコンテ、グアルディオラについてはその哲学を賞賛できるだろ。でもAWは一番すごい哲学を15年も持ち続けてるんだよ。がんこだよね~。
キャラガー:
でもAWはEPLもCLも取ってないよね。
ネヴィル:
リバプールだってリーグは取ってないじゃん! チェルシーやユナイテッド、シティみたいなチームが数百ミリオンも散財しているリーグでいったい誰が勝てるっていうんだよ。
クイン:
アーセナルってリーグを勝てなくてもいいのかね?
ネヴィル:
そんなことない。おれは、個人的にはすごい哲学を持った監督を辞めさせることについては、なんというか、いやだね。だいたいみんなAWに飽きてきてるんだよな。あまりに長いから。つまり、AWに飽きてきたっていうなら、AWがやってきたことについても讃えないと。
以上。
ちゃんとキャラガーのあのかすれ声で再生してもらえただろうか。
ギャリー・ネヴィルはAWに同情的なのは、やっぱり苦みばしった監督経験があるからだろうか。「哲学(Philosophy)」のくだりだとか、一応ちゃんとマネージャーをやってた人の言葉は含蓄がある。
毎度思うけど、イングランドはフットボールの本場だけあって、このTVショーでのパンディットたちの解説がすごくおもしろいんだよね。BBCのMOTD(マッチ・オブ・ザ・デイ)とかSKY SPORTSのMNF(マンデイ・ナイト・フットボール)とか。日本でもちゃんと観れるようになればいいのに。
個人的には、AWは解任すべき派にこの数年でかなり傾いている。ぼくはずっとAW派だった。一番好きだったアンリが去ったときに初めてアーセナル=AWを実感した。どんなチームでもAWが率いるから面白いのだと。
だけど、いまのこの淀んだ雰囲気を払拭するためにはとにかく変化が必要で、そのためにはもっとも影響力のある人物の首を切るよりほかないじゃないかと思い始めている。もちろん、AWでリーグを取って有終の美を飾るというのが理想的なシナリオではあったけれど。