さて、今年も楽しかった英国の移籍市場は本日8/31木曜日の夜11時にクローズする。デッドラインデイである。英国と日本の時差は8時間ということで、終わりは日本時間では明日(金曜日)の朝7時。もう24時間を切った。なんだかんだあっという間だったな。
アーセナルのデッドラインデイまでの動き
アーセナルのこれまでの動きについては、ヴェンゲル監督が「獲得より放出を優先する」と語っていたとおり、全夏を通して新規獲得はたったの2名。さすが有言実行の男である。
オックス逝く
Liverpool agree deal for Alex Oxlade-Chamberlain with Arsenal
最新の動きとしては、既報どおり、公式発表はまだだが紆余曲折を経てアレックス・オックスレイド・チェンバレンがリヴァプールに移籍が決まったようだ。本人は子どものころからリヴァプールのファンだったそうで(初めて聞いた)、念願かなって憧れのクラブに行けたということらしい。
一説によると、結局蹴られることになったチェルシーのオファーは週給220kだったということで、アーセナルの180kと合わせてとんでもないオファーが舞い込んでいたにも関わらず、リヴァプールとの契約では125kあたりらしい。それでも相当な高給だが。
伝えられていた移籍を希望する理由は金ではないというお決まりの文句も嘘ではなかったということだろう。ということは、つまり今回の移籍は、CMでレギュラー出場という彼の積年の希望がリヴァプールで叶えられるということを意味しており、彼がアーセナルでは決して見せなかった安定したプレイを見せるのかどうか注目したい。
また、一説によるとアーセナルはチェンバレンの代役を獲得する気はないとも伝えられている。攻撃はリース・ネルソンでもいいとして、ベレリンが怪我をしたら右のWBはどうするんだろう? 放出しなければジョエル・キャンベルが戻ってくるので、彼をそのままRWBの控えにするという説もある。キャンベル? 今さら??
ベレリンはリヴァプール戦でもダイレクトに失点に絡んでいたが、彼は怪我からの復帰以来ずっとあんな調子である。仮にチェンバレンがいたとしてもベレリン(RB)の控えは必要だと思っていたので、チェンバレンの代役が必要ないという判断が意味不明である。もはや驚きでもないが。
チェンバレンの移籍については、彼の移籍で戦力がダウンするといったことよりも、数々の疑問を向けられたアーセナルの現在の状況が改めてクロースアップされるという事態になっている。いわく、泥舟(sinking ship)、取引の素人、計画性なし、見ていて恥ずかしい、チンカス、うんこ、云々。散々ないわれようである。
エジルやサンチェスの件はもちろん、ここまで手塩にかけて育てた将来有望な若手選手をキープすらできないということが、アーセナルの深刻さを物語っている。
ギブスがやっと決まる
ここでもまた商売ベタが非難される結果になってしまったが、最終日まで引っ張らなかっただけマシであろう。キーラン・ギブスはウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンに移籍が決定。移籍金は7Mポンドと伝えられている。
Kieran Gibbs joins West Bromwich Albion
13年間ありがとう。
デッドラインデイ(最終日)のアーセナル
まだまだやり残したことがある。
放出
懸案の選手は以下である。
- ドビュッシー
- ムスタフィ
- チェンバース
- ウィルシャー
- エジル
- サンチェス
- キャンベル
- ペレス
ドビュッシーは、ブライトンやトルコのベジクタシュとリンクされていたが、ここへ来て具体的なオファーがないためアーセナルに残留するというオプションも出てきたようだ。もし本当なら個人的にはRBの控えとして残ってもらうのは悪いことではないと思う。本人にやる気があればだが……
ムスタフィも、インテルとの交渉はいまだまとまらず、残留の可能性があるらしい。報道されている条件を見る限り、たしかにアーセナルとしては獲得して1年目のホープをわざわざ不利な条件で放出する理由はない。現状代役もいないわけだし。とはいえ、それが本人の希望であるとするならば、彼もまた残留したところで今シーズンのチームのなかの不安要因になるかもしれず、頭の痛い話しである。結局本人の移籍希望の理由は何だったんだろうか? いじめとかマジなのか?
チェンバースは、具体的な報道がないのでよくわからない。アーセナルは軽くディフェンダー危機の状態にあるので、残留の可能性が高いように思う。
ウィルシャーは、リーガのベティスなどとリンクされていたが、最新の情報ではウエストハムがデッドラインデイでの獲得を狙っているという。50Mポンドの価値はある(※フィットしてさえいれば)といわれる漢、ジャック・ウィルシャー。今季アーセナルのプランに入っていないといわれる以上、移籍はやむを得ないと思われるが、ウエストハムもアーセナル並の危機に瀕しているクラブ。彼が都落ちをすんなり受け入れるような気がしない。
キャンベルも、ガラタサライなどとリンクされながら結局ここまで決まっていない。チェンバレンを逃したアーセナルがキャンベルを代役に使うという可能性はあるんだろうか。ちなみに彼は現時点でいまだシャツナンバーが与えられていない。べつにキャンベルを使ったっていいんだが、ついこの前までは放出する気満々だったというのに。恐ろしいほど計画性ねえな(笑)。救世主キャンベルの帰還を待ち望んでいるファンもいる。
Like a new signing: Arsenal fans believe Joel Campbell is coming back to save them
ルーカス・ペレスは、これまでにもかなり多くの引き合いがあった選手だ。ボスに不可思議なくらいチャンスを与えられなかったというだけで、悪い選手じゃないもんな。ほんとになぜ獲ったという。いまググッて見出しからクラブ名を上げるだけでも、ラツィオ、デポルティーボ、マルセイユ、ニューキャッスル、セビーリャ、ウエストハム、レヴァンテ等々。
最新の報道では、デポルティーボへの復帰が濃厚と見られているが、現在アーセナルがルーカスに求める移籍金(13M)よりも低い金額でのオファーらしい。去年17Mで獲得したルーカス。できるだけ高い金額で放出したいところだが、このままデポルに移籍することになれば、ふたたび商売ベタを非難されることになりそうだ。
エジルは、BVBが獲得を希望しているというゴシップがあったが、いまささやかれているのはバルセロナのアルダ・トゥランとのトレードだ。これが実現すれば驚きになるだろうが、果たして。
エマニュエル・プティがエジルを売ってマレズを買えと吠えている。改めてエジルは評論家に嫌われているな。ぼくもこのブログで何度も書いたとおり、エジルはその天才性ゆえに使うことが非常に難しいプレイヤーであり、アーセナルが進歩するにはエジルは売ってしまったほうがいいとも考えているが、現状を省みるに、いまエジルのようなスター選手を売ってしまうのはアーセナルにとっては悪い影響のほうが大きいと思う。
リース・ネルソンが憧れを語ったように、エジルのような選手とプレイしたいと思っているフットボーラーは世の中にまだたくさんいるはずだし、一般人にとってはフットボールセレブとしての人気も高い。サンチェスに加えて彼を手放そうものなら、ますますアーセナルの凋落が世間に印象付けられてしまう。悪い空気を払拭したいアーセナルがより大きなどす黒い空気に覆われるのだ。もう悪夢としかいいようがない。
最後にサンチェス。ようやく彼の存在がチームに悪影響を及ぼすということが指摘され始めたようだ。一説によるとチームメイトたちもサンチェスの移籍に賛成だという。彼がしぶしぶ残ったところで、チームにメリットがないことはリヴァプール戦で証明されたと思う。
ヴェンゲルが頑固を貫き通すのか、それともサンチェスが最終日にトランスファー・リクエストを出し無理やり移籍するのか。ここまで問題を引っ張ってもはや代役の獲得もままならないという状況をつくり、「彼はアーセナルでハッピー」と現実を見ないコメントを繰り返したヴェンゲルの罪は重い。
しかしまあこれで板前ヅラともお別れかと思うとせいせいしますね。
獲得
長くなりすぎた。つぎにつづく。