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ラムジー本人がアーセナルとの契約交渉破談を認める。移籍の展望とポストラムジー時代のアーセナルについて

昨日スペインとフレンドリーマッチを戦ったウェールズ。試合後のアーロン・ラムジーのコメントが話題で、それによればアーセナルが契約延長オファーを取り下げたのは確かで契約更新はもうないということ。そして自分はシーズン終了までアーセナルでのキャリアを全うするつもりだという。

これは、これまでちまたでさまざまに囁かれてきたラムジーとアーセナルの契約更新交渉が破談したという噂を裏付けるものであり、選手本人がこれについてどのように考え、今後取りうる選択ついても本人自身が語っているということでとても注目されている。

実際に彼はいつまでクラブにとどまるのか、どのクラブに移籍するのか、アーセナルは彼を慰留すべきだったのか、いくつかのポイントを整理してみたい。



アーセナルとの契約に関するラムジーのコメント

Aaron Ramsey: I thought I had agreed a new contract with Arsenal

ラムジー:クラブとはすべてうまくいっているよ。ぼくたちのほうは、もう契約更新は決まったものだと思っていたんだけどね。それはもうなくなったんだ。

ぼくはぼくでフットボールを続けていかなきゃならないし、今シーズンはアーセナルのためにベストを尽くすよ。あとのことはクラブに任せている。

失望したかって? それは彼らの決断だし、フットボールではあり得ることだ。それを受け入れるよりないだろう。アーセナルのためにぼくができることはとにかく集中して自分のすべてを捧げることだけだよ。

シーズン終了までいるかって? もちろんだよ。アーセナルとの契約があるし、今シーズンここで特別なものを取れるように全力を尽くすつもりだ。

なんか脳内で勝手にサバサバした口調で再生されてしまう。。

このコメントによれば、

  • 契約更新はクラブ側が断った
  • 自分はあくまでアーセナルと契約更新するつもりだった(したくらいに思っていた)
  • シーズン途中で移籍することは考えていない

ということ。

クラブ側からオファーを取り下げたことについては、先日の代理人のうっかりツイート(すぐに削除された)が話題だったが、その内容を本人も裏付けたことになる。

ファンの反応

さて、このアーセナルとラムジーの契約にまつわる一連のやりとりは、アーセナルのファンたちが納得できるものだったのだろうか。

クラブはこれまでのラムジーの働きにふさわしい待遇を用意したのか、それともラムジーサイドで過大な要求をしたのか。

Aaron Ramsey won’t force January exit after Arsenal end contract talks

Evening Standardによれば、具体的な条件については触れていないが、これまでさまざまなところで指摘されていたように、現状の週給110kポンドを大幅に増額する条件がオファーされていたという。

この記事についてあるRedditユーザは「全体のやりとりのなかで”契約オファーが数ヶ月間俎上にあった”ということがポイントで、彼らの満足できない条件だったとしても検討する長い時間があり、ゴネ得交渉に応じなかったことはクラブのフェアな姿勢」だと評価している

このレスにはいくらかの反対意見のようなものもあるが、ほとんどが肯定的な反応で、おおむねラムジーに(エジルのような)大きすぎる契約オファーをすることには反対で、エメリがそれを決めたというなら彼の判断を支持するというファンが多い。

噂されているとおり週給200k程度のオファーで満足できないのだとしたら、ぼくにはそれは少しばかり過ぎた要求に思えるが、実際に提示された具体的な条件がわからないかぎりは、ラムジーにも同情の余地があるようにも思える。ラムジーの側で考えれば、提示された条件がエジルの半分程度の週給だといわれればさすがに納得はし辛いだろう。

ちなみに、移籍が噂されるクラブのひとつであるユヴェントスは、彼に週給250kポンドを用意しているという出処の不確かなニュースがあった。それが本当だとしても、もちろん彼がフリーエイジェントで手に入ればという前提になるはずだが。

仮にラムジーを1月に獲得するのに本来20Mポンドかかるとして、それを半年我慢して来夏タダで獲得できれば、まるまる20Mポンドの節約になりその分を高額な週給に充てることができる(例:週給250kは1年で13M)。実際それはユヴェントスというクラブの常套手段ではないだろうか?

いずれにせよ、現在の状況でアーセナルと彼の獲得を狙うだろうクラブとのあいだで条件だけで戦おうとするとアーセナルが完全に分が悪いわけだ。

アーセナルがもしラムジーの慰留を本当に望んでいたのなら、条件面で勝てっこない競争に巻き込まれる前にかたをつけなければならなかった。

ラムジーが「必要」なクラブ

報道されているように、彼をほしがっているクラブがほんとうに複数あるというのなら、それはアーセナルにとってとても歓迎すべきことだとぼくは思う。

クラブ間で獲得合戦になればなるほど、1月に移籍金の発生する取り引きになる可能性が高まるからだ。

ただし、そもそも高額なラムジーをそんなに欲しがっているクラブがそんなにいうほどあるかどうか、疑問の声もある。

フィル・ネヴィルとエメリによるアーセナルの進歩を分析するというSKYの?番組で(すぐ消えそう)、この映像の後半あたりからラムジーの行き先について検討されている。

なぜかチェルシーが出てこないが、マンシティ、リヴァプール、マンU、どのチームも現状でラムジーを使いたいポジションに不足がないと指摘している。

まず、PLのトップサイドではワイドのアタッカーは基本的に足の速いウインガー系ばかりで、皮肉にもワイドにインサイドFWを置きたがるアーセナル以外では、そこにラムジーが入る余地はない。

となると彼が配置されるのはCMだが、現状ラムジーを高給を払ってまでどうしてもほしいと思っているようなクラブはあるか。

おそらく現時点でもっとも本命視されているラムジーの移籍先はリヴァプールだろうが、CMにケイタ、ファビーニョ、ミルナー、ヘンダーソン、ワイナルドゥム、さらにチェンバレンまで抱えている彼らがここにさらに高給取りのラムジーを望むだろうか。たしかにクロップのハッスルサッカー(笑い)にラムジーのスタイルは合いそうだが、コストをかけてどうしても必要かどうかは微妙なところだ。

チェルシーは現状ならもしかしてバークリーのポジションにハマりそうな感じはあるが、彼はいまサリの下でフォームを取り戻しているところだ。控え選手にふつう週給200kは払わない。

そう考えると、ちまたで喧伝される噂に反して、本人が移籍を望むPLのトップクラブが彼の大きすぎる給与の要求に応えるとは考えにくいような気がする。ガジディスが転職したミランやユヴェントスといった、イタリアンクラブのほうが現実味があるのではないか。※なお彼らのチームでCMに空きがあるのかどうかぼくは知らない。

移籍は1月か6月か

ラムジーの放出が決まった時点でアーセナルは1月にいくばくかの移籍金を得たいと思っているはずだ。

先日アーセナルは25M以下程度でもオファーを受け入れるつもりという噂があったが、残り契約半年の選手をその価格で買うようなクラブがあれば儲けものかもしれない。1月の移籍なら15-20Mポンド程度が現実的ではないかといわれている。

そういったクラブの意向に真っ向から反するのが、ラムジー本人の今シーズンはクラブに残るというコメントだ。

アーセナルと契約を更新せず退団が決まったいま、エメリがラムジーをスコッドから干すでもしない限りは、ラムジーサイドにとってはシーズン中の1月に無理して移籍するメリットはあまりない。それよりも来夏のフリーエイジェントでより有利な契約条件で新しいクラブと契約するほうがよほど魅力的だろう。

そして、ラムジーが今季残留宣言をしているということは、もうすでに移籍先クラブとある程度話しがついている可能性も疑われる。ユヴェントスかミランか、チェルシーかポグバが退団するマンUか、それはわからない。

先日、アストン・ヴィラのジャック・グリーリッシュがクラブと契約を更新して驚かされたが、その後新契約には45Mポンドで移籍できるリリースクロースが含まれていることがわかったという。いうまでもなくグリーリッシュという選手はビッグクラブが狙う未来のスター選手候補であり、ヴィラのようなクラブの選手なら移籍は時間の問題だと思われている。その選手がいまクラブと契約を更新し、現実的な金額のリリースクロースを付けた。これはつまりクラブへの愛情とか恩返しみたいなものではないだろうか。違ってたらごめん。

ラムジーはプロフットボーラーなら自分の利益を追求するのは当たり前で、もしかしたら今回のやりとりで自分があまりクラブからリスペクトされていないと感じ、恩返しなんてする気は微塵もないかもしれない。

でもグリーリッシュのような選手の振る舞いを見るに、もしラムジーに少しでもクラブへの恩義や愛情があるのだとすれば、なるべくクラブの負担にならないような移籍をしてほしいと願う。

ラムジーのこれまでの苦節うん年のアーセナルライフを考えれば、ジャック並みにクラブ愛があってもいいと思うんだけどね。

ポスト・ラムジーのアーセナル

考えてみれば、ラムジーはどこがベストポジションなのか、アーセナルで10年もプレイしながら最後まで評価が定まらなかった選手かもしれない(チェンバレンもそんなふうにいわれていた)。

彼はセントラル・ミッドフィルダーでボックス・トゥ・ボックスで、いいときは最高のCMだったが、そもそも中盤守備に不安を抱えていたアーセナルでは、奔放なポジショニングは評価される以上に批判も多かった。

今季、エメリはラムジーをCMではなくNo.10に置くという思い切ったトライをしているが、結局それもあまりうまくいったようには思えなかった。

先日も書いたように、エメリはNo.10ポジションの選手にはプレッシングを主導する役割を与えたいと考えている。だからエジルをそこに置くことに消極的になっている。

しかしエジルの右ワイド起用のせいもあったはずだが、ラムジーのNo.10はエメリが期待したほど機能しなかったと思われる。

かように、エメリのようなコーチにとってもラムジーは扱いの難しい選手だったのだろう。

アーセナルにとって不幸中の幸いといえることは、現時点で彼がいなくなるとかなり困るポジションというのがないことだ。たぶん。

もしラムジーがいなくなるのがいまだとしたら、ラムジーを代替できるNo.10にもっともふさわしい選手はミキターリアンだろう。彼は、ラムジー以上にエメリのNo.10の要求にうまく応えられる選手かもしれない。

またCMは、すでにラムジーがいなくても十分に層が厚い。ふたつの席に対し、エメリが使いたがるディフェンシヴな役割もこなせるタイプがAMNやウィロックを入れたら6人もいる。

試合のなかでラムジーの不在が気になるのは、ガッツリ後ろに引かれて試合が膠着し、ボックス内に飛び込むような意外性のある動きに乏しいようなときだが、それもいまならイウォビがいて、ふたりのストライカーが絶好調なエメリのスクオッドで大きな問題になりそうな気もあまりしない。

アーセナルがラムジーの契約延長オファーを取り下げたのはエメリの意向だという見方があるが、こうやって現在エメリが取り組んでいるシステムやスコッドの顔ぶれを俯瞰し、アーセナルが今後どのような選手を獲得するつもりであるのかを考慮すれば、エメリの判断は十分納得できるものだ。

使い所が難しく、ときにパフォーマンスの安定性に欠くラムジーに大きすぎる契約を与えるよりは、現在いる有望な若手にチャンスを与えたり、エメリが好むスキルセットをもった新しい選手に期待するほうがポジティヴだと思う。それこそ前向きだろう。

ラムジーはアーセナルの攻撃にとっては大きな武器であったが、同時に守備では大きなウイークポイントでもあった。

ラムジーがいなくなるとアーセナルは混乱が減って、少し選手とポジションと役割が整理されるかもしれない。それは、アーセナルにとってはより安定感を増す効果があるだろう。安定感や継続性というのは、アーセナルの改善を語るときのキーポイントなのだから、つまりそれがもたらされるのだとすれば歓迎すべきことである。

以上

あ、なんかやっぱりラムジーに冷たい論調になってしまった。。

おまけ

今回RedditやTwitterなんかを見ていても、アーセナルのキャリアでたくさんのハイライトがあるってのに、やっぱりラムジーってあんまりファンに愛されてないのかなあと思って、そういえばラムジーのチャントってあったっけとYouTubeでググった(←間違いじゃない)。

ああ、こんなのあったなあ。。

しかも『ジャスキャンゲッイナ』じゃんね。

若い。



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

15 Comments on “ラムジー本人がアーセナルとの契約交渉破談を認める。移籍の展望とポストラムジー時代のアーセナルについて

  1. ラムジーに関しては、mixiでも話題になってますが、概ね
    愛着があるから移籍は寂しい
    戦力としては不安定で高額なサラリーは不

    バランスを考えるなら売ったお金でワイド
    の選手を欲しい
    という論調です。かく言う私もそうです。寂しいですが、ベンゲル時代から良くも悪くも変化する必要があるのかな、と感じます。

    1. mixi! まだあったんすね。

      おれはファブレガスが出てきたころに「17才でアーセナルのレギュラーとかヤバすぎ」とか日記に書いてた記憶ありです!

  2. 国外は絶対条件ですね。
    戦力流出を防ぐためというのはもちろんですが、アーセナルのフロントが変わったんだということの証明のためにも…

    1. AFC的にはもちろんそうなんだけども、今回の件は契約が1年切った時点で、基本的にもうラムジーサイドがずっと主導権を握っていると。アーセナルが1月に売りたくても本人が首を縦に振らねば実現しないはずですよ。

      だから来夏に基本フリー移籍が順当で、もし1月に移籍金を発生させて退団することになったらラムジーのアーセナル愛をほめていい。そんなふうに思っております。

  3. はじめまして
    個人的には好きな選手ではあるんですが守備無視するところもあるので放出もありかな~って思ってる最近です。
    個人的には国外でバレンシア辺りがいいのではと…

    1. や、ヴァレンシアは週給200k出さない。。

      というか週給200kってもう出せるクラブはそんなにないはずなんすよ。PLクラブか、5大リーグでもトップサイド。前にエジルのサラリーを出せるクラブは世界に7つしかないってエントリ書きましたけど、ラムちゃんも似たようなもんだと思いますよ。

      1. 完全に給料のこと考えてませんでした!ラムジーに合いそうなクラブで書いてしまいました。
        確かに週給200k出せるクラブがほぼないのにラムジーにってなると油田持ちぐらいしかないですね。

  4. 僕もラムジーに関しては放出しても構わないと思います。なので出来れば1月に放出して移籍金が欲しいところですが、ラムジーが家族の事情(奥さんが出産間近?)で国内で移籍したいらしく、そうなるとラムジーのサラリーを払えるようなチームが1月に移籍金を払ってまで獲得に乗りだすかといえばクエッションマークですね。

    1. 家族がイングランドに残りたいってのは、よく聞くんで、やっぱりそれだけ都会が魅力的なんでしょうね。

      アーセナルがマンチェスターのクラブじゃなくてほんとによかった。

  5. デビューから見ている立場からすればショークロスの殺人タックルからここまでやれるようになったと感慨深くもあるけどずば抜けた走力以外に武器となるものが身につかなかったというのが残念でした。経験を積めば危機察知能力やミドルレンジのパス配給など出来るようになると思っていたのですが…。
    でもホントキャリアがあれで終わらなかっただけでも良しとするべきですね。新天地で頑張ってほしい。

  6. ソング、ナスリ、フレブ、ベルマーレン、ファブレガスなど、アーセナルでガチメンだった人が外に出てかすんでいくなんてことはけっこうあったとゆう印象です。ロビンも1年後には消えた感じだったし。あのアンリですら…。よくもわるくもアーセナルは特別なクラブなのかな。ラムジーもどうなんでしょう。誰よりもある意味かなり個性的なアーセナル的な選手なんでね。
    それでもオレたちは進むしかない。
    COYG

  7. こんにちは。
    いつも楽しくブログを拝見しております。
    個人的にラムジーがかなり好きな選手(イケメンだし)なので、いなくなるととても寂しいですね。
    ベンゲル時代に長らく続いた無冠の時期を終わらせたのもFAカップ延長のラムジーの決勝点があったからだと思ってます。(あの試合を通してのラムジーの出来はもはや覚えていませんが。)
    とは言え、ここ数年のラムジーのパフォーマンスは戦力的にはいなくてもなんとかなる選手のそれを超えるものではありませんので、エメリが放出を望むのであれば仕方がないですね。。。

    1. エメリは放出を望んだわけではないと思いますよ。ずっと彼はラムジーを重要な選手だといっていましたし。

      アーセナルのバジェットや給与体系からみてそこまでの高給に値しないと思ったということでは。結果的には同じことですけども。

      エメリがもっと金のあるクラブのマネージャーならクラブにキープをお願いしたんじゃないですかね。

  8. ユーベってロナウド除いたらピャニッチやディバラでさえ500〜550万ユーロとかそのレベルでしょ
    今年フリーで入ったジャンで500万ユーロなのにラムジーに週給25万ポンドとか飛ばしとしか思えない

  9. RLCとのトレードが可能なら国内でも良いかも。と言っても、本人が冬に移籍するつもりはなさろうですけど。

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