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Arsenal, Misc

女性グーナーであるということ

先日、ツイッターで見つけてなかなか興味深いと思ったので共有したい。

How an Arsenal fan launched a football podcast with ‘fans from across the world’
http://islingtonnow.co.uk/gooner-girl-arsenal/

アマンダさんという有名なグーナーがいらして、彼女が立ち上げたポッドキャストが成功を収めているということでいま注目されているそうだ。

ポッドキャストはこちら。

Highbury Squad

『イズリントン・ナウ』という現地メディア?に掲載された彼女のインタビュー記事をざっくり訳してみたので、よかったら読んでください。女性のアーセナルファンには元気の出る記事かも。



ひとりのアーセナルファンが、いかに「世界中のファンとともに」ポッドキャストをロンチしたか

アマンダは生まれながらのアーセナルファンだ。

「4才のときから試合を観に行ってた。うちの宗教みたいなものだったんだよね」

エセックスで生まれ育った彼女は、生涯グーナーの父が、1970-71のスクワッド全員の名前を書ける幼い娘をいかに友人たちに自慢していたかを述懐した(※70/71はリーグとFAカップのダブルを取ったシーズン)。

「わたしはそのときまだ3才で、しゃべれたかどうかも怪しかったんじゃないかな(笑い)」

十代のアマンダは、土曜の午後はいつもデートの誘いを断り続けながら過ごすことになった。

「ずっとフットボールで予約済みだったからね」

そして、1989年のアーセナルとリヴァプールにおけるリーグ最終決戦について。

「人生最良の夜だった」

バーキングサイドからやってきたグーナー、寝ても覚めてもアーセナル。それでも、彼女があの有名な2-0勝利を思い返すとき、「あの日のアンフィールドに女性はほとんどいなかった」。

しかし2012年、アマンダのフットボールとの関係は完全に変わることになる

彼女は、友人にツイッターアカウントをつくることを勧められた。それを使っているフットボールファンがいっぱいいるからと。

「まず何からすればいいかも皆目わからなかったのね。でもすぐに熱中した。わたしは自分がよく知っていることについてツイートを始めた。フットボール、皮肉やTVのことなんか」

アマンダのアカウントはすぐに大量のオーディエンスを集めることになった(いまでは25kのフォロワーがいる)。すると、彼女はフットボールコミュニティで知られ始め、さまざまなポッドキャストやフットボールショウに招待されるようになった。

ソーシャルメディアがアマンダのすべてを変えた

「それ以前は、わたしはただ友だちとフットボールを観に行って帰って寝るだけだった。けど、いまは、毎日のようにほかの何百人というファンたちとつながることができる。これはまったく新しい経験だった」

そしてすぐにアマンダにはさらなるオファーがあるとわかり始めることになった。

「ほかのアーセナル・ポッドキャストをやっている人たちで、いまのトテナムのマネージャーが誰か知らないなんてのもいた」

だから彼女はLAにいたスポーツジャーナリストのSophie Nicolaouたちと組んで、2017年に女性が運営するアーセナル・ポッドキャストを立ち上げた。

2018年には、そのソフィーとアマンダと仲間たちの「the Highbury Squad podcast」は広く知られることになった。

アーセナルレジェンドのリー・ディクソン、コメディアンのマット・ルーカス、BBCフットボール司会者のギャリー・リネカーらもフィーチャーされ、アーセナルのスターだったケヴィン・キャンベルにいたっては2018年8月以来のレギュラーゲストとなった。

「わたしたちはバカじゃない。フットボールを語っているんだ。そしてみんながこのショウに参加することを楽しみにしてる」

フットボールの世界は男性に支配されている。ピッチのなかでも外でも。アマンダはそれがストレスだという。「自分を女性ファンだなんて思ってないから」

「わたしはただグーナー。わたしが育った場所では、わたしは”the token woman”(※女だからという理由だけで仲間入りする女性)みたいには扱われなかった。ただアーセナルに詳しいファンとして接してもらった」

彼女が望む考え方、それはより広く女性にスポットを当てるもの

「わたしたちはこういうのはもう止めるべきだと思う。”女にしてはいいね”。メディアはいつもアレックス・スコット(元アーセナル&イングランド代表)を”女性にしては素晴らしい”なんていう。でも、誰も”ギャリー・リネカーは男にしてはグレイトだね”なんて云わないよね。どうしてメディアというのは、いつもこういうダブルスタンダードをやるんだろ?」

「思うに、BBCとITVはいまもチャンスを逃し続けてる。もし彼らが女性にもっと観てもらったり、プレイしてもらいたいというなら、もっと女性をショウに出すべき。フットボールが好きな女性だってすごくたくさんいるし、知識をたくさん持っている人だっている。なぜ彼女たちを呼ばないの?」

アマンダはこちらがつられてしまうほどポジティヴで、彼女が生み出しているものからもそれがわかる。オンラインでの露出はあざけりの対象になるリスクもある。実際それは彼女が受け取るべきものよりもずっと多い。しかし彼女はまったくひるんでいないという。

「リアルの男たちは、わたしが女でフットボールを語れるからって気にするようなことはない。それにもし誰かが攻撃的になって”キッチンにすっこんでろ”みたいに云ったとしても、わたしは仕返ししたりしない。皮肉でやり返すようにしてる。で? あなたはベッドルームでどうすればいいかわからないんでしょ? それがわたしに気に入りのレスなんだ」

ポッドキャストのこれからについて問うと、

「もちろんどこかがスポンサーになってくれればすごいことだと思う。そうなればオーディエンスを広げられるし。だっていま一銭も稼いでないんだから」

アマンダはポッドキャストのプロデュースをやりながら働いている。キッチンでSkypeを使いソフィーやゲストたちと”Highbury Squad”を録音している。

「ぶっちゃけ、どれだけの人がいつもこれを聴いてくれてるかわからないんだよね。視聴者数を増やすためにやってるわけじゃないし、フットボールが好きで語ることが好きだからそれをやってるだけで」

今季のリーグ終盤に向けて彼女の予想を聞くと、

「去年の8月か9月に、最後にはトップ4に入るしカップも取るって云った。3月になったけどまだどちらも可能でしょ」

「エメリは与えられたものでグレイトな仕事をしていると思う。称賛しかできないな。これからはかなり忙しいスケジュールで戦っていくけど、ELも勝てるしトップ4にも入れるよ」

そしてすぐにこう付け加えた。

「願わくば3位。そしてトテナムより上に行く。いつだってそれがいい」

以上。

女性とフットボールというテーマは、しばしばメディアなどでも取り上げられるトピックだと思うけど、それでもいまだに女性のファンがこの世界で市民権を得ているような気はしない。

ぼくも含めてやっぱりまだ多くのファンが男性だろうし、女性ファンの絶対数が少ないのは否めない。

でも、もしこういった熱狂的女性ファンが広く認められて、今後もっと多くの女性がフットボールの魅力に気づくチャンスがあるのなら、クラブにとってはそれもまたチャンスだろう。AFCにおいては、こうした動きを見逃さないでいてほしいと思う。

フットボールの世界に限らないが、人種問題と同じくらい(かそれよりももっと)女性問題は根深い。世の中は差別と偏見に満ちあふれている。

去年くらいからリタイヤしたアレックス・スコットがBBC Sportsのパンディットをやったり、TV中継で解説をやったりしているのを見かけるようになった。

が、逆に云うとフットボール番組での女性の起用はいまだにせいぜいがそれくらいで、あとはときおりトークの聞き手として出演しているくらいだ。女性が「訊かれる側」であることは極めて少ない。

あきらかに母数が違う状況があるので、これがそっくりそのまま女性差別だとは云わないが、アマンダの云うように、まだこの分野でも女性活用の余地がたくさん残っていることもまた事実だろう。

アーセナル界隈だと、エイミー・ロウレンス(『インヴィンシブル』の著者)のような有名なジャーナリストもいるし、アーセナルがそういったところでもこの世界をリードしてくれたらいいのにと思わずにはいられない。

それとこれは個人的に思うところだけど、このアマンダさんは話しからするとたぶんいま50才くらい。ツイッターを始めたのも2012年からということは40すぎてからだ。アーセナルが大好きでたまらないおばちゃんがSNSで世界中のファンたちとつながって、新しいことを始めた。それが成功しつつあるという、とってもロマンのあるストーリーだ。

それくらいの年齢になってもすごくアクティヴで新しいことを始めてまだワクワクできるってことも、いい年のおれには励みになったし共感した。

これからもブログを楽しく書いていこうと思いました。

以上



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

4 Comments on “女性グーナーであるということ

  1. トテナムより上に行く。いつだってそれがいい。

    何を置いてもトテナムより上がいいよね、ってサラッと言えるのが現地の人だよなあ。

  2. 彼らはワイハーレーンで優勝を決める以上のエクスタシーはないとか云っちゃうひとたちですからね。

  3. とても興味深い内容でした。
    話は逸れますが、エミレーツでの試合だとほぼ必ず「アーセナル、アーセナル!」とひとりでチャントする女性(おそらくわりと年配?)の声が入ってきますよね。中継で拾っちゃうくらいなのでかなりの大声だと思われるのですが…..日本から中継で観てて「あ、今日も元気だなあ」と意識してしまうくらいなので、現地ではコアなファンとして有名な方なのかなあ、と。
    この記事を読みながらぼんやり思いました。

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