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【マッチレビューその2】18/19EPL トテナム vs アーセナル(2/Mar/2019)正しい方向【マッチスタッツと論点その1】

レヴューエントリの前半につづいて、NLDのマッチスタッツと語りどころを。



試合について

アーセナルのファースト11

ToTのラインナップも合わせて確認しよう。Sky Sportsより拝借。

ToTの3-4-1-2に対して、アーセナルは4-2-3-1と予想通りのシステム。

ラカゼットのワントップ、背後にラムジー、左右にイウォビとミキタリアンというハードワーカーアタッカーズ。

意外だったのは、この守備が重視される試合でジャカの相棒にトレイラではなくゲンドゥージを入れてきたこと。試合前「アーセナルのMFの5人にはひとりとしてボールウィナーがいない」と不安げにつぶいやいたインフルエンサーもいた。

そしてもちろん、RBのムスタフィにも驚かされた。そしてLBにはこのところアーセナルで攻撃のキーマンとなっているコラシナツではなくモンレアル。このフルバックが意味するところとは??

ちなみにムスタフィのRBについては、ぼくも以前彼はどこかでRBをやってたはずと思っていたのだけど、誰かが云っていたところによるとジャーマニーNTでやっていたことがあるそうだ(1回だけ?)。

ペナルティを与えることになったプレイも合わせてムスタフィは今回もまた酷評されているが、彼はエメリがやらせたかったRBのロールを粛々とこなしたとも云える。

マッチスタッツ

BBC Sportsより。

ポゼッションだけはややホームチームが上回っているが、基本スタッツはわりと互角である。

一方、チャンスのクオリティを示すxGには大きな差が出た。

おなじみのCaley Graphics氏によれば、アーセナルはペナルティを除いても2を上回り、対するToTは1以下。

Arseblogではまたスコアが違うが、アーセナルの明らかな優位はここでも揺るがない。

Arseblog(スコットウィリス)によれば、90分間ToTのxGがアーセナルのそれを上回った時間はなく、また試合結果もアウェイチームの3ポインツがよりふさわしかった。

個人的には両チームのxGにここまでの差があったかどうかはわからなかったが(レノのビッグセイヴもあったし)、いずれにせよアーセナルが相手にボールを持たれながらも試合をほとんど優位に進めていたことは、試合を観ていた印象どおりである。

だから、ポッチェティーノやケインが自分たちのほうが勝ちに値した、グッドゲイムをやったと考えているのならそれはとんだ勘違いである。このバカチンが!

試合の論点

強敵相手におけるエメリの戦術的適応。ケイン・ソン・エリクセンを封じる守備

いろいろな記事も読んでいるが、このYouTubeヴィデオの戦術解説が守備についてよくまとめていたのでそれを合わせて確認していこう。

この試合のアーセナルはとくに守備がソリッドだった。いつもとはかなり違う戦略も見られた。

ぼくがこの試合でいつもと一番違うと思ったのは、フルバックのふるまいである。

ムスタフィとモンレアルが担った両サイドのFBは、いつものような爆上がりを抑えてCBとともに後ろに残り、自陣のスペイスを消すこと/アタッカーへのマーキングに注力していたように見えた。

エメリといえば、もっぱらFB/WBを高く上げてワイドを使ってファイナルサードを攻略するシステムを好むが、今回は明らかにFBを上げない作戦を取っていて、あえてムスタフィを右に配置したのはその意図があったのだろうと思われた。

DAZNでコメンタリも指摘していたが、ToTは前半左WBのローズがまったく仕事ができず左サイドの攻撃が停滞したいた。それはひとえにRBでムスタフィがふたをしていたからだろう。

アーセナルが悪いときは必ず彼らが上がった後ろのスペイスを悪用されてしまうので、アウェイでボールを持たない時間も多い試合ではそこをとくにケアするのは当然でもあるが、事前にもコメントしていたように彼らのトランジションに対しかなり慎重になったことが伺える。

そしてTV中継ではわからなかったが、ポゼッション時には、ボールを奪われたときに備えてDF陣はいつもよりラインの定位置をかなり下げていたようだ。

これらははっきり前からハメに行くというよりも、ケイン、ソンというスピードがあり裏のスペイスに走り込むのがうまい選手たちへの対策を優先した結果だっただろう。

もちろん、イウォビとミキタリアンの守備の貢献もここで指摘しておく必要がある。

彼らは守勢ならば最後尾までだって戻ってくることをいとわないハードワーカーで、彼らのようなアタッカーがいたおかげでアーセナルの守備はより強固になっていた。

ディフェンスラインを下げたせいでアーセナルのディフェンスの前にはそれだけ大きなスペイスができたが、そこを使おうと走り込む選手たちについていったのが彼らである。

ゴール前ではがっちり守備に参加し、ケインやソンがゴール近くでボールを持てば、すぐさま3人4人で殺到して囲んでしまうさまは見ていて惚れ惚れしたものである。やればできる。。

彼らの攻撃に対するもうひとつの対策は、No.10のエリクセン封じで、パスの出しどころを徹底的に封じようとするやり方はジョルジーニョにマンマークをつけたチェルシー戦を彷彿とさせた。

この試合では、前半はゲンドゥージ、後半はトレイラがその役割を担うことになったが、ゲンドゥージを前半だけで変えた理由はこのマンマークの質あたりにあったのかもしれない。

このヴィデオの指摘するところによると、エリクセンの普段の数字(平均パス53、キーパス2)からはかなり悪い結果しか残せなかった(パス32、キーパス0)そうで、エリクセンをうまく封じたこともアーセナルが試合を優勢に進めるうえでは非常に重要なところだった。

攻撃では、終始カウンターが効いた。

これはアーセナルとは逆にToTがハイラインを敷いていたせいでもあり、ラムジーが抜け出した最初の得点はハイラインを逆手に突いた典型的なオフサイドトラップやぶりだった。

アーセナルのカウンターが効いたのは、全体の重心が低かったせいもあるだろう。それだけ敵陣には多くのスペイスがあり、つけ入る余地があった。

エメリはポッチェティーノのやり方を徹底的に分析し、彼らの得意なプレイを無効化するシステム・戦術を準備、少ないチャンスでもそれを最大化できる戦略を用意して試合に望み、確実に手応えを得た。

同じく戦術家カテゴリにいるだろう、ポッチェティーノ相手に今季ホーム・アウェイで「知略・策略」で上回ったことはエメリにとっては、大きな殊勲となったし励みにもなったに違いない。

あわやシーズン・ダブルだったのだ。超つよい彼らに。

ビッグチャンスをミス

この試合、xGでも示されているとおり、アーセナルは少なくとも2得点(+ペナルティの1得点)は、しているべきだった。

ラカゼットとオバメヤンという頼れるふたりが揃ってビッグチャンスを決められず。よりによってこのリーグきっての高コンヴァージョンコンビが。このタイミングで。

最後の最後にペナルティを外すという衝撃的なミスで、目の前にあった勝利をみすみす逃したことは、アーセナルにとって貴重すぎる2ポインツを失うという手痛い代償となってしまった。

試合直後には正直なところ、せめて、せめてこのタイミングでやらかさないでいてくれさえすれば……と思わずにはいられなかった。

オバメヤンはとくにビッグチャンスをミスしがちなFWだという評価であるけれど、それを補って余りある貢献があることは云うまでもない。

結局、それは起きてしまったことで、誰も彼を責めることはできない。ペナルティはギャンブルみたいなものなのだし(と誰かも云っていたような)。

試合後には彼は責任を感じて涙を流していたという。こんな選手をいったいどんなファンが責められるだろう??

チームメイトからのPEAを励まそうと、クラスなメッセージも相次いだ。

“We win together, we lose together, we draw together”

おれは泣きましたよ。いまも泣きながら書いてる。

……まだ長くなりそう。

論点エントリもふたつに分けよう。さらに論点その2エントリにつづく。。



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

3 Comments on “【マッチレビューその2】18/19EPL トテナム vs アーセナル(2/Mar/2019)正しい方向【マッチスタッツと論点その1】

  1. 個人的にプレミアに慣れてきたソクラテスの補強が1番の当たりだと思います
    ソクラテス、コシエルニーのコンビはここ数年で1番安心して見ていられる
    次のユナイテッドは手強いと思うけど今のアーセナルなら決めるところを決めれば勝てるでしょう
    オバ、ラカ次は頼むよ〜笑

  2. ジャカの投稿には痺れました。92年生まれの26歳でまだまだ若い年齢であるにも関わらず、プレーを始め言動に人を突き動かすようなキャプテンシーある熱意を感じて感銘を受けますね。(オーバメヤンやラカゼットのおふざけSNSに良い意味であまり出てこないのもポイント高いです)

    ラムジーが去ってしまう中、ああいったファンの感情を揺さぶる選手は大事ですね〜長くいて欲しいです!

  3. NHKの放送でもう一回見ております。面白いですな。エメリは前半に選手を変えませんが、今回は40分あたりで誰か変えたら良かったかも。

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