ホームでのロンドンダービー、CL出場をかけた厳しい競争のなかでポインツを落とせば心理的大打撃は避けられなかった。重要な3ポインツ。しかし思いの外、苦戦。
マストウィンな試合でちゃんと結果を出した勝負強さはポジティヴながら、またしてもGKに救われるような、残り10試合が心配になるようなパフォーマンスを披露してしまった。
アーセナルにとっては珍しくVARに救われた試合ということで、そこは記憶に残ることになったが、内容は凡戦そのもの。そして、アルテタが来てからもこのレヴェルの相手に苦戦するのはこれが初めてではない。
この3ポインツ&クリンシート&PL3連勝は、たしかにチームの自信を深めるきっかけにはなりうるだろう。しかし、ひとつ間違えれば簡単に崩れ去る危うさも同時に感じているに違いない。
いまこそ自分たち自身を信じる力が試されている。だが、同時にこのチームは何かがうまくいっていないというちぐはぐさ。そんなことをあらためて感じさせる試合であった。
Arsenal 1-0 West Ham: Alexandre Lacazette gives Gunners victory
まずはコメント集から。追ってマッチスタッツと論点を。
アルテタの試合後コメント「ビッグチームなら道を見つけるもの」
試合後のプレス会見。オフィシャルサイトより。
試合について
(勝利について……)
アルテタ:結果にはとても満足している。チームは道を見つけたし、ビッグチームとはベストでないときもそうするものだ。何かを掴んで勝ちをもぎとる。今日はベルントとそれをやったし、セントラルDFからは2つ3つのいいアクションもあった。そしてベンチから出てきた選手がインパクトを出し、チームのために勝った。
わたしは運はそれほど信じない。われわれに必要だった幸運があったのはたしかだが、同時に、クリアやセイヴなどバックにとてもいい個人のパフォーマンスがあったからでもある。
結果にはかなり満足している。ビッグチームならベストな日でなくとも(勝てる)道を見つけるものだから。パフォーマンスに関してはわれわれのベストの日ではなかった。
そこから築いていくんだ。そこから学べるし、ポジティヴになれる。ネガティヴなこともいい意味に捉えられる。選手たちが見せた一致団結は、最終的に実を結んだ。数日前、オリンピアコスではそれができなかったが、今日はやった。
(前半のパフォーマンス……)
前半は、お互いコンパクトになり、そして深いブロックで守る。そんなときがあった。われわれは、たくさんのシンプルなボールを危険なエリアで渡してしまい、それが相手の得意なトランジションをやらせることになってしまった。そこからフリーキックになり、コーナーになり、われわれは自分たちのフロウを見つけるのに苦労することになった。
それと、ファイナルサードでも少ししかプレイできず、ファイナルパスが不足していたし、正しいパスもそう。ファイナルサードでは、もっとアグレッシヴに、フィニッシュをやりたかった。
(今日のチャンスのなさ……)
ウェスト・ハムはとてもいい守備ブロックをつくったと思う。それが難しくした。わたしは今日、ボールを速く動かせていたと思えないし、シャープでなかった。
ファイナルサードへの侵入やそこで脅威になることについては、クリアな絵を描けていなかった。フィニッシュアクションがまるでやれず、思うに、すべてはファイナルサードへ行くまで(が問題)だったし、正しいパスを出すことに苦しんだ。それが、相手にトランジションを何度も許し、前半はボールを失い、エリアを失い、相手に走り込む余地を与えた。
そして、その後はセットピースやロングボールに苦しまされた。しかし、われわれは進歩するだろうし、いつだって勝つことで進歩できるものだ。
(VARについて……)
ゴールが認められなかったときはこう思った「Okay問題ない」。そしてスタッフがベンチから出てきて、あれはゴールだと。だが、その後2-3分、どれだけかかったかはわからないが、そんなに期待はしなかった。今夜のVARにはとても満足しているよ。
(デイヴィッド・モイーズとの対戦……)
彼はわたしがリスペクトする人であり、憧れであり、7年間のすばらしいときをともに過ごした。彼からはたくさん学んでいるし、彼は信じられないほど価値があり、グレイトなワークエシックがある。彼が今日見せたゲイムプランは扱いが難しく、彼がどういうタイプのマネージャーか示している。
わたしはイングランドでの冒険を彼と始めたが、彼がわたしを信頼してPLに連れてきてくれたのだ。彼にはとても感謝している。
選手について
(パブロ・マリのリーグデビュー……)
彼はとてもよかったと思う。前半にはやるべきことをやった。勇敢であり、意志があり、ボールがないところでも印象的だった。存在感があったよ。
彼は仮に2日間しかここにいなくても、周囲にとても声を出すような選手で、それが彼の能力でありキャラクターだ。わたしはとても彼に満足している。
(またクリンシートで、パブロ・マリをプレイさせざるを得なくなった……)
いいポイントだ(笑い)。キミのアドヴァイスを聞かないとね! もしそんなにシンプルなら、マンチェスター・シティでもそうするし、またクリンシートができるか見てみようか!
彼はよくやっている。とてもよく適応している。簡単なリーグではないし、わたしの意見だが、セントラルDFにとりPLは外国人にはもっともタフなポジションのひとつだ。しかし、彼にはとてもやる気があり、学んでいて、いい経験にもなっているし、チームメイツの理解にも役立っている。
(ラカゼットはなぜにスタートしなかったので?……)
いまふたりのストライカーがいて、わたしを悩ませている。しかし同時にそれはとてもいいことだ。今日は相手のDFを考慮したのと、われわれのゲイムプランのためエディをプレイさせることに決めたが、最後のときにゴールが必要ならラカはいつでも準備できていることもわかっている。
タッチラインで彼に話して指示を与えてから、わたしは見ていた。彼は(チームメイツに)警告して、集中して、彼はとても決心があったように見えた。そして得点したんだ。
(オバメヤンやマルティネリをセントラルストライカーとして見ていないので?……)
そう、彼らはCFだ。しかし、現在のスクワッドのバランスで左のポジションを見たときに、そこには5人はいない。ひとりはレフトバックじゃない選手をLBとして使っているからだ。だから、われわれはいまの状況に適応せねばならない。チームのために成功できるようなゴールを脅かせる選手を置こうとしている。それはいまいる選手たちのマネジメントの一部だ。
リーグ無敗を継続していることについて
(リーグ無敗を続けていること……)
それがやりたかったことだ。パフォーマンスというものは、勝利に関わるものだし、あるいは勝利しなくてもそう。この期間にわれわれがつくっているものだ。それが助けにもなっているのだと思う。今日の試合はレヴューしなければならない。なんらかのものをそこから得なければならないし、マンチェスターの試合の準備をする。また勝つために。
結果については、コーナーを抜けたに過ぎない。わたしのチームで見たかったものではある。いま彼らは「船を旋回させた」と云っているが、われわれが見たいものを見るためには、船はまだ何度かコーナーを抜けていかねばならない。
それはプロセスの一部で、一朝一夕に起きることではない。われわれがここで8-9週間やってきたことを継続できるのはポジティヴではある。
それはわれわれのパフォーマンス次第であり、結果にも関わることだ。
結果だけは最高だが、パフォーマンス自体は満足できるものじゃなかったとボスも認めている。当然そうだろう。
この試合で目立ったのは、とにかく簡単にボールを相手に渡しすぎたこと。せっかく相手を押し込んで慎重にボールを回していても、間違ったパスひとつで形勢逆転というシーンが何度も何度も見られた。そういう意味では、ほとんど自滅のような試合内容だった。とくに前半。
自分たちが危険になるためのはずの攻撃のトリガーが、そっくりそのまま相手トランジションのトリガーになってしまえば、どうしたって苦しくなるというものだ。
ペペについてアルテタ「(右足は)成長が必要なところ」
オフィシャルサイトのトランスクリプトから漏れているのか個別取材なのか? アルテタのペペに対するコメント。『football.london』より。
アルテタ:(ペペの単足について)それも彼の成長が必要なところだ。相手にとってより予測不可能になるためによりドアを開く必要がある。攻撃的により多くのオプションが持てるよう。
彼は成長しようとそれに取り組んでいる。彼はよくなる。才能があるし、計り知れないクオリティもある。彼もそれに取り組もうと努力している。
彼には映像を見せている。守備の状況ではフルバックのようになり、攻撃ではウインガーになること。
逆足にボールがあるときに取るステップについて感じなければいけない。それが毎回相手にどう影響するか、ストライカーにスペイスがあるとき、ストライカーがあるエリアでボールを欲しがっているとき。それがプロセスだ。
やはりペペの右サイドでの動きは、最近ますます見過ごせない問題になりつつあるように思える。
この試合もそうだったが、つねにカットインサイドしたいペペは、ボールを持ったとき、せっかくサイド深くにスペイスがあってもそれを効率的に使えず。左サイドでは、サカが縦にも中にも侵入できるので、余計に右サイドのワンパターンが目立つ。
いま、彼が単足(左足専)であることに起因するであろう動きのオプションのなさは、ちょっとした攻撃のネックになっている。
右サイドでの左足専のエジルとのコンビネイション、またネルソンというもうひとりのウインガー、この件はあとで書こう。