もう先月になるが『The Athletic』に「オバメヤンをよりレフトウィングで使うべき」という主旨の記事が掲載された。
The data doesn’t lie: Aubameyang needs to be used more on…
※記事の閲覧は要サブスクである
「オバメヤンはウィングではなくCFで使うべき」というアーセナルファンのあいだでもよくある主張に対し、スタッツデータを提示してそれに真っ向から異論を唱えるという内容で、ぼく自身も彼をCFで使え派だったものだから、大変に興味深く読んだ。
個人的には若干ツッコミを入れたい部分もあるが、「数字は嘘をつかない」という考え方、何かを判断するにあたり先入観を排すことの大切さを気づかせてくれる良い記事である。
今回はこの興味深い記事をざっと紹介したい。
「オバメヤンをむしろ積極的にレフトウィングで使うべき理由(スタッツ)」
記事をざっくりと要約する。省略している部分もあるので興味がわいたかたはぜひオリジナルをご参照あれ。
※小見出しは訳者による ※以下PEAはピエール・エメリク・オバメヤンのこと
オバメヤンのポジション別の得点&チャンス
- 世界最高のストライカーをゴールから遠い場所で使うことに異論はあって当然
- しかしヴェンゲルもエメリもアルテタもみんなPEAをアウトワイドで使ってきた
- そこには理由がある。スタッツが示していることは彼はワイドでプレイしてもチームに多大な貢献をしているということ
- そうはいっても、じつはアーセナルにおけるPEAはローンストライカー(※ワントップ)で使われることがもっとも多い
- ただし彼のゴール記録ではウィングでのプレイで得点が多いし得点率も高い
- (フロントラインならどのポジションでも1試合おきに得点しているのだから超すごい)
<事実>オバメヤンはアーセナル(PL 2018-)でどのポジションで使われてきたか?
- Lone Striker: 41.7%
- Left Wing: 28.4%
- Striker in a Two: 23.9%
- Right Wing: 5.9%
<事実>オバメヤンはアーセナル(PL 2018-)でレフトウィングでプレイしたときの得点が多い
※数字は90分ごとの得点数
- Left Wing: 0.83
- Lone Striker: 0.57
- Striker in a Two: 0.56
- Right Wing: 0.5
<事実>オバメヤンはアーセナル(PL 2018-)でどのポジションでプレイしたときに高xGか?
- Lone Striker: 0.63xG
- Left Wing: 0.59xG
- Striker in a Two: 0.37xG
- Right Wing: 0.19xG
- ポジション別のチャンスのクオリティ(xG)についてはワントップのときがもっとも高く、僅差でレフトウィング。逆にツートップとライトウィングではチャンスの質はがっくり下がる
オバメヤンはスタートポジションに関わらず得点するのは「ゴール前」限定
- PEAのショットマップをみると、左からスタートしようが中央からスタートしようが、ゴールが決まっているのはほとんどが6ヤードボックスの幅に限定されている
- 左からプレイしても左チャンネルからの(アンリタイプの)得点がない
- つまり左からスタートしようがゴールの近くにいる自由が与えられている
- ワントップのパートナーとプレイするとき、自分がワントップでプレイするよりチャンスの質が低いのは、おそらくそのパートナーとチャンスをシェアしているためだと思われる
オバメヤンの各ポジション(役割)におけるチームへの貢献
- それぞれのポジションでオバメヤンに課されるロールにも違いがある
- レフトウィングではディフェンシヴワークがかなり増えている
- またアウトワイドでプレイするときのほうがボールに触れている
- とくに中央でプレイするよりサイドでプレイするほうが相手ボックス内でのタッチが多いことは決定的
- つまりPEAのレフトウィングでのプレイは、ゴールを脅かすことを犠牲にすることなく、守備にも貢献する
攻撃オプションのなかのオバメヤン
- PEAをアップフロントでなく左でプレイさせることは、彼のボール保持の難点もカヴァすることになる。今シーズンのPLでどのチームよりも攻撃開始が深いアーセナルにおいて、ほかのアタッカーが上がってくるまでプレッシャーのなかでボールをキープすることはカギになっている
- ラカゼットはこの観点からもワントップとしてベストなオプション。PEAよりもエンケティアよりも相手ハーフでのパス成功率が高い
- ラカゼットとPEAにはいい相互理解がある。PEAへのアシストではラカゼットより多い選手はいない(6アシスト)
- 今シーズン、PEAがワントップでプレイしたとき、ラカゼットやエンケティアがそうするときよりもミドルサードでのタッチが少なかったが、これはつまりボールに対する彼の本分を示している可能性がある
- PEAを左で使うとき、アーセナルは彼でフィールドを走りあがるペイスを使うことができる。これはスティーヴ・ブルースがNUFCでミゲル・アルミロンとアラン・サン・マキシマンを使うやりかたと似ている
- フットボールとはつまりチームスポーツで、チームのギャップを埋めるために違うポジションで選手を使うことがトレイドオフだとしてもやる価値がある。PEAはキャプテンになる以前から、チームの犠牲になろうという姿勢も見せていたくらい
まとめ
- 集団ファースト。数字はPEAが左にいたときのほうがアーセナルはより多く得点できることを示している
- これはたしかに相手のクオリティなどといったことは考慮されていない生煮えの説ではるが、興味深いことにはかわりない
- この状況はPEAにとって目新しいものでもない。ドルトムントでユルゲン・クロップのラストシーズンには、チロ・インモービレのためにPEAを左でプレイさせた。そのときも彼のベストポジションについては大きな議論になった
- 彼のベストポジションを検討するにあたりもうひとつの要素は年齢。左ウィングでのプレイはかなりの運動量が要求される。夏には31才になるのでフィジカルが落ちるかもしれない
以上
いかがでしたか?
もしアーセナルの両ウイングに単独突破→クロスのタイプが多いなら、オーバはCFがいいと思う。しかし実際にはアーセナルのFWは全員がストライカーかインサイドFWで、ピュアウインガーは1人もいない。(サカは現状SB)
もしオーバがCFで左右のウイングもストライカーなら、前線の3人は同じようなスペースを目指して走ることになる。それを避けるために、CFにはポストプレーヤーを置いてるんだと思う。オーバはけっして背負うプレーが上手い選手ではないから。