パット・ライスがスカウティングロールを解任
71才。
Pat Rice and Stewart Houston lose scouting roles at Arsenal
パット・ライスといえば、スティーヴ・ボウルドがアシスタントに収まるまでヴェンゲルさんのアシスタントをずっとやっていた人物。一時は暫定マネージャーも務めたことがある(1996)。もちろんクラブで500試合以上プレイしたレジェンドとしても有名だが、ぼくは選手時代のことは知らなくて、ヴェンゲルさんのとなりにいつもいた好々爺然としたたたずまいの彼しか知らない。
闘病のため(ガン)ヴェンゲルさんのアシスタントを離れたあと、2013年に復帰、これまでクラブでアンバサダーロールとスカウトロール(video scout)を担当していたということ。
いまでも試合中継でたまにスタンドにいるところをカメラに抜かれたりするので、アンバサダー的に動いていたことは驚かないが、ヴィデオスカウトのような実務もやっているとはまったく知らなかった。
今回はスチュワート・ハストンというジョージ・グラハムのアシスタントだったスカウトも同時に解任になっているということで、この人事はフランシス・カジガオ以下、シニアスカウトメンを軒並み解雇するような最近のアーセナルの一連の大胆な人事の一環という見られ方をされているようである。
これもまたAFCの大改造時代を象徴する人事になりそうだ。
ふたりのこれまでのクラブへの貢献に感謝しつつ、ご健勝とますますのご発展を祈りたい。
アーセナルに念願の?セットピースコーチ来る
19-20シーズンのアーセナルといえば、これまで以上にセットピースに悩まされたシーズンだった。
そして、今回アーセナルのぼんくらども選手たちにセットピースの何たるかを教えるためスペシャリストが来たということ。
🔴 Set-piece specialist Andreas Georgson (see @sr_collings) started at Arsenal yesterday
🔴 #AFC also appointing new analyst
🔴 Assistant GK coach Sal Bibbo exitsBackroom team @gunnerblog wrote about @TheAthleticUK in Feb continues to evolve under Artetahttps://t.co/Ig018TJp0F
— David Ornstein (@David_Ornstein) August 23, 2020
23日の時点で「昨日から」と書いてあるので8/22からすでにスタートしている。名前はAndreas Georgson(アンドレアス・ジョグソン?)。
『Evening Standard』によれば、ジョグソンはブレントフォードでのコーチ(Head of Set Pieces、Individual Development)で評価を高めたということ。それ以前はスウェーデンのマルメでアシスタントコーチを務めていた人物。
ブレントフォードは同じくセットピースコーチ(Nicolas Jover)をマンシティに引き抜かれていたり(※ジョグソンはその後任だった)、またレノやエミマルらGKが花開いたといっても過言ではない現在のアーセナルでGKコーチを務めるイニャキ・カナ・パヴォンもまた、ブレントフォードからの人材ということで、なかなか興味深いクラブである。英国のone of the most innovative clubらしい。
(ところでイニャキ・カナは、じつは自分のYouTubeチャンネルを持っていたというのが少し話題になっていた。GKコーチングに興味あるひとは登録しよう)
『StatsBomb』のチャンピオンシップ分析の記事では、ジョグソンがチームに来てからの19-20シーズンのブレントフォードの守備が劇的に改善されたと指摘されていた。xGA(xGアゲインスト)が、前の3シーズンがそれぞれ1.41、1.13、1.28。それが0.76に。
StatsBomb Mailbag: Championship Edition | StatsBomb
なかでも、セットピースによるxGAが「0.12pg」というので(1シーズンで5-6失点の計算)、アーセナルのセットピース失点の悲惨なスタットからすると、そこには目をみはるものがある。
オフェンスのセットピーススペシャリストでは?という指摘
一方でこのアンドレアス・ジョグソンは、守備ではなく攻撃のコーチではないかという指摘もある。
redditユーザに発掘されていた、今年の1月に書かれたこのスウェーデン語の記事によれば、彼はオフェンスのアシスタントコーチで、ディフェンスについては別のアシスタント(Brian Riemer)が担当していたという。
オフェンスへの貢献として、ジョグソンがブレントフォードに来てから13試合でセットピースから9得点しているというので(ペナルティやセカンドボールを除く)、攻撃でもすごい実績である。ちなみにチームの身長は平均182cmと並みらしい。
アーセナルのようにセットピースのスペシャリストがいないチームからすれば、セットピースのスペシャリストが守備と攻撃でふたりもいるというのは、なんとも進歩的な体制に思える。
しかし、アーセナルのセットピース問題というのはつまるところ守備問題であり、攻撃か守備どちらのスペシャリストが必要かといえば明らかに守備である。
アーセナルがそれを知らずに彼を迎え入れたとも思えない。
どうなるか見てみよう。
リヴァプールがスロウインのスペシャリストを雇ったことは有名だし、シティもアーセナルの前にブレントフォードから同じくセットピースのスペシャリストを雇っている。このようにスペシャリストコーチを起用するのはこの世界のトレンドだということで、今回アーセナルもその波にのったかたちである。
これで来シーズンこそはストレスフルな失点が少なくなることを祈りたい。
おわり
恥ずかしながらファンデルサールがアヤックスのCEOになってる事を今更知りました。
なにはともあれリュングベリには感謝しかありません。